2025年5月 9日 (金曜日)

”At ライトハウス” の未発表音源

 一昨日に続いて、ジョー・ヘンダーソン(略して「ジョーヘン」)のアルバムの聴き直し。2025年5月7日 (水) のブログでご紹介した「1970年ジョーヘンの好ライヴ盤」。LP時代の初でのタイトルが『If You're Not Part of the Solution, You're Part of the Problem』。CDリイシュー時のタイトルが『At The Lighthouse』。

その時代のジャズのトレンドにピッタリ合致した、電気楽器入り、電気楽器を有効活用した、モーダルなジャズが展開されている好ライブ盤だったが、確か、未発表音源を集めた別アルバムがあったことを、ふと思い出した。

Joe Henderson Quintet『Jazz Patterns』(写真左)。1970年9月24–26日、米国L.A.、Hermosa Beachの「Lighthouse Café」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Joe Henderson (ts), Woody Shaw (flh, tp), George Cables (el-p), Ron McClure (b), Lenny White (ds), Tony Waters (congas)。テナーのジョーヘンがリーダーの、クインテット編成+コンガ。

1970年9月24~26日、ジョーヘンとウディ・ショウとが共演した、米国西海岸、L.A.ハモサビーチの名門クラブ、ザ・ライトハウスでの未発表ライヴ音源集。1982年に初出の時は、ほとんど粗悪品なものだったらしいが、その音源が『If You're Not Part of the Solution, You're Part of the Problem』の未発表音源と判明し、しっかりとしたパッケージで再発された。
 

Joe-henderson-quintetjazz-patterns

 
未発表音源とはいえ、内容的には決して、正式盤に落ちこぼれたイマイチな内容ではなく、正式盤に採用された音源と比べても、全く引けを取らない、優れた、その時代のジャズのトレンドにピッタリ合致した、電気楽器入り、電気楽器を有効活用した、モーダルなジャズが展開されている。もしかしたら、正式版の音源よりも、一部、優れた内容をしているものもある位だ。

この未発表音源盤は是非とも、正式盤と合わせて聴いてもらいたい。フロント2管を形成する、ジョーヘンのモーダルなウネウネ・テナー絶好調、ウディ・ショウのストレートで切れ味の良いモーダルなトランペット絶好調。そして、ジョージ・ケイブルスのモーダルなエレピ(フェンダー・ローズ)絶好調。コンガ入りのリズム隊も絶好調。

かなり重厚で自由に富んだモード・ジャズでありながら、どこか軽快で軽妙なところがあって、深刻にならない、1970年のジョーヘンの、ポスト・バップのモーダルな極上のパフォーマンスが、この未発表音源盤にもぎっしりと詰まっている。

ジョーヘンのテナーとショウのトランペットのフロント2管は、モーダルな展開をやらせたら「無敵」。二人の「モード」の相性の良さがビンビンに伝わってくる極上のパフォーマンスに惚れ惚れする。
 
 

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2025年5月 7日 (水曜日)

1970年ジョーヘンの好ライヴ盤

1970年のジョー・ヘンダーソン(以下「ジョーヘン」)のライヴ盤。LPでの初出のタイトルが『If You're Not Part of the Solution, You're Part of the Problem』(写真左)、リイシュー時、曲順をちょっと変え、トラックを追加したCDのタイトルが『At The Lighthouse』(写真右)。

ちょっと紛らわしいのだが、どちらも、米国西海岸のロスアンゼルス近郊のハモサビーチにある有名ジャズ・カフェ「ライトハウス」でのライヴ録音になる。ここでは、LPでの初出時の収録曲を基に話を進めたい。

Joe Henderson Quintet『If You're Not Part of the Solution, You're Part of the Problem』(写真左)。1970年9月24–26日、米国L.A.、Hermosa Beachの「Lighthouse Café」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Joe Henderson (ts), Woody Shaw (flh, tp), George Cables (el-p), Ron McClure (b), Lenny White (ds), Tony Waters (congas)。テナーのジョーヘンがリーダーの、クインテット編成+コンガ。

