2023年12月13日 (水曜日)

『Basie On The Beatles』です

久しぶりにビートル・ジャズを聴いている。もともと、ジャズって、その時代時代の流行の音楽に敏感で、流行の音楽のエッセンスを取り込んだり、ヒット曲のカヴァーが大得意。例えば、最大の好例が「ボサノバ・ジャズ」。そのほか、サンバ、ラテンはしっかりジャズに融合しているし、ロックが台頭して以降、ジャズとロックの融合でクロスオーヴァー・ジャズが誕生した。

ビートルズについては、米国に上陸後、ジャズを流行ポップスの座から引きずり下ろし、ロックの台頭の引き金になったスーパースター集団。出す曲、出すアルバムは空前の大ヒット。しかし、ジャズ界はこぞってビートルズ曲のカヴァーに取り組んだ。そして、そのトレンドは現在まで続いている。ビートルズ曲って、意外とジャズにアレンジし甲斐のある楽曲が多いみたいなんですよね。

Count Basie & His Orchestra『Basie On The Beatles』(写真左)。1969年12月15日の録音。1970年のリリース。カウント・ベイシー楽団のビートルズ曲のカヴァー集の第二弾。この盤については、ビートルズ後期の名曲をメインに選曲されている。第一弾『Basie's Beatle Bag』(2016年11月27日のブログ参照)は、ビートルズ前期の名曲をメインの選曲だったから、第二弾の選曲はなかなか考えた選曲。
 

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今回もアレンジの妙が光る。というか、どこから聴いても、カウント・ベイシー楽団の音を前提としたアレンジで、演奏の雰囲気は、どこから聴いても、カウント・ベイシー楽団の演奏になっているから不思議といえば不思議。ビッグバンドの音の重なり、音の響き、アドリブ展開のフレーズ。どれをとっても「カウント・ベイシー楽団の色」が濃厚。これがなかなかに「聴きもの」なのだ。

基本はロックのビート。ハロルド・ジョーンズの軽快にスイングするドラミングが肝。ビッグバンドのビートルズ曲のカヴァーなので、スイング、そして、縦ノリ、疾走感が前提のアレンジになるので、ラストの「Yesterday」など、カウント・ベイシー楽団ならではの、パンチの効いた、スピード感溢れる縦ノリ、スインギーな演奏は「いかにも」という感じ。その他、ビートルズ後期のジャズのカヴァーの定番曲の演奏がズラリと並ぶ。

1969年のカウント・ベイシー楽団の音ゆえ、今の耳には古く聴こえるか、と思ったが、聴いてみて意外と古さは感じない。普遍的なカウント・ベイシー楽団の音が濃厚がゆえ、だろう。カウント・ベイシー楽団らしい「ビートルズ曲のカヴァー集」。ビッグバンドにおける優れた「ビートルズ曲のカヴァー集」の一枚と評価しても良い内容である。
 
 

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2022年3月19日 (土曜日)

ベイシーのジャム・セッション盤

何故だか判らないのだが、パブロ・レーベルのカタログを見渡していると、モントルー・ジャズ・フェスティヴァルのライヴ音源が結構あって、それも、1975年と1977年に集中している。何かモントルー・ジャズ・フェスとパブロ・レーベルの間に、ライヴ・レコーディングの専属契約でもあったのだろうか。どのライヴ盤も充実した内容で、録音状態もとても良いばかりである。

このライヴ盤を聴かない手は無い。それぞれのライヴ盤の内容を見ても、パーソネルはそれぞれ、ベテラン〜中堅の一流ジャズマンで固められ、モントルー・ジャズ・フェスという伝統的な、由緒正しきジャズ・フェスでのライブ演奏なので、内容的にも、伝統的なスイング〜ハードバップな演奏がメインで、それぞれが充実したものばかり。

『Count Basie Jam Session At the Montreux Jazz Festival 1975』(写真)。1975年7月19日、スイスはモントルーのジャズ・フェスティヴァルでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Count Basie (p), Roy Eldridge (tp), Johnny Griffin (ts), Milt Jackson (vib), Niels-Henning Ørsted Pedersen (b), Louis Bellson (ds)。伝説のジャズバンドの総帥、カウント・ベイシーがピアノを担当、エルトリッジのトランペットとグリフィンのテナー、ミルトのヴァイブがフロントを張るセクステット編成(6重奏団)。
 

