ファンキー&硬派なヤングである
ラリー・ヤングのオルガン。オルガンによるモーダルなフレーズ、オルガンによる「シーツ・オブ・サウンド」、オルガンによるエモーショナルな展開、確かに「オルガンのコルトレーン」と呼ばれるのが、実に良く判る。
ジャズ・オルガンの基準、ジミー・スミスのオルガンとは全く異なる。つまり、それまでのジャズ・オルガンのスタンダード、ジミー・スミスの影響下に無い、当時として「新しいオルガンの響き」なのだ。
Larry Young『Heaven On Earth』(写真左)。1968年2月9日の録音。ちなみにパーソネルは、Larry Young (org), Byard Lancaster (as), Herbert Morgan (ts), George Benson (g), Eddie Gladden (ds), Althea Young (vo)。ジャズ・オルガンの革命児、ラリー・ヤングのブルーノート第5弾目のリーダー作。
それまでのジャズ・オルガンのスタンダード、ジミー・スミスの影響下に無い、当時として「新しいオルガンの響き」のラリー・ヤング。このアルバムでは「憑きものが取れた様に」ファンキー・ジャズ路線のポップなアルバムに変身。冒頭曲など、しばらく、聴いていても、オルガンを弾いているのかが判らないくらいなのだ。
その冒頭曲「The Infant」から、ブーガルー色満載のファンキー・チューン炸裂。思わず、ルー・ドナルドソンのリーダー作かと思ったくらい。出てくるアルト・サックスが全く純ジャズっぽくないので、これはいったい誰のリーダー作だ。このオルガンは誰だ。という感じになる。
この冒頭曲を聴き進めて行くと、かなり攻撃的な尖ったオルガン・ソロが出てくる。これはいままでのオルガニストに無い音で、ファンキー・チューンでこの尖り具合は無いだろう、ということで、やっと、このオルガンは、ラリー・ヤングだと気がつく次第。ファンキー・ジャズをやってる割に、かなり攻撃的で尖ったオルガンなので、これでは踊れないぞ、と思わず苦笑い(笑)。
ヤングのオルガンに続く、若きジョージ・ベンソンのギターも負けずに、攻撃的で尖っていて思わず苦笑い。それでも、ファンキー・ジャズよろしく、ファンキーなフレーズを叩き出してくるので、思わず吹き出してしまう。でも、ベンソンの演奏レベルは高い。ベンソンは真剣に攻撃的で尖ったファンキー・フレーズを集中して弾いている。
2曲目「The Cradle」に至っては、確かに曲想はファンキー・ジャズだが、ヤングのオルガンは、更に攻撃的に尖って、ストイックなフレーズを弾きまくる。もう、これはファンキー・ジャズの弾き回しでは無い。純ジャズの弾き回し。ダンサフルの蔭も形も無い(笑)。
ラリー・ヤングがファンキー・ジャズに身をやつしたと揶揄されがちな、この盤であるが、1曲目の前半のブーガルー色満載の部分だけ我慢すれば、あとは、ファンキー・ジャズのリズム&ビートとフレーズ展開に乗ってはいるが、そこに出てくるヤングの、ベンソンのパフォーマンスは純ジャズそのもの。
ファンキー・ジャズのリズム&ビートとフレーズ展開に乗った、硬派で尖ったメインストリーム・ジャズと捉えれば、この盤はなかなか面白い内容だということに気がつく。加えて、この盤のジャケット・デザインと、ラストのボーカル曲の存在が、この盤の評価を下げているんだろうな。まあ、これは仕方がない。
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