2025年11月28日 (金曜日)

藤井郷子カルテットを聴き込む

「ジャズ・ピアニスト、山下洋輔、年内で演奏活動一時休止 休養へ」のニュースが流れて、案漠たる気持ちに包まれている。山下洋輔さんの諸作は、ジャズを本格的に聴き始めた頃から、頑張って耳にしてきた。この時、我が国のフリー・ジャズって、かなりレベルが高く、個性が突出している。日本のフリー・ジャズについては、時々ではあるが、しっかりと聴きこんでいる。

藤井郷子カルテット『Dog Days of Summer』(写真左)。2024年4月8日、東京 小岩での録音。ちなみにパーソネルは、藤井郷子 (p), 田村夏樹 (tp), 早川岳晴 (el-b), 吉田達也 (ds)。我が国のフリー&スピリチュアル・ジャズの鬼才、藤井鄕子の疾風怒濤、豪放磊落な、フリー&スピリチュアルなコンテンポラリー・ジャズのカルテット盤である。

それそれの楽器の切れ味が抜群。切れ味良く、鮮明で美しい、躍動感溢れるトランペット。切れ味良く、パーカッシヴに流麗に、不協和音を織り交ぜつつ、耽美的にリリカルにダイナミックにスピリチュアルに弾きまくるピアノ。切れ味良く、ソリッドな重低音ベースで、自由度溢れるパフォーマンスの底を支えるエレベ、そして、気味良く、演奏のリズム&ビートを、変幻自在、硬軟自在、緩急自在にを支えるドラム。切れ味の良い楽器が有機的に結合し、有機的にインタープレイを繰り広げる。
 

Dog-days-of-summer

 
トランペット、ベース、ドラムが、まるでファンファーレのようにアルバムの火蓋を切る幕開けから、バンド全体、強烈な一体感を持って、コンテンポラリーなメインストリーム・ジャズよろしく疾走する。バラードチックにチェンジ・オブ・ペースをすると、バンド全体、スピリチュアルで耽美的でリリカルなパフォーマンスを展開する。変幻自在。そして、アドリブ展開では、ところどころ、フリーに展開し、時にパーカッシヴに、時にスピリチュアルに、音の響きを使い分ける。

このカルテットのスピリチュアルなグルーヴは独特のもので、実に個性的。どこか、プログレッシヴ・ロック的なところもあるし、どこか、耽美的でリリカルなニュー・ジャズ的な響きもする。この即興演奏をベースとするスピリチュアルなグルーヴは、米国や甥州には無い個性的なもの。このグルーヴを堪能するだけでも、この盤を体験する意義がある。

実に個性的な音世界である。我が国を代表する、コンテンポラリーで、フリーで、スピリチュアルなジャズとして、この藤井郷子カルテットの音世界は隅に置けない。ジャズ、ロック、パンク、プログレ・・・ジャンルの垣根を越えた、コンテンポラリーで、フリーで、スピリチュアルな融合音楽。自由でありキャッチーであり規律溢れる現代のコンテンポラリー・ジャズの「今」を感じる事の出来る傑作だと思う。
 
 

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  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

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2025年11月14日 (金曜日)

山下洋輔トリオ”Dancing 古事記”

山下洋輔トリオが早稲田大学本部のバリケードの中で演奏する「バリケードの中のジャズ」という、当時のテレビの企画での演奏を録音したもの。学園紛争という「取り巻く時代」の話は全く抜きにして、純粋に、当時の「山下洋輔トリオ」のパフォーマンスのみをここでは語りたい。

山下洋輔トリオ『Dancing 古事記』。1969年7月「早稲田大学本部キャンパス8号館B1F」での録音。ちなみにパーソネルは、山下洋輔 (p), 中村誠一 (ts, ss), 森山威男 (ds), 彦由常宏 (演説 on trk.1) 。記念すべき「山下トリオ」のデビュー作。1971年、麿赤児と立松和平の自主制作LPとして発売。

