伝説のジミヘンのファースト盤
ジミ・ヘンドリックスを最近、聴き直している。ジミ・ヘンドリックス、略して「ジミヘン」。ジミヘンはロック・ギタリストとして、そのプレイ・スタイルとパフォーマンスは、後継のロック・ミュージシャンに多大な影響を与えた。しかし、1970年9月18日、デビューからわずか4年、27歳でこの世を去っている。疾風の様なイノベーターであった。
僕はジミヘンのプレイをこの目で見たのは、ウッドストック・ロックフェスのドキュメント映画だったと思う。見た瞬間、違和感が思いっきりあって、何でかなあ、と思って見ていたら、右利き用のギターを逆さまにして左利きの構えで演奏しているのだ。つまり、ストラトの天地が逆。ビックリした。どうやって弾くんや、スゲーなーと思った。
ジミヘンを初めて体験したアルバムは、The Jimi Hendrix Experience『Are You Experienced』(写真左)。1967年の作品。この盤は、ジミ・ヘンドリックスのファースト盤にあたる。ちなみにパーソネルは、Jimi Hendrix (g, vo), Noel Redding (b), Mitch Mitchell (ds)。実にシンプルなギター・トリオ。
僕はこの盤を聴いた時、激しい衝撃を受けたことを覚えている。今までに聴いたことの無い音。その頃は、僕はまだロックを聴き始めて、1年にも満たない頃。その激しい衝撃とともに、ジミヘンは一旦、封印した。封印した理由は、ジミヘンのギターの「暴力性」である。これだけ暴力性を持った楽器の演奏を僕は知らなかった。というか、ジミヘンのデビュー時、恐らく、世界がその独特の「暴力性」を知らなかったと思う。
しかし、最近、聴き直していて、この「暴力性」が、ストレスを覚える「暴力性」では無いことに気がついた。ストレスを覚えず、心地良い、スカッとする「暴力性」。その暴力性を底に忍ばせたロックな演奏ではあるが、その暴力性は「ビート」という名で、我々の脳髄の響いてくる。重量級の爽快なビートが効きまくった、シンプルなブルース・ロック。
ジミヘンの暴力性は「破壊」を伴わない。ジミヘンのロックが、エレギが伝説として残り、後継のロック・ミュージシャンに多大な影響を与えたのは、このストレスを覚えず、心地良い、スカッとする「暴力性」だろう。後のレッド・ツェッペリンが上手くこの「暴力性」を引き継いでいる。
そして、意外と話題に上らないが、ミッチ・ミッチェルのドラミングが実に効いている。センスが良いというか、ジミヘンの爽快な暴力性のあるエレギを邪魔すること無く、演奏全体を鼓舞する。演奏全体の推進力は、このミッチ・ミッチェルのドラミングに負うところが大きいと思う。そして、ベースのノエル・レディングのベースも見事。よくまあ、この破天荒なギターフレーズにぴったりと寄り添うようなベースラインを叩き出せるもんだ。
このジミヘンのデビュー盤は、今の耳で聴いても、それはそれは素晴らしい内容である。1967年という、楽器も録音環境も発展途上の時代に、これだけの訴求力のある音を叩き出せるとは驚きである。ジミヘンのエレギは、ストレスを覚えず、心地良い、スカッとする「暴力性」にその魅力が凝縮される。その魅力がこのファースト盤にギッシリと詰まっているのだ。
東日本大震災から6年5ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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