ロイドのサイケデリック・ジャズ
CTIレーベルのアルバムをカタログ順に聴き直してみると、CTIレーベルは、今までジャズ雑誌などで語られていた「CTIレーベルは、クロスオーバー&フュージョン・ジャズの専門レーベル」というのは、ちょっと違うのでは無いか、と思い始める。
クロスオーバー&フュージョン・ジャズばかりではなく、コンテンポラリーな純ジャズもあれば、ECMレーベルばりのニュー・ジャズもある。無いのは、フリー&スピリチュアル・ジャズだけ。つまり、CTIレーベルは、1970年代のコンテンポラリー・ジャズにおける代表的レーベルでは無いのか、ということ。意外とCTIレーベルは奥が深い。
Charles Lloyd Quartet『Waves』(写真左)。1972年の作品。ちなみにパーソネルは、Charles Lloyd (ts, fl, alto-fl), Gábor Szabó, Tom Trujillo (g), Roger McGuinn (12-string g), Wolfgang Melz, Roberto Miranda (b), Woodrow Theus II (ds, perc), Mayuto Correa (perc)。
パーソネルを見渡すと面白い。ギタリストのガボール・ザボ、ドラマーのサンシップ・テウスなどの、ちょっと風変わりなジャズ・ミュージシャンと、バーズのギタリスト、ロジャー・マッギンやビーチ・ボーイズのメンバーなどのロックアーティストが参加している。どう見ても、このパーソネルでは、正当なクロスオーバー&フュージョン・ジャズや、コンテンポラリーな純ジャズは無理というもの。
しかし、1960年代後半、キース・ジャレット、ジャック・デジョネット、セシル・マクビーを擁したカルテットで、コンテンポラリーな純ジャズを展開、一世を風靡したテナー・マン、チャールズ・ロイドが、この盤では、サイケデリック&エキゾチックな「ニュー・ジャズ」の手を染めているとは思わなかった。
ビーチ・ボーイズのようなコーラス・ワークが出てきたり、トロピカルなウェスト・コースト・サウンドが出てきたり、プログレッシヴな展開のサイケデリックなジャズ・ロックが出てきたり。この盤の音世界は、従来のジャズとは全く異なる、1970年代独特の「ニュー・ジャズ」の範疇の音世界である。
出てくる音も、どの曲も色彩豊かなサウンドが主で、特にガボール・ザボのギター、チャールズ・ロイドのフルート、そして、パーカッション隊のバラエティーに富んだリズム&ビートが、サイケデリックな雰囲気を増幅させている。
このニュー・ジャズの音世界は、1970年代のECMレーベルのニュー・ジャズを理解するジャズ者の方々には「ウケる」と思うが、一般的には理解されることは少ないだろう。しかし、これもジャズで、特にこの手のサイケデリック&エキゾチックな「ニュー・ジャズ」は、1970年代のジャズ・シーンに集中している。
一般「ウケ」はしないが、意外とこの盤は、サイケデリック・ジャズの秀作の一枚。たまに引き出してきては、2度3度、繰り返し聴いている。
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