冒頭、学園紛争名物「アジテーション」。今の人達にはなんだこれ、だろう。僕達には懐かしい響き。こういうアジテーションが学園紛争で前面に立っていた「闘士」達の主張のスタイルだった。で、続いて「テーマ」に弾き継がれる。ここからが、山下洋輔トリオの真骨頂。のっけから、山下トリオは疾走する。

山下洋輔のピアノは、いきなり「全力疾走」。凄まじいパワー、凄まじい指回し。緩み無く、拠れも無い。正確無比にフリーで創造的なフレーズを、全力疾走で弾きまくる。それに絡む森山威男の、これまた凄まじいドラミング。山下と森山のフリーでありながら整然としたインタープレイの中、中村誠一のサックスが乱入参戦。3者混然一体となった、凄まじい、フリーでありながら整然とした、即興演奏インタープレイが暴風雨の様に吹き荒れる。
 
Dancing  
 
続いて「木喰(もくじき)」。出だしのスピリチュアルで耽美的な、ゆったりとしたフレーズが美しい。そして、徐々に、山下トリオの真骨頂、3者混然一体となった、凄まじい、フリーでありながら整然とした、即興演奏インタープレイの音世界に突入していく。このアドリブ・フレーズの嵐における「イマージネーションの豊かさ」は特筆に値する。

無手勝流に、気の向くままに即興演奏インタープレイをしているのでは無い。しっかり、理路整然とイマージネーションを広げ、それをフリーな音に落とし込んで、即興インタープレイに展開する。フリーの演奏とはいえ、その演奏展開は「理知的」。そこが良い。

それと、以前からこれは強く感じているが、トリオを形成する3人のジャズマン。演奏力が半端ない。テクニック、歌心、正確さ、どれをとっても超一流の演奏力。この半端ない演奏力が、理知的で理路整然とした、フリーな即興インタープレイを可能としている。そして、この理知的で理路整然とした、フリーな即興インタープレイこそが、山下洋輔トリオの唯一無二の個性なのだ。

「ジャズ・ピアニスト、山下洋輔、年内で演奏活動一時休止 休養へ」のニュースが流れて、案漠たる気持ちに包まれている。報告文の最後に「長年にわたる山下洋輔へのご注目・応援、ありがとうございました」と書かれているのが気になる。そして、思わず、山下洋輔のパフォーマンス、和フリー&スピリチュアルな音世界を聴き直してみたくなった。その第一弾が、この『Dancing 古事記』であった。名盤である。
 
 

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2025年11月13日 (木曜日)

スピリチュアルな ”自画像” 盤

「ジャズ・ピアニスト、山下洋輔、年内で演奏活動一時休止 休養へ」のニュースが流れて、思わず「えっ」。最近、山下洋輔さんの話題を聞かないなあ、元気されてるのかなあ、とちょっと心配していたんだが、案の定である。報告文の最後に「長年にわたる山下洋輔へのご注目・応援、ありがとうございました」と書かれているのが気になるが。

ということで、我が国のフリー&スピリチュアル・ジャズを聴かねば、という想いに駆られ、昨日から、我が国のフリー&スピリチュアル・ジャズの名盤&好盤を選盤し、順番に聴き直している最中である。

鈴木勲『自画像』(写真左)。1980年の作品。Paddle Wheelからのリリース。ちなみにパーソネルは、鈴木勲(b, 他)。アルバムの宣伝文句を借りると「ウッドベース、ハモンドオルガン、ヴォコーダー、大正琴、二胡といった多種多様な楽器と自身のボーカルを、多重録音を駆使して重ね合わせ、たった一人の手で作り上げられた作品」。当時として、相当な「異色作、問題作」であろう。

特注のピッコロ・ベース、ウッド・ベース、ハモンド・オルガン、スピネット、ボコーダー、スキャット、大正琴、中国の二胡(胡弓)、風の音などを一人で多重録音した、フリー&スピリチュアル・ジャズな内容の秀作。多重録音として、実際の録音時には苦労しただろう、と思われる、多重録音でありながら、ジャズの「キモ」である、即興演奏な雰囲気を損なっていないところが凄い。
 