1970年、ジャズは「大衆化」の波に取り残され、マニア化の一途を辿り出す。電気楽器を上手く活用したクロスオーバー・ジャズ〜ジャズ・ファンクがトレンド化した頃。このライヴ盤もその時代のジャズのトレンドにピッタリ合致した、電気楽器入り、電気楽器を有効活用した、モーダルなジャズが展開されている。

フロント2管を形成する、ジョーヘンのモーダルなウネウネ・テナー絶好調、ウディ・ショウのストレートで切れ味の良いモーダルなトランペット絶好調。そして、ジョージ・ケイブルスのモーダルなエレピ(フェンダー・ローズ)絶好調。1970年のジョーヘン・クインテットの好ライヴ盤である。
 

Joe-hendersonquintetif-youre-not-part-of

 
コンガ入りのリズム隊も絶好調。細かくリズムを刻むレニー・ホワイトのドラムが、ジョーヘンとショウのモーダルなパフォーマンスを効果的に鼓舞する。さすがライヴ盤で、ジョーヘンのモーダルなアドリブも、ショウのモーダルなアドリブも熱量があって、ダイナミック。ほんと、自然体のモード・ジャズといった体が実に良い。

選曲も良く、LP時代で考えると、LP収録の全5曲中(1曲は「Closing Theme」なので割愛)、ブルーノート時代の『Page One』から1曲、『Mode for Joe』から2曲、有名スタンダードから1曲、タイトルの自作曲1曲、を採り上げている。

半分の3曲がブルーノート時代のジョーヘン好盤の2枚から選曲されているところが良い。ジョーヘン=ショウのフロント2管による、モーダルで個性的な展開の良いところが、このライヴ盤に詰まっているから堪らない。

かなり重厚で自由に富んだモード・ジャズでありながら、どこか軽快で軽妙なところがあって、深刻にならないのだが、これは、ケイブルスのエレピの存在が、演奏全体に良い影響を与えているからだと思う。

フェンダー・ローズの響きはモーダルな演奏に「よく似合う」。モーダルなジャズの深刻さ・難解さを緩和する様なケイブルスのローズの響き、ジョーヘンのモーダルなウネウネ・テナー、ショウのストレートで切れ味の良いモーダルなトランペットとが融合して、このライヴ盤を好盤としている。
 
 

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2024年2月13日 (火曜日)

ショウの名盤『The Iron Men』

1970年代の純ジャズ・シーンに現れ出た、不世出の偉大なスタイリストであるショウ。彼のトランペットを初めて聴いたのは、1981年の初めだったと記憶する。ジャズを本格的に聴き始めて丸3年。何とか、ジャズの聴き方が判って、演奏のトレンドの特徴や演奏自体の良し悪しが判ってきた頃だった。

ウディ・ショウについては、我が国のジャズ評論の世界では、ハバードのコピーの様なトランペットを吹く、ハバードの後塵を拝するトランペッター、という触れ込みで、トランペッターとしての評価はイマイチだった様な記憶がある。

しかし、FMでショウのトランペットを初めて聴いて、どうも、ジャズ評論でのショウの評価は違う、と感じた。それまでに無い、新しい響き、新しいフレーズのモーダルな演奏。ハバードなど相手では無い。ショウのトランペットを凌駕するのはマイルスだけ、と何故か感じた。そのFMで流れていた演奏が収録されていたアルバムがこれ。

Woody Shaw & Anthony Braxton『The Iron Men』(写真左)。1977年4月6, 13日の録音。ちなみにパーソネルは、Woody Shaw (tp, flh), Anthony Braxton (as, ss, cl), Arthur Blythe (as), Muhal Richard Abrams (p), Cecil McBee (b), Joe Chambers, Victor Lewis (ds)。

フロントが、ショウのトランペット、ブラックストンとブライスが交代でサックスの「2管フロント」のクインテット編成の演奏。ジャケは「キワモノっぽい」が、内容は「幻の名盤」として超一級なもの。

