2025年12月13日 (土曜日)

マルの秀作『The Quest』です。

フロントに、ドルフィーのアルト・サックスと、アーヴィンのテナー・サックスの2管。リズム・リズム・セクションは、リーダーでピアノ担当のマルに、ベースにチェロのロン、ウッドベースにベンジャミンの「ダブル・ベース」、そして、ドラムにパーシップというセクステット編成。

Mal Waldron『The Quest』(写真左)。1961年6月27日の録音。New Jazz (Prestige)からのリリース。ちなみにパーソネルは、Mal Waldron (p), Eric Dolphy (as, b-cl), Booker Ervin (ts), Ron Carter (cello), Joe Benjamin (b), Charlie Persip (ds)。ハードバップとアヴァンギャルドの中間に位置するユニークなパフォーマンスが個性際立つ好盤である。

マルのリーダー作という扱いではあるが、まず耳がいくのはドルフィーのアルト・サックス&クラリネット。この人のアルト・サックスは嫌が応にも、アドリブを2〜3フレーズ聴けば、もう「ドルフィー」と直ぐに判るくらい、個性的で特徴的な吹奏。この盤、ドルフィーのリーダー作扱いでリイシューされたことだってあるくらい(写真右)。

ただ、この人の吹奏ではフリーでは無い。他のジャズマンと同じフレーズを絶対に吹かない、他のジャズマンと全く異なるフレーズを吹くことを旨として、アドリブ対応している様に僕には感じる。

当然、そのフレーズはアブストラクトに傾くが、ちゃんと聴くと、必ず、ドルフィーなりの法則というか、マナーというか、吹き回しの理屈がある様に感じる。ただ、ドルフィーはモードではない。モーダルな吹奏もあるが、彼はモードだけを彼のパフォーマンスの拠り所としている訳では無い様なのだ。これが彼のユニークなところであり、唯一無二なところ。
 

Mal-waldronthe-quest

 
ドルフィーのフロントの相棒、アーヴィンのテナーも検討している。ドルフィー独特の吹き回しに、アーヴィンは堂々モードで対抗している様で、これが、ドルフィーを際立たせ、逆に、アーヴィンを際立たせる。アーヴィンのモードに照らし併せてドルフィーはモード・オンリーでは無いということが判り、ドルフィーの個性的な吹奏と比較すると、アーヴィンのテナーの吹奏がモードに準拠していることに、しっかりと気が付くのだ。

そんなフロント管の2人を支え鼓舞するマルの「黒い情感と適度なラフさ」が個性のピアノが、フロント2管の吹奏イメージに相性バッチリなのだ。硬質なややパルシヴなタッチでフロント2管を鼓舞し、ややアフストラクトに傾くが、決してフリーに走らない、伝統の範囲にギリギリ留まる「適度なラフさ」が、ドルフィーの唯一無二はアドリブ・フレーズに合致する。アーヴィンのモーダルなフレーズに合致する。これが、この盤の「キモ」の一つ。

ベース担当の二人、ロンはチェロでソロ・パートに対応し、ベンジャミンはアコベで演奏全体のリズム&ビートを支える。パーシップのドラムの大健闘。フロント2管のモードとアヴァンギャルド、マルのピアノの「適度なラフさ」によく対応し、的確に追従し、リズム&ビートの正しき方向をフロント2管とマルのピアノに指し示すような、示唆に富むドラミングに感心する。

マルのリーダーとしての「サウンド・コーディネート」力に感心する。やはり、このアルバムはマルのリーダー作が相応しい。この盤のそれぞれの演奏を追っていると、マルのピアノが演奏全体をリードし、サポートする雰囲気がそこはかとなく漂って来る。このマルのピアノのリーダーシップがあったからこそ、ドルフィーとアーヴィンは心おきなく、自らのアドリブ・波フォーマンスに集中出来たのだろう。秀作です。
 
 

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2025年4月24日 (木曜日)

