Azymuth『Light As A Feather』
ブラジリアン・フュージョンの雄、未だに愛され続ける人気グループ「アジムス」。現代においても、レアグルーヴ、サイケ、ヒップホップなど様々なシーンからリスペクトされている唯一無二の音世界。ソフト&メロウなフレーズに、スペーシーな音の広がりとサイケデリックなブレイクダウン、ライトなファンクネスを忍ばせつつ、しなやかでソリッドにうねるようなグルーヴは独特の個性。
Azymuth『Light As A Feather』(写真左)。1979年の作品。ちなみにパーソネルは、José Roberto Bertrami (key, syn, vo,perc), Alex Malheiros (b, g, vo), Ivan Conti (Mamão) (ds, syn), Aleuda (perc)。オリジナル・メンバーのトリオ+パーカッションの編成。アジムスがワールド・ワイド契約締結の下、米国音楽シーンに進出した記念すべきアルバムである。
爽快感、軽快感溢れる、ブラジリアンな8ビートのグルーヴ感が独特の感覚。このグルーヴ感が「アジムス」の独特の個性だった訳だが、米国進出に向けて、ブラジリアンな雰囲気を少し後退させて、当時流行の米国フュージョン・ジャズの味付け「ソフト&メロウ」な面を明快に前面に押し出している。かつ、シンセサイザーを活かしたギミックなビート音を含め、リズム&ビートもしっかりとメリハリを付けている印象。
それでも、アジムスの基本的な音世界はしっかりとキープされていて、ソフト&メロウなフュージョン・ジャズ独特の音作りのバックで、スペーシーな音の広がり、ライトなファンクネスを忍ばせつつ、しなやかでソリッドにうねるようなグルーヴを醸し出した音世界は「アジムスの独壇場」である。シンセのギミックな使い方は明らかに米国向け仕様。どこか懐かしい響きが愛おしい(笑)。
どの曲もオールドなフュージョン・ジャズ者の我々にとっては印象的なものばかりだが、やはり、まずは4曲目の「Fly Over The Horizon = Vôo Sobre O Horizonte」だろう。1977年の作品の、Azymuth『Aguia Não Come Mosca』に収録されていたものの米国向け再録音版なのだが、これが一番印象的。なぜなら、当時のNHKのクロスオーバーイレブンのオープニングで流れていた「あの曲」なのだ。どっぷりと懐かしさに浸れる名曲・名演である。
6曲目の「Jazz Carnival」は、ワールドワイドなヒットとなったディスコ・フュージョン曲。これもまた懐かしい。この辺りは「ブラジリアン・ジャズ・ファンク」の名盤としても評価できる切り口だろう。
懐かしさが先行する Azymuth『Light As A Feather』だが、今の耳にもしっかりと訴求する、聴き直して新しい音の発見もあるフュージョン・ジャズの名盤。これだけ、筋が一本通った、意外と硬派な音作りのフュージョン・ジャズはそうそう無い。フュージョン・ジャズを語る上で、避けて通れない名盤として僕は評価している。
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
★ AORの風に吹かれて
★ まだまだロックキッズ 【New】 2024.01.07 更新
・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
記事をアップ。
★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新
・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
の記事をアップ。
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
東日本大震災から13年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
最近のコメント