2025年12月13日 (土曜日)

マルの秀作『The Quest』です。

フロントに、ドルフィーのアルト・サックスと、アーヴィンのテナー・サックスの2管。リズム・リズム・セクションは、リーダーでピアノ担当のマルに、ベースにチェロのロン、ウッドベースにベンジャミンの「ダブル・ベース」、そして、ドラムにパーシップというセクステット編成。

Mal Waldron『The Quest』(写真左)。1961年6月27日の録音。New Jazz (Prestige)からのリリース。ちなみにパーソネルは、Mal Waldron (p), Eric Dolphy (as, b-cl), Booker Ervin (ts), Ron Carter (cello), Joe Benjamin (b), Charlie Persip (ds)。ハードバップとアヴァンギャルドの中間に位置するユニークなパフォーマンスが個性際立つ好盤である。

マルのリーダー作という扱いではあるが、まず耳がいくのはドルフィーのアルト・サックス&クラリネット。この人のアルト・サックスは嫌が応にも、アドリブを2〜3フレーズ聴けば、もう「ドルフィー」と直ぐに判るくらい、個性的で特徴的な吹奏。この盤、ドルフィーのリーダー作扱いでリイシューされたことだってあるくらい(写真右)。

ただ、この人の吹奏ではフリーでは無い。他のジャズマンと同じフレーズを絶対に吹かない、他のジャズマンと全く異なるフレーズを吹くことを旨として、アドリブ対応している様に僕には感じる。

当然、そのフレーズはアブストラクトに傾くが、ちゃんと聴くと、必ず、ドルフィーなりの法則というか、マナーというか、吹き回しの理屈がある様に感じる。ただ、ドルフィーはモードではない。モーダルな吹奏もあるが、彼はモードだけを彼のパフォーマンスの拠り所としている訳では無い様なのだ。これが彼のユニークなところであり、唯一無二なところ。
 

Mal-waldronthe-quest

 
ドルフィーのフロントの相棒、アーヴィンのテナーも検討している。ドルフィー独特の吹き回しに、アーヴィンは堂々モードで対抗している様で、これが、ドルフィーを際立たせ、逆に、アーヴィンを際立たせる。アーヴィンのモードに照らし併せてドルフィーはモード・オンリーでは無いということが判り、ドルフィーの個性的な吹奏と比較すると、アーヴィンのテナーの吹奏がモードに準拠していることに、しっかりと気が付くのだ。

そんなフロント管の2人を支え鼓舞するマルの「黒い情感と適度なラフさ」が個性のピアノが、フロント2管の吹奏イメージに相性バッチリなのだ。硬質なややパルシヴなタッチでフロント2管を鼓舞し、ややアフストラクトに傾くが、決してフリーに走らない、伝統の範囲にギリギリ留まる「適度なラフさ」が、ドルフィーの唯一無二はアドリブ・フレーズに合致する。アーヴィンのモーダルなフレーズに合致する。これが、この盤の「キモ」の一つ。

ベース担当の二人、ロンはチェロでソロ・パートに対応し、ベンジャミンはアコベで演奏全体のリズム&ビートを支える。パーシップのドラムの大健闘。フロント2管のモードとアヴァンギャルド、マルのピアノの「適度なラフさ」によく対応し、的確に追従し、リズム&ビートの正しき方向をフロント2管とマルのピアノに指し示すような、示唆に富むドラミングに感心する。

マルのリーダーとしての「サウンド・コーディネート」力に感心する。やはり、このアルバムはマルのリーダー作が相応しい。この盤のそれぞれの演奏を追っていると、マルのピアノが演奏全体をリードし、サポートする雰囲気がそこはかとなく漂って来る。このマルのピアノのリーダーシップがあったからこそ、ドルフィーとアーヴィンは心おきなく、自らのアドリブ・波フォーマンスに集中出来たのだろう。秀作です。
 
 

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2025年12月11日 (木曜日)

お気に入りの「拳銃の報酬」

MJQのアルバムの中では地味な存在のアルバムだが、これがなかなかの内容の佳作なのだ。基本、サウンド・トラックなので、昭和のジャズ者の方々から「コマーシャルだ」と敬遠されていたのかもしれない。だが、実際に聴いてみると、サウンド・トラックという雰囲気が全くしない。MJQのオリジナル・アルバムだ、と言われても、自然と納得してしまう、なかなかの内容。

