2024年10月29日 (火曜日)

インパルスのモーダルな「JM」

ブレイキーは、リーダーでありながら、バンドの演奏トレンド、演奏志向には口を出さなかった。ジャズ・メッセンジャーズ(JM)のそれぞれの時代で、メンバーの中から「音楽監督」的立場のメンバーを選び出し、バンドの演奏トレンド、演奏志向は、この「音楽監督」に任せて、一切、口を挟むことは無かった。

『Art Blakey and the Jazz Messengers(1961 album, Impulse!)』(写真左)。1961年6月13, 14日の録音。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Lee Morgan (tp), Curtis Fuller (tb), Wayne Shorter (ts), Bobby Timmons (p), Jymie Merritt (b)。モーガン、フラー、ショーターの3管フロントのセクステット編成。

1960年3月6日録音の『The Big Beat』から参加したウェイン・ショーター。ベニー・ゴルソンに代わる「新・音楽監督」として、辣腕を振るう。『Moanin'』で一世を風靡した、ファンキー・ジャズの旗手的存在だったジャズ・メッセンジャーズに、当時、ジャズ奏法の最先端だった「モード・ジャズ」を徐々に導入して行った。
 

Art-blakey-and-the-jazz-messengers1961-a

 
バリバリのファンキー・ジャズをやっていたJMが、いきなりモード・ジャズに転身する。ショーターは音楽監督として、徐々にモード・ジャズに対応する作戦に出る。まず、真っ先に、リーダーのブレイキーのドラムがモードに適応、ほどなく、トランペットのモーガンが適応し、フラーがそれに続く。そして、ベースのメリットが何とかモードに対応。しかし、ピアノのティモンズは時間がかかった。

しかし、『The Big Beat』から1年3ヶ月。ティモンズもしっかりモードに対応している。しかも、ブロック・コードを織り交ぜた、独特のモード奏法で、実に個性的なモーダルなパフォーマンスを展開している。この盤は、JMがモードに完全適応した姿を記録していて、演奏全体の雰囲気は、端正で整然として内容の濃い、JMならではのモード・ジャズを展開している。

この盤のセッションで、新・音楽監督のウェイン・ショーターが推進してきた、JM流のモード・ジャズは完成したイメージである。それぞれのメンバーの演奏は充実、完全にモードに適応。ただ、ティモンズのピアノだけが、ショーターのモードではなく、ティモンズ独自のモードで展開しているところが気になると言えば気になる。が、アルバム全体の印象は良好。
 
 

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2024年10月 9日 (水曜日)

「Kai」のトロンボーン名盤です

「Jay&Kai」のアルバムを聴いていて、改めて「トロンボーンの音色ってええなあ」と思った。もちろん、トロンボーンを吹く上でのテクニックが優れていることが前提なんだが...。

テクニックに優れたトロンボーンの音色って、ブリリアントで、エモーショナルで、ニュアンス豊かで、柔らかで優しい。そんなトロンボーンの音色が好きで、今でも時々、ジャズ・トロンボーンの好盤を引っ張り出してきては聴き直している。

Kai Winding『The Incredible Kai Winding Trombones』(写真左)。1960年11月, 12月の録音。「Jay&Kai」の「Kai」=カイ・ウィンディングのリーダー作。ジャズ・トロンボーンが大活躍。ジャズ・トロンボーンの名盤の一枚。ちなみにパーソネルは、以下の通り。

Kai Winding (tb), Jimmy Knepper, Johnny Messner, Ephie Resnick (tb-support), Paul Faulise, Dick Lieb, Tony Studd (b-tb), Bill Evans, Ross Tompkins (p), Ray Starling (mellophone), Bob Cranshaw, Ron Carter (b), Al Beldini, Sticks Evans (ds), Olatunji (congas)。

トロンボーンはスライドを出し入れして音程を出すので、とにかく演奏するのが難しい楽器。まず、カイのテクニックは抜群なので、その最低要件は満たしているが、そんなハイ・テクニックを持ってしても、その曲毎に、スタートするキーや、スライド幅を出来るだけ少なくする様なアレンジが非常に重要になる。
 

The-incredible-kai-winding-trombones

 
そして、トロンボーンの音の基本キーが低めなので、単独でのソロはインパクトが弱くなる懸念があって、サポートするトロンボーンやベース・トロンボーンを導入して、ユニゾン&ハーモニーの伴奏をアレンジして、フロントのトロンボーンのフレーズを引き立たせる工夫が重要になる。

