2025年5月14日 (水曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤 113

バリー・ハリス(Barry Harris)。米国のジャズ・ピアニスト。1929年12月15日、米国ミシガン州デトロイト生まれ。2021年12月8日逝去(享年91歳)。COVID-19パンデミックの中、ウイルスの合併症で逝去。

バリー・ハリスは「パウエル派」。バリー・ハリスは、バド・パウエルのスタイルを完璧に踏襲しつつ、パウエルの様に攻撃的では無く、ブルージーで優雅で優しいフレーズが特徴。パウエルより、フレーズは整っていて典雅。端正な弾き回しは爽快感抜群。

そんなフレーズをベースに「優れた総合力そのもの」を個性とするピアニスト。スタイルは「バップ」。ビ・バップの演奏マナーをハードバップに転化した弾きっぷりで、テクニック溢れる流麗な指捌きと簡潔なアドリブ・フレーズが特徴。

Barry Harris『Preminado』(写真左)。1960年12月21日と1961年1月19日の録音。ちなみにパーソネルは、Barry Harris (p), Joe Benjamin (b), Elvin Jones (ds)。3曲目の「I Should Care」だけ、バリー・ハリスのソロ・ピアノ演奏。その他は、バリー・ハリスのバップ・ピアノをメインとした、オーソドックスなピアノ・トリオ編成。

バップ・ピアニスト、バリー・ハリスのピアノの良いところがギッシリ詰まったトリオ盤である。とにかく、バリー・ハリスの弾きっぷりが見事。
 

Barry-harrispreminado  

 
「パウエル派」のマナーに則りながら、端正で整った、ブルージーで優雅で優しい、それでいて粒だちの良い弾き回しは「優れた総合力そのもの」を個性とするピアニストの面目躍如。明快なタッチは爽快感抜群。

「優れた総合力そのもの」を個性とするピアノで弾き回すスタンダート曲は極上の響き。冒頭の「My Heart Stood Still」、4曲目の「There's No One But You」、6曲目「"It's the Talk of the Town」そして、ラストの「What Is This Thing Called Love?」。スタンダード曲を弾くバリー・ハリスのピアノは切れ味と爽快感抜群。これぞ「バップ・ピアノ」という歯切れの良い弾き回しで、よく唄っている。

バックのリズム隊。ベースのジョー・ベンジャミンは、スタジオ・ベーシストであるが、その弾き回しは堅実で重厚。特に、ベンジャミンのウォーキング・ベースはソリッドで粘りがあって良好。そして、ドラムはエルヴィン・ジョーンズ。鋼のように力強く粘りのある、ハードバップなドラミングを叩きまくる。それでいて、決して耳につかず、効果的に、バリー・ハリスのピアノを引き立て、強力に鼓舞しプッシュする。

優秀なピアノ・トリオ演奏は、フロント&バック両方をしっかり弾きまくるピアノはもちろんのこと、リズム&ビートを支える、ベースとドラムの力量と優れたサポートが必須なのだが、このバリー・ハリスの『Preminado』は、それらを全てを備えている。謹んで「ピアノ・トリオの代表的名盤」の一枚として取り上げたい。
 
 

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2025年3月15日 (土曜日)

リヴァーサイドのブレイキー・2

アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ(Art Blakey and the Jazz Messengers)。意外と人気が無いなあ、と感じる今日この頃。ネットの記事を眺めてみても、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズのアルバムを取り上げるブロガーが少ないなあ、と感じるのは僕だけだろうか。

ブルーノート時代の諸作はまだ良いのだが、その他のレーベルに記録されたジャズ・メッセンジャーズのアルバムについては実に地味。ジャズ・メッセンジャーズの諸作は、長い活動期間を通じて、駄作・駄盤の類は殆ど無いんですけどね。

Art Blakey and The Jazz Messengers『kyoto』(写真左)。1964年2月20日の録音。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Freddie Hubbard (tp), Curtis Fuller (tb), Wayne Shorter (ts), Cedar Walton (p), Reggie Workman (b), Wellington Blakey (vo, track 3 only))。1960年代の「伝説の3管フロント時代」のジャズ・メッセンジャーズである。