ゴスペル風味のガーランドです。

「ピアノ職人」レッド・ガーランド。1950年代は、マイルス・デイヴィスの黄金のクインテットのピアニストとして、人気ピアニストとなり、ブロックコードと流麗なシングル・トーンが得意技の「クールなバップ・ピアノ」で、トリオ作をメインに好盤を連発。一流ジャズ・ピアニストとして、ジャズ・ピアニストのスタイリストの一人として、ジャズ史にその名前を残している。

しかし、ガーランドは、モードやフリーなど、ジャズの演奏トレンドには目もくれず、ブロックコードと流麗なシングル・トーンが武器の「バップ・ピアノ」を変わらず演奏し続けたため、1960年代の諸作については、「マンネリの極致」等と揶揄され、1960年代以降のガーランドのリーダー作には、聴くべきものがない、という、心無い評論まで現れた。

Red Garland『Halleloo-Y'-All』(写真左)。1960年7月15日の録音。プレスティッジ・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Red Garland (p, org), Sam Jones (b), Art Taylor (ds)。ガーランドお得意のトリオ演奏である。が、この盤で興味深いのは、ガーランドがオルガンを弾いている。

ガーランドの奏法は、ブロックコードと流麗なシングル・トーンが得意技の「クールなバップ・ピアノ」で統一されているので誤解され易いが、リーダー作毎に「テーマ」を持っていて、その「テーマ」に合わせて、変幻自在、硬軟自在、緩急自在と様々なニュアンスで、楽曲を弾き分け流ので、ちゃんと聴くと、全く飽きがこない。
 

Red-garlandhallelooyall

 
この『Halleloo-Y'-All』のテーマは、収録された楽曲を聴く限り「ゴスペル&ブルース」が想起される。冒頭の「Revelation Blues」はゴスペル風味。2曲目の「I'll Never Be Free」は、ゴスペル風味+ブルース調。3曲目「Everytime I Feel The Spirit」は、正にゴスペルの有名曲をハードバップでガンガンやる。そして、オーラスの5曲目「Back Slidin'」は、ガーランド節満載の「ガーランズ・ブルース」。

そして、4曲目「Halleloo-y' All」こそが、究極のゴスペル調な演奏。なんと、「ピアノ職人」レッド・ガーランドがオルガンを弾いている。このオルガンが良い味だしている。ガーランドの右手シングルトーンっぽい、端正で流れるようなオルガンがテーマとアドリブの旋律をゴスペル風バップっぽく弾き回していく。お得意のブロックコードがビート感を増幅して、ガーランドのピアノの個性をそのままに、ガーランドならではのオルガンが印象的。

この「ゴスペル&ブルース」な好盤のガーランドを、ベースのサム・ジョーンズとドラムのテイラーがガッチリサポートしている。ベースとドラム、どちらも「職人的」パフォーマンスを旨とする二人が、「ゴスペル&ブルース」なリズム&ビートを叩き出して、ガーランドの「ゴスペル&ブルース」な雰囲気を効果的に増幅している。

以前から、1960年代のガーランドのリーダー作については、聴くべきものがない、と言われてきたが、とんでもない。ガーランドはスタイル固定で、アルバム毎の「テーマ」に則って、ニュアンスを弾き分けていくタイプのピアニスト。その個性が、1960年代以降のリーダー作にも溢れている。少なくとも、僕は、1960年代以降のガーランドも、楽しんで聴いている。
 
 

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2025年4月22日 (火曜日)

ガーランドのソロピアノ・その2

ガーランドのピアノは、自らの弾き回しのテクニックによるドライブ感、スイング感の醸成に加え、バックのリズム隊のベースとドラムによる、そのドライブ感とスイング感の増幅が「キモ」になっている。つまり、ガーランドのピアノはトリオ演奏によって、最大限に映えるのである。