Modern Jazz Quartet『Music from Odds Against Tomorrow』(写真左)。1959年10月9–10日の録音。邦題「拳銃の報酬」。ちなみにパーソネルは、Modern Jazz Quartet(MJQ)= Milt Jackson (vib), John Lewis (p), Percy Heath (b), Connie Kay (ds)。MJQが、ストーリーに沿って作曲した初めてのサウンド・トラック盤。

まず、冒頭一曲目の「Skating in Central Park」が絶品。もともと、曲自体が絶品。以前、ニューヨークのセントラルパークのスケート場に行ったことがあるが、その時の、目の前に広がる風景、雰囲気が、まさにこの曲の曲想、雰囲気にピッタリ。穏やかな冬の午後の陽射しの中、家族で、恋人同士で、スケートを楽しむ。そんな光景が浮かんでくるような、典雅で流麗で暖かい曲。
 

Modern-jazz-quartetmusic-from-odds-again

 
この曲をミルト・ジャクソンのヴァイブと、ジョン・ルイスのピアノが、典雅に流麗に暖かく弾き進めて行く。そして、パーシー・ヒースのベースが、この佳曲のベース・ラインをしっかり押さえ、落ち着かせ、コニー・ケイのドラムが、ヴァイブとピアノのインプロに、リズム&ビートのアクセントを小粋に付けていく。絶品の6分7秒である。

この冒頭の「Skating in Central Park」のMJQの演奏のトーンが、以降の5曲に反映されて、サウンド・トラック盤らしからぬ、アルバムとしての音の統一感があって良い感じ。この盤のMJQの演奏のトーンは「クラシックの室内楽的なジャズ・カルテットの演奏」。どこかクラシックの流麗さを宿しつつ、ビートはオフ、アドリブ・フレーズの展開は明らかにジャジー。この盤には「MJQらしい」演奏がてんこ盛りである。

録音については、ちょっと硬質でドンシャリ。オーディオ的にジャズを聴く方々にとっては「駄盤」かもしれないが、演奏内容は豊かで良好、録音状態もあまり気にならない。僕にとっては、この盤、冒頭の「Skating in Central Park」にとどめを刺す。この1曲だけでも僕は満足。2曲目以降もMJQらしさ満載なので、僕にとっては愛聴盤。
 
 

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2025年12月 9日 (火曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤 119

ふと、ジョージ・ケイブルスが聴きたくなった。ジョージ・ケイブルス(George Cables)。1944年11月生まれ。今年で81歳になるベテラン・ピアニスト。ブレイキーやロリンズ、デックスなどのサイドメンを務める。僕は、復帰後のアート・ペッパーとの共演で、彼の名とプレイを知った。

George Cables『Icons & Influences』(写真左)。2013年9月16日の録音。ちなみにパーソネルは、George Cables (p), Dezron Douglas (b), Victor Lewis (ds)。深化する醸熟ブルージーなピアニスト、ジョージ・ケイブルス、79歳でのパフォーマンス。デズロン・ダグラスのベース、ビクター・ルイスのドラムをバックのリズム隊に擁した、ピアノ・トリオ編成。

彼のピアノは、しなやかな硬質さを持ったタッチ、適度に多弁なインプロビゼーション。聴いていて、実に端正であり、実に「雅」であり「粋」である。とにかく、聴いていて楽しい、「メインストリーム・ジャズ」をバッチリ感じさせてくれるピアノである。この盤でも、そんなケイブルスの個性的なピアノがてんこ盛り。

良く唄うピアノである。スタンダード曲はもとより、ミュージシャンズ・チューン、そして自作曲と、テーマの旋律が流麗な曲を選んでいるのか、ケイブルスの良く唄うピアノが、更に映えに映える。
 

George-cablesicons-influences

 
しなやかな硬質さを持ったタッチが軽快に、爽快感を撒き散らしながら、シーツ・オブ・サウンド風の速くてモーダルなアドリブを展開する。ほんの少しだけ、指がもつれるところはあるが、全く気にならない。