加えて、トロンボーンの音色は「柔らかで優しい」ので、リズム&ビートがしっかりとしていないと、その「柔らかで優しい」音色のフレーズが冗長に流れてしまうきらいがある。そこで、伴奏上手のしっかりとしたリズム・セクションがバックに配したアレンジにすると、演奏全体がグッと締まる。

このトロンボーンがメインの演奏の「キモ」となる3つのアレンジのポイントを、この盤はしっかり押さえている。故に、カイ・ウィンディングのトロンボーンが圧倒的に引き立ち、メインのフロント・トロンボーンの音色とフレーズだけが印象に残る内容になっている。

そんな引き立った印象的なトロンボーンが、冒頭の「Speak Low」から「Lil Darlin」以降、有名スタンダード曲を「唄い上げて」いく。トロンボーンという楽器の「良いところ」がギッシリ詰まった、カイ・ウィンディングの名盤である。
 
 

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2024年9月19日 (木曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・30

ジョン・コルトレーンは、ジャズの歴史上、最重要レジェンドの一人。ジャズ・テナーのスタイリストで、コルトレーン・スタイルのテナーは、コルトレーン逝去以降、ジャズ界のテナー吹奏のスタンダードとなっている。

逆に、そんな最重要な存在であるが故、コルトレーン入門盤のチョイスは重要で、変に難解な盤を聴いてしまうと、ジャズ者初心者としては、以降、コルトレーンを敬遠する可能性がある。ジャズ者の先輩としては、ジャズ者初心者のうちに、コルトレーンはしっかりと聴いて欲しい。敬遠されては困る。

John Coltrane『A Love Supreme』(写真左)。邦題『至上の愛』。1964年12月9日の録音。ちなみにパーソネルは、John Coltrane (ts,vocals), McCoy Tyner (p), Jimmy Garrison (b), Elvin Jones (ds, gong, timpani)。

コルトレーンの超有名盤である。コルトレーン・ミュージックの神髄、コルトレーンの最高傑作との評価されるアルバムで、我が国ではコルトレーン信者が数多であるが故、語り尽くされた感のあるアルバムである。とにかく、皆「絶賛」のアルバムである。

どこがどう凄いか。ネットの中でも多くの方々が熱く語っておられるので、それらを読んでいただいた方が早いと思うのだが、一応、ここでも、このアルバムの評価ポイントを押さえておきたい。

「聴きどころ」は3つ。1つ目は「卓越したアレンジ&作曲能力」、2つ目は「独特なバラード解釈」、3つ目は「高速ブロウ=シーツ・オブ・サウンド」。この3つの個性・特徴がコルトレーンの魅力なんだが、この「聞きどころ」の全てを、この『至上の愛』というアルバムは包含している。
 

John-coltranea-love-supreme

 
が、このアルバムの最大の特徴は、このアルバム全体を覆う「宗教性」。コルトレーンはこのアルバムを『神への小さな捧げもの』と呼んでいる。このコルトレーンの『A Love Supreme』は、全体が一つの曲で、「承認」「決意」「追求」「讃歌」という四つの楽章からなる組曲の構成で、この組曲形式のアルバムのテーマは「神」であり、宗教的な組曲ともいうべき作品。

ジャズのアルバムとして、テーマを「神」とする企画は「異質」であり、ジャズとしてメインストリームなものではない。このアルバムは、コルトレーン個人としての「宗教的な告白と祈りの音楽」である。このアルバムでは、コルトレーンは「A Love Supreme♪」という祈りの唄声を披露し、家族~友人への感謝を込めた「自筆ライナーノーツ」まで手がけている。

この「自己の音楽性を追求している感」と、前述の「個性・特徴がコルトレーンの3つの魅力」の全てを、この『至上の愛』というアルバムは包含しているところを、グローバル・レベルで評価されていて、このアルバムはコルトレーンの最大の名盤、とされる。ジャズ盤紹介本などでは、この『至上の愛』を、ジャズ者初心者向けの推薦盤としているものも沢山ある。

が、「宗教性」を全面に押し出した企画盤であるが故、ジャズ者初心者の方々に向けては難度が高い。コルトレーンの「3つの聴きどころ」である、「卓越したアレンジ&作曲能力」「独特なバラード解釈」「高速ブロウ=シーツ・オブ・サウンド」、この3つの個性・特徴を愛でることの出来るコルトレーンのリーダー作は他にも沢山ある。

