ジャス喫茶で流したい・327
ブルーノート4300番台の後半のアルバムなので、過度な期待をせずに、恐らく、べったべたのソウル・じゃずか、新主流派のパフォーマンスを推し進めた、限りなく自由度の高い、ほぼフリー・ジャズか、と予想して聴いたのだが、いやはや、ビックリ。冒頭の「At the Source: Ashes & Rust/Eucalyptus/Obsidian」を聴いて、これは、と思わず身を乗り出した。
Bobby Hutcherson『Head On』(写真左)。1971年7月1ー3日、ロサンゼルスの「Poppi Recording Studios」での録音。ブルーノートの4376番。ちなみにパーソネルは、以下の通り。米国のジャズ・ヴィブラフォン奏者であるボビー・ハッチャーソンが、1971年に録音した、当時の独創的なニュー・ジャズの一枚。メインストリームな展開に、フリー、アヴァンギャルドな展開が見え隠れする、トータル・ジャズである。
Bobby Hutcherson (vib, marimba), Todd Cochran (p, arr), Oscar Brashear (tp, flh), George Bohanon, Louis Spears (tb), Willie Ruff (French horn), Fred Jackson, Jr. (piccolo), Harold Land (ts, fl), Delbert Hill, Charles Owens, Herman Riley, Ernie Watts (reeds), William Henderson (el-p), Reggie Johnson, James Leary III (b), Leon "Ndugu" Chancler, Nesbert "Stix" Hooper, Woody Theus (ds), Warren Bryant (congas, bongos), Donald Smith (vo)。
1960年代の新主流派的なアプローチから一歩踏み出し、アフロ・スピリチュアル、フリー・ジャズ、クラシカルな現代音楽の要素を融合させた、非常に尖った内容の「異色かつ野心的な傑作」である。いわゆる1970年代、チック・コリアやキース・ジャレットらが推進した、コンテンポラリーなメインストリーム志向の硬派な純ジャズと同じ音の響きが、音の輝きが充満している。
アルバムには、1960年代に無い、新しいモダン・ジャズの響きが満ち満ちている。映画音楽のようでもあり、クラシカルで前衛的なインプロヴィゼーション、混沌としたフリー・ジャズの色合いが濃厚ディープな展開、ソリッドなリズムと特異なアフロ・キューバン調のビートが絡み合うスピリチュアル・ジャズ。洗練された耽美な響きの中に、鋭い緊張感が走る、1970年代のモード・ジャズ。
東海岸のジャズの、限りなく自由度の高い、マイルス&マイルス門下生を中心とする、エレクトリック前提のクロスオーバーな音世界と、西海岸ジャズから引き継がれた洗練されたキャッチーな展開が融合した、1970年代の先端を行く、コンテンポラリーなメインストリーム志向の硬派な純ジャズの萌芽がこのアルバムに溢れている。ブルーノートの4300番台の後半という位置づけで、ちょっとばかし「損をしている」隠れ名盤である。
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