2025年11月 1日 (土曜日)

ルーさんのモータウンへの挑戦

本作は、1968年にトランペッターのブルー・ミッチェル、オルガン奏者のチャールズ・アーランド、ギタリストのジミー・ポンダーと録音した作品だが、冒頭の「Say It Loud – I'm Black and I'm Proud」を聴けば、たちどころに判る。この盤は、ルーさんの「R&B志向、モータウン志向のソウル・ジャズ&ジャズ・ファンク」である。

Lou Donaldson『Say It Loud』(写真左)。1968年11月6日の録音。ちなみにパーソネルは、Lou Donaldson (as, vo), Blue Mitchell (tp), Charles Earland (org), Jimmy Ponder (g), Leo Morris (ds)。JB(James Brown)に共感して、カヴァSay It Loud (I'm Black and I'm Proud)ーしてタイトルに冠したと思われ、R&B志向、モータウン志向を協力に押し出した、ルーさんのソウル・ジャズ。

リズム&ビートが「とーん・と−ん・とんとんとんとん」といった、モータウン独特のリズム&ビートに乗って、ルーさん流のソウル・ジャズが展開される。結構、ネットでは酷評されているんだが、爆発的なグルーヴが無い、作られたファンク・ミュージックとか散々に揶揄されているんだが、これはこれで正解なんだけど。

この盤でも、ルーさんは、モータウン志向に走ってはいるけれど、演奏の根っこは「モダン・ジャズ」。モータウンにどっぷり填まれば、体の良いジャズ・ファンクのリズム&ビートを拝借した「イージーリスニング音楽」になってしまう、ことを危惧した結果だと思っている。そう、この盤の根底に流れているのは、ソウル・ジャズであり、ジャズ・ファンク、あくまで「ジャズ」なのだ。

だから、モータウン風の曲のカヴァー演奏になると、腰が動くほどのファンクネスは無いし、グルーヴ感も無い。この盤の根底に流れているのは「ジャズ」であり、爆発的なグルーヴが無い、作られたファンク・ミュージックと言われても仕方が無い内容。
 

Lou-donaldsonsay-it-loud

 
でも、ジャズとして、ハードバップとして捉えると、モータウンって、こうなるのか、というプロトタイプ的内容。演奏内容、演奏レベルに問題があるのでは無い。モータウンをジャズでカヴァるって、いう行為が無茶だということ、無理がある行為だということを、このアルバムは教えてくれる。

冒頭の「Say It Loud (I'm Black and I'm Proud)」のカヴァー演奏が、モータウンのジャズ化の限界だろう。これ以上に、グルーヴを爆発させ、ファンクネスを濃くしたら、モータウンの「イージーリスニング音楽」になってしまう。

ルーさんはジャズマン。このカヴァー演奏でも、しっかり、ジャズに軸足を置いたまま、モータウンのジャズ化にチャレンジしたのではないか、と睨んでいる。

とにかく、有名スタンダード曲、ハードバップとモード・ジャズにこそ、ピッタリと合致した「Summertime」や「Caravan」を、モータウン志向のソウル・ジャズで解釈するのは、あまりに無謀であった。

これは、明らかにプロデュースの誤り。もしかしたら、ルーさんがやりたい、ときかなかったかもしれないが、これがフランシス・ウルフの限界だったのだろう。

この盤は、ルーさんがいかに「純ジャズ」畑のジャズマンだったかを再認識させてくれる。どんなアレンジの演奏にだって、ルーさんは、ジャズに軸足を残したまま、いろいろなアレンジにチャレンジした。ルーさんの純ジャズ志向のジャズマンとしての矜持を感じさせてくれる盤である。
 
 

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2025年10月 3日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・300

『Alligator Bogaloo』(1967年4月録音)、『Mr. Shing-A-Ling』(1967年10月録音)と、ブガルー、シンガリンの力を借りて展開した「ルーさんの考えるソウル・ジャズ」。この『Midnight Creeper』は、そんなブガルーや新がリンの音要素を取り込み、融合し、ルーさんオリジナルのソウル・ジャズの創造の「ほぼ完成形」が記録されている。

