グリーンのギターに惚れ惚れ
Grant Green(グラント・グリーン)。この人のギターは癖になる。ファンキーなジャズ好きなら絶対に填まる。パッキパキ硬質なピッキング。訥々と流麗なフレーズから溢れ出る「こってこてなファンクネス」。ファンキーでありながら、俗っぽさとは全く無縁のストイックな響き。シンプルな一本弾きでグイグイ出てくる「ノリの良さ」。
ブルージーでアーバンでムーディーな音が主流のジャズ・ギターの中で、グラント・グリーンのギターは個性が際立っている。従来のジャズ・ギターとは明らかに一線を画する、ファンキーでソウルフルなギター。後のクロスオーバー&フュージョン・ジャズのエレギに通じる様な、ポジティヴでアグレッシヴな弾きっぷり。唯一無二の個性派ギタリストである。
Grant Green『Grantstand』(写真左)。1961年8月1日の録音。ちなみにパーソネルは、Grant Green (g), Yusef Lateef (ts, fl), Brother Jack McDuff (org), Al Harewood (ds), Ben Tucker (b)。ギターのグラント・グリーンをリーダーに、ユセフ・ラティーフのテナーがフロント1管の、ピアノの代わりにオルガンが入ったクインテット編成。
ファンキーなギターにはオルガンの音が良く似合う。この盤を聴く度にそう思う。グラント・グリーンのギターはシングルトーンで、ややもすれば、旋律弾きの線が細くなる傾向にあるところを、今回はテナー・サックスを旋律楽器のお供に採用して、きっちりカヴァーしている。が、グラント・グリーンは、そんなテナーの存在など関係無しに、自分の個性的なギターをパッキパキと弾き上げている。グラント・グリーンのギターは、良い意味で「唯我独尊」である。
ただこの盤でのテナーが、当時、新進気鋭のラティーフで、ラティーフ独特の個性的な「こじらせテナー」を吹いているので、グラント・グリーンのギターの個性にフィットしていたかどうかは、ちょっと疑問ではある。ラティーフのテナーが、伝統のジャズからちょっとはみ出した、独特な個性的テナーであるが故、ラティーフのテナーの存在が演奏全体の中で浮き気味なのが惜しい。
「シンプル・イズ・ベスト」という形容がピッタリのグリーンのパフォーマンス。変に装飾を加えず、フレーズの引用も控えて、独特のシングルトーンで、パッキパキ硬派で、こってこてファンキーなギターだけを弾きまくる。グリーンとマクダフが、どこか和みながら、楽器を通じて語り合うようなフレーズの交歓を聴いていると、思わず「ジャズってええなあ」と思ってしまう。
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