このアルバムは録音〜リリースの背景が少しややこしい。まず、1977年4月の録音ながらお蔵入り。1981年1月になってリリースされている。そして、アルバム単体としては未CD化。CDとしては、2013年、モザイク・レコードからリリースされた『Woody Shaw: The Complete Muse Sessions』の一部として全曲収録されているが入手は困難。

現在、サブスク・サイトにも存在しない。辛うじて、Youtubeに「Full Album」としてアップロードされているのみ。いわゆる、現代の「幻の名盤」である。
 

Woody-shaw-anthony-braxtonthe-iron-men

 
僕が初めて聴いたのは、この『The Iron Men』だった。ジャケには「Woody Shaw & Anthony Braxton」として、ショウとブラックストンの共同リーダーのアルバム風だが、ブラックストンは、2曲目の「Jitterbug Waltz」でクラリネットを、3曲目の「Symmetry」でアルト・サックスを、5曲目の「Song of Songs」でソプラノ・サックスを吹いているのだが、アルバムの全6曲中3曲のみの参加。

1曲目の「Iron Man」と5曲目の「Song of Songs」では、アーサー・ブライスがアルト・サックスを吹いている。ちなみに、4曲目の「Diversion One」と、6曲目の「Diversion Two」では、ショウのフリューゲルホーン1管のカルテット編成での録音で、サックスは入っていない。曲毎に少しずつパーソネルが変わるので、しっかり聴いていないと、特にブラックストンとブライスのサックスの音を取り違える危険性がある。

さて、この『The Iron Men』、内容的には、一言で言うと「限りなく自由度の高いモーダルな演奏」と「温厚な限りなく調整に近いフリーな演奏」のハイブリットな演奏。「限りなく自由度の高いモーダルな演奏」をリードするのがショウ、「限りなく調性に近い無調性のフリーな演奏」をリードするのが、ブラックストン若しくはブライス。

素晴らしいなあ、と思うのは、ショウのトランペットが、そのどちらの演奏にも完全対応していること。ショウの十八番である「限りなく自由度の高いモーダルな演奏」に完全対応なのは当たり前として、「限りなく調性に近い無調性のフリーな演奏」に完全対応しているのが凄い。

ブラックストン、ブライスが叩き出すフリーなフレーズに対して、そのエッセンスを瞬時に掴んで、ショウならではのフリーなフレーズで応戦している。むっちゃスリリング。内容が濃いので、フリーな演奏とはいえ、決して耳障りではない。

この盤には「限りなく自由度の高いモーダルな演奏」と「限りなく調性に近い無調性のフリーな演奏」の、1970年代の最良な演奏の一つが記録されている。

Polygon(多角形)にスイングするモーダルなショウと、限りなく調性に近い無調性のフリーな演奏を具現化するブラックストン&ブライス。そして、そのフロント管をガッチリ支えるマクビーのベースとエイブラムスのピアノ、そして、チェンバース&ルイスのドラム。

1970年代も純ジャズは死なず、脈々と深化していたのだと再認識する。
 
 

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2024年2月12日 (月曜日)

ショウの優秀作『Rosewood』

ウディ・ショウ(Woody Shaw)のリーダー作を聴き直している。聴けば聴くほど、早くに亡くしたのは実に惜しいトランペッターだった。そんな気持ちがどんどん募ってくる。

ショウのトランペットは、1960年代の最先端のモード・ジャズを掘り下げて、新しい響きと新しいフレーズ展開を具現化したもの。今の耳で振り返ればそれが良く判る。明らか1960年代のモードには無いし、1980年代の純ジャズ復古以降、新伝承派のジャズマン達にも、ショウの響きは無かった。

Woody Shaw『Rosewood』(写真左)。1977年12月15–19日の録音。ちなみにパーソネルは、Woody Shaw (tp, flh), Carter Jefferson (ts, ss), Joe Henderson (ts), Frank Wess, Art Webb (fl), James Vass (ss, as), - Steve Turre, Janice Robinson (tb), Onaje Allan Gumbs (ac-p, el-p), Clint Houston (b), Victor Lewis (ds), Sammy Figueroa (congas), Armen Halburian (perc), Lois Colin (harp)。