Photo_20251113202501  
 
20種類以上の楽器を繰って多重録音.歌までうたう、しかも、その内容は、当時として最先端の「フリー&スピリチュアル・ジャズ」。ジャズ者の間で賛否両論渦巻いたのは想像に難くない。当時の「ジャズの範疇」から大きく外れていたのだから仕方の無いことだが、今の耳で聴くと、意外と内容的に整った、創造性溢れる、コンテンポラリーな「スピリチュアル・ジャズ」に聴こえるから不思議だ。

当時のジャズの語法を全く無視した、官能的で感覚的で印象的な、多重録音による即興演奏。その響きはまさに「スピリチュアル」。フリーな展開もあるにはあるが、さすがに多重録音なので、完全フリーな展開は抑制されている。その分、ボコーダーやスキャット、そして、ハモンドオルガンを活用して、スピリチュアルな音要素を増強している。これが巧妙。これが、この異色作を「和スピリチュアル」な名盤たらしめている。

決して、アブストラクトでも、ストレンジでも無い。しっかりと、理路整然とフリー&スピリチュアル・ジャズしている。とにかく、様々な楽器の使い方が上手い。そして、その様々な楽器をしっかり統率し、一体とさせているのが、鈴木勲のベース。超弩級の重低音を鳴り響かせながら、スピリチュアルなリズム&ビートを弾き出している、

作曲、演奏のみならずジャケットアートワーク、ライナーノーツに至るまでを自身で手がけた、名実共に「自画像」な作品。ジャズというジャンルの中で、米国にも欧州にも無い、唯一無二な音世界。我が国のジャズ・シーン発信の、フリー&スピリチュアル・ジャズの名盤として良いと思う。
 
 

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2025年11月 6日 (木曜日)

ジャス喫茶で流したい・305

僕が本格的にジャズを聴き始めたのが1978年。そして、その翌年、このアルバムを聴いた時、その時点での、その時代での日本のジャズは、世界のジャズに比肩するレベルにあることを初めて確信した。我が国の音楽は、西洋、欧州や米国の後塵を拝してきたイメージがあったが、ジャズは違う。そう感じさせてくれたアルバムがこれだった。

富樫雅彦 & 鈴木勲『陽光』(写真左)。1979年2月1-3日、東京での録音。ちなみにパーソネルは、富樫雅彦 (ds, perc, synth, solina), 鈴木勲( b, piccolo-b, cello, p, solina)。我が国の純ジャズ系ドラマーの鬼才レジェンド、富樫雅彦と、我が国のジャズ・ベーシストのレジェンド、鈴木勲とのデュオ盤。

富樫雅彦は本職はドラム、鈴木勲は本職はベース。ドラムとベースのデュオか。ちょっと地味な感じがして、聴いていて飽きなければ良いが、と思いつつ、レコードの針を落としたら、ほど無くピアノの音が滑り込んできたので、あれ、ドラムとベースのデュオじゃなかったか、とパーソネルを見ると、富樫がシンセサイザーを、鈴木がピアノとシンセサイザーを弾いていて、の多重録音。
 

Photo_20251106222001   

 
演奏の基本は、フリー〜スピリチュアル・ジャズ。フリーの部分は、米国東海岸の様な、激情に身を預けて、心の赴くまま、無勝手流に弾き散らすのでは無く、現代音楽のエッセンスを融合した、広がりと間を活かした即興演奏をベースとした、独特のフリー・ジャズ。演奏全体の透明度と間の静謐度の濃い演奏は、欧州のECMレコードに通じる、レベルの高いものだった。

理路整然としたフリーな演奏、その透明度の高さ、間の静謐度の高さは、和ジャズ独特の「侘び寂び」を基本とした、スピリチュアル・ジャズを表現している。リズム&ビートは即興をベースとしていて、この辺りは、ECMレコードの「ニュー・ジャズ」を展開を踏襲している様に感じるが、音の暖かさとカラフルさは、和ジャズ独特の「ニュー・ジャズ」である。