では、そんなガーランドのピアノがソロで演奏したらどんなピアノになるのか。その答えの様なアルバムが2枚ある。一枚は昨日ご紹介した、『Red Alone』(1960年4月2日の録音)。もう一枚が、今日ご紹介する『Alone with the Blues』。タイトルから判る、こちらは「ブルース・ナンバー集」。『Red Alone』と同一録音日。

Red Garland『Alone with the Blues』(写真左)。1960年4月2日の録音。ちなみにパーソネルは、Red Garland (p) のみ。プレスティッジの「Moodsvilleシリーズ」のvol.10。「Moodsville」は、1950年代の終盤にプレスティッジが始めた、恋愛中にカップルに向けてムーディーな音楽を提供しようと作ったシリーズなのだが、この盤の別ジャケからして、明らかに「ムーディー路線」(写真右)。
 

Red-garlandalone-with-the-blues

 
ブロックコードと流麗なシングル・トーンが得意技のレッド・ガーランド。「ピアノ職人」ガーランドにはブルースがよく似合う。そんなキャッチが思い浮かぶほど、ソロピアノでガーランドが弾きまくるブルース曲は「クールで典雅」。洒落ていて粋なブルースをソロピアノでやるから堪らない。お得意のブロックコードが、魅力的なブルージーなビートを叩き出す。

右手のシングルトーンはキビキビとして、ブルースのメロディー・ラインを「クールに典雅」に聴かせてくれる。泥臭くない、重くない、それでいて、小粋なブルース・フィーリングは、そこはかとなく織り込まれ、バップな弾き回しで、ジャジーな雰囲気が増幅される。ジャズ・ピアニストがソロで奏でるブルース曲。ガーランドのそれは極上のパフォーマンス。

トリオ盤ばかりが注目されるガーランドであるが、彼のピアノの本質を感じ取ろうとするなら、やはり、ソロピアノ盤を聴くべきだろう。昨日ご紹介した『Red Alone』と、今回ご紹介の『Alone with the Blues』の、プレスティッジの「Moodsvilleシリーズ」の2枚が、その要求にバッチリ応えてくれる。好盤である。
 
 

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2025年4月21日 (月曜日)

ガーランドのソロピアノ・その1

ブロックコードと流麗なシングル・トーンが得意技のレッド・ガーランド。ラウンジ・ピアノとか、イージーリスニング・ピアノと揶揄されることがあるが、どうして、ドライブ感、スイング感溢れる弾き回しは、どう聴いたって、極上のハードバップ・ピアノである。

ガーランドのピアノは、弾き回しのテクニックによるドライブ感、スイング感の醸成に加えて、ベースとドラムによる、そのドライブ感とスイング感の増幅が「キモ」になっていて、そういうことから、ガーランドのピアノはトリオ演奏によって、最大限に映えるのである。

では、そんなガーランドのピアノがソロで演奏したらどんなピアノになるのか。その答えの様なアルバムが2枚ある。

Red Garland『Red Alone』。1960年4月2日の録音。ちなみにパーソネルは、Red garland (p)。レッド・ガーランドのソロ・パフォーマンスを記録した、プレスティッジの「Moodsvilleシリーズ」のvol.3。「Moodsville」は、1950年代の終盤にプレスティッジが始めた、恋愛中にカップルに向けてムーディーな音楽を提供しようと作ったシリーズである。

収録された曲名を眺めていると、もしかしたら、このガーランドのソロ・アルバムって、「バラード」をメインとしたものかしら、と思いながら、聴き始めると「ビンゴ」。「Moodsville」という、レーベルの音志向が大いに影響していると思うが、ガーランドのソロ演奏の題材としては、意外と最適かもしれない。
 

Red-garlandred-alone

 
バラード演奏だからといって、ドライブ感、スイング感は大切な要素。冒頭の「When Your Lover Has Gone」でを聴くと、演奏の始めから半ばくらいまでは、ドライブ感、スイング感を醸し出すのに、少し手探りな感じがある。

