ライオネル・ハンプトン健在
1982年と言えば、フュージョン・ジャズが全盛期を越えて、下降線を辿り始めた頃。それでも、その人気はまだまだ維持されていて、純ジャズ、ましてや、スイング・ジャズの入り込む余地は無かった。が、フージョン・ジャズの全盛のアンダーグラウンドで、純ジャズは生き存えていた。そして、このライヴ・アルバムでは、スイング・ジャズもしっかりと継承されていたことが確認出来る。
Lionel Hampton And His Orchestra『Made In Japan』(写真左)。1982年6月1日は新宿厚生年金会館、6月3日は渋谷公会堂でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは以下の通り。スイング・ヴァイブの雄、ライオネル・ハンプトン率いるジャズ・オーケストラの東京のおけるライヴ録音。
Lionel Hampton (vib), John Colliainni (p), Todd Coolman (b), Duffy Jackson (ds), Sam Turner (perc)。以下はブラス・セクション、Glen Wilson, Yoshi Malta, Paul Jeffrey, Ricky Ford, Tom Chapin (sax), Trombone – Charles Stephens, Chris Gulhaugen, John Gordon (tb), Trumpet – Barry Ries, John Marshall, Johnny Walker, Vince Cutro (tp)。
ハンプトンの十八番である「Air Mail Special」や、ハンプトンおなじみのメドレー「Stardust - Moonglow」、フレディ・ハバード作曲の難曲「Jodo」を高速テンポで演じ切ったり、素晴らしいパフォーマンスがてんこ盛り。
それほどまでに内容の濃い、ライオネル・ハンプトンのヴァイブを始めとするスイング・ジャズの名演の数々がこのライヴ盤に記録されている。さらに素晴らしいのは、パーソネルを見渡すと、若手実力派を揃えたビッグバンドを率いていること。当時若手だった リッキー・フォード や、日本を代表するサックス奏者の MALTA(ヨシ・マルタ)、トム・チェイピンらが参加している。
当時70代半ばだったハンプトンであるが、その演奏は驚くほどパワフル。一糸乱れぬビッグバンドのアンサンブルと相まって、素晴らしいパフォーマンスを披露している。
若手実力派を揃えたビッグバンドということもあって、伝統的なスイングだけに留まらず、ハードバップやモードなど、当時として、モダンなジャズの感覚も反映されていて、懐古趣味などどこ吹く風、当時として、現代的でモダンなスイング志向のビッグバンドの音が実に良い。
単なる「ベテランの来日記念盤」を超えた、単なる来日記念公演という「お祭り騒ぎ」に留まらない、スイング志向の、モダンな感覚を融合させたビッグバンド・ジャズの傑作として評価して良い内容。かつてハンプトン率いるオーケストラが世界中を席巻した「スウィングの力」が、衰え知らずなことを証明した好ライヴ盤です。
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