リヴァーサイド・レコードでの「3部作」のラスト。『Caravan』『Ugetsu』と来ての3枚目。1960年代の「伝説の3管フロント時代」。トランペットはフレディ・ハバード。この盤でのハバードは、『Caravan』『Ugetsu』と続く「ほど良く抑制されたハバード」。ほど良く抑制されたハバードは無敵である。この盤でも、ハバードは「抑制の美」を吹き上げる。
 

The-jazz-messengerskyoto

 
3曲目の「Wellington's Blues」が男性ボーカル入り。ジャズ・メッセンジャーズの演奏にボーカル入りは似合わない。LP時代で言うとA面のラスト(3曲目)。なぜここに男性ボーカル入りの楽曲を持ってきたのか。プロデュースの方針に疑問を感じる。このボーカル入り曲の存在で、この盤は損をしている印象は拭えない。

逆にLP時代のB面、CDでの4〜5曲目「Nihon Bash」〜「Kyoto」の演奏が充実している。1960年代の「伝説の3管フロント時代」のジャズ・メッセンジャーズの良さが横溢している。充実の3管フロント、鉄壁のブレイキー御大率いるリズム隊。ジャズ・メッセンジャーズ仕様のモード・ジャズがこれでもか、と展開される。

完璧充実のリヴァーサイドのジャズ・メッセンジャーズ。この『kyoto』で、突如、終焉を迎える。社長のビル・グラウアーが、1963年12月に突然の心臓発作で亡くなり、会社は1964年7月に自主破産を申請した為である。

しかし、ジャズ・メッセンジャーズの発展を記録したブルーノートの諸作と併せて、ジャズ・メッセジャーズの成熟を記録したリヴァーサイドの3部作は、ジャズ・メッセンジャーズにとっての貴重な記録である。
 
 

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2025年3月14日 (金曜日)

リヴァーサイドのブレイキー・1

しばらくの間、ちょっとご無沙汰していたのだが、久々に、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ(Art Blakey and the Jazz Messengers)のアルバムの聴き直しを再開した。どの辺りからだったか。そうそう、1963年、リヴァーサイド・レコードへの録音を始めた頃からである。

Art Blakey and the Jazz Messengers『Caravan』(写真左)。1962年10月23–24日の録音。リヴァーサイド・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Freddie Hubbard (tp), Curtis Fuller (tb), Wayne Shorter (ts), Cedar Walton (p), Reggie Workman (b)。1960年代の「伝説の3管フロント時代」のジャズ・メッセンジャーズである。

改めて、1960年代の「伝説の3管フロント時代」とは、フレディ・ハバードのトランペット、ウェイン・ショーターのテナー、カーティス・フラーのトロンボーンの3管フロントに、シダー・ウォルトンのピアノ、レジー・ウォークマンのベース、そして、リーダーのブレイキー御大のリズム隊のセクステット編成。

リヴァーサイドからの第一弾のアルバムなんだが、ブルーノート時代と内容は変わらない。充実の3管フロント、鉄壁のブレイキー御大率いるリズム隊。「伝説の3管フロント時代」のセクステットの基本は「モード」。ジャズ・メッセンジャーズ仕様のモード・ジャズがブワーッと展開される。3管フロントのユニゾン&ハーモニーが芳しく、3管フロントのソロ・パフォーマンスが凄まじい。
 

The-jazz-messengerscaravan

 
聴いていて面白いのは、ハバードのトランペット。ハバードは基本的に目立ちたがり屋なので、周りへの配慮は皆無、常にグイグイ前へ出てくるのだが、ブレイキー御大の下では、周りの音を聴き、演奏全体の展開を慮りながら、抑制された超絶技巧なトランペットを吹く。これが良い。実は、ほど良く抑制されたハバードは無敵である。恐らく、リーダーのブレイキー御大はそれを良く判っていて、ハバードを指導していたのだろうと思われる。

そして、この盤では、ブレイキー御大のドラムの出番が多い。ブルーノート時代はアンサンブル中心だったが、このリヴァーサイド盤では、結構、長尺&短尺、様々なイメージのドラムソロも織り交ぜて、意外とブレイキー御大のドラミングがしっかりと前面に押し出されている。そういうプロデュースなんだろうが、それまでのブレイキー盤と比べて、ブレイキー御大のドラミングの個性と特徴が良く判る。