が、徐々にこの曲に合った「ドライブ感、スイング感を醸し出し方」を会得していって、後半は、そこはかとなくクールに漂うドライブ感、スイング感が素敵なバラード演奏に仕上がっている。

このドライブ感、スイング感を醸し出し方については、ガーランドのピアノの個性である「ブロックコードと流麗なシングル・トーン」の弾き回しから、テクニックよろしく、上品でクールなドライブ感、スイング感を醸し出してくるから「ニクい」。ガーランドのピアノのテクニックの高さを再認識する。やはりガーランドは「ピアノ職人」だ。

このバラード州のソロ・アルバムを聴いていると、ラウンジ・ピアノとか、イージーリスニング・ピアノとは全く違う、ガーランドのピアノはやはり「バップ・ピアノ」が基本だと再認識する。

この盤のガーランドのソロの底に漂う「上品でクールなドライブ感、スイング感」は、バップ・ピアノでないと出ないだろう。この盤にはガーランドのピアノの本質がバッチリと記録されている。
 
 

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2025年4月16日 (水曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤 110

レッド・ガーランド(Red Garland)のピアノは、心無いジャズ者の方々から、ラウンジ・ピアノとか、イージーリスニング・ピアノと揶揄されることがある。確かに、シンプルで聴きやすいピアノではある。しかも、その演奏スタイルは、メジャー・デビュー以降、全く同じスタイルで演奏される。「金太郎飴ピアノ」とも揶揄されるくらいである。

しかし、同じスタイルでブレることなく弾き続けているが、多くの彼のリーダー作を聴き通しても、飽きが来ることはない。演奏する曲想に従って、弾き方やニュアンスを効果的に変えているのだ。逆に、弾き方やニュアンスを変えても、ガーランドのピアノの個性の大本は変わらない様に工夫している。目立たないが、これぞ「職人芸」である。

Red Garland Trio『Red Garland at the Prelude』(写真左)。1959年10月2日、NYの「The Prelude Club」でのライヴ録音。プレスティッジ・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Red Garland (p), Jimmy Rowser (b), Charles "Specs" Wright (ds)。シンプルな燻銀ピアニスト、レッド・ガーランドの唯一のライヴ盤。

このライヴ盤のガーランドのピアノを聴けば、ラウンジ・ピアノとか、イージーリスニング・ピアノという印象はすっ飛んでしまうだろう。このライヴ盤を聴くと判るが、ガーランドのピアノは、筋金入りの「バップ・ピアノ」である。ブロックコードを駆使して、強烈なドライブ感とスイング感を醸し出し、シングルトーンな右手は、テクニックよろしくバップなフレーズを振り撒いている。
 

Red-garland-triored-garland-at-the-prelu

 
そして、ライヴなので、様々なイメージの曲、例えば、ブルース、歌もの、スタンダード、バラード、バップ。ガーランドはそれぞれの曲のイメージによって、演奏のニュアンスをしっかりと変えている。ブロックコードとシングルトーンを駆使するところは変わらないので、聴き逃しがちなのだが、ガーランドは、曲のイメージによって、緩急自在、変幻自在、硬軟自在に弾き分けている。

ブロックコードとシングルトーンを駆使するところは全く変わらないのに、アルバムを通じて、全く飽きが来ないのが「その証拠」である。なんだか手品にかかったみたいなガードランドの「弾き分け」である。

ジミー・ロウサーのベース、スペックス・ライトのドラムによるリズム隊は、リズム・キープに徹していて、決して、インタープレイを仕掛けて、ガーランドに絡むことは無い。故に、このライヴ演奏では、ガーランドのピアノだけが映えに映える様にプロデュースされている。

アルバムのジャケットも、やっつけジャケットが多いプレスティッジだが、このアルバム・ジャケは、プレスティッジらしからぬ、趣味とセンスの良い良好なジャケ。ガーランドのNYの「The Prelude Club」でのライヴ演奏が聴こえてきそうな、優れもののジャケットを纏って、このライヴ盤はガーランドの代表作の筆頭として良いだろう。ピアノ・トリオの代表的名盤の一枚でもある。
 