ブルージーな展開がとりわけ絶品。適度に多弁だが、端正で典雅で粋な弾きっぷりで、決して俗っぽくならず、上質の「聴かせる」ブルース志向のピアノ・インプロビゼーションに仕立て上げられていて見事。ケイブルス流のモーダルな展開が、これまた唄うが如くの雅さで、とてもお洒落でクール。当時、79歳とは思えない溌剌さと明快さ。

そして、ケイブルスの「ケイブルス流」のモーダルな展開は「古くない」。過去の”どこかで聴いた様な」モーダルなフレーズはどこにも聴かれない。ケイブルスの79歳になっても、さらに深化する、ケイブルスのモード解釈が実に頼もしく響く。この盤は、ハードバップの焼き直しでもなければ、20世紀のモード奏法へのオマージュでも無い。

この盤のトリオ演奏は、現代の「ネオ・ハードバップ&ネオ・モード」。現代の若手中堅の「ネオ・ハードバップ&ネオ・モード」なイマージネーションに比肩する、ケイブルス流のモード・パフォーマンス。そして、ブルージーで適度に多弁なところが、ケイブルス独特の響きを醸し出して、現代のジャズ・シーンにおいても、唯一無二の個性を保持していて立派。この盤も謹んで「ピアノ・トリオの代表的名盤」の1枚とさせていただきたい。
 
 

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2025年12月 6日 (土曜日)

ウェブスター・ミーツ・西海岸

ベン・ウェブスターとウエストコースト・ジャズとの邂逅。ウエストコースト・ジャズの、ほど良くアレンジされた、聴き手に訴求する、小粋なアレンジに乗ったリズム・セクションをバックに、ベン・ウェブスターのオールド・スタイルの、野太くて大らかでダンディズム溢れるテナーが練り歩く。

Ben Webster『At The Renaissance』(写真左)。1960年10月14日、ハリウッド「The Renaissance」でのライヴ録音。コンテンポラリー・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Ben Webster (ts), Jim Hall (g), Jimmy Rowles (p), Red Mitchell (b), Frank Butler (ds)。ジャズ・テナーのオールド・スタイルのレジェンド、ベン・ウェブスターの、1960年のライヴ盤。

冒頭の「Gone with the Wind」は、最初は、ウェブスターのオールド・スタイルのテナーと、ウエスコトーストの洗練されたリズム・セクションが、どこかギクシャクしている様な、なんかアンマッチの様な雰囲気が漂うので、これはミスマッチなのか、と思うんだが、そこは、ジャズ・テナーのオールド・スタイルのレジェンド、ベン・ウェブスターである。

演奏が進むにつれて、ウェブスターのテナーが、ウエスコトーストの洗練されたリズム・セクションの特徴を掴んで、野太くて大らかでダンディズム溢れるテナーが、どこかジェントルに温和にクールになって、ウエスコトーストの洗練されたリズム・セクションに寄り添うように、小粋で小洒落たテナーになって練り歩く。
 

Ben-websterat-the-renaissance

 
そうなれば、もう、このメンバーでのセッションは無敵である。ウエストコースト・ジャズの特徴を色濃く反映したリズム・セクションをバックに、ウエストコースト・ジャズ仕様にマイナー・チェンジしたウェブスターが、オールド・スタイルのテナーを吹きまくる。そもそも、ウエストコースト・ジャズに、ウェブスターの様な、こってこてオールド・スタイルのテナーは存在しない。そういう点からも、このライヴ盤の内容は貴重だろう。

ジム・ホールのギターも、ウェブスターのオールド・スタイルのテナーとの相性は良い。ウエストコースト仕様の、洒落てアーバンで流麗な「聴かせるギター」のホールに対して、ウェブスターの野太くて大らかでダンディズム溢れるテナーが、どこかジェントルに温和にクールになって、ホールのギターと協調する様にフロントを仕切る。繊細で流麗なホール、野太くて大らかでダンディズム溢れるウェブスター。良い意味での「好対照」。これが良いフロント・パフォーマンスを実現している。

ジミー・ロウルズのピアノ、レッド。ミッチェルのベース、フランク・バトラーのドラム、いわゆる「ウエストコースト・ジャズ」仕様のリズム・セクション、これが、また好パフォーマンスで、ウェブスター&ホールのフロントをガッチリ支え、聴き応えのあるリズム&ビートを叩き出す。特に、ミッチェルのベースが、演奏全体の「底」をガッチリ掴んで、バンドのパフォーマンス全体の「底」をコントロールしている。