この盤に「これ一曲」を選ぶとすれば、やはりタイトル曲の「Caravan」だろう。最強力な3管フロントがカッコよくユニゾン&ハーモニーを奏で、ブレイキー御大のドラムがそんなフロントをモーダルに煽る。ウォルトンのピアノがモーダルな雰囲気の拍車をかけ、ウォークマンのベースが、バンド全体のベースラインを一手に引き受ける。モーダルで柔軟なソロの交歓に時間を忘れる。

ブレイキー御大のドラミングが「タクト代わり」。ブレイキー御大のドラミングで、様々なニュアンス、様々な表情のモード・ジャズが展開される様は見事という他ない。ブルーノートのジャズ・メッセンジャーズと比べて、全く引けを取らないリヴァーサイドのジャズ・メッセンジャーズがこの盤に詰まっている。
 
 

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2025年2月19日 (水曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤 104

フレディ・レッド(Freddie Redd)。1928年5月、NY生まれ、2021年3月、92歳で没。1959年にニューヨークのリビング・シアターの演劇「The Connection」の出演と音楽の作曲を担当した事で、一躍名前を知られるようになったピアニスト。

典型的なバップ・ピアニストであるが、やや地味というか、目立たないタイプで、ジャズ・ピアノ好きが多い日本においても知名度は比較的低い。結構、渋めの小粋で端正なバップ・ピアノを弾くのだが、我が国では顧みられることは殆どない。でも、聴いてみると、意外と「いい感じ」なのだから面白い。やはり、ジャズは自分の耳で聴かないといけない音楽ジャンルである。

Freddie Redd Trio『San Francisco Suite』(写真左)。1957年10月2日の録音。Riversideレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Freddie Redd (p), George Tucker (b), Al Dreares (ds)。渋めの小粋で端正なバップ・ピアニスト、フレディ・レッドのトリオ盤である。

まず、この「ジャズトリオのためのサンフランシスコ組曲」と題されたアルバム、4曲がレッドの作曲である。そして、このレッドの自作曲のそれぞれの出来がとても良い。特に、冒頭のタイトル曲「San Francisco Suite」の出来を聴いて、レッドのバップ・ピアノの腕前はそこそこかもしれないが、作曲能力は素晴らしいものあるということを十分に再認識させてくれる。
 

Freddie-redd-triosan-francisco-suite

 
レッドの書く曲って、意外と明るさと躍動感に満ちた楽曲が多いのだが、この「San Francisco Suite」は出来がとても良い。レッドのピアニストとしての腕前はちょっとイマイチなんだが、このレッドの書く楽曲の優秀性、明るさ、楽しさ、躍動感が、そんなちょっとイマイチのピアノを聴いて楽しいものにしている。

そして、このレッドの書く楽曲の優秀性、明るさ、楽しさ、躍動感のお陰で、レッドの独特のアタック感や泥臭さが、良い意味で「映える」のだから、即興演奏が旨のジャズとは言え、やはり、演奏する楽曲の質というのも、ジャズの重要な要素なんだ、ということを再認識させてくれる。

フレディ・レッドの自作曲の4曲以外、あとの3曲はスタンダード曲。「Blue Hour」や「Minor Interlude」は、マイナー調の展開だが、どこか、明るさ、楽しさ、躍動感を湛えていて、レッドのスタンダード曲の解釈、アレンジが意外とユニークなことが良く判る。

良い楽曲が主役のピアノを引き立てる、そんな言葉がぴったりのレッドの『San Francisco Suite』。リズム隊もバップなリズム&ビートを堅実に叩き出して、レッドのバップ・ピアノをしっかりと支えている。

そう、「良い楽曲、良いリズム隊が主役のピアノをしっかり引き立てる」という点で、この盤は「ピアノ・トリオの代表的名盤」の一枚として良いのではないでしょうか。
 
 

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2024年12月28日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・276

モダン・ジャズ期の名盤の数々が、再リマスターされたり、廉価盤になって再発されたりで、サブスク・サイトを賑わしている。かなりの間、聴いていなかった盤もあって、このリマスターや再発のタイミングが聴き直しの切っ掛けになったりして、これはこれで楽しいひと時になる。

Max Roach『Deeds, Not Words』(写真左)。1958年9月4日の録音。ちなみにパーソネルは、Max Roach (ds), Booker Little (tp), Ray Draper (tuba), George Coleman (ts), Art Davis (b)。バップ・ドラマーのレジェンドの一人、マックス・ローチのリーダー作。ピアノレス、チューバ入りの変則クインテット編成。

