切々と叙情的な変則トリオ
ジャズの演奏形態って、これが絶対という「定型」が無い。例えば「ピアノ・トリオ」を例に取ってみても、基本は「ピアノ+ベース+ドラム」なんだが、「ピアノ+ベース+ギター」というのもあるし、「ピアノ+ベース+サックス」というものある。基本的には楽器同士の相性をベースに編成するが、相性の悪い楽器同士で編成を組むケースもある。つまりは「何でもアリ」なんですね(笑)。
Carla Bley, Andy Sheppard & Steve Swallow『Trios』(写真左)。2013年4月の録音。ECMレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、’Carla Bley (p), Andy Sheppard (sax)、Steve Swallow (b)。ピアノ・トリオ編成とはいっても、ピアノ+ベース+サックスという、ECMレーベルらしい、捻った編成のトリオである。
自由度の高いピアノを弾くカーラ・ブレイという印象が強いが、この盤でのカーラのピアノは、意外ではあるが、とても叙情的でリリカル。欧州ジャズらしい響きであり、ECMらしい響きでもある。収録曲5曲全て、カーラ・ブレイの作曲。それぞれの曲の出来が良く、作曲者本人、自らがピアノを弾くので、やはり、当然のことながら内容が良い。
カーラのピアノに、アンディ・シェパードのサックスが効果的に絡む。シェパードのサックスの響きも実に「欧州的でリリカル」。そんなピアノとサックスの相乗効果で、このアルバム全体の雰囲気である「切々と叙情的で欧州的な」響きが増幅される。ドラムが無い分、このピアノとサックスの絡みが詳細に渡って聴き取ることが出来るので、この盤の全体に漂う「切々と叙情的で欧州的な」響きを十分に堪能することが出来る。
そして、カーラとシェパードのサックスの絡みをガッチリとサポートするのが、スワローのベース。スワローのベースは「エレクトリック」。カーラのピアノのタッチが硬質で切れ味が良く、そして、シェパードのサックスも同様に音が固くて切れ味が良い。そんなピアノ&サックスを、スワローのエレベ(エレクトリック・ベース)が包み込む様にサポートする。このピアノとサックスをサポートするベースはやはり「エレベ」が最適だろう。
ドラムレスの「ピアノ+ベース+サックス」という変則ピアノ・トリオであるが、ドラムレスが正解だし、ベースは「エレベ」が正解。プロデュースは「マンフレート・アイヒャー」。へ〜っ、カーラ・ブレイのセルフ・プロデュースやないんや。ということは、アイヒャーのプロデューサーとしての手腕、まだまだ衰えていない、ということになる。凄いなあ、アイヒャー。
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