サザンロック系のAORなエレギ
「ジェフ・ポーカロの(ほぼ)全仕事」という単行本を読みつつ、ポーカロのお仕事を追体験している。ジェフ・ポーカロは、ロックバンド、TOTOの元ドラマー。セッション・ミュージシャンとしても数多くのレコーディングに参加しており、AORからフュージョン・ロックまで、幅広いジャンルで活躍した。プロとしてのキャリアは20年余りにも拘らず参加作品は200作を超えているが、1992年8月5日、38歳の若さで早逝している。
そんなポーカロのお仕事を追うと、こんなアルバムあったんや、とか、ああ懐かしいアルバムやなあ、とか、とても興味深いアルバムに沢山出会う。ポーカルって、AORやフュージョン・ロックにおいて、重要なアルバムやヒットアルバムに結構、名を連ねている。このアルバムもポーカルのドラムなんや、と改めてビックリするアルバムの何と多いことか。
『Les Dudek』(写真左)。1976年のリリース。当時の日本盤のキャッチコピーは「デュアン・オールマンの生まれ変わり」。確かに、サザンロック風のエレギで、デュアンより、スッキリ明るい音色で、ブルース・ギターの香りは残ってはいるが、アーバンで端正なAOR系のエレギという雰囲気。伸びやかで良く唄うギターで、フュージョン・ジャズの耳にしっかりとフィットします。
Les Dudek=レス・デューデックとは、米国の東海岸ロード・アイランド出身のギタリスト。オールマンズのアルバム『Brothers & Sisters』に参加、「Ramblin' Man」ではディッキー・ベッツと共にギターを弾き、「Jessica」ではアコギを担当。ああ、あのアコギ、デューデックだったのね、とビックリ。その後、ボズ・スキャッグスのバックバンドやスティーヴ・ミラー・バンドでギターを担当、僕は、ボズの『Silk Degrees』のパーソネルでその名を知りました。
さて、アルバム『Les Dudek』に戻ると、スライド・ギターも心地良く、ライトなサザン・ロック風のテイストがなんとも粋である。1970年代のサザン・ロック者からすると、このギターは「アリ」ですね。ドラムのポーカロも得意のシャッフル・ビートを叩きつつ、サザン・ロック風のリズミカルで躍動感のあるパーカッシヴなドラミングも織り交ぜて、かなり高度なお仕事をこなしていて素晴らしいです。
このアルバムの存在、「ジェフ・ポーカロの(ほぼ)全仕事」という単行本で再発見するまで、すっかり忘れていました。聴き直してみて、ああ懐かしい、1970年代後半のサザン・ロック系のAORな雰囲気がとても芳しい。そして、思い出した。ジャケットのゴールドのレスポールのネックの先にとまるオウムの存在を(笑)。不思議なジャケットですが、AORからフュージョン・ロックの好盤です。ジャズの合間の耳休めにピッタリ。
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