 

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2025年4月 7日 (月曜日)

バレルとレイニーの2本のギター

ジャズ・ギターといえば、僕にとってのアイドルは、モダン・ジャズ・ギターで言うと、ウエス・モンゴメリー、ケニー・バレル、グラント・グリーン。ニュー・ジャズ・ギターで言うと、パット・メセニー、渡辺香津美、ジョン・スコフィールドに、ジョン・アバークロンビー。最近、ケニー・バレルのリーダー作をせっせと聴き直しているところ。

Kenny Burrell, Jimmy Raney『Two Guitars』(写真左)。1957年3月5日の録音。プレスティッジ・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Kenny Burrell, Jimmy Raney (g), Donald Byrd (tp), Jackie McLean (as), Mal Waldron (p), Doug Watkins (b), Art Taylor (ds)。

ケニー・バレル(写真右)とジミー・レイニーの2本のギターに、ドナルド・バードのトランペットとジャキー・マクリーンのアルト・サックスがフロント2管。マル・ウォルドロンのピアノに、ダグ・ワトキンスのベース、アート・テイラーのドラムのリズム・セクション。総勢7人のセプテット編成。

やっつけセッションが多いプレスティッジにしては、とても整った企画盤。優れたハードバップなクインテットをバックに、二人のギタリストが、それぞれの個性を振り撒き弾きまくる。そして、この7人編成のメンバー全員が、当時、一流のジャズマンばかりが大集合。当然、出てくる音は「一流のハードバップ」。特に、バックを司るクインテットの好演は聴き逃せない。
 

Kenny-burrell-jimmy-raneytwo-guitars

 
タイトルが「Two Guitars」という割に、バードのトランペットにも、マクリーンのアルト・サックスにも、ソロ・パートをしっかりと与えていて、しかも、この二人のパフォーマンスが好調ときた。マルのピアノは、マルのピアノの個性をガンガンに振り撒き、ワトキンスは重量ベースをブンブン唸らせ、テイラーのドラムは小粋にリズム&ビートを叩き出す。

大きくフィーチャされた二人のギタリスト、バレルとレイニー、スタイルの違う二人の共演は、もちろん申し分ない。ブルージーなバレルとメロディアスなレイニー。双方、持ち味を活かして、ぶつかることなく、しっかりと相手の音を聴きながら、それぞれの個性的なギターをガンガンに弾きまくる。ハードバップ・ギターの良いところがてんこ盛り、という印象。

6曲目のワトキンス作「This Way」では、二人のギターの掛け合いが楽しめる「ギター・バトル」を堪能することが出来る。ギター・バトルとはいえ、丁々発止と渡り合うというよりは、和気藹々に絡み合うって感じで、これが実に良い雰囲気。ほんとにこの二人は、このジャム・セッションを楽しんでるなあ、という温かい感じがこの盤の良いところの一つ。

やっつけ録音、やっつけ編集の得意なレーベル、プレスティッジにしては、ほどよくプロデュースされ、かっちりまとまった内容にはちょっとびっくり。おそらく、録音メンバーそれぞれが、しっかりとした矜持を保ちつつ、バレルやバード辺りがリーダーシップをとりながら、バンド全体でセルフ・プロデュースした結果ではないか、と僕は想像している。
 
 

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2024年12月13日 (金曜日)

聴いて楽しい「カーソン盤」

テッド・カーソン(Ted Curson)。米国フィラデルフィア出身のトランペッター。1956年に、マイルス・デイヴィスの勧めで、ニューヨークに移住。1950年代後半から1960年代前半にかけて、セシル・テイラーと共演。1960年代前半には、チャールズ・ミンガスと共演。その後はソロとして活動。20枚ほどのリーダー作をリリース。2012年11月、享年77歳で鬼籍に入っている。