この盤での一番の聴きどころは「ウディ・ショウ」。この盤では、ショウの「演奏、作曲、バンドリーダー」の力量を遺憾無く発揮した優秀作。切れ味の良いソリッドで柔軟なトランペットの響きが個性的。そして、収録曲の全てを自作曲で埋め尽くし、この自作曲の中で、ショウの個性を最大限にアピールする。

テクニックについては、当時の人気ナンバーワン・トランペッターだったハバードと比肩する高いレベル。その響きとテクニックで、それまでに無い、新しい響き、新しいフレーズのモーダルな演奏を繰り広げる。
 

Woody-shawrosewood

 
バックのメンバーについては、さすが、大手のCBSレコードでの録音で、純ジャズが一番苦しかった頃なので、新旧入り乱れたパーソネルではあるが「豪華絢爛」。ショウの新しい響き、新しいフレーズのモーダルな演奏にしっかりと追従し、しっかりとバッキングしている。

フロント楽器に同じ管楽器、テナー、アルト、トロンボーン、フルートなどを配しているが、前面に目立って出てくるのは、ショウのトランペット。1970年代の純ジャズ・シーンに現れ出た、不世出の偉大なスタイリストであるショウ。そんなショウの個性と特質が、この盤にぎっしりと詰まっている。

この盤で、ショウの「新しい響きのモーダルなジャズ」のイメージが固まった感がある。1960年代、決定打を欠いて、次世代に影響を与えるスタイリストになり切れなかったハバードを越え、次世代のジャズ・トランペッターに強い影響を与えたスタイリスト、ウディ・ショウの「基本」がこの盤に確実に存在している。

我が国では、何故かハバードがもてはやされ、ショウはハバードの後塵を拝する存在とされたが、それは間違いなことがこの盤を聴けば判る。ショウのモード・トランペットはハバードの後継では無い。ショウのモード・トランペットは、マイルスのモード・トランペットの延長線上、発展した先にあると僕は思う。

この盤を聴いていて、ショウは絶対に再評価されるべきスタイリストだ、ということを改めて強く思った。これからしっかりとショウのリーダー作を、今一度、聴き直してみたい。
 
 

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2021年1月24日 (日曜日)

こんなアルバムあったんや・136

このところ、ちょくちょくと、魅力的なリイシューが続いている。廃盤になって久しい好盤が、ネット時代の効果かもしれないが、全く知らないレーベルからリイシューされるのだ。それもCDショップなどを経由せず、ダイレクトにネット経由で入手出来る。21世紀に入った頃、ジャズの世界にもこんな「ネット時代」が来るなんて思いもしなかった。

Neil Swainson Quintet『49th Parallel』(写真左)。1988年の作品。ちなみにパーソネルは、Neil Swainson (b), Gary Williamson (p), Jerry Fuller (ds), Woody Shaw (tp), Joe Henderson (ts)。

実力派ベーシスト、ニール・スウェインソンの初リーダー作。ウッディ・ショウのトランペット、ジョー・ヘンダーソンのテナーのフロント2管のクインテット構成。1988年の作品だから、純ジャズ復古後の録音になる。

リーダーの「ニール・スウェインソン」は、カナダのブリティッシュ・コロンビア州生まれ。70年代終わりにトロントに移住し、ョージ・シアリングのバッキング・ベーシストとして名をあげ、数々のレジェンドと共演、ダイアナ・クラール、ナンシー・ウィルソン、メル・トーメといったシンガーのバックも務めた実力派ベーシストだそう。僕は知らなかった。1955年生まれなので、現在65歳の大ベテラン。
 
