アーティステックなCTI盤です。
CTIレーベルは、クロスオーバー&フュージョン・ジャズの中心となったレーベル。総帥プロデューサー、クリード・テイラーの下、意欲的&挑戦的なニュー・ジャズから、硬派でメインストリームなクロスオーバー・ジャズ、イージーリスニング志向のフュージョン・ジャズまで、1970年代のジャズのトレンドを網羅したレーベルである。
Hubert Laws『Live At Carnegie Hall』(写真左)。1973年1月12日の録音。CTI 6025番。ちなみにパーソネルは、Hubert Laws (fl), Bob James (el-p), Gene Bertoncini (g), Ron Carter (b), Billy Cobham, Freddie Waits (ds), Dave Friedman (vib), Dave Miller (bassoon), Don Sebesky (arr)。ジャズ・フルート奏者の雄、ヒューバート・ロウズのカーネギー・ホールでのライヴである。
カーネギー・ホールでのライヴということを意識したのだろうか。アカデミックかつ、アーティスティックなクロスオーバー・ジャズが展開される。これがCTIレーベルからリリースされたサウンドか、と初めて聞いた時は、LPのレーベルを秘密の喫茶店のレコードプレイヤーまで見に行ったくらいだ。
CTIレーベルは、時々、こんな硬派でメインストリームな、内容のあるクロスオーバー・ジャズをリリースする。この盤もそうで、ヒューバート・ロウズという、ジャズ・フルートの代表格の演奏が前面に押し出され、アーティスティックなアレンジに乗ったクロスオーバー・ジャズが展開される。
演奏曲からしてアーティスティック。チック・コリアの「Windows」とジェイムス・テイラーの「Fire and Rain」のメドレー、そしてバッハの「パッサカリア ハ短調」。ジャズとクラシックの間を効果的に行き来するジャズ・フルート奏者、ヒューバート・ロウズの個性と特徴が良く判る演奏曲のチョイスである。
ドン・セベスキーのアレンジが優れている。収録された難曲、ジャズの即興演奏とオーケストラの洗練さを融合させるのに難度の高い秀曲を、セベスキーは、ロウズのフルートの演奏表現をベースに、ジャズの即興演奏、ロックのリズム、オーケストラのテクスチャを効果的に融合させている。このアレンジが、ロウズのフルートを引き立て、アーティステックなクロスオーバー・ジャズを実現させている。
バックのミュージシャンの演奏も白眉。ロウズのフルート、セベスキーのアレンジを十分に理解し、極上のクロスオーバー・サウンドで、このアーティステックなクロスオーバー・ジャズを、更にその高みに引き上げている。
CTIレーベルなんて、甘々のフュージョン・ジャズばかりなんでしょ、なんて、聴かず嫌いで敬遠していると、1970年代ジャズのトレンドと特徴の半分を聴き逃すことになる。まあ、1970年代ジャズなんて、聴くに及ばず、とするなら、いざ仕方なし。でも、1970年代ジャズを理解する上で、CTIレーベルのカタログは避けて通れないと僕は思う。
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