Ted Curson『Fire Down Below』(写真左)。1962年12月10日の録音。Prestigeレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Ted Curson (tp), Gildo Mahones (p), George Tucker (b), Roy Haynes (ds), Montego Joe (congas)。

硬軟自在で縦横無尽、表現力豊かなトランペットが個性、そのトーンも美しい、知る人ぞ知る、玄人好みのトランペッター、テッド・カーソンの2枚目のリーダー作。

初リーダー作では、モードをベースにした、自由度が高く、独創的で印象深いアドリブ展開で「ポスト・バップ」なトランペットを披露した。しかし、この2作目のリーダー作では「原点回帰」的な、ハードバップからファンキー・ジャズの雰囲気を色濃く反映した、温故知新なトランペットを披露している。
 

Ted-cursonfire-down-below

 
カーソンのトランペットは、硬軟自在で縦横無尽、表現力豊か、トーンも美しく、明るく端正で誠実なトランペット。大向こうを唸らせる様な、派手なテクニックや吹き回しは無いが、フレーズの展開は明快で誠実。虚勢を張ったり、こけ脅し的なハイノートも無い。とにかく、誠実で分かりやすくウォームでポジティヴなトランペット。

物足りないとか、中庸とか、揶揄されることもあるが、カーソンってクラシックのトランペッターを目指したこともあって、クラシックの整然とした洗練された要素が見え隠れするほど、カーソンのトランペットは、端正で流麗で素性は確か。自己流叩き上げのトランペッターの様な変な癖や偏りが無い。それを捉えて、物足りないとか、中庸とか言うのは、あまりに偏った聴き方かと思う。
 
冒頭、ラテン・テイストが楽しい、コンガ入りで軽快軽妙な「Fire Down Below」から始まり、艶やかなトランペットが芳しい「The Very Young」、小気味良いアレンジが印象的な「Show Me」など、渋い、玄人好みのスタンダード曲の演奏がズラリと並ぶ。明るく端正で誠実なカーソンのトランペットが、ウォームにポジティヴにライトに、スタンダード曲の持つ美しい旋律を唄うかの如く吹き上げ、印象的なアドリブを展開する。

音楽の原点を再確認する様な、聴いて楽しい、聴いてリラックス出来る、カーソンの『Fire Down Below』。何かしながらの「ながら聴き」にも最適。カーソンのトランペッターとしての表現の幅の広さが実感できる佳作だと思います。
 
 

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2024年8月10日 (土曜日)

夏はボサノバ・ジャズ・その33

1962年、ボサノバ・ジャズのブレイクの年である。ズート・シムズの『ニュー・ビート・ボサノヴァ Vol.1』や、スタン・ゲッツの『ジャズ・サンバ』、クインシー・ジョーンズの『ビッグバンド・ボサノヴァ』など、ジャズとボサノヴァが融合した好盤がリリースされた。当然、セールスは好調だったようで、この1962年からしばらくの間、ジャズ界は「猫も杓子も」ボサノバ・ジャズに走った。

Gene Ammons『Bad! Bossa Nova』(写真左)。1962年9月9日の録音。Prestigeレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Gene Ammons (ts), Kenny Burrell, Bucky Pizzarelli (g), Hank Jones (p), Norman Edge (b), Oliver Jackson (ds), Al Hayes (bongos)。アモンズのテナー、バレルとピザレリのギター、ハンク・ジョーンズのピアノがメインのボンゴ入りリズム隊、総勢7人のセプテット編成。

オールド・スタイルのテナーマン、ジーン・アモンズが流行に乗って、ボサノバ・ジャズに手を染めたアルバム。と思うが、聴いてみると、様子がちょっと違う。全編、ボサノバ・ジャズで溢れているかと思いきや、「Ca' Purange (Jungle Soul)」や「Cae, Cae」は、ボサノバ曲、いわゆるブラジリアン・チューンなんだが、他は渋めのスタンダード曲とアモンズの自作曲。ボサノバどっぷりのジャズ盤では無い。
 