 
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この盤、もともとは1988年にConcordからリリースされたものの廃盤になって久しく、「幻の名盤」化していた音源とのこと。この盤を聴き通して感じるのだが、さすが、ウッディ・ショウのトランペット、ジョー・ヘンダーソンのテナーのフロント2管のパフォーマンスが群を抜いている。「幻の名盤」化していた音源、というのも納得の一枚である。

ウッディ・ショウにとって、スタジオ録音のパフォーマンスとしては最後期に位置づけられるもので、これがなかなか素晴らしい。この盤でのウッディ・ショウの演奏はとりわけブリリアントで、鋭いハイノートも難なく吹きこなしている。特にモーダルなフレーズは、ジョーヘンと共に、硬軟自在、緩急自在な骨太でダイナミックな展開が見事。

バックのリズム・セクションは、リーダーのスウェインソンのベースを含め、カナダ人の面々であるが,演奏自体は堅実。しっかりと「重量級の」フロント2人をサポートしている。

この盤、1988年にConcordからリリースされた時(写真右)も、今回のリリース時(写真左)もジャケット・デザインがイマイチなので、パッと見、この盤、内容的に大丈夫なのか、と思うのだが「大丈夫です」。
 
 
 

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  ・The Band『Stage Fright』

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  ・僕達は「タツロー」を聴き込んだ

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2020年11月25日 (水曜日)

ショウは単純に「格好良い」

ウッディ・ショウのトランペットが良い。この2〜3ヶ月前からショウのリーダー作を聴き直しているんだが、やっぱり、ショウのトランペットは良い。歴代のジャズ・トランペッターの序列にしっかり入るべきトランペッターなのだが、何故か我が国では人気が無い。というか、評論家やジャズ雑誌からの人気が無い、と言った方が良いかな。一般のジャズ者の方々の中には「ショウ者」が結構いる、のが最近判ってきた。

Woody Shaw Quintet『At Onkel PÖ's Carnegie Hall Hamburg, 1979』(写真左)。1979年7月7日、独ハンブルグのOnkel Po's Carnegie Hall でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Woody Shaw (tp, flh), Carter Jefferson (ss, ts), Onaje Allan Gumbs (p), Stafford James (b), Victor Lewis (ds)。フロント2管のクインテット構成。

1979年夏に行ったヨーロッパ・ツアー中、7月にハンブルクのクラブ「Onkel Pö’s Carnegie Hall」で演奏した模様を収めたCD2枚組。一部に音の乱れはあるものの、発掘音源にしては全体的に音は良い。ヴァイタルで、切れ味良く、ブリリアントなショウのトランペットが心ゆくまで楽しめる貴重なライヴ盤。とにかく、全編に渡って、ショウのトランペットがキレッキレである。
 
 
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ライヴ録音なので、ショウのトランペットの個性がとても良く判るのだが、当時、我が国のジャズ雑誌とかで評論家の方々から言われていた「フレディ・ハバードと似ている」については、全くそうでは無いことが、このライヴ盤を聴いて良く判る。ハバードよりヴァイタルでタフで、メインストリーム志向。アドリブ・フレーズのモーダル度とバリエーションはショウに軍配が上がる。そして、ショウのトランペットは単純に「格好良い」。

サイドマンの面々も良い。1977年にショウのグループへ加わったサックスのジェファーソンは充実のサックスを聴かせてくれる。ショウとの相性はバッチリだ。1976年春からショウと行動を共にしているベース奏者ジェームスは堅実なベース・ラインでフロントのパフォーマンスをしっかりと支えている。ピアニストのガムズも一生懸命で大健闘、ドラムのルイスが、ライヴが故、拡散気味のバンド全体のビートをしっかりと押さえ込んでいる。

1979年のライヴなので、時代はフュージョン・ジャズの流行のピーク。そんな時代にこんなバリバリ、メインストリーム志向の純ジャズなトランペットはウケなかったのだろうか。お蔵入りする内容では無いライヴ音源で、今回のリリースについては「拍手喝采」。ショウのトランペットの優れた個性を再認識できる内容で、ショウ者のみならず、ジャズ・トランペットのファンの方々には必聴盤でしょう。好盤です。
 