確かに、演奏の内容はジャズの最高峰の演奏である。伝統的なジャズ演奏の最高峰の演奏内容である。しかし、いきなり「A Love Supreme♪」と19回も唱和する「宗教性」の強いアルバムでの、初めてのコルトレーン体験はきついだろうなあ、と聴き直してみて、改めて思う。ジャズ者初心者の方々が、このアルバムに手を出す時は、この盤の背景、内容を予習して、その予習内容を良く理解してから、ジックリと聴き込んで欲しい。
 
 

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2024年4月21日 (日曜日)

シェリー・マンの絶妙な職人芸

米国ウエストコースト・ジャズは「小粋に聴かせるジャズ」。演奏の基本はハードバップだが、優れたアレンジを施し、演奏テクニックは極上、個の演奏よりグループサウンズを優先。アンサンブルとインタープレイがメイン、聴き手にしっかりと訴求する、聴き応えがあって、聴き味の良いジャズ演奏を「聴かせる」。

そんなウエストコースト・ジャズにおいて、ドラマーの役割は重要。演奏内容と共演メンバーを活かすも殺すもドラマー次第なのがジャズ演奏であり、特に、グループサウンズ優先、アンサンブルとインタープレイがメインのウエストコースト・ジャズでは、アレンジから演奏全体の雰囲気や志向を把握し、リズム&ビートで的確に誘うドラマーの役割はとりわけ重要である。

Shelly Manne『2-3-4』(写真左)。1962年2月5, 8日の録音。Impulse!レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Coleman Hawkins (ts, tracks 1, 3, 5, 6 & 8), Hank Jones (p, tracks 1, 3, 5 & 8), Eddie Costa (p, vib, tracks 2, 4 & 7), George Duvivier (b, tracks 1–5, 7 & 8), Shelly Manne (ds)。

タイトルの「2-3-4」については、デュオ演奏(2人の演奏)、トリオ演奏(3人の演奏)、カルテット演奏(4人の演奏)を表している。

リーダーでドラマーのシェリー・マンは全ての演奏でドラマーを務めているが、コールマン・ホーキンスとのデュオ演奏、エディ・コスタのピアノ&ヴァイブ、ジョージ・デュビビエのベースとのトリオ演奏、コールマン・ホーキンスのテナー、ハンク・ジョーンズのピアノ、ジョージ・デュビビエのベースとのカルテット演奏と3つの演奏編成の演奏集になっている。
 

Shelly-manne234

 
デュオ、トリオ、クインテットという演奏編成ごと、演奏する曲の曲想&曲調ごと、演奏するメンバーの個性&特徴ごと、ドラミングの内容を自在に変化させ適応し、演奏志向をコントロールするシェリー・マンの絶妙な職人芸が堪能出来る。

とにかく、シェリー・マンのドラミングのテクニックがずば抜けている。絵に描いた様な「緩急自在、硬軟自在、変幻自在」なドラミング。このシェリー・マンのドラミングこそが、「緩急自在、硬軟自在、変幻自在」なドラミングの究極だろう。聴いていて、本当に上手いなあ、と感心する。

馬力だけのドラミングではない、繊細なシンバル・ワーク、瀟洒なブラシ・ワーク、躍動感と切れ味が同居した小粋なドラミングが、デュオ演奏、トリオ演奏、クインテット演奏の中で、効果的に適用される。そして、彼のドラミングには、ドラムで唄うが如くの「歌心」がしっかりと備わっている。そんなところにも、シェリー・マンのドラミングのセンスの良さが表れていて素晴らしい。

ウエストコースト・ジャズのドラマーの第一人者、シェリー・マンのドラミングの優秀性が如実に表れた、ジャズ・ドラミングの教科書の様なアルバムである。聴く度に、そのドラミングに感心する、シェリー・マンの名盤の一枚。
 
 

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2024年1月14日 (日曜日)

弦をバックに『Waiting Game』

ジャズマンにとって、一流の証の一つに「ウィズ・ストリングス」がある。「ウィズ・ストリングス」とは、オーケストラをバックにしたインプロビゼーション。ストリングスは楽譜でガッチリ固められた定型の演奏。反対に、ジャズマンは即興演奏をメインとして演奏。定型のストリングスをバックに、いかに即興演奏を展開し、自らの個性を表出するか。それは一流のジャズマンでないと出来ない「技」である。