Lou Donaldson『Midnight Creeper』(写真左)。1968年3月15日の録音。ブルーノートの4280番。ちなみにパーソネルは、Lou Donaldson (as) Blue Mitchell (tp), George Benson (g), Lonnie Smith (org), Leo Morris (ds)。ルー・ドナルドソン(以降 ”ルーさん”)の、ブルーノートへのカムバック〜ソウル・ジャズ転身の第3弾。

ファンクネスをソウルフルに転換し、R&Bな雰囲気をそこはかと無く取り入れた独自のグルーヴ感を自家薬籠のものとし、アレンジを含めて、ルーさんのグループ・サウンドとして昇華した、ルーさん独特のソウル・ジャズのテイストが、この盤に充満している。従来のルーさん独特の「アルト・サックスのファンクネス」はしっかり残っていて、アドリブ・フレーズを聴くと、直ぐに「ルーさんだ」と判る。
 

Lou-donaldsonmidnight-creeper

 
スローな曲、ちょっと速いテンポの曲が1曲ずつあるが、残りは同じテンポ、ミッド・テンポの曲が並ぶ。これが、アルバムとして連続して流れてくると、不思議とソウルフルなグルーヴ感が「だだ漏れて」くるのだから、この盤は、ソウル・ジャズ盤として、意外と「ヤバい」。思わず、どっぷりと、独特な「ユルユルなグルーヴ感」に浸かってしまう。

ロニー・スミスのオルガンの存在が効いている。アルト・サックスとトランペットのフロント2管だけだと、ちょっとエッジが立って、ゆるゆるのグルーブ感が、ちょっとトゲトゲしくなりそうなところを、ロニー・スミスの丸くて力感のあるオルガンが、そのトゲトゲ感を全く緩和して、ルーさん独特のグルーヴ感を支え、増幅する。ルーさん独特のグルーヴ感とロニー・スミスのオルガンの音色との相性が抜群である。

ジャズらしからぬジャケに惑わされてはならない。ルーさん独特の「ユルユルでソウルフルなグルーヴ感」が心地良く漂う、由緒正しき「ルーさんの考えるソウル・ジャズ」がこの盤に詰まっている。決して、イージーリスニング志向では無い、ガッツリと純ジャズしている、ルーさんのソウル・ジャズに、ルーさんのジャズマンとしての「矜持」感じる。極上のソウル・ジャズ。好盤です。
 
 
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2025年9月23日 (火曜日)

ルーさん流のソウル・ジャズ

タイトルの「シンガリン (Shing-A-Ling) 」とはブガルーから派生したダンス・ミュージック、ラテン・ソウル・ミュージックとのこと。前作が『Alligator Bogaloo』だから、その続編という意味合いもあるのかな、と想像する。

Lou Donaldson『Mr. Shing-A-Ling』(写真左)。1967年10月27日の録音。ブルーノートの4271番。ちなみにパーソネルは、Lou Donaldson (as), Blue Mitchell (tp), Lonnie Smith (org), Jimmy Ponder (g), Leo Morris (ds)。

リーダーのルー・ドナルドソン(以降ルーさん)のアルト・サックスとブルー・ミッチェルのトランペットがフロント2管、オルガン+ギター+ドラムがリズム・セクションを担う変則クインテット編成。ピアノの代わりにオルガン、そして、オルガンがベースを兼ねている。

そして、このアルバムの音はというと、こってこてのソウル・ジャズの音世界。しかし、ジャジーな雰囲気は濃厚に残っている、という、一言でまとめると「ジャジーな雰囲気が素敵な、こってこってのソウル・ジャズ」という内容。さすが、こってこてのソウル・ジャズ、ノリが抜群に良い。実にグルーヴィーで、ゆるゆるにダンサフル。

冒頭の「Ode To Billy Joe」から、ルーさん流のソウル・ジャズが炸裂。ボビー・ジェントリーの全米チャートNo.1曲のカヴァー演奏だが、これがもうソウルフルでダルダルゆったりなジャズ・ファンク。ルーさんのダルダルでファンキーなアルト・サックスが妖しいソウルフルな雰囲気を撒き散らす。
 