冒頭の「A Day Of The Sun」。シンセとピアノのイントロからサンバ・ビートに展開するスピリチュアル・ナンバー。このタイトル曲に代表される様に、この盤には、我が国独特のフリー〜スピリチュアル・ジャズが詰まっている。1979年度・スイング・ジャーナル誌ジャズ・ディスク大賞受賞作品。この大賞受賞は納得。世界のジャズに比肩する、アーティスティックな、ニュー・ジャズ志向のフリー〜スピリチュアル・ジャズでした。和ジャズの名盤の1枚でしょう。
 
 

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2025年10月25日 (土曜日)

BNのスピリチュアル盤の秀作

4200番台も終盤にきて、いよいよ、売上最優先、大衆に訴求するイージーリスニング・ジャズに手を染め出したブルーノート。

大手のリバティーに買収され、総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンも引退し、いよいよ、ジャズの歴史の、ジャズのトレンドの番人の様な存在だったブルーノートも終わりかな、と思っていたら、こんな硬派な純ジャズ志向のアルバムを出したりするから、隅に置けない。

『Eddie Gale's Ghetto Music』(写真左)。ブルーノートの4294番。1968年9月20日の録音。ちなみにパーソネルは、Eddie Gale (tp, kalimba, steel drum, bird whistle), Russell Lyle (ts, fl), Jo Ann Gale Stevens (g, vo), James "Tokio" Reid, Judah Samuel (b), Richard Hackett, Thomas Holman (ds)。ここに、11声の合唱団が加わる。

米国のトランペット奏者、エディ・ゲイルのデビュー作になる。エディ・ゲイルは、セシル・テイラーとの共演、サン・ラ・オーケストラでのフリージャズでの活動で知られたトランペット奏者。ゲイルの基本的な演奏スタイルは、フリー&スピリチュアル。

このアルバムに詰まっているジャズは、1960年代の新しいジャズとゴスペル、ソウル、ブルースをシームレスに融合、フリー・ジャズ、R&B、ワールド・ミュージック的要素が混在する驚異のスピリチュアル・ジャズ。しかし、非常に聴きやすい作品で、旋律、メロディー、ハーモニーはしっかりと保たれている。
 

Eddie-gales-ghetto-music

 
フロント管の相方にラッセル・ライルのサックス&フルートを従えた2管フロント。加えて、ダブル・ベースにダブル・ドラム、そして11声のバックコーラスを配した、迫力のスピリチュアル・ジャズである。

無勝手流の、自由気ままに吹きまくるフリーな吹奏は無く、洗練されたポリリズムと分厚いコーラスをバックに、現代音楽的なフリーな響きとスピリチュアルな響きが全体を支配する。

「Fulton Street」では、アフリカの民族音楽とラテンジャズの美しい旋律が見え隠れ、「A Walk with Thee」は行進曲のテンポで書かれたスピリチュアル・ジャズ。リズム&ビートは互いに対位法で叩きまくり、フロントラインは東洋的なハーモニー感覚を通して伸びやかなメロディーラインを奏でる。

最後の「The Coming of Gwilu」は、ジャマイカンなカリン場の音色、アーケストラ風の高揚するボーカル、ポリリズミックなリズム&ビートで、新しいスピリチュアル・ジャズの響きを表現している。

米国の都市部でアフリカン・アメリカンの貧困層が形成する「ゲットー(Ghetto)社会」をテーマとしている「政治的意図」を明確にしたアルバムだが、小難しいところは微塵も無い。

そんな「Ghetto Music」をコンセプトにブラック・パワーを表現している異色盤である。しかし、ブルーノートのカタログの中でも最も知られていないアルバムの一つでもある。ただし、内容は良い。1960年代後半のスピリチュアル・ジャズの秀作の一枚だろう。
 
 

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2025年8月11日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・293