Zoot Sims『Waiting Game』(写真左)。1966年11月28 & 30日の録音。インパルス・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Zoot Sims (ts, vo), David Snell (harp), Gary McFarland (arr), Kenny Napper, (cond, tracks 6 & 7), Jack Parnell (cond, tracks 1–5 & 8–10), Unknown Orchestra。

ズートのサックスは、ストリングスに負けない、力強くて流麗、説得力抜群の吹きっぷり。ズートはイマージネーション溢れるアドリブ・ソロを吹く。曲の主旋律は「力強くて流麗、説得力抜群の吹きっぷり」で明確にメロディアスに吹く。アドリブ部はズートならではの即興フレーズを吹く。そんなズートの「ウィズ・ストリングス」な企画盤である。
 

Zoot-simswaiting-game

 
「ウィズ・ストリングス」盤はアレンジが「カギ」。アレンジは、ゲイリー・マクファーランド。マクファーランドのメインはジャズのアレンジャー。自らもジャズ演奏する。そんなマクファーランドのアレンジは、「ジャズマン・ファースト」の即興演奏のスペースをしっかり取った、ジャズ志向のアレンジ。この盤では、このアレンジが「成功のカギ」。

「ジャズマン・ファースト」のアレンジに乗って、ズートは気持ち良さそうに、テナーを吹き上げていく。主旋律は明確に、アドリブ部はイマージネーション豊かに吹き進む。軽やかに爽やかにスインギーに、有名スタンダード曲をメインに唄い上げるズートのテナーは優しくリリカル。極上のイージーリスニング・ジャズ。

手に汗握る、はたまた、ブンブンにスイングするジャズではない、ちょっとメインストリームから横道に逸れたジャズではあるが、そのジャズマンの即興演奏の充実があれば、イージーリスニング・ジャズも、純ジャズ同様、「即興演奏の妙」を楽しめる。この盤はそんな「ズート・シムスの即興演奏の充実」を伴った、上質のイージーリスニング・ジャズである。
 
 

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2020年11月 2日 (月曜日)

52年振りのモンクの未発表音源 『Palo Alto』

「ジャズ・ジャイアント」と呼ばれるジャズの偉人レベルの中で、ビル・エヴァンス、セロニアス・モンク、ジョン・コルトレーンについては、21世紀に入って20年経った今でも、未発表音源が発掘され続けている。その未発表音源については、どこかでのライヴ音源がほとんど。しかも非正式録音、いわゆる「ライヴでの隠し撮り」音源である。しかも、その音源、意外と音が良い。

Thelonious Monk『Palo Alto』(写真左)。1968年10月27日、カリフォルニア州パロ・アルト高校にてライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Thelonious Monk (p), Charlie Rouse (sax), Larry Gales (b), Ben Riley (ds)。これまでどこにも発表されてこなかった、セロニアス・モンク・カルテットの1968年に行われたライヴの音源。今年創立60周年を迎えたジャズの名門インパルス・レーベルからリリースになる。

録音の経緯が興味深い。キング牧師が暗殺され、全米が人種差別に揺れていた1968年10月、ジャズを通して人々の結束を願う一人の男子高校生の思いに応えてモンクが出演した学内コンサートを全編収録。この録音は、その学校の用務員によって行われた。そして、本アルバムの音源は、今日に至るまで、このライヴの発案者で当時高校生だった、ダニー・シャーの自宅屋根裏で保管されていた、とのこと。録音されてから、今回、52年経って陽の目を見たことになる。
 
 
Palo-alto  
 
 
1968年の頃のセロニアス・モンク・カルテットの演奏は、モンク初期の、独特の「アク」と「癖」が抜けて、幾何学模様的にスイングするモンクのピアノ・パフォーマンスが聴き易い判り易いレベルになっていて、聴いていて、とてもワクワクする内容になっている。このライブ、健康状態が優れなかった時期のモンクではあるが、明らかにモンクの気分が良い時のパフォーマンスである。

収録されている曲は「Ruby, My Dear」「Well, You Needn’t」「Don’t Blame Me」「Blue Monk」「Epistrophy」「I Love You Sweetheart of All My Dreams」の6曲だが、どの曲もモンクの代表曲ばかり。演奏も音楽的に評価の高い時代のカルテットであり、とても充実している。冗長なところ、散漫なところが全く無い。好調のモンクを、他の3人が大いに盛り立てている様がありありと伝わってくる。