Lou-donaldsonmr-shingaling

 
ルーさん流のソウル・ジャズのリズム&ビートを決定付けるのは、レオ・モリス(改宗後、イドリス・ムハンマド)の魅力的なルーズでダルダルなビートのドラミングだと確信する。ジミー・ポンダーのエレギがダルダルゆったりなジャズ・ファンクな雰囲気を増幅する。ロニー・スミスのオルガンは飛び切りソウルフル。

続く「The Humpback」は、ルーさんのオリジナル曲なのだが、これがまあ、ソウルフルで素敵なオルガン・ジャズ。オルガン・ジャズらしいグルーヴ感がグッド。ソウル・ジャズにはオルガンが良く似合う。ロニー・スミスのオルガンは適任だ。

歌の部分はルーさんのアルト・サックスとブルー。ミッチェルのトランペットがソウルフルに唄い上げ。グルーヴの部分はロニー・スミスのソウルフルなオルガンが担い、リズム&ビートは、ファンクネス溢れるレオ・モーリスのドラムがソウルフルに叩き上げる。ジミー・ポンダーのエレギのカッティングとソロがファンネスを煽る。

3曲目は「The Shadow Of Your Smile」。突然、映画「いそしぎ」の主題歌のカヴァーが出てくる。収録曲のタイトルを見た時は「ついにブルーノートも俗っぽくなったかあ」と思ったのだが、この演奏を聴いて思わず唸った。ボサノヴァ・リズムに乗ったソウル・ジャズで、これがムーディーで実に良い雰囲気。ルーさん、ミッチェルのライトで歌心溢れるアドリブ・ソロがこれまた、しみじみ、良い雰囲気。

残りの「Peepin」「The Kid」も、ソウルフルでファンキーなオルガン・ジャズが展開される。ルーさんのアルト・サックスはオルガンと相性抜群。ロニー・スミスのソウルフルなオルガンが、ルーさんのちょっとダルでソウルフルなアルト・サックスを引き立てる。

この盤、ブルーノートのソウル・ジャズの好盤であり、ルーさんの考えるソウル・ジャズの良きショーケースとして、この盤は優秀盤。言いアルバムです。
 
 

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2025年9月12日 (金曜日)

ルーさんの考えるソウル・ジャズ

Bogaloo(ブガルー)とは、1960年代のニューヨークで流行した、ラテン音楽とリズム・アンド・ブルース、ソウルが融合した音楽ジャンルであり、それに合わせて踊るブレイクダンスのことも指す(Wikipediaより抜粋)。特に、1960年代後半は、この「ラテン音楽」とジャズの融合がひとつのトレンドだったみたいで、ブルーノートでも、様々なイメージの「ラテン音楽」とジャズの融合音楽が録音されている。

Lou Donaldson『Alligator Bogaloo』(写真左)。1967年4月7日の録音。ブルーノートの4263番。ちなみにパーソネルは、Lou Donaldson (as), Melvin Lastie (cor), Lonnie Smith (org), George Benson (g), Leo Morris (ds)。アーゴ/カデットからブルーノートに復帰して、R&Bやブガルーな要素を取り込んだ、「ルーさんの考えるソウル・ジャズ」を表したアルバム。

タイトルの「ブガルー」なジャズは、タイトル曲の「Alligator Bogaloo」の1曲のみ。ドナルドソンの回顧を借りると、このアルバムのセッションをやった時、1曲足らなかったらしい。そこで、やっつけで作ったのこの曲。恐らく、リフを作って、皆が演奏を始めたら、当時、流行の「ブガルー」がベースの演奏になったんだろう。これがヒット曲となるのだから、何が幸いするか判らない(笑)。
 

Lou-donaldsonalligator-bogaloo

 
他の演奏はしっかりジャズしている。基本はファンキー・ジャズ。フレーズが歌心満点で流麗でファンクネス適度などで、フレーズだけ聴いていると、ソウル・ジャズかな、とも思うんでが、バックのリズム&ビートが硬派にジャズしている。R&Bな奮起が仄かに漂う、ソウル・ジャズ志向のファンキー・ジャズといった、ちょっと不思議な音世界が、この盤に詰まっている。