ブルーノート・レーベルは懐の深い、硬派なレーベルである。必要最低限しか商業主義に走らない、これは、と感じた、その時その時のジャズのトレンド、ジャズのスタイルを分け隔て無く記録に残す。そして、ジャズマンの演奏志向を良く理解し、それを最優先に録音する。だからこそ、ブルーノートは今でも尊敬され、一目置かれるレーベルとして君臨しているのだ。

Rivers『A New Conception』(写真左)。1966年10月11日の録音。ブルーノートの4249番。ちなみにパーソネルは、Sam Rivers (ts, ss, fl), Hal Galper (p), Herbie Lewis (b), Steve Ellington (ds)。サム・リヴァースの3枚目のリーダー作。サム・リヴァースによる7曲のジャズ・スタンダード曲の解釈が収録されている異色盤。

新主流派、そして、フリー&スピリチュアル・ジャズの雄、サム・リヴァースが、スタンダード曲に挑んだ、ブルーノートの異色盤。しかし、ただの「スタンダード曲」への挑戦では無い。当時、サム・リヴァースが持っている、サックス&フルート吹奏のテクニックの全てを総動員して、スタンダード曲を解釈している。つまり「リヴァースが考えるスタンダード演奏」な内容なのだ。

冒頭の「When I Fall in Love」から、ラストの「"Secret Love」までを聴けば、それが良く判る。初めのテーマを吹奏するところは、ハードバップ、若しくは、イージーリスニング・ジャズ志向の、流麗でテーマに忠実な吹奏。これが、確かなテクニックで吹かれるので、テーマの魅力がダイレクトに伝わる。リヴァースの吹奏の歌心がビンビンに伝わる。
 

Riversa-new-conception

 
そして、アドリブ部に入ると、モードに展開する。リヴァース十八番の、成熟したモーダルな展開。自由度は高いが、吹き回しが流麗なので、とても耳に優しい。そして、時々、フリーにアブストラクトに展開する。バラード曲では、スピリチュアルな響きがとても魅力的、フリー&スピリチュアル・ジャズの雄、サム・リヴァースの面目躍如。

ハードバップで入って、モードに展開し、時々、フリーにアブストラクトに効果的に展開し、スローな曲調では、スピリチュアルな雰囲気全開。そして、どのスタイルで吹いても、底に流れる「歌心」。これが「リヴァースが考えるスタンダード演奏」である。

今の耳で聴いても、新しい響き。今の耳で聴いても、全く違和感は無い。今の、現代のジャズのスタンダード解釈は、この1966年のサム・リヴァースのリヴァースが考えるスタンダード演奏」と変わりが無い。リヴァースは自分の演奏志向と聴き手とのバランスを、しっかりと考えることの出来るジャズマンだったのだろう。

このリーダー作では、聴き手の立場に立って、スタンダード曲を解釈するリヴァースが透けて見える。そして、このリヴァースの企画にゴーサインを出した、ブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンの慧眼。ブルーノート4249番、ブルーノート4200番台の名盤の1枚である。
 
 

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2025年8月 6日 (水曜日)

ヤングの個性の ”正しい表出”

ラリー・ヤング(Larry Young)。ラリー・ヤングは、1940年10月生まれなんだが、1978年3月、37歳で鬼籍に入っている。今から、もう40年も前のことになる。それでも、プレスティッジとブルーノートを中心に、十数枚のリーダー作を残してくれているので、彼のユニークなオルガンを追体験することが出来る。

ラリー・ヤングのオルガンは「オルガン界のコルトレーン」と形容される。ソロ・パートに入ると、コルトレーンばりの「シーツ・オブ・サウンド」で弾きまくる。そして、このアルバムは、「オルガン界のコルトレーン」の形容を更に強固なものとしてくれる。

Larry Young『Of Love and Peace』(写真左)。1966年7月28日の録音。ちなみにパーソネルは、Larry Young (org), Eddie Gale (tp), James Spaulding (as track:1, 3, 4, fl), Herbert Morgan (ts), Wilson Moorman III, Jerry Thomas (ds)。
 