Gene-ammonsbad-bossa-nova

 
しかし、である。リズム&ビートの雰囲気は、明らかにボサノバ&サンバのリズム&ビートをジャズ向けに借用していて、ボサノバ曲のみならず、渋めのスタンダード曲にも、アモンズの自作曲にも、そんなジャズ向けに借用した、ボサノバ&サンバのリズム&ビートを適用している。アルバム全体にはボサノバ・ジャズ的雰囲気での「統一感」があって、ボサノバ・ジャズ志向のトータル・アルバムとして、しっかりと訴求する。

そして、そんなジャズ向けに借用した、ボサノバ&サンバのリズム&ビートに乗った、アモンズのテナーがとっても良い音を出している。暖かいトーンの吹奏で、明るく切れ味良く歌心満点。アルバム全体を覆うブラジリアン・ミュージックの雰囲気に乗って、そんなアモンズのテナーが大らかに鳴り響く。ほんといい音な、オールド・スタイルのテナーが、ボサノバ&サンバのリズム&ビートにばっちりフィットしている。これが、このアモンズのボサノバ・ジャズ盤の一番の聴きどころ。

アモンズのディスコグラフィーの中でも、特に重要な位置付けのリーダー作ではないんですが、とても良い雰囲気の「アモンズ流のボサノバ・ジャズ盤」として捉えて良いかと思います。とにかく聴き心地が良い。バックの演奏も良好で、凡百なボサノバ・ジャズ盤にありがちな、チープで俗っぽいところは無い。ボサノバの雰囲気を漂わせつつ、ファンキーな要素も忍ばせたアモンズ節が心地良い、隠れ好盤だと思います。
 
 

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2024年6月24日 (月曜日)

トミフラの「職人肌テクニック」

名盤請負人の異名を持つ「トミー・フラナガン(Tommy Flanagan・以下「トミフラ」と略)」。トミフラのピアノは伴奏に回ってこそ際立つ、なんて「ピントのズレた」評価もあるが、トミフラは元々はバップなピアニスト。ビ・バップからの流れを汲む「テクニック秀逸、ばりばりピアノを弾きまくる」が、フラナガンの本質。

加えて、トミフラは応用力抜群の職人肌テクニックの持ち主でもある。「伴奏に回ってこそ際立つピアノ」は、そのフロント楽器の個性や音色、フレーズに合った、そのフロント楽器の演奏が際立つフレーズを弾き進める応用力の高さの表れだし、そのセッションの「プロデュース志向にピッタリ合った雰囲気のピアノ」を弾き進めるところも、この職人肌テクニックの賜物である。

『The Tommy Flanagan Trio』(写真左)。1960年5月18日の録音。ちなみにパーソネルは、Tommy Flanagan (p), Tommy Potter (b), Roy Haynes (ds)。Prestigeの傍系レーベル「Moodsville」からのリリース。

「Moodsville」は、ジャズ・スタンダード曲をメインに収録、ムーディーな雰囲気の「聴かせるアルバム」の制作を目的としたレーベル。このトミフラのトリオ盤では「Moodsville」レーベルの音志向に忠実に、トミフラは、実にムーディーで洒脱なフレーズを繰り出して、しっとり聴かせるトリオ演奏を展開している。
 

The-tommy-flanagan-trio

 
その収録曲であるが意外と洒落ている。ジャジ・スタンダード曲が「In The Blue of The Evening」「You Go To My Head」「Velvet Moon」「Come Sunday」「Born To Be Blue」「In A Sentimental Mood」の6曲だが、有名な「ど・スタンダード曲」は選ばず、ちょっと小粋でマニアックなスタンダード曲を選んでいるところがニクい。そしてフランガンの自作曲「Jes' Fine」の全7曲。

