唯一無二な ”マハヴィシュヌの音”
ジョン・マクラフリン率いるマハヴィシュヌ・オーケストラは、マクラフリンがマハヴィシュヌを結成する前に所属していた、トニー・ウィリアムス率いるライフタイムと、よく一緒くたに語られるが、マハヴィシュヌとライフタイムは全く「音の志向」が異なる。
ライフタイムは、エレクトリックな「限りなく自由度の高い」モード・ジャズから、エレクトリックなフリー・ジャズ。ライフタイムの音の志向は「フリー」。片や、マハヴィシュヌは、ジャズとロックの融合からのジャズロック。そこにクラシックの要素や英国プログレッシヴ・ロックのテイストを取り入れた、マハヴィシュヌの音の志向は「クロスオーバー」。
Mahavishnu Orchestra『Visions of the Emerald Beyond』(写真)。邦題『エメラルドの幻影』。 1974年12月4日から12月14日まで、NYの「エレクトリック・レディ・スタジオ」で録音。その後、1974年12月16日から12月24日まで、ロンドンの「トライデント・スタジオ」でミックスダウンされている。
ちなみにパーソネルは、John McLaughlin (g, vo), Jean-Luc Ponty (vin, vo), Ralphe Armstrong (b, vo), Narada Michael Walden (perc, ds, vo, clavinet), Gayle Moran (key, vo)。ジャズ・エレギのイノベーター&レジェンド、ジョン・マクラフリン率いるマハヴィシュヌ・オーケストラの4枚目のアルバム。
今回の『Visions of the Emerald Beyond』を聴くと、マハヴィシュヌの音の志向である「クロスオーバー」を強く感じることができる。
この盤では、ジャン=リュック・ポンティのバイオリンが大々的にフィーチャーされている。このバイオリンを聴いていると、英国プログレのキング・クリムゾンのデヴィッド・クロスや、伊プログレのPFMのマウロ・パガーニのヴァイオリンを想起する。もともと、欧州ではジャズとプログレッシヴ・ロックとの境界が曖昧で「クロスオーバー」している。
マクラフリンのエレギだって、英国プログレや和蘭プログレ、伊プログレでのエレギのテイストに強烈な影響を与えているようで、欧州のエレクトリック・ジャズとプログレッシヴ・ロックとの境界が曖昧なのは、エレギもバイオリンと同じ。そういう意味で、マハヴィシュヌの音は「欧州プログレとのクロスオーバー」な傾向にあると僕は睨んでいる。
そういう考察抜きにも、この盤でのマハヴィシュヌの音世界は唯一無二。エレクトリック・ジャズのモーダルな展開をベースに、ジャズロックやプログレの要素を交えた音世界は迫力満点。訴求力抜群。
お得意の「インドの瞑想モード」で始まるジャズロックあり、トライブ感溢れるジャズロックあり、流麗なプログレ調ジャズロックあり、グルーヴ感抜群のジャズファンクあり。マハヴィシュヌのジャズロックをベースとした「クロスオーバー」な音世界が満載。
『エメラルドの幻影』。いかにも、当時の日本のCBSソニーらしい、気恥ずかしい、赤面ものの邦題である(笑)。クロスオーバー・ジャズの名盤につける雰囲気の邦題やないよね。ジャケのイラストは、既出のアルバムとの統一感があって良い感じなんですが,,,。まあ、邦題は横に置いておいて、中身の演奏を堪能したいと思います(笑)。
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