この盤は、オルガンがメインの「自由度を最大限に高めたジャズ」である。モードとフリーを適材適所に織り交ぜ、素晴らしくフリー&スピリチュアルなオルガン・ジャズがここにある。

まず、編成がユニーク。ダブルドラム、3管フロントにラリーのオルガンが加わる。ベースはもちろんギターもおらず,パーカッションもいない。自由度を最大限に追求することの出来る、変則セクステット。この編成は誰が考案したんだろう。
 

Larry-youngof-love-and-peace
 

ゲイルのトランペットとスポルディングのアルト・サックスが「スピリチュアル」な雰囲気を醸し出す。モーガンのテナー・サックスが、3管フロントの音の厚みに貢献する。ダブルドラムが、フリーな展開に、リズム&ビートな明確な指針を叩き出す。

ラリー・ヤングのオルガンが、モードに展開し、フリーに展開し、スピリチュアルに展開する。自由度を最大限に高めた即興演奏を現出する為の、八面六臂のオルガンの弾き回し。そして、これが正しく機能して、当時としては珍しい、オルガンがメインのフリー&スピリチュアル・ジャズが展開されている。

といって、自由に弾きまくる、吹きまくるフリー&スピリチュアルでは無い。メインはモード・ジャズ。しっかりと規律を保った、限りなく自由度を高めたモード・ジャズ。

そんなモード・ジャズ本流の中に、フリーな展開、スピリチュアルな展開が織り交ぜられる。規律の中のフリー、規律の中のスピリチュアル。パワーと理性のバランスが取れた、オルガンがメインの「自由度を最大限に高めたジャズ」。

商業ジャズで無い。ジャズの本来の「芸術性」を追求した様な、ストイックで硬派な内容にワクワクする。ラリー・ヤングの「オルガン界のコルトレーン」と形容される個性がストレートに出た好盤。腰を据えて、じっくりと耳を傾けたい。
 
 

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2025年7月 2日 (水曜日)

”ウルマーのジャズファンク” 再聴

レココレ2025年7月号の特集「ジャズ/フュージョン・ギターの名演・洋楽編」。モダン・ジャズ、クロスオーバー/フュージョン・ジャズの範疇の中の名盤・好盤の中で、ギターに特化して評価できるアルバムをピックアップして紹介している特集記事で、これが意外と興味深い内容。

当ブログでは、その「ジャズ/フュージョン・ギターの名演・洋楽編」で紹介されているアルバムの中から、再聴したい盤、当ブログで記事にしていない盤をピックアップしてご紹介している。

James Blood Ulmer『Are You Glad to Be In America?』(写真左)。1980年1月17日、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、James Blood Ulmer (g, vo), David Murray (ts), Oliver Lake (as), Olu Dara (tp), Billy Patterson (Spaceman Patterson) (rhythm-g, track 4), Amin Ali (el-b), G. Calvin Weston, Ronald Shannon Jackson (ds)。

久しぶりに聴いた。再聴である。オーネット・コールマンを師とする鬼才ギタリスト、ジェームス・ブラッド・ウルマ―の1980年作。しかし、出てくる音は「マイルスのジャズ・ファンクから、おどろおどろしい、ダークなファンクネスを差し引いて、あっけらかんとしたファンクネスだけを残した、「脳天気」なエレクトリック・ジャズ・ファンク。
 

James-blood-ulmerare-you-glad-to-be-in-a

 
ハードではあるが、ファンクネスがドップリ染み込んでいて、リズム&ビートが効きまくり、グルーヴ感が半端無い。それはそれは凄まじいエレギである。鉈で薪をガシガシとシャープに割っていくような、ビートが明確でしっかりしたリフ。

一聴して、すぐに「ジェームス・ブラッド・ウルマ―のエレギやな」と判るほどの強烈な個性のエレギ。ジャズ、ファンク、ハードロック、ブルース、それぞれの濃い部分を混ぜ合わせた熱いエレギが鳴っている。録音当時は、ソフト&メロウなフュージョン・ジャズが流行だったが、この盤の音世界は、そんなフュージョン・ジャズの流行の音とは真逆の音世界。