R&Bな雰囲気を添加しているのは、ひとえにジョージ・ベンソンのギターの「切れの良い、R&Bなビート感溢れるカッティング」が効いている。そして、ロニー・スミスのオルガンも、そんなR&Bな雰囲気を増幅している。そして、ルーさんのアルト・サックスが、バップな吹奏控えめに、飄々とソウルフルに唄う様に響いているところが、意外とR&Bっぽいんですよね。

まだ、ソウル・ジャズ色は控えめ、ルーさん得意のファンキー・ジャズに、R&Bな雰囲気を添加した、他に無いユニークなファンキー・ジャズに仕上がっているところが面白い。この辺りの音世界が、もしかしたら「ルーさんの考えるソウル・ジャズ」なのかもしれない。タイトル曲の「Alligator Bogaloo」は突然変異だろう。
 
 

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2025年8月23日 (土曜日)

イージーリスニングなルーさん

1950年代は「ハードバップの時代」。1960年代に入ると、聴き手の嗜好に応じて、演奏の志向を明確に変えていく「ハーバップ・ジャズの多様化の時代」に突入する。ファンキー・ジャズ、ソウル・ジャズ、ジャズロック、イージーリスニング・ジャズなどなど、聴き手の嗜好に合ったジャズを展開する時代である。そして、ブルーノートもその時代の波に乗って、聴き手の嗜好に合った、様々なスタイルのジャズをリリースする至っている。

Lou Donaldson『Lush Life』(写真左)。1967年1月20日の録音。ブルーノートの4254番。ちなみにパーソネルは、Lou Donaldson (as), Freddie Hubbard (tp). Garnett Brown (tb), Jerry Dodgion (as, fl), Wayne Shorter (ts), Pepper Adams (bs), McCoy Tyner (p), Ron Carter (b), Al Harewood (ds), Duke Pearson (arr)。「Sweet Slumber」の別タイトルでもリリースされていた、ルー・ドナルドソン(以降「ルーさん」)のリーダー作。

録音時は、ブルーノートお得意の「何故かは判らないお蔵入り」音源。日の目を見たのは1980年。内容は一声でいうと「ルーさんのイージーリスニング・ジャズ」である。錚々たるメンバーをバックの「ジャズオケ」に従え、ルーさんが、パーカー直系のバップなアルト・サックスを吹き上げていく。収録は全て、渋めのジャズ・スタンダード曲で固められている。
 

Lou-donaldsonlush-life

 
徹底的にイージーリスニング志向のアレンジが施されており、ブルーノートの作品群の中では、異色の響きを有している。悪く言うと「ブルーノートらしくない」マニアックに言うと「大手ジャズ・レーベルっぽい」。ただ、ルーさんのアルト・サックスは、イージーリスニング志向の様な耳当たりの良い、甘い吹奏ではなく、硬派でダンディズム溢れる、パーカー直系のバップなアルト・サックスに終始しているのが面白い。

アレンジは、大衆迎合型のイージーリスニング志向なんだが、フロントのメインのアルト・サックスがメインストリーム志向の硬派なバップ・アルト・サックスというアンバランスが、この盤の個性であり、聴きどころである。バックのオケがストリングスでは無いが、アレンジの大本は「ウィズ・ストリングス」な様式でアレンジされている。この辺もこの盤の面白いところ。

ジャケも明らかに大衆迎合型、イージーリスニング志向のジャケットで、これもブルーノートらしくない(笑)。録音時期的に「ソウル・ジャズのルーさん」を期待して聴くと、椅子から転げ落ちること請け合いです(笑)。でもルーさんの「メインストリーム志向の硬派なバップ・アルト・サックス」が、イージーリスニング志向のアレンジをグッと引き締めていて、イージーリスニング志向のジャズとしては十分、評価出来る内容になってます。
 
 

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2025年4月 3日 (木曜日)

BNらしい ”バードランドの夜”

