森園の「国際性」溢れる2nd.盤
3月に入って、やっと春らしくなってきた。昨日の様に急に冷え込む日もあるが、これも東日本以北のこと。東大寺二月堂の「お水取り」が終われば、大阪以西は「春」。関東以北は、春分の日を過ぎても雪の積もる日があるので、本格的な「春」については、4月上旬にならないとその実感が湧かない。
春になると、ジャズ盤の選盤志向も変わってくる。陽射しが強くなり、朝が早くなり、世の中がパッと明るくなった様な気分になる。気持ちがポジティヴになる。すると、ジャズ盤の選盤も、フュージョン・ジャズの好盤に手が伸びるようになる。ソフト&メロウな8ビートのフュージョン・ジャズは、春の陽気に良く似合う。
森園勝敏『Cool Alley』(写真左)。1979年の作品。我が国のフュージョン・レーベルだった、エレクトリック・バード・レーベル(キング傘下)からのリリース。
ちなみにパーソネルは、森園勝敏 (el-g, vo), 中村哲 (key), Larry Knechtel (ac-p), Harvey Newmark (b), Jim Keltner (ds), マック清水 (per), 中村裕美子 (vo), Chuck Findley, Ollie MitchellI (tp), George R. Bohanon (tb), Jackie Kelso (as)。当時、流行の「LA録音」になる。パーソネルを見渡すと、現地の優秀なスタジオ・ミュージシャンがガッチリとサポートしている。
我が国が世界に誇るプログレバンド「四人囃子」のギタリスト、森園勝敏のセカンド盤。1954年2月生まれの森園は当時25歳。しかし、この盤では、LAの現地ミュージシャンをバックに、堂々としたギター・プレイを聴かせてくれるから頼もしい。
エンジニアのジェフ・サイクスは、森園のギター・プレイに「インターナショナルな」響きを感じた、という。つまり、森園のギターは、ワールド・ワイドに通用する、ということ。
この盤での森園のプレイを聴けばそれが良く判る。森園のギターでしか出せない音がてんこ盛り。唯一無二、オリジナリティー溢れる音色&フレーズ。バックがLAの現地ミュージシャンでほぼ固めている、
ということもあって、この盤は日本で制作された、いわゆる「メイド・イン・ジャパン」なフュージョン・ジャズでは無く、ワールド・ワイドに通用する、インターナショナルなフュージョン・ジャズが展開されている。
冒頭「Thunder God(雷神)」では、日本人には似つかわしくない、ラテンのリズムにシンセが唸るジャズ・ロックがバッチリ決まっている。ワールド・ワイドなテクニックを披露する3曲目「Stickshift」、, 女性ヴォーカルと自身のヴォーカルをフィーチャーした(これがまずまず決まっていてホッとする・笑)AORフュージョンの4曲目「Promise Me The Moon」など、当時の日本製フュージョン・ジャズにない演奏の数々に思わず耳を奪われる。
LA録音が良い方向に作用した好例。とりわけ、米国の有名エンジニアの協力の下、録音から最終的なマスター作りまで全てをLAで完了させたことが「大正解」だったと僕は思う。この盤には、ワールド・ワイドで、当時の「クール」なフュージョン・ジャズがぎっしり詰まっている。
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