2017年9月 9日 (土曜日)

伝説のジミヘンのファースト盤

ジミ・ヘンドリックスを最近、聴き直している。ジミ・ヘンドリックス、略して「ジミヘン」。ジミヘンはロック・ギタリストとして、そのプレイ・スタイルとパフォーマンスは、後継のロック・ミュージシャンに多大な影響を与えた。しかし、1970年9月18日、デビューからわずか4年、27歳でこの世を去っている。疾風の様なイノベーターであった。

僕はジミヘンのプレイをこの目で見たのは、ウッドストック・ロックフェスのドキュメント映画だったと思う。見た瞬間、違和感が思いっきりあって、何でかなあ、と思って見ていたら、右利き用のギターを逆さまにして左利きの構えで演奏しているのだ。つまり、ストラトの天地が逆。ビックリした。どうやって弾くんや、スゲーなーと思った。

ジミヘンを初めて体験したアルバムは、The Jimi Hendrix Experience『Are You Experienced』(写真左)。1967年の作品。この盤は、ジミ・ヘンドリックスのファースト盤にあたる。ちなみにパーソネルは、Jimi Hendrix (g, vo), Noel Redding (b), Mitch Mitchell (ds)。実にシンプルなギター・トリオ。

僕はこの盤を聴いた時、激しい衝撃を受けたことを覚えている。今までに聴いたことの無い音。その頃は、僕はまだロックを聴き始めて、1年にも満たない頃。その激しい衝撃とともに、ジミヘンは一旦、封印した。封印した理由は、ジミヘンのギターの「暴力性」である。これだけ暴力性を持った楽器の演奏を僕は知らなかった。というか、ジミヘンのデビュー時、恐らく、世界がその独特の「暴力性」を知らなかったと思う。
 

Are_you_experienced

 
しかし、最近、聴き直していて、この「暴力性」が、ストレスを覚える「暴力性」では無いことに気がついた。ストレスを覚えず、心地良い、スカッとする「暴力性」。その暴力性を底に忍ばせたロックな演奏ではあるが、その暴力性は「ビート」という名で、我々の脳髄の響いてくる。重量級の爽快なビートが効きまくった、シンプルなブルース・ロック。

ジミヘンの暴力性は「破壊」を伴わない。ジミヘンのロックが、エレギが伝説として残り、後継のロック・ミュージシャンに多大な影響を与えたのは、このストレスを覚えず、心地良い、スカッとする「暴力性」だろう。後のレッド・ツェッペリンが上手くこの「暴力性」を引き継いでいる。

そして、意外と話題に上らないが、ミッチ・ミッチェルのドラミングが実に効いている。センスが良いというか、ジミヘンの爽快な暴力性のあるエレギを邪魔すること無く、演奏全体を鼓舞する。演奏全体の推進力は、このミッチ・ミッチェルのドラミングに負うところが大きいと思う。そして、ベースのノエル・レディングのベースも見事。よくまあ、この破天荒なギターフレーズにぴったりと寄り添うようなベースラインを叩き出せるもんだ。

このジミヘンのデビュー盤は、今の耳で聴いても、それはそれは素晴らしい内容である。1967年という、楽器も録音環境も発展途上の時代に、これだけの訴求力のある音を叩き出せるとは驚きである。ジミヘンのエレギは、ストレスを覚えず、心地良い、スカッとする「暴力性」にその魅力が凝縮される。その魅力がこのファースト盤にギッシリと詰まっているのだ。

 
 

東日本大震災から6年5ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2016年11月 5日 (土曜日)

ジミ・ヘンのライブ音源・1

この木曜日から今日にかけて、16年ほど前に早逝した高校時代からの親友の墓参りで帰阪していました。2日ほどブログをお休みしました。今日再開です。

さて、高校時代からの親友達と再会して色々な話をしていると、当時、聴いていた音楽の話題にもなります。そういうことで、往き帰りの新幹線の中では、60〜70年代のロックを中心に、最近リリースされた音源を聴きこみました。

その1枚がこれ。Jimi Hendrix『Machine Gun : Live at the Fillmore East 12/31/1969(First Show)』(写真左)。つい先日、今年の9月末にリリースされた、ジミ・ヘンドリックスの未発表ライブ音源です。伝説の「1969年12月31日から1970年1月1日のフィルモアイーストのコンサート」の一部です。

オール黒人ミュージシャンによるバンド、Band Of Gypsys名義の演奏で、タイトできっちりまとまったパフォーマンスでちょっとビックリ。ジミのエレギだけだ突出して、バックの演奏はラフで未熟な演奏を想像していたので、この充実したバンド全体のライブ・パフォーマンスについては「目から鱗」状態です。
 

Jimi_hendrix_machine_gun

 
ジミのエレギも破綻が全く無い、ブルージーでジャジーなアドリブ・フレーズを淀みなく止めどなく弾き上げていきます。平凡なフレーズが全く無いのには驚くばかり。しかも整然としていてメリハリも効いて流麗、速弾きテクニックも優秀。ジミ・ヘンドリックスの伝説のエレギを余すこと無く体感できます。

今までのジミ・ヘンドリックスのパフォーマンスについては、音的にちょっと古い感じがしていたのですが、このライブ盤は違う。リマスターがバッチリ効いていて、Band of Gypsysのリズム&ビートが思いっきりタイトに響いて、充実かつ密度の濃いライブ・パフォーマンスに仕上がっています。そう、とにかく、今回のこのライブ盤は音が良い。

ExperienceからBand Of Gypsysへ移行。音世界も、ハードでサイケデリックなロックから、R&B・ファンクに軸足を移したものに変化している。そのR&B・ファンクに軸足を移した音世界が、この今回のライブ盤に詰まっている。ファンキーというよりは、ブルージーでジャジーに感じるこのジミ・ヘンドリックスのアドリブ・フレーズはなかなかに味わい深い。

今回の、1969年12月31日の初回公演を当時の曲順のまま初めて完全な形で収録したライブ音源。かなり濃い内容で、聴いて充実のライブ音源で「嬉しい不意打ち」でした。続編が楽しみです。

 
 

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