 
 

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 ★ AORの風に吹かれて        【更新しました】 2020.10.07 更新。

  ・『Middle Man』 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【更新しました】 2020.10.07 更新。

  ・The Band の「最高傑作」盤

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  ・僕達はタツローの源へ遡った

 

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2020年4月 2日 (木曜日)

ショウのトランペットの再評価

ウッディ・ショウをしっかりと聴き直したくなった。ウッディ・ショウは、1970年代に、メインストリーム・ジャズのトランペッターとして頭角を現し、1980年代の純ジャズ復古の先鞭を付け、その純ジャズ復古の流行に乗って人気ジャズマンになろうとしたところ、1989年2月、ブルックリンで地下鉄のホームから転落し左腕を切断。その後の快方に向かうこと無く、同年5月に逝去している。

彼は、1970年代、ジャズ・ロックやフュージョン・ジャズなど、ポップなジャズに走ること無く、メインストリーム・ジャズを貫き、伝統的なモーダルなハードバップ基調のリーダー作を数多く残した。しかし、1970年代はフュージョン・ジャズ全盛の時代、やや難解で硬派なショウのトランペットはマイナーな存在に甘んじている。加えて、我が国では全く人気が無く、フレディ・ハバードのコピーなどと揶揄された。

Woody Shaw『Little Red's Fantasy』(写真)。1976年6月29日の録音。ちなみにパーソネルは、Woody Shaw (tp), Frank Strozier (as), Ronnie Mathews (p), Stafford James (b), Eddie Moore (ds)。ショウのトランペット、ストロージャーのアルト・サックスのフロント2管のクインテット構成。ジャズ・メッセンジャーズにも参加していた、純ジャズ系ピアニスト、ロニー・マシューズのトリオがリズム・セクションを司っている。
 

Little-reds-fantasy
 
 
自己のオリジナル曲で固めた当アルバムは、のびのびの気合いの入ったショウのトランペットが心ゆくまで堪能出来る。ハイトーンもバッチリ、高テクニックに裏打ちされた、変幻自在、緩急自在なプレイは聴き応え十分。「フレディ・ハバード」のコピーなんて揶揄されたがとんでもない。ハバードの様に目立とう精神は無く、バンド演奏の中で、バランスをしっかりと意識した、速いフレーズの中でもしっかりと感じることの出来る「余裕ある、節度ある」吹き回しが個性的。

モーダルなアドリブ・フレーズもイマージネーション豊かで破綻が無い。機械的では無く、人間的温もりが感じられるテクニカルなフレーズ。このショウが、当時、評価されなかったのが全く意外である。フロントの相棒、ストロージャーのアルト・サックスも好調、このストロージャーとの相性も良く、相当にレベルの高い、適度なテンションが心地良い、当時、最先端のモード・ジャズが展開されている。

テクニックはもちろん、そのブラスの響き、トラペットの音色も良く、何よりハードボイルドな吹き回し。アドリブ・フレーズのイマージネーションとバリエーションが豊かなので、決してマンネリに陥ることは無い。今回、ショウのリーダー作を聴き直して、改めて、ショウのトランペットの凄さを再認識した。ウッディ・ショウのトランペットは再評価に値する。
 
 
 

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【更新しました】2020.03.29
  ★ まだまだロックキッズ ・・・・ ELP「恐怖の頭脳改革」である

【更新しました】2020.04.01
  ★ 青春のかけら達 ・・・・ チューリップのセカンド盤の個性

 

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2019年8月23日 (金曜日)

4300番台の発掘リリース盤・3

この盤のジャケット・デザインを見れば、この盤がリリースされた1970年のジャズのトレンド、ソウル・ジャズやフラワー・ムーブメントをベースとしたサイケデリック・ジャズをベースとした内容ではないか、と想像する。しかし、いかに前進する改革精神旺盛なジャキー・マクリーンでも、まさか純ジャズを捨てて、売らんが為のトレンドの追求に走るかなあ、とも思う訳だ。