半世紀も経っているのだ。内容的にはイマイチだが骨董的価値がある、というレベルで未発表音源でリリースされるのなら判るが、これだけの優れた内容で、音も良好のレベルで、こんな音源がまだ残っていたなんて驚きである。今年出た未発表音源ではあるが、1960年代後半のセロニアス・モンク・カルテットの代表盤の一枚に加えても良いだろう。
 
 
 

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  ・The Band の「最高傑作」盤
 
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  ・僕達はタツローの源へ遡った


 
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2020年6月14日 (日曜日)

ジャズ喫茶で流したい・174

ジャズのビッグバンドについては、1950年代の終わりから1960年代に入って、どんどん深化していった。まずアレンジのテクニックの深化。1950年代は、デューク・エリントン楽団か、カウント・ベイシー楽団か、どちらかのアレンジや展開が主流だった。米国西海岸ジャズにおいては、西海岸ジャズの「聴かせるジャズ」の流れのもと、洒落たアレンジを施した、お洒落なビッグバンド・ジャズが流行っていた。

が、この米国西海岸ジャズの洒落たアレンジのビッグバンドの流れを取り入れつつ、ギル・エヴァンス、クインシー・ジョーンズ、オリバー・ネルソンらを中心に、優れたアレンジのもと、アーティスティックなビッグバンド・ジャズが展開されたのが1950年代の終わりから1960年代。それまでのビッグバンド・ジャズの定石に囚われない、新しい音の響きが爽やかである。

Quincy Jones and His Orchestra『The Quintessence』(写真左)。1961年11月29日と12月18日の録音。パーソネルは、3つのグループに分かれる。どういう意図で分けられたのかは判らない。しかし、どのグループの参加メンバーにも、当時の一流どころのジャズメンが顔を揃えている。ジャズオケには珍しい楽器、ハープやチューバ、フレンチホルンが音の彩りを添えている。
 
 
The-quintessence
 
 
この盤の冒頭のタイトル曲「The Quintessence」を聴くにつけ、アレンジのテクニックが飛躍的に向上しているのを感じる。ブルースに拘らない、アーバンでジャジーな、じっくりと「聴かせる」アレンジが素晴らしい。とにかく、じっくりと聴いていると、それまでにないユニゾン&ハーモニーの響きとか、それまでにない楽器、ハープやチューバ、フレンチホルンの「小粋な」使い方がしっかりと確認できて、とにかく面白い。

加えて、ビッグバンドの演奏も、当時のジャズ演奏について最先端のトレンド、モードとかフリーとか、を駆使して、とにかく「新しい」音を繰り出している。クインシー・ジョーンズのビッグバンドのアレンジは、ソロイストのパフォーマンスが活きる様な、映える様なアレンジ。この盤に参加している名うての名手達は、そんなアレンジの中、魅力的なアドリブ・ソロを展開している。
 
クインシー・ジョーンズのアレンジには、コマーシャルな雰囲気は感じ無い。ストイックでアーティスティックな雰囲気の中、爽やかなファンクネスが漂うところが堪らない。この『The Quintessence』では、そんなクインシーのアレンジの妙が心ゆくまで堪能出来る。そして、最後に、この盤、録音がとても良い。楽器毎の音の分離と粒立ちが明確、出来れば良い再生装置で、そこそこの音量で聴いて欲しい。心地良い迫力満点です。
 
 
 

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 ★ AORの風に吹かれて    【更新しました】 2020.06.12更新。

  ・『Bobby Caldwell』 1978

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  ・Led Zeppelin Ⅲ (1970)

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  ・太田裕美『心が風邪をひいた日』
 

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2020年5月25日 (月曜日)

ながら聴きマイ・フェア・レディ

My Fair Lady(マイ・フェア・レディ)は有名なミュージカル。オードリ・ヘップバーン主演で映画化もされているので、日本でもかなり有名なミュージカルである。このミュージカルの挿入歌はジャズ化に向いているようで、結構な数、ジャズ化カヴァーされている。一番有名なのが、シェリー・マンのバージョン。ピアノのアンドレ・プレヴィン、ベースのルロイ・ヴィネガーとのピアノ・トリオでの名演である。

地味ではあるが、ジャズ・ピアノのレジェンド、オスカー・ピーターソンも、ベースのレイ・ブラウン、ドラムのジーン・ガメイジとのピアノ・トリオでの好盤である。が、何故か人気が無い。恐らくドラムの差だろう。