マックス・ローチは、それぞれの時代の流行を追うことなく、従来からの、ローチ独特のバップ・ドラミングのスタイルを変えていない。この盤の録音は1958年。この盤では、ハードバップのピーク期におけるローチの成熟したドラミングを堪能することが出来る。

ローチのリーダー作なんで、ドラムソロがあちこちに、ふんだんに聴くことが出来るが、これがまた見事なバップ・ドラミングで、意外と耳につかない。
 

Max-roachdeeds-not-words

 
リズム&ビートの担い手の打楽器の代替が出来るピアノを排除し、リズム&ビートをドラムに一本化し、コードを束縛するピアノを排除することで、フロント管のインプロビゼーションの自由度を大幅に広げる。これが、ローチの標榜する「ポスト・バップ」の方法論だったと想像しているのだが、この盤ではその成果を聴き取ることが出来る。

そんなローチの「ポスト・バップ」の方法論の中で、ブッカー・リトルのトランペット、ジョージ・コールマンのテナーが、結構、自由度の高いインプロを、自分のペースで吹き回しているのが良く判る。

面白いのは、当時、同様な「ポスト・バップ」の方法論に「モード」があるのだが、ここでリトルやコールマンが吹いているのはモードでは無い。それでも、ピアノがないだけで、当時の先進的なジャズマンに吹かせると、ここまで自由度が広がるとは思わなかった。

レイ・ドレイパーのチューバについては、フロント管とのユニゾン&ハーモニーとバッキングに徹しているので、この盤では邪魔になっていない。逆に、グループ・サウンドの彩りになっているくらいで、この盤でのそれぞれの曲のアレンジも十分に機能していることが良く判る。
 
 

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2024年11月 5日 (火曜日)

ウエスのバップ・ギター最終盤

朝一番のジャズ盤として、最近は「Wes Montgomery(ウエス・モンゴメリー)」のリーダー作を順に聴いている。ウエスのギターは、僕の大のお気に入りで、ウエスのギターであれば「何でも通し」である(笑)。ウエスのリーダー作には「ハズレ」は無い。どのアルバムでも、ウエスの超絶技巧な、歌心抜群な、必殺「オクターヴ奏法」を伴って、素晴らしいパフォーマンスを聴かせてくれる。

Wes Montgomery『Guitar On The Go』(写真左)。1959年と1963年10月から11月に録音された曲が収録されている。1966年のリリース。ちなみにパーソネルは、Wes Montgomery (g), Melvin Rhyne (org), George Brown (ds on 1-4, 6), Jimmy Cobb (ds, on 7), Paul Parker (ds, on 5)。ドラムは3人で分担、基本は「ギター+オルガン+ドラムス」のトリオ編成。

ウエスがヴァーヴと契約する前にリバーサイドでリリースした最後のアルバムである。リバーサイドでの最後のアルバムだからと言って、ウエスは手を抜かない。バンバン、バップなギターを弾きまくっている。冒頭の「The Way You Look Tonight」2連発を聴けば、それが良く判る。超絶技巧、歌心抜群、必殺「オクターヴ奏法」の3点セットを駆使して、ギターを弾きまくる。
 

Wes-montgomeryguitar-on-the-go

 
リバーサイド時代のウエスは、スタンダード曲と自作曲を、バップなギターでバンバン弾きまくる。この盤も例に漏れず、バップなギターを弾きまくる。バップなギターにオクターヴ奏法が加わると、演奏の迫力倍増。アドリブ・フレーズが圧倒的な迫力を持って我々に迫ってくる。ウエスのハードバップなギターを聴くには、「リバーサイド」である。

オルガンが大健闘している。メルヴィン・ラインは1936年にインディアナポリス生まれ。インディアナポリス繋がりで、1959年、ウエスのトリオに加わる様、要請されている。ラインのオルガンは、ウエスのトリオ盤で聴くことが出来るが、意外とダイナミックで端正でファンキーなオルガンで、ウエスのギターの向こうを張って、ガンガン、弾きまくっている。このラインのオルガンも聴きものである。