レココレ誌の執筆陣が選んだ「ベスト100」。ブルーノート創立の1939年以降、ジャズの潮流が変わりつつある1968年までにリリースされたアルバムから、ブルーノートらしい「内容と音と響き」、そんな三拍子揃ったブルーノート盤の「ベスト100」を順に聴き直していく企画。今日はその「第21位」。

Art Blakey『A Night at Birdland vol.1』(写真)。邦題『バードランドの夜』。1954年2月21日、NYのジャズクラブ、バードランドでのライヴ録音。パーソネルは、Clifford Brown (tp), Lou Donaldson (as), Horace Silver (p), Curly Russell (b), Art Blakey (ds)。クリフォード・ブラウンのトランペット、ルー・ドナルドソンのアルト・サックスがフロント2管、シルヴァー=ラッセル=ブレイキーのリズム隊、併せて、クインテット編成。

ここで先に一言。この盤については、どのジャズ盤紹介本でも「ジャズの代表的な演奏トレンドであるハードバップの始まりを記録した盤」としている。いわゆる「ハード・バップ誕生の瞬間」を記録した歴史的名盤と評価されている。が、売り文句としては実にキャッチーな表現だが、この盤が記録したライヴ・パフォーマンスを境目に、ハードバップが一気に展開されていった訳ではない。

録音当時、この盤の様なハードバップな演奏が、NYの様々なライヴ・スポットで、演奏され始めていたのだろう。そんな、ビ・バップからハードバップへの「演奏トレンド」の進化を、ブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンはいち早く感じ取り、いち早く記録に留めたい、と思ったのだろう。そして、その企みは「大成功」。

まず、この盤、ライヴ盤というところが素晴らしい。スタジオ録音だと、何度か録り直しをして完成度を高めることができるので、どうしても「作り出した」感がつきまとう。しかし、ライヴ盤は違う。演奏の「一発録り」なので、臨場感が半端無く、やり直しができないので、この記録された音がその場で演奏された音そのもの、というリアリティーと説得力がある。
 

Art-blakeya-night-at-birdland-vol1  

 
しかし、このライヴ音源、どう聴いても、パッと集まってパッと演奏する、いわゆるジャム・セッション的な演奏では無い。演奏の完成度がとても高い。スタジオ録音に匹敵する完成度の高さ。

ブルーノートはスタジオ録音の場合、リハーサルを十分積むことを義務付けていて、しかもそのリハーサルにもギャラを払う、という徹底ぶり。そうやって、演奏の完成度の高さを担保しているのだが、この『バードランドの夜』も、ライヴではあるが、事前にリハーサル的なライヴを積み上げた結果である様に思う。

恐らく、バンドとしても、ブルーノートとしても、満を持してのライヴ録音だっただろう。録音隊のルディ・ヴァン・ゲルダーも、相当、気合を入れてのライヴ録音に感じる。ダイナミックレンジも申し分なく、楽器の音の生々しさも申し分無い。バードランドの会場の臨場感、空間の広がりも感じる絶妙な録音。音の響きは「ブルーノート・オリジナル」。

ビ・バップからハードバップへの「演奏トレンド」の進化を、スタジオ録音ではなくライヴ録音とし、臨場感とリアリティーと説得力を獲得(ブルーノートらしい内容)。そして、リハーサルを積んだ後の完成度の高い演奏を捉え(ブルーノートらしい音)、ルディ・ヴァン・ゲルダー本気のブルーノート・オリジナル」な音で記録する(ブルーノートらしい響き)。

このライヴ盤は、ブルーノートらしい「内容と音と響き」が、最高の形で整っている、モダン・ジャズの名盤の一枚である。そういう意味で、レココレ誌のブルーノート盤「ベスト100」の「21位」というのはいかがなものか。僕は、このライヴ盤は「第1位」でも良いと思っているし、せめて、ベスト10には必ず入る名盤と評価している。
 
 

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  ・イタリアン・プログレの雄「PFM」のアルバム紹介と
   エリック・クラプトンの一部のアルバム紹介を移行しました。

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2024年3月25日 (月曜日)