Billy Taylor『My Fair Lady Loves Jazz』(写真左)。1957年1ー2月の録音。ちなみにパーソネルは、Billy Taylor (p), Ernie Royal (tp), Don Elliott (tp, mellophone, vibes, bongos), Jimmy Cleveland (tb), Jim Buffington (French horn), Don Butterfield, Jay McAllister (tuba), Anthony Ortega (as, ts), Charlie Fowlkes (bs, b-cl), Al Casamenti (g), Earl May (b), Ed Thigpen (ds)。

このビリー・テイラーの「マイ・フェア・レディ」は、テイラーのトリオをメインにはしているが、Quincy Jones(クインシー・ジョーンズ)が、アレンジと指揮を担当。ビッグバンドの伴奏をバックにしていて、アルバム全体の印象は、ビッグバンド仕様の「マイ・フェア・レディ」。このクインシーのアレンジが絶妙で、アルバム全体に思いっ切り効いている。
 
 
My-fair-lady  
 
 
もともとビリ−・テイラーのピアノは典雅で流麗。バップなピアノではあるが、メロディアスで、どこかイージーリスニング志向の響きがする。この流麗で粒立ちの良いピアノは、クインシーのゴージャズで流麗なアレンジとの相性が良い。違和感無く、テイラーのピアノが溶け込んでいる。「マイ・フェア・レディ」の挿入歌は、どれもメロディアスなものが多いので、このクインシーのアレンジがバッチリ合う。

冒頭の「Show Me」から「"I've Grown Accustomed to Her Face」を聴くと、ハードバップでスインギーなジャズ仕様というよりは、流麗でメロディアスなビッグバンド仕様という感じ。といって、ビッグバンドの音はあくまでシンプルで、ビリー・テイラーのピアノを惹き立てる役割に徹している。典雅で流麗なテイラーのピアノが殊更に映える。

このビッグバンドの伴奏、ちょっとユニークな音をしていて、チューバやフレンチ・ホルン、バス・クラリネットの音色を上手く活かしている。これがストリングスだったら、ちょっと俗っぽいイージーリスニング風のジャズになっていたのだが、ストリングスを採用しないところが、アレンジの職人、クインシーの面目躍如たるところ。このクインシーの独特のアレンジがこの盤を特別なものにしている。

でも、このビリー・テイラーの「マイ・フェア・レディ」も、我が国で人気が無いんだよな。実は僕も、21世紀に入って、インパルス・レコードのカタログを眺めていて、その存在に気がついたくらいだ。でも、ビッグバンド仕様のお洒落なイージーリスニング・ジャズ志向の「マイ・フェア・レディ」として聴きどころは満載。ながら聴きに向く、イージーリスニング・ジャズ志向の好盤だと思います。
 
 
 

《バーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況
 

 ★ AORの風に吹かれて      2020.05.11更新。

  ・『Another Page』 1983

 ★ まだまだロックキッズ     【更新しました】 2020.05.24更新。

  ・Led Zeppelin Ⅱ (1969)

 ★ 松和の「青春のかけら達」   2020.04.22更新。

  ・チューリップ 『TULIP BEST』
  ・チューリップ『Take Off -離陸-』
 
 
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2019年10月22日 (火曜日)

またまたコルトレーンの未発表盤

21世紀に入って、今年は2019年。コルトレーンが亡くなったのが1967年。既に、コルトレーンが亡くなってから52年が経過する。さすがにもう未発表音源のリリースは無いだろうと思っていた。しかし、今年も再び、未発表音源の発掘そしてリリース。未だにコルトレーンの未発表音源の発掘があるんやなあ、と改めて感動した。

今回は「未発表音源の発掘〜リリース」というよりは、公にされていた音源ではあるが、オリジナル音源の流用と思われていたものらしい。今回のアルバムのリリースの資料を読むと、「1964年6月、カナダ国立映画制作庁の委嘱で、フランス語映画「Le chat dans le sac (英題:The Cat in the Bag)』(日本未公開)の為に、黄金のカルテットを率いてルディ・ヴァン・ゲルダー・スタジオにて録音された音源」とのこと。

