ダブル・フルートの異色の好盤
ベツレヘムは1953年、株のディーラーだったガス・ウィルディという人物とプロ・ドラマーだったジェームズ・クライドがNYにて設立した「ポップスのシングルを扱うレーベル」。しかし、設立の翌年、1954年には早々にジャズ専門レーベルへと衣替え。
このレーベルの一番の特色は、米国の東海岸と西海岸の両方にオフィスを構え、偏ること無く、双方のジャズマンのリーダー作をリリースしたこと。ハードバップ期の黒人中心の東海岸ジャズと、白人中心の西海岸ジャズを偏ること無くピックアップし、記録していった珍しいジャズ・レーベルといえます。カタログを見渡せばそれがハッキリ判る。
活動期間は1953~61年と短いのだが、ちょうど、ハードバップ初期から60年代のハードバップ多様化が始まった頃まで、ハードバップ期をほぼ網羅した活動期間なのも興味深い。今回、このベツレヘム・レーベルのアルバムの中から、最近、聴いた盤の中から何枚か、記事にしてご紹介したい。
『Herbie Mann & Sam Most Quintet』(写真)。1955年10月の録音。ちなみにパーソネルは、Herbie Mann, Sam Most (fl), Joe Puma (g), Jimmy Gannon (b), Lee Kleinman (ds)。ハービー・マンとサム・モストの2フルートがフロント、ジョー・ピューマのギター、ジミー・ギャリソンのベース、リー・クラインマンのドラムの、ピアノレスのギター・リズム・セクションがバックに控えている。
ダブル・フルートのフロントは、珍しくも素敵な組みあわせ。どちらのフルートもその力量は高く、しかも、同等でなければ、ダブル・フルートのフロントは実現しない。ハービー・マンとサム・モスト、両者とも当時25歳、甲乙付けがたい、テクニック&歌心溢れるフルートで、このダブル・フルートのフロントは成功している。
2本のフルートが流麗。スタンダード中心の選曲で、明るくスイングするフルートが躍動的だが、喧しくは無い。耳に心地良い。とにかく、バトルもので無いのが良い。2本のフルートが、魅力的なユニゾン&ハーモニーを奏で、魅力的なアドリブ・パフォーマンスを繰り広げる。2本のフルートが奏でるアンサンブル。これがこの盤を「異色盤」として、格調の高いものにしている。
バックの、ジョー・ピューマのギター、ジミー・ギャリソンのベース、リー・クラインマンのドラムの、ギターメインのリズム・セクションもなかなか良いサポートをしていてグッド。特にジョー・リピューマは、ところどころで「おっ」と思う、小粋なバッキングを展開する。ダブル・フルートには、ギターメインのリズム・セクションが良く似合う。
ベツレヘムには、こういった、他の有名ジャズ・レーベルには無い「異色盤」が多々あるのが、レーベルの個性。セッションで採用するジャズマンの中に、ほぼ無名のジャズマンを上手く活用するのも、レーベルの特徴。この『Herbie Mann & Sam Most Quintet』は、その好例だろう。異色の好盤です。
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