ウルマーのジャズファンク疾走エレギに、アリのブリブリなベース、官能的で圧巻なデヴィッド・マレイのテナー・サックス、オリバー・レイクのアルト・サックスが絡んで来て、正確で呪術的なダブル・ドラムと渾然一体となり、独特の「脳天気」なエレクトリック・ジャズ・ファンクなグルーヴが「凄まじい」。

この盤の音世界は、今の耳で聴き直すと、現代の躍動感溢れスリリングな「スピリチュアル・ジャズ」の先駆け。 今の耳にも、古さは全く感じない。ジェームス・ブラッド・ウルマ―のエレギの個性と「凄まじさ」を感じるに最適なアルバムだと思う。ちなみに、ジャケットの種類が、リリース・タイミングによって、幾つもあるようなので、気をつけられたい。 
 
 

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2025年6月13日 (金曜日)

ヒルの考える ”アバンギャルド”

レココレ誌の執筆陣が選んだ、ブルーノート盤の「ベスト100」。まずは、このレココレ誌が選んだ「ベスト100」のアルバムの中で、当ブログで扱ったことが無いアルバムをピックアップして聴き直していくことにしている。と、ベスト100の中で、10枚ほどが、当ブログで扱ったことが無いアルバムとして残っているが、全部、フリー、スピリチュアル、アバンギャルドなジャズのアルバムだけが残った。

Andrew Hill『Compulsion!!!!!』(写真左)。1965年10月8日の録音。ブルーノートの4217番。ちなみにパーソネルは、Andrew Hill (p), Freddie Hubbard (tp, flh), John Gilmore (ts, b-cl), Cecil McBee (b), Joe Chambers (ds), Renaud Simmons (conga, perc), Nadi Qamar (perc, African drums, thumb piano), Richard Davis (b, track 3)。基本、セプテット編成。

リーダーのアンドリュー・ヒルは、モンクの如く幾何学的にスイングするモーダルなピアニスト。「判り易い平易で明るいモンクの様な幾何学的にスイングし音飛びするピアノ」という個性をしっかり表現している。基本はモーダルなピアノ。時々、アブストラクトにブレイクダウンする。

そんなヒルが、フリー、スピリチュアル、アバンギャルドなジャズにチャレンジする。パーソネルを見渡すと、バンド・サウンドを形成するメンバーは、皆、フリー、スピリチュアル、アバンギャルドなジャズを得意とする面子がズラリ。テナーのジョン・ギルモアとか、ベースのセシル・マクビーとか、そして、アフリカンなパーカッションが二人、入っている。
 

Andrew-hillcompulsion

 
演奏全体の雰囲気は「オーネット・コールマン」のフォロワー的アバンギャルド・ジャズ。オーネットのアバンギャルド・ジャズな必要最低限の決め事に則り、ヒル独特の理路整然としたアバンギャルド・ジャズが繰り広げられる。アバンギャルド・ジャズ、時々フリー・ジャズ、時々スピリチュアル・ジャズ、といった展開。よくリハーサルされたであろうことが良く判る、整然とした、規律溢れる、オーネット志向のアバンギャルド・ジャズ。

しかし、オーネットのアバンギャルド・ジャズの物真似では決して無い。しっかりとヒルの個性を反映して、ヒル独特のアバンギャルド・ジャズに昇華させている。ヒルの「判り易い平易で明るいモンクの様な幾何学的にスイングし音飛びするピアノ」の個性を、このアバンギャルド・ジャズにしっかり反映させている。

演奏全体の雰囲気は「オーネット志向」、そのサウンド、その音世界は、ヒル独自の「判り易い平易で明るい、幾何学的にスイングし音飛びする」展開。アバンギャルド・ジャズでありながら、難解な展開は極力回避しつつ、アフリカンなグルーヴを醸し出しつつ、モーダルなフレーズをメインとした、限りなく自由度の高い、理路整然としたアバンギャルド・ジャズが展開される。これがこの盤の「キモ」だと僕は感じている。