Count-basie-jam-session-at-the-montreux-

 
1975年時点での、このパーソネルを見れば、このライヴ演奏には絶対に触手が伸びる。ベイシーがビッグバンドを離れて「ピアニスト」として参加、スイング時代からの人気トランペットである、エルトリッジがフロントを担当、同じくスイング時代からの人気ドラマー、ルイ・ベルソンがドラムを担当していること、そして、このスイング時代からの人気ベテラン・ジャズメン達が、ハードバップの中核を担うメンバーと合流して、思いっ切りハードバップなジャム・セッションを繰り広げているのだ。

メンバー全員ノリノリのジャムセッションが繰り広げられる。収録曲はパーカー作の「Billie's Bounce」、メンバー全員の即席ナンバー「Festival Blues」、そして、レスター・ヤング作の「Lester Leaps In」の、たった3曲だが、どの曲も10分以上の長い収録時間の演奏で、メンバーそれぞれの長尺のアドリブ演奏心ゆくまで堪能できる。

破綻が全く無く、テクニックにも優れた「ハードバップなジャム・セッション」が繰り広げられていて、爽快ですらある。ミルト・ジャクソンのヴァイブがこれほどまで、ジャム・セッションに適応するとは思わなかったし、ベイシーのピアノがハードバップ演奏のリズム・セクションの一端を担うなんてことも思いもしなかった。しかし、メンバー6人とも好調な演奏で、ハードバップなジャム・セッションを心から楽しんでいる雰囲気がビンビンに伝わってくる。
 
 

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2021年10月11日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・221

1970年代に、メインストリームな純ジャズのアルバムをリリースした人気の「パブロ・レーベル」。ベテラン・ジャズマンを中心に起用していたので、口の悪いジャズ者の方々からは「昔の名前で出ています的な、懐メロ・ジャズ」と揶揄されていたが、どうもそれは「偏った」評価だったようである。

Count Basie & Big Joe Turner『The Bosses』(写真左)。1973年の作品。ちなみにパーソネルは、Big Joe Turner (vo), Count Basie (p, org), Ray Brown (b), Louie Bellson (ds), Irving Ashby (g), Eddie "Lockjaw" Davis, Zoot Sims (ts), J.J. Johnson (tb), Harry "Sweets" Edison (tp)。

フロントが4管にギター入り、老舗ビッグバンドの総帥、カウント・ベイシーのリズム・セクションのセプテット編成。この渋くて豪華なセプテットをバックに、米国カンサスシティ出身のブルース・シンガー、ビッグ・ジョー・ターナー(写真右)が、とことんブルージーな歌唱を披露する。カウント・ベイシーとビッグ・ジョー・ターナーがカンサスシティ出身繋がりでのこのセッションだと思うが、この組合せ、パブロ・レーベルならでは、である。
 

The-bosses-basie-turner

 
ビッグ・ジョー・ターナーは1911年生まれだから、この盤の録音時は62歳、カウント・ベイシーは1904年生まれなので、この盤の録音時は69歳。両者とも豊富な実績を誇るレジェンド級の大ベテラン。この盤でも、余裕と個性が溢れんばかりのセッションを繰り広げている。ブルースとジャズのコラボは「ありそうで余り無い」。ブルース好きのジャズ者には堪らない雰囲気であり、音世界である。

ビッグ・ジョー・ターナーのパワフルなシャウトスタイルは「ボス・オブ・ブルース」とと呼ばれるだけあって、堂々とした、風格あるブルースを聴かせてくれる。カウント・ベイシーのピアノはシンプル。シンプルだが間の取り方とフレーズの流し方が絶妙で、聴いていて「なんて伴奏上手なピアノなんだ」と感心してしまう。フロント4管はハードバップ期からのベテラン名手ばかりで、良い感じのユニゾン&ハーモニーを聴かせてくれる。

ブルースとジャズのコラボなので、そのアーバンなブルース感とジャジーなスイング感は半端無い。リズム・セクションが「ジャズ」で、ボーカルが「ブルース」なので、ブルース感覚が限りなく濃厚なメインストリーム・ジャズという趣きがとても良い。聴いていて、ブルース好きにとって、とても楽しい雰囲気が満ちてくる。ほとんど紹介されることの無い盤であるが、この盤、ブルースとジャズの「融合盤」として、十分に評価出来る内容である。
 