1960年というハードバップの成熟期に、ベン・ウェブスターとウエストコースト・ジャズとの邂逅。一期一会の邂逅セッション「東海岸ミーツ西海岸」の成果。ジャズに境界は無い。良き邂逅は良き「化学反応」を醸し出す。その好例の様な好盤です。
 
 

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2025年12月 5日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・311

最近、僕はこの人のギターがお気に入り。Pasquale Grasso(パスクァーレ・グラッソ)。イタリア出身で現在はニューヨークを拠点に活躍中。アート・テイタムやバド・パウエルの表現をギターで表現することに挑み、そのうえで、バップな即興演奏を深化させている。

Pasquale Grasso『Fervency』(写真左)。2025年3月リリース。ちなみにパーソネルは、Pasquale Grasso (g), Ari Roland (b), Keith Balla (ds)。グラッソのレギュラートリオともいえる編成でのリーダー作の第7作目。タイトルは「情熱」を意味する言葉。自作曲が2曲、残りは、ジャズ・スタンダード曲。

ジャズの先人たちをリスペクトしつつ、グラッソ独自の解釈と圧倒的にハイ・テクニックな奏法で、先人達の名曲に新しい魅力を付加している。とにかく、グラッソのギター・テクニックには聴くたびに驚愕する。ギターの表現力を広げ、圧倒的なテクニックとイマジネーション豊かなフレージングで、グイグイと聴き手に迫る、グラッソの「バップ・ギター」。
 

Pasquale-grassofervency

 
硬軟自在、緩急自在、変幻自在な疾走感溢れるグラッソのギターが圧倒的。バド・パウエルの1958年のアルバム『Time Waits』収録の「Sub City」にはじまり、「Milestones」「Cherokee」「Lady Bird」「Bag's Groove」など、有名ジャズ・スタンダード曲がずらり。しかし、手垢の付いた、ありきたりの、「今までに良く聴いた」みたいな、有名ジャズ・スタンダード曲の演奏になっていない。

グラッソ独自の解釈と圧倒的にハイ・テクニックな奏法がそうさせるのだろ、落ち着いてしっかりスピーカーの前で対峙していないと、何の曲なのか判らない位、ユニークなアレンジと弾きっぷり。その弾きっぷりは、ハードバップな、ビ・バップなギターである。速弾きによる疾走感と爽快感は筆舌に尽くしがたい。

彼のギターテクニックには「辣腕」という文字が相応しい。自作曲2曲の出来も良好。彼のギターには、まだまだ伸びしろがあり、表現の余白は広大。まるでピアノを弾いているか、の様に、ギターを弾きまくるグラッソ。リーダー作が通算7作もあるのに、我が国での認知度は低い。しかし、このグラッソのギターは聴きもの。ジャズ者の皆さんに、是非一度は聴いて貰いたい。そんな気持ちにさせる秀作である。
 
 

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2025年12月 3日 (水曜日)

スムースなステップス・アヘッド

後期のステップス・アヘッドって、マイク・マイニエリがリーダー兼プロデュースで、音の雰囲気、バンド・パフォーマンスは、マイニエリが決定しリードし、優れたアレンジの下、メンバーがプロフェッショナルなテクニックを駆使して、マイニエリの標榜する音志向を実現する。そんなセッション・バンドに変化していったと思っている。

Steps Ahead『Yin-Yang』(写真左)。1992年の作品。ちなみにパーソネルは、Mike Mainieri (vib, syn, perc), Bendik (sax), Rachel Z (p, syn), Jeff Andrews (b), Victor Bailey (b :3 only), Steve Smith (ds), Guest= Dean Brown (g: 2), Jimi Tunnell (g: 1, 2, 4), Steve Khan (g: 1, 3, 6, 8, 10), Wayne Krantz (g; : 5, 8), Bruce Martin (programming: 1 to 3), Chuck Loeb (rhythm guitar: 3), George Whitty (syn: 1), Rick Margitza (ts: 1, 10)。