その盤とは、Jackie Mclean『Demon's Dance』(写真左)。BNの4345番。1967年12月22日の録音。ちなみにパーソネルは、Jackie McLean (as), Woody Shaw (tp, flh), LaMont Johnson (p), Scotty Holt (b), Jack DeJohnette (ds)。フランシス・ウルフのプロデュース。まだ、ブルーノート・レーベルらしさが残っている時代の録音である。
 
この盤、我が国のジャズ盤紹介本やジャズ雑誌で採り上げられることが多い盤で、このジャケット・デザインから、ソウル・ジャズやフラワー・ムーブメントをベースとしたサイケデリック・ジャズを想起してしまい、なんでジャズ入門盤として相応しいか、よく理解出来ない時代が続いた。が、1990年代、紙ジャケ再発されて、やっと入手し、この盤を聴いて「あれ、これってモード・ジャズやん」と思った次第。
 
 
Demons-dance  
 
 
慌てて録音年月日を確認したら1967年とある。発売が1970年、しかもこのジャケット・デザイン。何故、内容的には硬派なモード・ジャズなのに、このサイケデリックなジャケット・デザインになるのか。やはり、ブルーノート・レーベルの4300番台は理解に苦しむ盤が多い。しかし、確かにこの盤に録音されている音は、内容のある「新主流派の音=モーダルなジャズ」である。
 
パーソネルを見渡せば、トランペットのウッディ・ショウ、ドラムのジャック・ディジョネットが興味深い。どちらもほぼ完璧にモード・ジャズを演っている。特にディジョネットのドラミングは今の耳にも新しく響く。で、リーダーのマクリーンは、と聴けば、これもまたほぼ完璧にモード・ジャズを演っている。そう、このおどろおどろしい、サイケなジャケット盤、実はモード・ジャズの成熟した演奏を聴かせてくれる好盤なのだ。
 
年長のマクリーンが、ほぼ一回りも若い若手と組んで、年長のマクリーン自身が、モーダルでちょっとアバンギャルドな「新主流派ジャズ」の音世界を吹きまくるのに刺激されて、若手の他のメンバーが溌剌とした演奏を繰り広げる。モード・ジャズの成熟した演奏を楽しむ事の出来る好盤。モード・ジャズって何?、の答えにもなる様な、モード・ジャズのお手本の様な好盤でもある。
 
 
 
東日本大震災から8年5ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
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2019年7月14日 (日曜日)

ショウの素晴らしい未発表音源

我が国においてのジャズ盤の評価は絶対では無い。それは米国でも欧州のジャズ先進国でも言えることで、それぞれの国で好みが大きく分かれるジャズメンがいる。米国で評価の高いジャズメンが日本ではそれでも無かったり、日本で評価が高いのに欧州ではそうでも無かったり、国によって、リージョンによって好みが分かれることがある。

例えば「Woody Shaw(ウッディ・ショウ)」。ハード・バップからアバンギャルドまで一歩進んだ演奏スタイルで、1960年代後半以降から70年代にかけてフレディ・ハバードと並ぶ実力派のトランペッターとして注目された。ところが日本ではショウの人気はイマイチだった。ハバードの後に出てきたトランペットのテクニシャンだったからかなあ。ハバードの二番煎じという評価だったとしたら、それは違うだろう。

Woody Shaw『Basel 1980』(写真左)。ウディ・ショウの未発表演奏集。1980年1月、スイスのベイゼルと、ボーナストラックの1曲だけ、1981年6月、オーストリアのルステナウでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Woody Shaw (tp, flh), Carter Jefferson (ts, ss), Larry Willis (p), Stafford James (b), Victor Lewis (ds)。サックスのカーター・ジェファーソンとショウは、70年代前半にアート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズで同僚だった間柄。
 
