”マクリーンとジェンキンス” です
フレーズの作り方は「うり二つ」。マクリーンは、トレードマークの「ちょっとピッチがフラットした」伸びのある吹奏、ジェンキンスは、端正で明朗で伸びのある吹奏。「ぼうっと聴いているとどちらがどちらかわからなる」との声もあるが、マクリーンのアルト・サックスは、そんな「癖」があるので、暫く聴いていると、聴き分けることが出来る。
Jackie Mclean & John Jenkins『Alto Madness』(写真左)。1957年5月3日の録音。ちなみにパーソネルは、Jackie McLean, John Jenkins (as), Wade Legge (p), Doug Watkins (b), Art Taylor (ds)。当時の人気アルト・サックス奏者のジャキー・マクリーンと地味な存在に甘んじていたジョン・ジェンキンスの双頭リーダー&フロントの佳作である。
どちらにしても、素性確かなアルト・サックス奏者の2人である。この盤でのパフォーマンスは、ジャズの楽しさ、ハードバップの楽しさが蔓延している。冒頭のタイトル曲「Alto Madness」、マクリーンのソロから始まって、ジェンキンスが続く。そして、チェイスが繰り広げられ、和やかなエールの交換という感じだろうか。聴いていて楽しくなる。
4曲目「Easy Living」は、美しいスタンダード・バラード。マクリーン、ジェンキンスともに、それぞれのアルト・サックスの個性をしっかり踏まえて、吹き上げていく様は感動的。特に、マクリーンはバラードを吹かせたら味わい深い。「ちょっとピッチがフラットした」伸びのある吹奏が、どこか切ない哀愁感を醸し出して、ついつい、しみじみと聴き込んでしまう。
バックのリズム&ビートを司る、ウェイド・レッジのピアノ、ダグ・ワトキンスのベース、アート・テイラーのドラムのリズム・セクションが、フロント2管をしっかり支え、しっかり鼓舞している。特に、早逝してしまった、ワトキンスの野太いソリッドなベースラインには、思わずグッとくる。テイラーの職人芸的ドラミングも聞き物。
まるで兄弟の様なアルト・サックスの、マクリーンとジェンキンス。マクリーンは、この後、数年のうちに個性を増していった一方、ジェンキンスは完全に表舞台から姿を消した。マクリーンは「進化の人」で、ジャズのその時、その時の演奏トレンドに果敢に挑戦し、自家薬籠中のものとした。ジェンキンスはと言えば、その個性「端正で明朗で伸びのある吹奏」では、ジャズ界に生き残れなかった。なんだか、身につまされる想いに駆られる。
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