マイク・マイニエリがリーダーは変わらないが、ピアノ&シンセサイザー担当が専任となって、レイチェルZが入り、ベースがジェフ・アンドリュースに交代している。で、音はどう変わったのか。前作は、ロック・ビートの効いたクロスオーバー&フュージョン・ジャズだったのだが、今作は、ファンク・ビートを積極導入、音作りは「アーバン&スムース」な音世界にアレンジされていて、さしずめ、ファンキーでスムースなスタップス・アヘッドに変身している。
 
Steps-aheadyinyang  
 
ファンクネスを纏ったスムース・ジャズ志向の音作りであるが、そんな中でも、ピアノ&シンセサイザーの専任担当のレイチェルZの切れ味の良いアコピと雰囲気良好なシンセサイザーが、アーバンでスムースな音作りに大きく貢献している。便ディックのサックスは、伸びの良い耽美的で印象的。サックスの洗練されたアーバンな雰囲気のする音色は、このステップスアヘッド盤をスムース・ジャズへと誘う。

マイク・マイニエリのプロデュースが効いていて、メンバーそれぞれの楽器の音のバランスが良く、マイニエリのヴァイブをはじめとして、ベンドリックのサックス、レイチェルZのピアノ&シンセサイザーが、それぞれ、存在感をしっかり主張するだけの演奏スペースを与えられていて、聴き応えがある。少なくとも、平凡な内容のスムース・ジャズでは無い。

クールでファンキーでメロディアス。クロスオーバー&フュージョン・ジャズな音世界の残像を残しつつ、演奏メンバーそれぞれの力量の中で、アーバンでファンキーなスムース・ジャズが展開される。内容的には、テクニックのレベルは高く、硬軟自在の音作りは「耳を飽きさせない」。1990年代のスムース・ジャズの好盤として記憶されても良い内容。ながら聴きにも最適です。
 
 

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2025年12月 1日 (月曜日)

好盤・レイチェルZ『Sensual』

Rachel Z(レイチェルZ)。本名は「レイチェル・C・ニコラッソ」。アメリカはNYの生まれ。バークリー音楽大学、ニュー・イングランド音楽院を経て、プロデビュー。1980年代末に、マイク・マクニエリに認められて、人気フュージョンバンド、ステップス・アヘッドのメンバーとなって、認知度が飛躍的にアップした。

続いて1995年、ウェイン・ショーターの7年ぶりの新作となった「ハイ・ライフ」に全面参加。このアルバムの中でのレイチェルZは、キーボードとオーケストレーションを担当、高い評価を受けている。

Rachel Z『Sensual』(写真左)。2024年の作品。ちなみにパーソネルは、Rachel Z (p, electronica), Tony Levin, Matt Penman, Jonathan Toscano (b), Omar Hakim (ds), Mino Cinelu (perc)。レイチェルZの通算13枚目のリーダー作。

レイチェルZのピアノは、ピアノの幅、いわゆるスケールで聴かせるピアノ。演奏の幅の広さと奥行きと響きで聴かせる、実に味のあるピアノ。この盤では、そんな個性に、耽美的でリリカル、印象派的なピアノという個性が加わって、ピアノの表現の幅が更に広がっている。耽美的でリリカルなメロディーとハーモニー。ありそうで無い、意外と個性の強いピアノの響き。
 

Rachel-zsensual  

 
アレンジも秀逸。全9曲中、共作も含むRachel Zのオリジナルが8曲。ジャズ、ロック、フォーク、ワールドミュージックの音要素を融合させた、コンテンポラリーな純ジャズ志向にがっちりアレンジ、ポスト・バップなパフォーマンスが前面に押し出てくる工夫を凝らしたアレンジは、聴いていて、とても楽しい。

ベーシスト3人が交代で対応しているが、ジョナサン・トスカーノのベースが、レイチェルZとの相性という点で、頭一つ抜きん出ている。そして、オマー・ハキムの、ダイナミックで多彩なドラミングスタイルによる、魅惑的なリズム&ビートが、演奏全体を引き締め、鼓舞し、レイチェルZのピアノに寄り添う。

三者が生み出すグルーヴは、仄かに「新しい」。現代のポスト・バップな雰囲気。レイチェルZなりのアレンジが生み出す、レイチェルZ独特のグルーヴ。

レイチェルZは、1962年12月28日生まれ。今年で63歳。ジャズ・ミュージシャンとしては、大ベテランの域に入りつつある。しかし、日本盤としてのアルバムリリースがほとんど無いこと、彼女を積極的に推すネットショップも無いことが影響して、日本での認知度は今も低いまま。どうしてかなあ。このアルバムの内容、なかなかのものだと思うのだが。とにかく好盤です。
 