聴かせる Jimmy Smith Trio + LD

1950年代から1960年代のブルーノート・レーベルは、プロデュースが大変優れていると感じる。セッションのジャズマンのブッキングなど、その対象となるリーダー作が、どの様な「志向」の演奏内容にするかによって、メンバーを厳選している。そして、その演奏の「志向」に則った演奏を実現する。このブルーノートの優れたプロデュースが数々の名盤を生み出している。

『Jimmy Smith Trio + LD』(写真左)。1957年7月4日の録音。ちなみにパーソネルは、Jimmy Smith (org), Lou Donaldson (as, tracks 1–2, 4, 6), Eddie McFadden (g), Donald Bailey (ds)。当時の売れっ子オルガニスト、ジミー・スミスのトリオに、アルト・サックスのベテラン職人、ルー・ドナルドソン(以降「ルーさん」)がフロント管として客演する格好のカルテット編成。

録音時点で、ジミー・スミスは29歳、ルーさんは31歳。両人とも実績十分の中堅ジャズマン。どちらも職人気質のジャズマンでプライドも高く、自分が一番前に出たがる。いわゆる「一国一城の主」タイプで、同じレベルのジャズマン同士、対等な立場での共演は好まないタイプなんだが、この盤では一期一会の共演が実現している。

スミス、ルーさん、どちらも前に出たがるタイプみたいなんだが、この盤では「前へ出たがり」同士がぶつかることなく、お互いの音をしっかり聴きながらの、心地良いテンポ、雰囲気のインタープレイが展開されている。ジェントルなトーンで、流麗でファンキーな、とても聴き心地の良いオルガン・ジャズを展開している。
 

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スミスのオルガンは、特徴である「切れ味の良い攻撃的な」オルガンを封印、ルーさんのアルト・サックスのバッキングに徹している。自分のソロの番になっても、オルガンのボリュームを上げて、ガンガンに弾きまくることはない。あくまで、ジェントルなトーンで、流麗でファンキーな、とても聴き心地の良いオルガンを弾き進める。

ルーさんのアルト・サックスは、お得意の熱量の高いアグレッシブな「ビ・バップ」風の吹き回しは封印、スミスのオルガンのバッキングを損なうことなく、スミスのオルガンに歩調を合わせる様に、ジェントルなトーンで、流麗でファンキーな、とても聴き心地の良いアルト・サックスを吹き進める。

スミス、ルーさん共に、双方の一番の「持ち味」を封印し、グループサウンズ優先、底に小粋なファンクネスを忍ばせつつ、ムーディーで流麗なオルガン・ジャズを展開している。アレンジも優秀で、まるで、ウエストコースト・ジャズにおける上質のオルガン・ジャズの様な雰囲気。いわゆる「聴かせる」オルガン・ジャズとして、聴き手にしっかりアピールする。

しかし、この盤、録音当時は「お蔵入り」。当時のブルーノートお得意の「理由不明のお蔵入り」盤となっている。今でもなぜお蔵入りなのかが良く判らない。それでも、1985年、我が国においてのみ、発掘リリースされ、今ではサブスク・サイトでも鑑賞することが出来る。この盤、後の「イージーリスニングなソウル・ジャズ」としても愛聴することが出来る優れもの。発掘リリースされて良かった、と改めて思う、今日この頃である。
 
 

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2023年3月29日 (水曜日)

ルーさんとオルガンとギターと

1950〜1960年代のブルーノート・レーベルには、レーベルにずっと所属した「お抱えジャズマン」がいた。アルト・サックスのルー・ドナルドソンとジャキー・マクリーン、テナー・サックスのアイク・ケベック、ピアノのホレス・シルヴァー、トランペットのドナルド・バードなど、ブルーノートをメインにリーダー作をリリースし続けた強者共である。

ブルーノート・レーベルは中小規模の零細レーベルだったので資金力は無い。営業力も弱い。よって、ストリングスを交えてのゴージャズな編成での録音や、ビッグバンドなどの大人数編成の録音が出来ない。アルバムを米国全土で売り上げる営業力も期待出来ない。

