僕なりのジャズ超名盤研究・23
エリック・ドルフィーは、お気に入りのアルト・サックス奏者。ジャズを聴き始めた頃、ドルフィーに出会って、これが即興演奏の極致か、とぶっ飛んで以来、ずっとドルフィーは聴き続けている。
twitter で「朝一番のジャズ盤」や「昼下がりのジャズ盤」、そして、寝る前の「今日のラストのジャズ盤」のご紹介のツイートをしているのだが、ここにはドルフィーなど、メインストリーム志向のジャズの伝統的な展開を踏まえながら、アブストラクトにフリーに、限りなく自由度の高いジャズは登場させていない。刺激が強すぎる、というのが理由。
よって、ドルフィーは、個人的に、バーチャル音楽喫茶『松和』で聴いているのだが、ドルフィーはどのリーダー作を聴いても「駄盤」が無い。どのブロウの平均点以上の優秀なパフォーマンスばかりなので、ドルフィーを感じる上で、アルバムを選ぶ必要は無い。その中でも、敢えてどれが良いのか、と問われれば、僕はこのアルバム2枚を推すことにしている。
Eric Dolphy『At The Five Spot, Vol.1 & Vol.2』(写真左)。1961年7月16日、NYの「Five Spot」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Eric Dolphy (as, b-cl, fl), Booker Little (tp), Mal Waldron (p), Richard Davis (b), Ed Blackwell (ds)。エリック・ドルフィーのアルト・サックスと、ブッカー・リトルのトランペットがフロント2管のクインテット編成。
このパーソネルのメンバーを今から振り返れば、力量十分、テクニック十分の中堅ジャズマンの中でも「曲者」揃い。出てくる音は、当然「曲者」で、メインストリーム志向のジャズの伝統的な展開を踏まえながら、アブストラクトにフリーに、限りなく自由度の高いジャズが展開される。恐らく、当時、最高レベルの「限りなく自由度の高いモーダルな演奏」だと思う。
まず、Vol.1、1曲目の「Fire Waltz」での、冒頭のドルフィーのアルト・サックスの捻れフレーズを聴くだけで、このライヴ盤は「穏やかではない」ことを感じる。捻れてブッ飛んで疾走するドルフィーのアルト。そこに、負けずに捻れてブッ飛んで疾走するブッカー・リトルのトランペットが絡んでくる。限りなく自由に、従来の穏やかなフレーズを踏襲すること皆無の、鋭角にスクエアにスイングする唯一無二なアドリブ・フレーズ。
Vol.1では、スリリングでハイ・テンションな「限りなく自由度の高いモーダルな演奏」が、これでもか、と言わんばかりに展開する。ジャズとしての「即興演奏」の極致がここにある。
Vol.2は、やや穏やかで懐深い「限りなく自由度の高いモーダルな演奏」が繰り広げられる。オリジナルLPでは、「Aggression」と「Like Someone in Love」の2曲のみ。ほとんどが「即興演奏の嵐」なんですが、やはり、ドルフィーは尋常では無い。特に、バスクラの「異次元さ」が極めつきで、もうこれは癖になる(笑)。ブッカー・リトルのトランペットも熱くて良いんですが、ドルフィーの「変態度合い」が凄くて、これはまあ(笑)。
Vol.2を聴いていて、ドルフィー&リトルのフロント2管は唯一無二で凄いなあ、と改めて感動。「限りなく自由度の高いモーダルな演奏」がどんどん自由度高く、自由度高くなって、アブストラクトにフリーに展開しそうになるのだが、決して、メインストリーム志向のジャズの伝統的な展開を逸脱することは無い。このジャズの伝統的な展開にグッと踏みとどまって演奏するところが良い。何度聴いてもグッとくる。
このEric Dolphy『At The Five Spot, Vol.1 & Vol.2』を聴くと、ジャズとしての「即興演奏」というものが良く判る。ジャズの一番の特徴は「即興演奏」というが、このライヴ盤でのドルフィー&リトルのフロント2管のパフォーマンスは、その「即興演奏」の好例だろう。このライヴ盤を聴く度に、ジャズって凄いなあ、と思うのだ。
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