ウエス以外、馴染みのないミュージシャンなんだが、どうして、なかなか聴き応えのあるハードバップな演奏がてんこ盛り。ウエスは安定の、超絶技巧、歌心抜群、必殺「オクターヴ奏法」の3点セットで弾きまくり。バップなウエスを聴くなら「リバーサイド」。そのリバーサイドからリリースされた最後のアルバム。やっぱり、ウエスのアルバムには「ハズレ」無し。
 
 

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2024年8月 6日 (火曜日)

小洒落たファンキー・ジャズ

ファンキー・アルト・サックスのレジェンド、キャノンボール・アダレイについては、どうも我が国では人気がイマイチ。「ファンクの商人」なんて酷いあだ名をつけられて、ファンキー・ジャズやジャズ・ファンクをベースに、商業主義に走ったジャズマンの烙印を押されている。酷い話である。

ファンキー・ジャズ&ジャズ・ファンクは俗っぽくて、芸術としてのジャズでは無い、との評価で、しかも、キャノンボールのリーダー作は、米国ではそのセールスは好調だったのだが、この「売れる」ジャズをやるキャノンボールはけしからん、という論理である。

キャノンボールの名誉の為に言っておくと、生涯、彼のリーダー作は水準以上で、ほぼ駄作が無い。内容的にもしっかりしたファンキー・ジャズ、ジャズファンクのリーダー作が目白押しなんだが、我が国では、1960年代から70年代にかけてのリーダー作については、評論の対象に上がることがほとんど無い。

当然、我が国のレコード会社が国内リリースに踏み切ることもなく、21世紀になって、音楽のおサブスク・サイトで音源がアップされる様になって、やっと我々のレベルでも、1960年代から70年代にかけてのキャノンボールのリーダー作を鑑賞できる様になった。自分の耳で、キャノンボールのリーダー作を評価できるようになった。喜ばしいことである。

Cannonball Adderley Quintet『Plus』(写真左)。1961年5月11日の録音。ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), Nat Adderley (cornet), Wynton Kelly (p, tracks 2–5), Victor Feldman (p tracks 1,6, vib), Sam Jones (b), Louis Hayes (ds)。
 

Cannonball-adderley-quintetplus

 
キャノンボール兄弟がフロント2管、フェルドマンのヴァイブが一部フロント参加、ピアノについては、ケリーとフェルドマンが分担する変則セクステット(6人編成)。

冒頭の「Arriving Soon」から、小粋なファンキー・ジャズ全開。キャノンボールのアルトも、ナットのトランペットも適度に抑制が効いた、小粋なブロウが好感度良好。

2曲目の「Well You Needn't」は、ファンクネス強調のモンク・ミュージック。フェルドマンのヴァイブがお洒落にアドリブをかまし、キャノンボール兄弟のユニゾン&ハーモニーがファンクネスを増幅する。とてもお洒落でファンキーなモンク・ミュージック。いい感じだ。 

この小粋で小洒落たファンキー・ジャズに貢献しているのが、フェルドマンとケリーのピアノの存在。フェルドマンのピアノは、西海岸出身らしく、小洒落て乾いたファンクネスを忍ばせたピアノ、ケリーのピアノは、ハッピースイングで、洒落たファンクネスを湛えたピアノ。二人のピアノが、このキャノンボールのファンキー・ジャズを小粋で小洒落たものにしている。

5曲目の「Star Eyes」などは、そんな小粋で小洒落たファンキー・ジャズが全開。ここまでくると、小粋で小洒落た、というより、ファンクネス全開の大ファンキー・ジャズ大会。それでも、フェルドマンのお洒落な響きのヴァイブが良いアクセントになっていて、通り一辺倒の、ありきたりなファンキー・ジャズにはなっていない。

良好な内容のファンキー・ジャズ。フェルドマンとケリーの存在によって、いつものどっぷりファンキーなジャズを、小粋で小洒落たファンキー・ジャズに変身させているところが、この盤の聴きどころだろう。選曲も良い。キャノンボールの秀作の一枚。
 
 

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2024年3月14日 (木曜日)

テナーの名盤 『The Little Giant』

Johnny Griffin 『The Little Giant』(写真左)。1959年8月4, 5日の録音。リヴァーサイド・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Johnny Griffin (ts), Blue Mitchell (tp), Julian Priester (tb), Wynton Kelly (p), Sam Jones (b), Albert "Tootie" Heath (ds)。