 

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2025年11月30日 (日曜日)

ゴールドバーグ ”世界の果てにて”

アーロン・ゴールドバーグは、ジョシュア・レッドマン、ギレルモ・クライン、ジョン・エリス、ジミー・グリーン、オマー・アヴィタル(OAMトリオの共同リーダー)などのアーティストのリーダーおよびサイドマンとして、1990年代後半から2000年代初頭にかけてジャズ界から注目を集めてきた。

Aaron Goldberg『At the Edge of the World』(写真左)。2016年9月16, 21日の録音。ちなみにパーソネルは、Aaron Goldberg (p), Matt Penman (b), Leon Parker (ds, vo, perc, embodirhythm)。現代のトップ・ピアニストの1人、アーロン・ゴールドバーグがリーダーの、マット・ペンマン、レオン・パーカーとのトリオ作品。

アーロン・ゴールドバーグの、オーソドックスで耽美的、リリカルな音使いで、従来のハードバップなピアノかと思いきや、以前に無い、独特な「ならでは」のフレーズが出てきて、演奏全体を通じて「ネオ・ハードバップ&ネオ・モード」の先端を行く「ポスト・バップ」な音作りが、なんともはやユニーク。聴いていて飽きない。
 
Aaron-goldbergat-the-edge-of-the-world
 
アーマッド・ジャマルの演奏で有名な「Poinciana」から始まるが、コールドバーグの活力あるピアノが活き活きと響き渡り、新鮮なハーモニーとリズムの強烈さを生み出している。「Black Orpheus (Manha De Carnaval)」では、控えめなサンバのビートが心地良い、ブラジリアンな雰囲気満載の展開だが、レオン・パーカーのパーカッションが効果的に響く。耽美的でリリカルなサンバ・ジャズの響きが心地良い。

マッコイ・タイナー作の「Effendi」では、トリオ演奏の相互関係の中、結束力のあるインタープレイを繰り広げる。「Luaty」では、シンプルで典雅なワルツを奏で、「Tokyo Dream」では、芳しいブルースの香りを漂わせる。ハッチャーソンの「Isn't This My Sound Around Me」「When You Are Near」では、モード的なアプローチの中、ペンマンとパーカーが気持ちよさそうにスイングする。

アーロン・ゴールドバーグのピアノ、マット・ペンマンのベース、レオン・パーカーのドラムが、三位一体となってよくまとまった、有機的に結合した、なかなかのトリオ演奏である。共演を重ね、演奏内容を深化させてきた、優秀なピアノ・トリオであることが良く判る、名演を集めた佳作。聴き飽きることが無い。
 
 

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2025年11月29日 (土曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤 116

当時、バリー・ハリスは65歳。円熟の境地、大ベテランの域に達した「バップ・ピアノの職人」の、成熟した味わい深いバップ・ピアノを聴くことが出来る。硬質でハッキリしたタッチの右手の弾き回しのリズム&ビートを、左手のコード弾きが押さえていく。左手のリズム&ビートに乗った、雄弁で流麗でバップな右手が唄いまくる。

『Barry Harris Live At "Dug"』(写真左)。1995年5月29日、東京新宿のバー「Dug」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Barry Harris (p), Kunimitsu Inaba (b), Fumio Watanabe (ds)。バップ・ピアノの職人、バリー・ハリスの、ベーシストの稲葉邦光とドラマーの渡辺文夫とのトリオでの東京におけるライヴ録音。

このライヴ盤では、硬質でハッキリしたタッチの右手の弾き回しが「心地良く丸くなった」。左手のコード弾きが「深遠な響きになった」。歳を取って衰えたわけでは無い。

バップ・ピアノとしての表現が「深くなった、深化した」と表現した方が適切だろう。指の弾き回しも衰えていない、リズム感は淀むことは皆無。バップ・ピアノの「正しく成熟した音」の好例の一つ。
 

