WSQのソウル・カヴァー集
アルバム・ライブラリーで、「ウエザー・リポート」のアルバムを探していて、その隣に「ワールド・サキソフォン・カルテット(World Saxophone Quartet)」の名前があるのに気がついた。そうか、かなりご無沙汰していたなあ、と思いながら、ワールド・サキソフォン・カルテットのアルバムを聴いてみようと思った。
World Saxophone Quartet『Rhythm and Blues』(写真左)。1988年11月の録音。Elektra / Nonesuchからのリリース。ちなみにパーソネルは、Hamiet Bluiett (bs), Julius Hemphill (as), Oliver Lake (as), David Murray (ts)。
サックス奏者が4人だけのバンド、ワールド・サキソフォン・カルテット(以降WSQと略)のメジャーデビュー後、3枚目のアルバムになる。
WSQは、1977年に結成された、米国のジャズ・アンサンブル。4人編成(カルテット)、いわゆる「サックス四重奏団」である。実にユニークなカルテットで、その音楽性もユニーク。フリー・ジャズ、R&B、ファンク、南アフリカのジャズの要素等、を音楽に取り込んでいる。
このアルバムは、タイトルからも判る様に、ソウルとブルースの名曲6曲とオリジナル3曲を組み合わせた「WSQのソウル・カヴァー集」。基本的に、R&Bの有名スタンダード曲とハミィト・ブルーイット、ジュリアス・ヘンフィルの作曲した2作品をブラス・アンサンブルのみで演奏するという、とびきりユニークな演奏。
そして、このユニークな4重奏団は、モードとフリーを演奏の基本としている。オーネット・コールマンやアルバート・アイラーのフリー吹奏の「跡を継ぐもの」たちが、モードとフリーのジャズ吹奏でアンサンブル、ユニゾン&ハーモニーをやるのだ。ユニークの極み、唯一無二のサックスだけによる4重奏、それもモード&フリー。
テーマ部はしっかり譜面に落ちていると思われるが、アドリブ部に入ると、突如、モード&フリーな展開の4重奏に突入する。これがまたスリリング。しかも、このモード&フリーのアドリブが、意図的かつ厳格に制御され、しっかりとした「ディシプリン(規律)」が保たれている。見事な4重奏。どこか室内学的な響きがこれまたあユニーク。
冒頭、ハミエット・ブルーエットのバリサクが、オージェイズの「For the Love of Money」のリフを鳴らして、このユニークなサックス4重奏がスタートする。2曲目のマーヴィン・ゲイの「Let's Get It On」が、原曲のイメージを崩しつつ、スローダウンした素晴らしいモード&フリーのアンサンブルを聴かせる。
以降「I Heard That」「(Sittin' On) The Dock of the Bay」「Try a Little Tenderness」「Night Train」などの、ソウルのR&Bの名曲が、同様に原曲のイメージを崩しつつ、素晴らしいモード&フリーのアンサンブルで、グイグイ聴かせる。そして、その崩れたイメージの中に、スッと聴き慣れたフレーズがポッと出ては、素晴らしいモード&フリーのアンサンブルに消えていく。これが実にスリリングなのだ。
このユニークなサックスだけの4重奏団WSQの「ソウル・カヴァー集」。モード&フリーな展開のサックス4重奏。原曲を知らなくても楽しめる。原曲との違いを楽しむこともできる。これ名盤の類だと思います。
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