それをやりたければ、期待するならば、大手のジャズ・レーベルに移籍する必要があった。ブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンに見出されて、メジャーな存在になったジャズマンの中で、そういう大手レーベルに移籍していったジャズマンも多くいる。

それでも、ライオンは自らが見出したジャズマンの大手レーベルへの移籍を喜んだ。自分が見出したジャズマンが大手のレーベルに認められて、メジャーな存在になっていく。それがライオンにとっては無上の喜びだったそうだ。ライオンは「ジャズマン・ファースト」なレーベル経営者であり、プロデューサーであったことが良く判る。

しかし、逆に、そのライオンのプロデュースの手腕とジャズマンに対する真摯な対応にほだされて、ブルーノートの「お抱えジャズマン」として、ずっと残ったジャズマンも多くいるのも事実。ライオンの人柄に惚れて惹かれてブルーノートに留まり、ライオンが引退した後も、1970年代半ば、ブルーノートが活動停止するまで、ずっと「お抱えジャズマン」であり続けた。
 

Lou-donaldsongood-gracious

 
Lou Donaldson『Good Gracious!』(写真左)。1963年1月24日の録音。ブルーノートの4125番。ちなみにパーソネルは、Lou Donaldson (as), Grant Green (g), Big John Patton (org), Ben Dixon (ds)。ブルーノートのお抱えアルト・サックス奏者のルー・ドナルドソンがリーダー、ピアノレス、代わりにオルガンが入ってベースレス(ベースラインはオルガンが代替)、ギターを加えたカルテット編成。

もともと、ルーさんのアルト・サックスは、バップでファンキー、音は明るくフレーズは爽快。アーティスティックな面を突き詰めたジャズより、ポップで聴き心地の良いソウルフルなジャズに向くアルト・サックス。そんなルーさんのアルト・サックスは、ジョン・パットンの正統でどこかポップなファンキー・オルガンとの相性抜群。バップでご機嫌な演奏を繰り広げる。

そして、グリーンのパッキパキ硬質なシングルトーンが個性のファンキー・ギターとの相性も抜群。ルーさんのアルト・サックスは流麗で爽快。それに相対するグリーンのギターは、シングルトーンで硬質でバッキバキと真逆。そんなお互い真逆の音が、溢れるようなファンクネスという「共通項」を基に、ソウルフルでご機嫌な演奏を繰り広げる。

ディクソンのファンキーなドラミングは、そんなアルト・サックス、オルガン、ギターを、ソウルフルに鼓舞して、引き立てる。このディクソンもドラミングも、この盤の「キモ」。

あまり、ブルーノート盤の紹介に出てこないルーさんのリーダー作なんですが、内容は「間違いの無い」、バップでファンキーでソウルフルな「ご機嫌なオルガン・ジャズ」。ルーさんのアルト・サックスもその個性が十分に輝いていて、この盤、ファンキー&ソウル・ジャズの好盤だと思います。お勧め。
 
 

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2021年11月 4日 (木曜日)

ルーさんとピアニストとの相性『Gravy Train』

ジャズマンは演奏で組む相手によって、そのパフォーマンスが変わることがある。相性の問題だとは思うんだが、その人と組むとある種の化学反応が起きて、通常よりも優れたパフォーマンスが展開されたりするのだ。だから、アルバムの初聴き時、聴く前にパーソネルを確認して、以前にその組合せによる優れたパフォーマンスの記憶があると、これは、と期待したりする。

Lou Donaldson『Gravy Train』(写真左)。1961年4月27日の録音。ブルーノートの4079番。ちなみにパーソネルは、Lou Donaldson (as), Herman Foster (p), Ben Tucker (b), Dave Bailey (ds), Alec Dorsey (conga)。ブルーノートのお抱え、ベテランのアルト・サックス奏者ルー・ドナルドソン(愛称:ルーさん)がワン・ホーンのカルテット編成+コンガ。

ピアノ担当のハーマン・フォスター(Herman Foster)は、1928年フィラデルフィア生まれ、1999年に亡くなった盲目のジャズ・ピアニストである。彼の初期のキャリアは、ルーさんと切っても切り離せない。1950年代後半、ルーさんの複数の吹込みに参加し、その名を世に知らしめた。とにかく、ルーさんのアルト・サックスとの相性が抜群のピアニストである。
 