ムーディーだからといって、トミフラのピアノは優しくはない。しっかりと芯の入った力強いタッチで、スタンダード曲のテーマを明快にメリハリ良く唄い上げる。それでも、うるさくならないのは、トミフラの職人肌テクニック。タッチは力強く、メリハリ良い弾きっぷりだが、音は耳障りにはならない弾き回し。トミフラのピアノテクニックに思わず「唸る」。

スローからミディアム・テンポの演奏で固められていて、実にムーディーで小粋なトリオ演奏である。これといった、大仕掛けな展開は無いのだが、曲毎のアレンジが良く練られていて、どの曲もじっくり聴かせる。特にアドリブ部の展開が洒脱で、コクのある香り高い珈琲を楽しむが如く、心地良い味のある小粋なピアノ・フレーズを楽しむことが出来る。
 
 

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2024年6月21日 (金曜日)

”マルの考える” ピアノ・トリオ

漆黒ブルージーな、黒い情感のレジェンド・ピアニスト、マル・ウォルドロン。初期の「マル4部作」を聴くことで、マルの個性の基本部分が理解できる。そんな、マルの個性を理解する上で”便利”な「マル4部作」。今日は、そんな4部作のラスト盤を取り上げる。

Mal Waldron『Mal/4; Trio』(写真左)。1958年9月26日の録音。ちなみにパーソネルは、Mal Waldron (p), Addison Farmer (b), Kenny Dennis (ds)。サブタイトルに「Trio」と付いているだけあって、この盤はマルのトリオ演奏のみを収録した、マルのリーダー作。プレスティッジにしては珍しく、単一日のセッションの収録である。

思い起こせば、「マル4部作」の最初、『Mal-1』では、マルの作曲とアレンジの才にスポットが当てられ、続く『Mal/2』『Mal/3; Sound』も同一傾向のプロデュースに加えて、バッキング能力の高さにスポットが当てられ、『Mal/2』ではジョン・コルトレーン、『Mal/3; Sound』ではアート・ファーマーのフロント・パフォーマンスが見事に前面に押し出されて、マルのバッキング能力の高さが聴いて取れた。

で、やっと『Mal/4; Trio』で、マルのピアニストとしての個性にスポットが当てられた。ただ、不思議なのはパーソネル。プレスティッジの録音なので、ベースとドラムについては、もう少し、名の通った、人気ジャズマンを連れてきても良さそうなのに、かなり地味どころを引っ張ってきている。おそらく、マルの希望だったような気がする。
 

Mal-waldronmal4-trio

 
しかし、このベースとドラムが地味なお陰で、この盤は、マルのピアノの個性がとても良く判る内容になっているのだから、何が幸いするか判らない。この盤のベースとドラムは、ほぼリズム&ビートを正確に着実にマルに供給するだけの役割に徹していて、丁々発止とした、トリオとしてのインタープレイが展開される訳ではない。逆に、だからこそ、マルのピアノの個性だけが突出して把握できる。

但し、この盤では、マルのピアノはまだ「大人しめ」。アルバム内容については、ジャズマンの意向にほぼお任せのプレスティッジでの録音なので、マルも好きに出来ただろうに、まだ聴き手に合わせて、聴かせるトリオ演奏に軸足を残している。

それでも、マルのピアノの個性である「黒い情感と適度なラフさ」は良く判るから、聴いていて面白い。思いっ切り硬質で力感溢れるタッチ、歯切れの良いアドリブ・フレーズ、叩く様なコンピング、ブルージーなブロックコード。硬質なタッチの底に黒いブルージーな雰囲気と哀愁感が漂い、端正な弾きこなしの端々にラフな指さばきが見え隠れする。

「流麗さ」や「ロマンティシズム」は皆無。ダンディズム溢れ、そこはかとなく哀愁感漂う、硬派で純ジャズな、いわゆる「マルの考えるピアノ・トリオの演奏」が展開されているところが、この『Mal/4; Trio』の特徴だろう。
 
 

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