しかし、である。資料は続く。「当時、映画の為に使用された5曲は、いずれもコルトレーンのオリジナル曲の再演であったため、熱心なファンの間でも映画にはオリジナル・ヴァージョンが使用されているものと思われており、映画用に再録音されたものであるとは長らく知られていなかった」。つまり、映画に使用された音源はオリジナル・ヴァージョンでは無く、映画用に再演され新たに録音されたもの、だった訳。
 
 
Blue-world-john-coltrane
 
 
John Coltrane『Blue World』(写真左)。1964年6月24日、NY New Jerseyの「Van Gelder Studio」での録音。ちなみにパーソネルは、 John Coltrane (ts, ss), Jimmy Garrison (b), Elvin Jones (ds), McCoy Tyner (p)。黄金のカルテットである。セッションの全音源(合計8テイク)がフル・ヴァージョンでまとめられている。ジャケット・デザインも良好。

今回はオリジナルでおなじみの楽曲ですが、確かにオリジナル・ヴァージョンを意識して聴くと、確かに「違う」。熟成されたワインの如く、オリジナル・ヴァージョンよりも、リラックスした雰囲気の演奏で、穏やかに聴こえます。熟れた演奏と形容したら良いのか。明らかにオリジナル・ヴァージョンの演奏時より、円熟、熟達のレベルで充実している様に感じます。

ライナーノーツの抜粋では「コルトレーンが既に録音した曲をふたたびスタジオ録音することはなかったという意味で、このアルバムは貴重な存在なのだ」としている。本レコーディング・セッションに関する当時のレコード会社にスタジオ使用の記録が残っていなかったらしい。そりゃ〜、この映画のために、改めて録音したという事実は、コルトレーン研究家の間でも知られていなかった訳ですね。
 
 
 
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2019年6月27日 (木曜日)

様々なブラック音楽の要素が融合

ジャズは裾野が広い。他の音楽ジャンルとの融合もし易く、逆に他の音楽ジャンルとの境界が曖昧になることも。時には「ジャズ」という音楽ジャンルに分類されていながら、どう聴いても「これってジャズと呼んで良いのか」と思うアルバムの多々存在する。しかし、しっかり聴くと、即興音楽という要素がしっかり備わっていて、つまりは「即興演奏」という要素があれば、それはジャズと呼んでよいのかと。

Archie Shepp『Attica Blues』(写真左)。1972年1月の録音。Impulse! レーベルからのリリース。リーダーのアーチー・シェップはサックス奏者。コルトレーンを敬愛し、コルトレーンを師と仰いだフリー・ジャズの雄である。そんなコッテコテのフリー・ジャズの担い手が、この盤で、コッテコテのジャズ・ファンクをやっている。
 
冒頭のタイトル曲「Attica Blues」を聴けば、それが判る。僕はこの盤を初めて聴いた時、思わず「これってジャズなんか」と仰け反ったことを覚えている。思いっきりファンキーなエレギのうねり。鳴り響くタンバリン。熱くブラックなHenry Hull(ヘンリー・ハル)のヴォーカル。そんなボーカルを煽りに煽るブラスのユニゾン&ハーモニー。うねるような粘るようなコーラスが思いっきりファンキー。
 
 
Attica-blues
 
 
しかし、リーダーのシェップのサックスが出てこない(笑)。しかし、2分割された「Steam」では、ストリングスの入った、フリーを基調としたモーダルなサックスが実に「粋」。いたずらに気持ちの赴くままサックスを吹きまくるのでは無い、抑制されグループサウンズを十分に意識したシェップのサックスは「確信的」ですらある。正統な純ジャズの最新形をここに聴くことが出来る。
 
そして面白いのは4曲目の「Invocation to Mr. Parker」。ラップの元祖といわれるLast Poets(ラスト・ポエッツ)の様でもあり、録音当時としてはかなり新しい感覚。当時はクロスオーバー・ジャズがトレンドであったが、この盤はそれを超越して、ブラック・ミュージックの様々な要素を確信的に取り込んだ、かなり尖った「ジャズ・ファンク」である。
 
ゴスペル風の音の響きあり、ジャズ・ソウルなサックスの咆哮あり、フリー・ジャズ、ファンキー・ジャズの要素はそこかしこに散りばめられ、コッテコテにファンキーなボーカルが唸りを上げる。改めて今の耳で聴き直すと、この盤は後のフュージョン・ジャズの先取り的イメージ。思いっきり尖った、様々なブラック・ミュージックの要素が融合した「フュージョン・ファンク」である。
 
 
 
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    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
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