Gravy-train

 
この盤は、1958年12月録音の『Light-Foot』以来の、ルーさんの「ハーマン・フォスター再び」セッション。ハーマン・フォスターのリズム隊との相性は抜群。フォスターのピアノの手癖とルーさんのアルト・サックスの手癖との協調が、ファンクネスを増幅する。アレック・ドーシーのコンガも良いアクセントになっていて、増幅されたファンクネスにポップな雰囲気を付加していて、聴いていて楽しく明るい雰囲気。

ルーさんが気持ち良くアルトを吹き上げる快作である。ピアノをバックにしたルーさんのパフォーマンスとしては、このハーマン・フォスターとホレス・パーランが双璧だろう。それぞれのピアノが持つファンクネスと、アドリブ展開のテンポの波長があるのだろう。どこか旧来のスイング風のファンネスが漂う時はフォスター、どこか新しいモーダルなファンクネスが漂う時はパーラン。

この盤は、ピアノ・トリオをバックとしてのルーさんのアルト・サックス盤の完成形の様な内容。これだけ気分良く、アルト・サックスを吹き上げるルーさんは聴いていて見事。以降、ルーさんのバンド・サウンドの新しい工夫として、前作『Here 'Tis』で試したオルガンの導入に力点を移していく。
 
 
 
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2021年8月30日 (月曜日)

ルーさんの初オルガン・ジャズ

我が国では、僕がジャズを本格的に聴き始めた1970年代後半、オルガン入りのジャズについては、あまり評判は良くなかった。ファンクネス濃厚で、ソウルフルでポップなジャズ、というイメージから「俗っぽい」ジャズである、というレッテルを貼られて、硬派なジャズ者の方々のみならず、評論家の方々を含めて、評価は芳しく無かったと記憶している。

オルガン・ジャズが復権してきたのは、1980年代後半、レア・グルーヴのムーヴメントがジャズに押し寄せ、ソウルフルでポップなジャズ、踊れるジャズとして再評価されて以降である。また、純ジャズ復古後、新伝承派を中心とした、純ジャズ偏重、ハードバップ偏重に対する反動から、ソウルフルでポップなオルガン・ジャズが再評価された経緯もある。

Lou Donaldson『Here 'Tis』(写真左)。1961年1月23日の録音。ブルーノートの4066番。ちなみにパーソネルは、Lou Donaldson (as), Baby Face Willette (org), Grant Green (g), Dave Bailey (ds)。ビ・バップ以降、ブルーノートの看板アルト・サックス奏者として活躍してきたルー・ドナルドソン(ルーさん)の初のオルガン・ジャズである。
 

Here-tis

 
バックを固めるメンバーが良い。ファンクネス濃厚、硬派でプログレッシブなオルガンが個性のベビー・フェイス・ウィレット、パッキパキなシングルトーンが個性、ファンクネスだだ漏れギターのグラント・グリーン。地味だがスインギーでファンキーなドラマー、ディヴ・ベイリー。ここに、ルーさんの切れ味の良いファンキーで陽気なアルト・サックスがフロントを仕切る。

とってもソウルフルでポップでファンキーなオルガン・ジャズである。バックのリズム隊がむっちゃファンキーでグルーヴィーでソウルフルなので、ルーさんのアルト・サックスの本質である、とてもハッピーな吹きっぷりで、翳りや哀愁、モーダルで理知的な響きとは全く無縁な「明るくビ・バップ風のブリリアントで高速な吹き回し」がとっても引き立つのだ。

オルガン・ジャズ、ここに極まれり、という感じの優秀盤。前述の様に、我が国では以前はオルガン・ジャズは異端であり、敬遠されていたのだが、どうして、このオルガン・ジャズ盤を聴いて思うのだが、これって「ご機嫌なジャズ」ではないか。ファンキー、ポップ、そしてソウルフル。ジャズを楽しむオルガン・ジャズ。僕は好きですね〜。
 
 
 
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