リーダーのグリフィンのテナー、ミッチェルのトランペット、プリースターのトロンボーンの3管フロント、ケリー、ジョーンズ、ヒースの「ごきげん」リズム隊のセクステット編成。ジャケがとっても格好良し。

身長170センチという小柄な体型にも関わらず、骨太で悠然とした音、超絶技巧なテクニックで、高速フレーズを吹き上げることから付いたニックネームが「リトル・ジャイアント」。そのニックネームをそのまま、アルバムタイトルにした、ジョニー・グリフィン初期の名盤。

前作『Way Out!』では、グリフィンのテナー1管のワン・ホーン・カルテットで、グリフィンのテナーの個性が堪能できた訳だが、今回の『The Little Giant』では、トランペットとトロンボーンを従えた重厚な3管フロント。グリフィンのテナーが3管に溶け込むかと思いきや、音が大きくてブリリアントな分、3管フロントの中でもしっかりと目立っているからさすが「リトル・ジャイアント」である。

大きな音、切れ味の良いブリリアントなグリフィンのテナーに、高音域担当のトランペット、低音域担当のトロンボーンが絡んで、実に魅力的で重厚なユニゾン&ハーモニーが見事。アドリブ部についても、3つの音域の管楽器が入れ替わり立ち替わりアドリブに入るので、メリハリがあってバラエティーに富んでいて、聴き応えが十分。
 

Johnny-griffinthe-little-giant

 
当然、グリフィンのテナーは絶好調。トランペットとトロンボーンの2管を従えている分、いつも以上に力強く全力で大きな音で、グリフィン節をブイブイ言わせている。渋い、玄人好みのスタンダード曲中心の選曲の中、テクニック十分、歌心溢れる、スケールが大きいブロウを展開する。存在感抜群、素晴らしいテナーである。

ミッチェルのファンキー・トランペットが活き活きしている。グリフィンとの絡みも良好。グリフォンのテナーにファンクネスな雰囲気を供給する殊勲のトランペット。プリースターのトロンボーンの中低音が良い。3管フロントのユニゾン&ハーモニーの「底」をガッチリと押さえる、縁の下の力持ち的トロンボーン。

グリフィンの好調のテナーをはじめとする3管フロントをしっかりと支えているのが、ケリー、ジョーンズ、ヒースの「ごきげん」リズム隊。ケリーのハッピー・スインガーでファンキーなピアノ、重心の低い、演奏の底を押さえたサム・ジョーンズのベース、バンドのリズム&ビートを堅実にキープし、バンドのパフォーマンスを鼓舞するヒースのドラム。上質のハードバップを湛えた、「ごきげん」なリズム隊。

雑誌やジャズ盤紹介本などで、その扱いが小さく、ロリンズ、コルトレーンびいきの我が国のジャズ・シーンの中では、知名度の低い、人気イマイチのテナー奏者だが、この盤や前作『Way Out!』を聴けば判る、ロリンズやコルトレーンに負けずとも劣らない、魅力十分のテナー・タイタンである。
 
 

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2024年3月13日 (水曜日)

魅力のグリフィン 『Way Out!』

身長170センチという小柄な体型にも関わらず、骨太で悠然とした音、超絶技巧なテクニックで、高速フレーズを吹き上げることから付いたニックネームが「リトル・ジャイアント」。繊細な表現にも優れ、バラードを吹かせれば天下一品。そんなサックス奏者が「ジョニー・グリフィン(Johnny Griffin)」。

Johnny Griffin 『Way Out!』(写真左)。1958年2月26–27日の録音。Riversideレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Johnny Griffin (ts), Kenny Drew (p), Wilbur Ware (b), Philly Joe Jones (ds)。リーダーのジョニー・グリフィンのテナーが1管フロントの「ワンホーン・カルテット」編成。

グリフィン30歳の時の録音。デビュー当時は荒削りなところも合って、その荒削りで豪快なブロウが魅力だったグリフィン。この盤では荒削りなところが円熟味に変わって、豪快だが硬軟自在&緩急自在の骨太なブロウが最大の聴きどころとなっている。初リーダー作が28歳の時だったので、2年間で急速に成長したことになる。そんなグリフィンの歌心溢れる、魅力的なブロウが堪能できる。
 