 
 
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2021年9月 2日 (木曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・93

昨日も書いたが、パブロ・レーベルには、ハードバップ時代には無かった編成やメンバーのカップリングが多数ある。加わて、この人がこんな編成の演奏するの、とビックリする企画ものもある。昨日のデューク・エリントンのピアニストとしての個性に焦点を当てたアルバムもそのひとつ。で、今日は「カウント・ベイシー」である。

The Count Basie Trio『For the First Time』(写真)。1974年5月22日の録音。ちなみにパーソネルは、Count Basie (p), Ray Brown (b), Louie Bellson (ds)。パーソネルをよくよく見れば、昨日のデューク・エリントンのピアノ・トリオ+ギターのベースとドラムがそのままスライドして採用されている。パブロの総帥プロデューサーのノーマン・グランツのプロデュースの観点が何となく見て取れる。

カウント・ベイシーは、ご存じ、伝説のビッグバンド「カウント・ベイシー楽団」の総帥リーダー。ダイナミックで分厚いアンサンブルが身上のビッグバンドだが、このビッグバンドのリーダーのカウント・ベイシーのピアノが、音数の少ない、間を最大限に活かした、まるで「侘び寂び」を反映した様な、ビッグバンドの音は正反対の音世界になっているのだから、ジャズは面白い。
 

For-the-first-time

 
本当に音数の少ないピアノである。間を最大限活かしているが、大丈夫か、と心配になるくらいに音数が少ないフレーズが出てくる。そのフレーズは「スイング」が基調。独特なスイング感とリズム感は、カウント・ベイシーのワン・アンド・オンリーなもの。これだけ音数の少ないピアノは他に無い。マイルスがその音数の少なさとクールな使い回しで着目した「アーマッド・ジャマル」よりも音数が少ないから凄い。

そして、ベイシーのオルガンがクールで粋。ファッツ・ウォーラーに教わったというスタイルらしいのだが、ロングトーンを活かした、ディープで、ブルージーな雰囲気を増幅して聴かせるスタイル。実に味わい深く、従来のジャズ・オルガンとは全く違うスタイルで最初は戸惑うが、何回も聴き重ねるにうちに、その味わいがジンワリと染みてきて癖になる。

録音年の1974年と言えば、ジャズの世界ではフュージョン全盛期に向かう頃。そんな電気楽器&8ビートなジャズが台頭する中、こんなに玄人好みの渋いピアノ・トリオがリリースされていたことに、パブロ・レーベルの企画力と懐の深さ、そして、メインストリームなジャズ・レーベルとしての矜持をビンビンに感じる。ピアノ・トリオの隠れ名盤だと思います。
 
 
 
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2020年6月28日 (日曜日)

カウント・ベイシー楽団の入門盤

今年の梅雨は実にメリハリが効いている。降る時は思い切り降る。しかも、ドンヨリ曇り空が結構続く。これがまた鬱陶しい。これだけドンヨリした空模様が続くと気が滅入ってくる。爽快な、スピード感のある、切れ味のある、音圧豊かなジャズが聴きたくなる。そうだ、ビッグバンド・ジャズだ。梅雨の鬱陶しい気分を一掃するには、ビッグバンド・ジャズが良い。

Count Basie & His Orchestra『Basie Straight Ahead』(写真左)。1968年9月mハリウッドのTTG Studiosでの録音。EMI傘下のドットレーベル(パラマウント・レコード)からのリリース。非常に溌剌とした、明るいメリハリの効いたアレンジで統一されている。ベイシー楽団のアルバムの中でも、健康的な明るいビッグバンド・ジャズを聴くことが出来る好盤である。

僕はビッグバンド・ジャズが得意な方では無い。特に、ビッグバンド・ジャズと言えば、デューク・エリントン楽団かカウント・ベイシー楽団か、どちらかである。この双璧の楽団の音を聴きこまない限り、ビッグバンド・ジャズは理解出来ない、ということは判っていた。が、最初にお気に入りになったビッグバンドは「Gil Evans & Monday Night Orchestra」と「Toshiko Akiyoshi - Lew Tabackin Big Band」だったので、どうにも「劣等感」が拭えない。
 