フリー、スピリチュアル、アバンギャルドなジャズを苦手とする向きにも、十分に訴求する「ヒルの考えるアバンギャルド・ジャズ」。限りなく自由度の高いモード・ジャズを聴き通せるスタミナのある「ジャズ耳」の持ち主であれば、この「ヒルの考えるアバンギャルド・ジャズ」は聴き通せると思う。そして「オーネット志向」の音の響きをしっかりと味わえると思う。
 
 

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2025年5月13日 (火曜日)

スピリチュアルなジョーヘン盤

なんだか、複雑でやっつけな収録曲の構成で、これが、ジャズの一流レーベルであるマイルストーンからリリースされているのが意外。プロデュースはあの「オリン・キープニュース」。このスタジオ録音とライヴ録音のちゃんぽん、パーソネルもガラッと違う2つのセッションを混ぜこぜにしたのか、理解に苦しむ。

Joe Henderson『In Pursuit of Blackness』(写真左)。1971年、マイルストーン・レーベルからのリリース。1971年5月12日(#1, 3, 5)、NYのDecca Studiosでの録音。1970年9月25–26日(#2, 4)、L.A.ハモサビーチのLighthouse Caféでのライヴ録音。リーダーは、テナーのジョー・ヘンダーソン(略して「ジョーヘン」)。ちなみにパーソネルは、以下の通り。

1970年9月25–26日のライヴ録音が、Joe Henderson (ts), Woody Shaw (tp), George Cables (el-p), Ron McClure (b), Lenny White (ds), Tony Waters (congas)。

1971年5月12日のスタジオ録音が、Joe Henderson (ts), Curtis Fuller (tb), Pete Yellin (as, fl, b-cl), George Cables (el-p), Stanley Clarke (b), Lenny White (ds), Tony Waters (congas)。

1970年9月25–26日(#2, 4)、L.A.ハモサビーチのLighthouse Caféでのライヴ音源は、Joe Henderson Quintet『At The Lighthouse』と『Jazz Patterns』があるが、2曲目「Invitation」は『Jazz Patterns』(1982年リリース)の1曲目との重複音源だが、この盤のリリース時点では初出。4曲目「Gazelle」は、この盤だけの収録で初出。
 

Joe-hendersonin-pursuit-of-blackness

 
しかし、ジョーヘンならではのモード・ジャズは、確立されていた感があって、この盤のスタジオ録音にも、ライゔ録音にも、ブレのない、迷いのない、ジョーヘンならではのモード・ジャズが、自信たっぷりに展開されている。

まず、1970年9月25–26日のライヴ録音では、フロント管のジョーヘンのテナーと、ショウのトランペットの相性が抜群なのが良く判る。1971年5月12日のスタジオ録音では、フロント管を担う、ハードバップ時代のトロンボーンの名手フラーが、ジョーヘンならではのモード・ジャズに完全適応しているのにビックリ。

そして、2つのセッション共通の、ケイブルスの端整なエレピが素晴らしく、レニー・ホワイトのドラミングもモーダルに叩きまくっていて素晴らしい。1971年5月12日のスタジオ録音には、ベースにスタンリー・クラークがベースに入っていて、これがまた、スピリチュアルなベースラインを弾きこなしていて素晴らしい。

この2つのセッションのちゃんぽん盤は、タイトルから何となく雰囲気を感じ取れる「スピリチュアル・ジャズ」な内容がメインと聴いた。この盤は、ジョーヘンならではのモード・ジャズをベースとした「スピリチュアル・ジャズ」と解釈している。

収録されている2つのセッションのどの曲も、テクニック優秀、熱気が溢れ、モーダルでスピリチュアルな雰囲気が横溢する、レベルの高い演奏が展開されている。ジョーヘンのスピリチュアル・ジャズ」な好盤です。
 
 

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   エリック・クラプトンの一部のアルバム紹介を移行しました。

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