ポップで明るい「Q」サウンド
クインシー・ジョーンズ(Quincy Jones)。当代随一のジャズ・アレンジャー&コンダクター。優れたプロデューサーでもあった。愛称は「Q」。惜しくも、昨年(2024年)の11月3日に、91歳で鬼籍に入ってしまった。悲しい。僕の大のお気に入りのアレンジャー&コンダクターだっただけにショックは大きい。
で、ある。小粋なジャズ盤を探索している時、この「Q」のアルバムに久しぶりに出会した。10年ぶりくらいだろうか。久々にこの盤を聴いてみた。
Quincy Jones And His Orchestra『Quincy Plays for Pussycats』(写真左)。1959年3月、1961年2月、1964年11月、1965年3, 8月の5回のセッションの寄せ集め。マーキュリー・レーベルからのリリース。
ちなみに、5回のセッションはいずれも「ジャズ・オーケストラ」での録音なので、パーソネルについては多岐に渡るので、詳細は割愛する。主だったメンバーをピックアップすると、
Quincy Jones (arr, cond), Benny Bailey, Clark Terry ....(tp), Kai Winding ... (tb), Roland Kirk, James Moody, Jerome Richardson ... (as, ts, fl), Phil Woods, Zoot Sims ... (as), Al Cohn ... (ts), Frank Wess ...(ts, fl), Sahib Shihab (bs,fl), Lalo Schifrin ... (p), Kenny Burrell, Jim Hall ... (g), Milt Hinton (b), Sam Woodyard (ds), Other unidentified musicians。
まあ、ジャズオケの演奏なので、参加メンバー個々のパフォーマンスはあまり重要では無いので、パーソネルの詳細は追求しないが、要所要所に、人気ジャズマンが起用されていて、「Q」の人脈の広さと信頼度の高さが良く判る。
この盤、ジャズオケの演奏で統一されていて、アレンジについては、5回のセッションの寄せ集めでありながら、しっかりとした統一感がある。いわゆる「クインシー節」が濃厚に入った、クインシー・アレンジで統一されていて、どの曲から聴いても、このジャズオケのアレンジは「Q」とすぐ判る。
しかも、この盤でのジャズオケの演奏は、どれもが「ポップで明るい」。1960年代当時にヒットしたポップス・ナンバーのジャズ・カヴァーのオン・パレードで、キャッチーで聴き易い、馴染みのあるフレーズが続々と出てくるから、楽しいことこの上ない。
出だしは、ピアノの音色が流麗に流れるムーディーな雰囲気で始まり、しばらくして、お馴染みのフレーズが出てきてホッとする、どっぷり「Q」サウンドに浸ったローリング・ストーンズのヒット曲「(I Can't Get No) Satisfaction」のカヴァー。
ギターとオルガンが大活躍、ホーン・セクションのシャウト炸裂の「元気ハツラツ」な、ジャズ・ロックの大ヒット曲「The "In" Crowd」のカヴァー。そして、あのバート・バカラックの「What's New Pussycat」をバカラック節を、小粋なアレンジで「Q」サウンドの世界にどっぷり浸からせる。
どスタンダード曲「Mack The Knife」は、これぞ「Q」サウンドという感じの、爽快な「Q」アレンジが施されていて、ホンキートンク調の演奏で始まり、ゴージャスなアレンジで豪快にスイングし、途中、魅力的なテナー・ソロが炸裂。とにかく「Q」アレンジのカヴァーがとっても格好良い。
ポップで明るいジャズオケ・サウンドなので、1960年代当時にヒットしたポップス・ナンバーのジャズ・カヴァーがメインな分、ちょっと俗っぽく、イージーリスニングな感じがするが、「Q」のアレンジが優れているので、決して、イージーリスニング音楽には留まっていない。上質のイージーリスニング志向のジャズオケ盤として、優れた内容の秀作でしょう。ながら聴きにも最適です。
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