 
Live-at-vasel
 
 
未発表音源だといって侮ってはならない。冒頭の「Invitation」から、テクニック抜群、歌心抜群、緩急自在、変幻自在のトラペットが鳴り響く。この「Invitation」という曲、曲が長く、同じコードが続いたり、転調が多かったりの難曲である。この難曲をいとも容易く、吹き上げていくショウのトランペット。誤解を恐れず言うと、ハバードの先進性はハードバップ寄り、ショウの先進性はニュー・ジャズ寄り。ショウのトランペットの方が先を行っていた、と感じている。
 
Disc2の1曲目「Love Dance」と2曲目の「‘Round Midnight」も白眉の出来。ショウの凄さはスローテンポの吹きっぷりにある。スローテンポなフレーズの中に漲る異様なテンションと、テクニックの高い者だけが出来る安定のブレの無い流麗なフレーズの吹き回し。収録されたどの曲でも聴くことが出来るが、過去のどの演奏にも聴くことが出来ないショウの独創的なフレーズ。 
 
以前から、我が国でのショウの評価の低さが理解出来なかった。活躍を始めた時代が1970年代という、米国&日本で純ジャズの影が薄かった時代であったこと、ショウが「充実の中堅」の領域の入りつつあった、純ジャズ復古の成った1980年代の終わり、1989年にこの世を去ったこと。この2点が、我が国でのショウの適正な評価を阻害したのかもしれない。ショウのリーダー作を聴き直せば良く判る。ショウのトランペットは素晴らしい。
 
 
 
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2018年12月27日 (木曜日)

ショウのトランペットが実に良い

今年のレジェンド・クラスの成果は「ウディ・ショウ(Woody Shaw)」。僕は1970年代後半からジャズを聴き始めたのだが、ウディ・ショウの名前をジャズ盤紹介本やジャズ雑誌で見ることは少なかった。その名前に触れた時は彼の評価は芳しく無く、フレディ・ハバードのコピー的存在という評価を鵜呑みにして、ショウのアルバムは手にすることは無かった。

そして、つい最近まで、ショウのアルバムをしっかりと聴き込むことは無かった。が、今年は聴いた。やっとウディ・ショウのアルバムを4〜5枚、しっかりと聴いた。で、感じたのが「誰がフレディ・ハバードのコピー的存在」などという間違った印象を広めたのか、ということ。まず一言、ウディ・ショウはフレディ・ハバードのコピー的存在では全く無い。全く「似て非なるもの」である。

『Woody Shaw With Tone Jansa Quartet』(写真左)。1985年4月3日、オランダでの録音。ちなみにパーソネルは、Woody Shaw (tp, flh), Tone Janša (ts, ss, fl), Renato Chicco (p), Peter Herbert (b), Dragan Gajić (ds)。ショウ以外、全く知らない名前が並ぶが、それもそのはず、当地のカルテットとの共演盤である。
 

Woody_shaw_with_tone_jansa

 
1985年の演奏。端正でモーダルなハードバップ。ショウのトランペットは流麗に唄う。テクニックも高度、イマージネーションは豊か。理知的なアドリブ・フレーズが実に良い。硬軟自在、遅速自在、自由度の高い、内容の濃いモード・ジャズが展開されている。とにかく、ハバードよりも端正で理知的なショウのトランペットが素晴らしい。

バックのオランダ隊も大健闘。トーン・ヤンシャのテナー・サックスが素晴らしい。ショウのトランペットを向こうに回して、対等に吹きまくる。レナート・キッコのピアノをベースとしたリズム・セクションも好調。まるでレギュラー・グループであるかのような、息の合ったアンサンブルとバンド全体の疾走感が素晴らしい。

1985年のヨーロッパツアーの途中オランダでサックス奏者トーン・ヤンシャのグループに客演した時の記録。この盤での演奏を聴いて、ウディ・ショウのトラペットの素晴らしさを実感した。なぜ我が国ではショウは不当な評価に甘んじることになったのか、残念でならない。しかし、音の記録は嘘をつかない。この盤に記録された演奏は、ショウの実力の高さをストレートに教えてくれる。
 
 
 
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