Barry-harris-live-at-22dug22

 
収録曲は全10曲。2曲はバリー・ハリスの自作曲。残り8曲はスタンダード曲。有名どころから、渋い選曲まで、なかなか考えた選曲で、バリー・ハリスのバップ・ピアノが映える寸法。「Somebody Loves Me」「It Could Happen to You」「Cherokee」そして「On Green Dolphin Street」等々、絶品のスタンダード解釈とパフォーマンス。

バックを務めるリズム隊、ベーシストの稲葉邦光とドラマーの渡辺文夫も、バップなリズム隊を好演。出過ぎず、控えすぎず、バリー・ハリスの弾く曲想によって、自在にリズム&ビートをチェンジ・オブ・ペースし、適度にハリスのピアノの支え、鼓舞する。まるで、レギュラー・バンドの仲であるかのように。

『バリー・ハリス/ライヴ・アット・ダグ 完全版』(写真右)が、2014年6月にCD2枚組でリイシューされている。オリジナル盤とは当然曲順も違うので、聴いてみても、どうもしっくり来ない(笑)。僕はどうも、このオリジナル盤の方がしっくりくるみたい。

ハリスは、1993年に脳梗塞になり、復帰が危ぶまれたが、再起を果たした後の来日でのライヴ録音だったとか。そんなことを微塵も感じさせない、バリー・ハリスの快作である。
 
 

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 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

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2025年11月27日 (木曜日)

こんなアルバムあったんや・140

1980年のリリースの、Alberta Hunter『Amtrak Blues』を突然、思いだして、45年振りの再聴。ブルースとジャズが融合した、独特の個性的なボーカル。ブルースの泥臭さをジャズが中和している感じ。唄いっぷりは堂々としていて迫力満点だが、耳に優しく心に心地よく響く。素晴らしいボーカル。そして、このアルバータ・ハンターの他のアルバムを物色していて、この盤に行き当たった。

Alberta Hunter With Lovie Austin's Blues Serenaders『Chicago - The Living Legends』(写真左)。1961年9月1日の録音。ちなみにパーソネルは、Alberta Hunter (vo), Darnell Howard (cl), Jimmy Archey (tb), Lovie Austin (p), Pops Foster (b), Jasper Taylor (ds)。伝説の女性ブルース・シンガー、アルバータ・ハンターのピアニストのロヴィー・オースチンと共演した名作。

まずは、アルバータ・ハンターの歌声である。根っこはブルース。ブルースの泥臭さをディキシーランド&ニューオリンズ・ジャズに乗せて整える、そんな感じのハンターの歌唱はジャジーであり、説得力がある、そして、とにかく上手い。「St. Louis Blues」「Downhearted Blues」「You Better Change」といった曲で最高のパフォーマンスを聴かせてくれる。
 

Chicago-the-living-legends

 
そして、1961年の録音にも関わらず、演奏全体の雰囲気は、ディキシーランド&ニューオリンズ・ジャズ志向。このオースティンの「ブルース・セレナーダーズ」(トロンボーンのジミー・アーキー、クラリネットのダーネル・ハワード、ベースのポップス・フォスター、ドラマーのジャスパー・テイラーを含む五重奏団)の演奏、これが良い。やはり、このジャズの音が、ジャズの原風景なんだろうな、と改めて納得する。

このオースティンの「ブルース・セレナーダーズ」の演奏、ハンターのボーカル曲では、簡潔なソロ・パフォーマンスのスペースがあって、ここで瞬間芸的なアドリブ・パフォーマンスを披露する。これが見事。そして、「Sweet Georgia Brown」「C-Jam Blues」「Gallion Stomp」の3曲が、「ブルース・セレナーダーズ」単独のインスト・ナンバーであり、このインスト・パフォーマンスが、ディキシーランド&ニューオリンズ・ジャズ志向のハードバップという感じで、これも見事。

ピアニストのロビー・オースティンにとって、20年ぶりのレコーディングだった。彼女は当時74歳近くで、シカゴのダンススクールでピアニストとして働いていた。アルバータ・ハンターは、1954年に看護師になるために音楽界を引退し、その間、2週間前に一度しかレコーディングしていなかった。そんな二人が奇跡の邂逅を果たしてのこのライヴ録音、そして、この優れたパフォーマンス。ジャズって凄いなあ、と思う瞬間である。
 
 

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