Johnny-griffin-way-out

 
グリフィンのテナーは、超絶技巧なテクニックを持ちながら、それをひけらかすことなく、ミドル・テンポの余裕のある落ち着いた吹き回しが個性。実に奥ゆかしい。本当にテナーをテナーらしく鳴らす、とでも表現したら良いだろうか。グリフィンのテナーは音が良い。それでも、4曲目の「Cherokee」ではスピード感のある吹き回しで「ブイブイ」言わせている。

バックのリズム・セクションの音も良い。ドリューが重心の低い、黒くファンキーなピアノを弾き回す。重厚なタッチで、グリフィンの豪快テナーに負けずに、ガンガンにサポートし鼓舞する。フリージョーのドラミングもグリフィンのテナーの個性に合った叩き回しで、いかにもハードバップな雰囲気を濃厚に醸し出している。そして、そんな典型的なハードバップな演奏に「新しい何か」を付加しているのが、ウエアの「ちょっと新しい響きとフレーズ」を宿したベース。

典型的なハードバップだが、グリフィンのテナーの吹き回しと、リズム隊の新鮮なサポートと相まって、「どこか新しい」響きのするハードバップ演奏が展開されている。とても良くまとまったハードバップ盤。しかし、近代的建造物をあしらった意味不明のジャケが良くないのか、我が国ではあまりこの盤は話題に上がらない。実に惜しいことで、この盤、再評価されて然るべき、ハードバップの好盤の一枚である。
 
 

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2024年3月 6日 (水曜日)

好盤、Elvin Jones 『Elvin!』

僕は長年、この盤がエルヴィン・ジョーンズの初リーダー作だと思っていた。この盤より先に『Keepin' Up with the Joneses』で、The Jones Brothers名義で、エルヴィンが共同リーダーとして、初リーダー作をリリースしていたのを知ったのは、21世紀に入ってから。

ただし、この盤はエルヴィンの単独リーダー名義で、エルヴィンのドラムが全面に出ていて、エルヴィンのドラミングが堪能できる内容なので、こちらが初リーダー作としても良いくらいだ。

Elvin Jones『Elvin!』(写真左)。1961年7月11日, 1961年12月27日, 1962年1月3日の録音。リヴァーサイド・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、 Thad Jones (cor), Frank Wess (fl), Frank Foster (ts), Hank Jones (p), Art Davis (b), Elvin Jones (ds)。

サドのコルネット、ウエスのフルート、フォスターのテナーのフロント3管、ハンクのピアノ、デイヴィスのベース、エルヴィンのドラムのリズム隊、総勢6名のセクステット編成。サド、ハンク、エルヴィンの「ジョーンズ3兄弟」揃い踏み。この盤はエルヴィンがリーダー。ジョーンズ3兄弟プラス3の重厚な6人編成。録音日は3つに跨った「寄せ集め」盤の様に見える。

が、セクステットのメンバーは変わらないので、3セッションに跨った選曲だが、演奏内容に違和感は無いし、トーンはしっかり合っている。この辺は、リヴァーサイド・レーベルのプロデュースの優れたところだろう。
 

Elvin-joneselvin  

 
冒頭「Lady Luck」の前奏から、エルヴィンのドラミングが炸裂する。豪放磊落、ちょっとラフでダイナミックでメリハリのバッチリ効いた、重心の低いオフビートなドラミング。

まだ後年のポリリズミックなドラミングでは無いが、独特のスイング感&グルーヴ感が心地良い。そんな魅力あるエルヴィンのドラミングがアルバム全編に渡って堪能できる。

アート・デイヴィスの軽快でスインギーなベースがピッタリと寄り添って、エルヴィン独特のスイング感&グルーヴ感を増幅する。

そんなエルヴィンのドラミングに乗って、フォスターが豊かなニュアンスのテナーを、ウエスがエモーショナルで流麗なフルートを、サドが朗々とブリリアントなコルネットを吹き上げる。

小気味良くスインぎーな「Lady Luck」、フロントがオリエンタルな雰囲気を紡ぎ出す「Shadowland」、エルヴィンのブラシが小粋な「Pretty Brown」など、好演奏が目白押し。

パーソネルもしっかり選定されたエルヴィンの単独リーダー名義のアルバム。エルヴィンの独特のスイング感&グルーヴ感に乗った、ハードバップの成熟した演奏がとても心地良い。好盤です。
 
 

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