 
Basie-straight-ahead  
 
 
それでも、21世紀になって、デューク・エリントン楽団、カウント・ベイシー楽団のアルバムも聴く様になり、やっとビッグバンドが判り出した。そんな中で、まずはカウント・ベイシー楽団の音に傾注した。そして、この盤『Basie Straight Ahead』が一番のお気に入り盤になった。とにかく明るくて判り易い。ノリも良いし、それぞれのソロも輝いている。

カウント・ベイシー楽団の個性である「パンチ力」が溢れんばかりである。加えて、それまでのベイシー楽団のもう一つの個性であった「野放図で豪快なスイング」が「端正で豪快なスイング」に変化している。パンチ力やスイング感は強烈だが、耳につかない。良い音、頃合いの良い刺激として耳に届く。音の重ね方と楽器の鳴らし方が理想的、かつ「野放図から端正」へのアレンジの変化が有効なのだろう。

この盤より「サミー・ネスティコ」が本格的にベイシー楽団に関わり、本盤では全曲の作編曲と指揮をネスティコが務めている。このネスティコの関与がベイシー楽団の音にポジティヴな変化を与えている。「バランス良く繊細かつ骨太」、そんな雰囲気が濃厚なベイシー盤である。とても聴き易いビッグバンド盤で、ビッグバンド・ジャズの入門盤としてもお勧めです。
 
 
 

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  ・『You’re Only Lonely』 1979

 ★ まだまだロックキッズ     【更新しました】 2020.06.28 更新。

  ・Zep『永遠の詩 (狂熱のライヴ)』

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  ・太田裕美『手作りの画集』

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2019年10月28日 (月曜日)

ベイシー楽団の懐の深さを感じる

カウント・ベイシー楽団と言えば、この盤も良い。実は、ジャズを聴き始めて1年位経った頃、ビッグバンドも聴かないとなあ、というノリで、この盤を手に入れた。原子爆弾のキノコ雲のジャケットがなんとも無神経ではあったが、それが米国である。仕方が無い。しかし、である。僕は当時、この盤の良さがさっぱり判らなかった。

Count Basie and His Orchestra『The Atomic Mr. Basie』(写真左)。1957年10月の録音。ちなみにパーソネルは、Count Basie (p), Freddie Green (g), Eddie Jones (b), Sonny Payne (ds), Snooky Young, Thad Jones, Wendell Cully, Joe Newman (tp),Al Grey, Henry Coker, Benny Powell (tb), Frank Foster, Eddie "Lockjaw" Davis (ts), Marshal Royal, Frank Wess (as), Charlie Fawlkes (bs), Joe Williams (vo)。

錚々たるメンバー。これだけのメンバーである。出てくる音は凄い。カウント・ベイシー楽団の一番良いところがギッシリと詰まった盤である。でも、この盤の良さが判る様になったのは、ジャズを聴き始めてから20年くらい経った頃である。買ったばかりの頃、ジャズを聴き始めて1年位経った頃、録音の古さと当時のステレオセットのチープさが相まって、モコモコで薄いビッグバンドの音に思いっ切り落胆したことを覚えている。
 

The-atomic-mr-basie

 
やはり、ビッグバンドは「そこそこ〜まあまあ」以上のステレオセットで、「そこそこ〜まあまあ」以上の音量で聴くべきである。冒頭の「Kid from Red Bank」のダイナミズム。バンド全体を支配する「圧倒的なスイング感と躍動的なグルーヴ感」。パンチのあるフロント管のユニゾン&ハーモニー。切れ味良く重心の低い、タイトなリズム・セクション。

2曲目の「Duet」のゆったりしたユーモラスなビッグバンドの「掛け合い」。3曲目の「After Supper」での、ベイシーの単音のシンプルなピアノ、そして繊細なビッグバンドのフレーズ。この盤では、カウント・ベイシー楽団の「圧倒的なスイング感と躍動的なグルーヴ感」だけではない、繊細な表現やユーモラスな表現も織り交ぜて、ビッグバンドの最高峰の演奏を聴かせてくれる。

様々なニュアンス、様々な音の楽曲がズラッと並んでいて、聴いていて全く飽きが来ない。何回、聴き直しても全く飽きが来ない。この盤を繰り返し聴くにつけ、カウント・ベイシー楽団の懐の深さ、演奏のバリエーションの裾野の広さを強く感じる。僕はこの盤をジャズを聴き始めてから20年くらい経った頃に聴いて、やっとビッグバンドのポテンシャルに感じ入った次第。しかし、ビッグバンドが判って良かった。
 
