クルセイダーズの『旋風に舞う』
クロスオーバー・ファンクに音楽性が変化した「クルセイダーズ」。『サザン・コンフォート』(1974年) から、徐々に米国南部の粘りのあるファンクネスが抜けて、洗練されたアーバンな雰囲気のファンクネスに変化、同時に、当時流行し始めていたフュージョン・ジャズにいち早く、適応していった時期が1970年代半ばの頃。そんな時期に、いよいよ、フュージョン・ファンクな音を整えたクルセイダーズの好盤がリリースされる。
The Crusaders 『Free as the Wind』(写真左)。1977年の作品。邦題『旋風に舞う』。ちなみにパーソネルは、Stix Hooper (ds, perc), Joe Sample (key), Wilton Felder (sax), Robert "Pops" Popwell (b) がメインのメンバー。ゲストに、ギターとして、Arthur Adams (track: B4), Dean Parks, Larry Carlton, Roland Bautista (tracks: B1, B3)、パーカッションとして、Paulinho Da Costa (perc, track: B1), Ralph MacDonald (special perc) が参加している。
オリジナル・メンバーのウェイン・ヘンダーソンが脱退し、グループにとっての「転換期」に制作されたアルバム。クルセイダーズの個性であった「米国南部の粘りのあるファンクネス」の雰囲気のおおよそを担っていた、ヘンダーソンのトロンボーンが抜けたのである。
ヘンダーソンのトロンボーンが抜けて、クルセイダーズ独特のファンクネスが、米国南部の粘りのある、ゴスペルチックな雰囲気を宿したファンクネスから、洗練されたアーバンな雰囲気のファンクネスに、明らかに変化している。
『サザン・コンフォート』(1974年) あたりから兆しが見え始めていた、ソフト&メロウなフュージョン・ジャズへの傾倒。徐々にオリジナル・アルバムを重ねていって、この『旋風に舞う』では、ストリングスを配した洗練されたアレンジなど、当時流行のフュージョン・ジャズへの傾倒が明確になっている。もちろん、クルセイダーズ独特のファンクネスはしっかり保持されてはいるが、『サザン・コンフォート』あたりのファンクネスと比べると、グッと洗練されてアーバンな雰囲気が濃厚になったファンクネスに昇華されている。
同時にリズム&ビートも、ファンキーな雰囲気濃厚なものから、洗練された切れ味の良いファンキーなものに変化している。ファンクネスの雰囲気はあくまでクルセイダーズなんだが、とにかく「粘るファンキーなビート」から「シュッとしたファンキーなビート」に変化している。これは、ヘンダーソンが脱退した後、残ったオリジナル・メンバー3人が合意してのビートの変化だろう。
曲作りもアーバンで軽快、聴きやすくてキャッチなフレーズがメインで、ヘンダーソン脱退前の、米国南部の雰囲気漂う粘りのビート、ファンクネス濃厚でR&B志向のフレーズは跡形も無い。この大胆な音世界の変化は「面食らう」ほど。ヘンダーソン脱退前のクルセイダーズの音のファンは、ついていくのに大変だったろうな、と思う。
それでも、この『旋風に舞う』は、ビルボードのトップ・ソウル・アルバム・チャートで最高位8位を獲得。ヒットアルバムとなった。新しい音世界のクルセイダーズが受け入れられた、エポック・メイキングなアルバムでもあったのだ。
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