 
 
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2019年10月26日 (土曜日)

改めてベイシー楽団のイチ押し盤

カウント・ベイシー楽団と言えば、まずはこの盤が浮かぶ。というか、この盤を一番聴いている。この盤にはカウント・ベイシー楽団の真骨頂である「満ち溢れんばかりのスイング感とグルーヴ感」がギッシリと詰まっている。とにかく、心ゆくまでカウント・ベイシー楽団を楽しめる盤なのだ。

Count Basie and His Orchestra『April in Paris』(写真左)。1955年7月と1956年1月の録音。録音盤としてのカウント・ベイシー楽団の最良の状態を聴くことが出来る。この時のカウント・ベイシー楽団のパーソネルを見渡して見ると。ソロでもレジェンド級のメンバーを半数以上擁して、今から振り返れば、錚々たるメンバーである。そりゃ〜良い音出すよな。

Count Basie (p), Wendell Culley, Reunald Jones, Thad Jones, Joe Newman (tp), Henry Coker, Bill Hughes, Benny Powell (tb), Marshall Royal (as, cl), Bill Graham (as), Frank Wess (as, ts, fl, cl), Frank Foster (ts, cl), Charlie Fowlkes (bs, b-cl), Freddie Green (g), Eddie Jones (b), Sonny Payne (ds), Jose Mangual, Ubaldo Nieto (perc)。
 
 
April-in-paris  
 
 
とにかく冒頭、オープニングのタイトル曲「April in Paris」、邦題「パリの四月」である。この曲の出だしのフロント管のユニゾン&ハーモニーのダイナミズム。むっちゃ格好良く、むっちゃ痺れる。ジャズのビッグバンドの醍醐味がこの前奏のユニゾン&ハーモニーに詰まっている、と言い切っても過言では無いだろう。

「April in Paris」に続く数々の名演ついても、バンド全体を貫くスイング感は半端無い。そして、個々のソロに満ちあふれるグルーヴ感。個々のソロが集まって、バンド全体のうねるようなスイング感の塊になる。そして、そのスイング感とグルーヴ感が相乗効果を生んで、カウント・ベイシー楽団ならではの「パンチ力」を生み出すのだ。

等々云々、些細なうんちくは必要無い。聴けば判る。この盤には、ジャズのビッグバンドの良い部分がギッシリと詰まっている。冒頭のタイトル曲の最初の何小節かを聴けばすぐに納得できる。出来れば良いステレオ装置で、そこそこの音量で聴きたい。ジャズ盤として、ジャケット・デザインも優秀。エヴァーグリーンな好盤である。
 
 
 
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2019年10月21日 (月曜日)

カウント・ベイシー楽団の思い出

実は「ビッグバンド・ジャズ」が大好きである。ジャズを聴き始めた40年ほど前から、ビッグバンド・ジャズが好きである。しかし、ビッグバンド・ジャズを聴くと、である。当時所有のチープなステレオ・セットでは、ビッグバンド・ジャズの楽器毎の分離が良く無い。しかも音の迫力が無い。これではまともにビッグバンド・ジャズを聴くことが出来ない。
 
よって、ジャズを聴き始めて20年ほど、ビッグバンド・ジャズを聴くことを諦めた。ジャズを聴き始めて20年ほど経った頃、まあまあのステレオ・セットを手に入れた。楽器毎の分離もまあまあ、大音量で聴けば、音の迫力もまあまあ。しかし、1950年代の録音では問題が残る。録音が良く無ければ、当時のまあまあのステレオ・セットではビッグバンド・ジャズが楽しめない。それも仕方が無い。
 
ということで、1970年代後半以降の録音状態の良い盤を中心に聴き始めた。ビッグバンド・ジャズの定番と言えば、デューク・エリントンとカウント・ベイシー。最初は「判官びいき」的雰囲気で、カウント・ベイシーを選んだ。1978年、ジャズを聴き始めた頃、そう言えば、カウント・ベイシーの新盤を、例の「秘密の喫茶店」で聴かせて貰った記憶が甦った。
 
 
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Count Basie and his orchestra『Count Basie : Live In Japan '78』(写真左)。パブロ・レーベルからのリリース。カウント・ベイシー楽団のライブ盤。タイトル通り、1978年、日本における、横浜市民会館でのライブ録音。カウント・ベイシーは1984年4月に亡くなっているので、まだ存命中の、正真正銘の「カウント・ベイシー楽団」。録音も良く、ビッグバンドの迫力がダイレクトに伝わってくる。スイング感、グルーヴ感に満ち溢れた演奏が素晴らしい。
 
ビッグバンド・ジャズは大人数の編成。15名〜17名、多い時で20名程度。必要となる要素はラグビーと一緒で、「品位、情熱、結束、規律、尊重」だろう。バッチリ合った端正なユニゾン&ハーモニーに「品位」と「結束」を感じ、熱気溢れるソロ演奏に「情熱」を感じる。ソロ演奏のバッキングに、お互いの「尊重」を感じる。そして、なにより、ビッグバンド・ジャズに一番必要なものは「規律(ディシプリン)」。
 
このカウント・ベイシー楽団の演奏には、そのビッグバンド・ジャズに必要とされる要素の全てが備わっている。特に、聴いていてグッと感じるのは、満ち溢れんばかりのスイング感とグルーヴ感。即興演奏を旨とするジャズとは少し異なるビッグバンド・ジャズ。しかし、この「品位、情熱、結束、規律、尊重」を旨とするビッグバンド・ジャズも限りない魅力に満ち溢れている。
 
 
 
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2018年10月21日 (日曜日)

ベイシー楽団のイチ押し盤です

ビッグバンド・ジャズは昔から好きである。が、所有するステレオ装置があまり上等でなかったこともあって、LP時代にビッグバンドのアルバムを買い揃えることは無かった。ジャズ喫茶についても、通常4ビートなジャズをメインにするジャズ喫茶でビッグバンド・ジャズをリクエストすると、あまり良い顔はされなかった。ビッグバンド・ジャズは僕にとって、長年の「鬼門」であった。

この5年くらいで、やっと所有ステレオ装置を全面リニューアルすることが出来た。やっと我が家でもまずまずの音でビッグバンド・ジャズを再生することが出来る様になった。加えて、モバイルな音楽再生環境も音質が飛躍的向上し、ちょっと音を聴くには十分な音質が確保できるようになった。仕事をしている中、なかなかまとまって音楽鑑賞の時間が取れない中、ありがたいことである。

そういうで、やっとビッグバンド・ジャズの名盤と呼ばれる盤を聴き直すことにが出来る様になった。ジャズを聴き初めて40年。細々とチョビチョビとビッグバンド・ジャズの名盤を聴いてきたのだが、今回から一気に聴き進めて行こうという気になった。特に、身を入れて聴いていない「デューク・エリントン」と「カウント・ベイシー」は必須である。
 

April_in_paris  

 
ということで、カウント・ベイシー楽団から入る。僕はカウント・ベイシー楽団については、音の迫力は凄いバンドというイメージがある。迫力ある、統制の取れたビッグバンド。その印象がピッタリ当てはまるアルバムがこれだろう。Count Basie and His Orchestra『April in Paris』(写真左)。1955年7月と1956年1月の録音。僕のカウント・ベイシー番の中でイチ押しの好盤である。

とにかく冒頭のタイトル曲「April in Paris」が最高に格好良い。テーマ部のユニゾン&ハーモニーの迫力と音の重ね方には、聴く度に「ゾクゾク」する。全編に渡って、迫力ある、統制の取れた「スイング感抜群」な演奏がズラリと並ぶ。リズム・セクションのエディ・ジョーンズのベースと、ソニー・ペインのドラムが控えめながらも、力感溢れる推進力でバンド全体を鼓舞する。そして、リズム・ギターのフレディ・グリーンがリズム・セクションにアクセントを加える。

一糸乱れぬ、統制の取れたビッグバンドのドライブ感。そして、展開部に入ってのアドリブ・パフォーマンスの素晴らしさ。ビ・バップの一発芸的アドリブは切れ味抜群。そんなタイトでテクニック溢れるアドリブ・パフォーマンスについても、音の迫力は抜群である。カウント・ベイシー楽団の音を知るには格好の一枚。カウント・ベイシー楽団の名詞的な位置づけの一枚である。

 
 

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  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

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