アヴィシャイの新作 ”Brightlight”
2024年もあと残すところ一ヶ月。2024年はコロナ禍も下火になって、ジャズについても、新規アルバムのリリースも順調になり、ライヴ演奏の頻度も回復基調になった。演奏の編成も、コロナ禍での少人数の演奏(ソロ&デュオ)から、トリオ以上のグループ・サウンドに回復し、コロナ禍以前の「深化」と「裾野の広がり」度合いに戻ったイメージがある。
Avishai Cohen『Brightlight』(写真左)。2024年11月のリリース。スウェーデンとテルアビブでの録音。ちなみにパーソネルは、Avishai Cohen (b, vo), Guy Moskovich, Eden Giat (p), Roni Kaspi, Noam David (ds), Yuval Drabkin (sax), Lars Nilsson (tp), Hilel Salem (flh), Jakob Sollerman (tb), Yosi Ben Tovim (g), Ilan Salem (fl), Jenny Nilsson (vo)。
イスラエルを代表する当代最高のベーシスト、アヴィシャイ・コーエンの新作。クラシック〜ジャズにおける伝統の音世界に、イスラエルに根付いている個性的なメロディ、リズム&ビートが融合、21世紀の現代のジャズのトレンドである、ネオ・ハードバップ、ネオ・モードな、コンテンポラリー・ジャズをさらに「深化」させた、コーエンが考える「イスラエル・ジャズ」がこの盤の中に溢れている。
リーダーのアヴィシャイ・コーエンはベーシスト。当然、アヴィシャイのアコベが要所要所でフィーチャーされる。これがまた絶品なベースのパフォーマンス。躍動感溢れるソリッドで骨太なアコベの響きが官能的。時にストレートに旋律を奏で、時にフロントをリード&鼓舞し、時に演奏全体のリズム&ビートをコントロールする。この盤でのアヴィシャイのベースは、アルバム全体を掌握しコントロールする「リーダーのベース」である。
アヴィシャイの周りを固めるサイドマン達も素晴らしいパフォーマンス。ロニ・カスピのドラミングは躍動的で迫力満点、ポリリズミックで変拍子を交えたドラミングは個性抜群。ガイ・モスコビッチとエデン・ギアットのピアノは、ハーモニー・センス抜群、きめ細やかなタッチ、高いテクニックは聴き応え十分。アヴィシャイの「リーダーのベース」と合わせて、「現代のリズム・セクション」の最高レベルのバッキング・パフォーマンスを聴かせてくれる。
リズム・セクションのパフォーマンスだけでも十分に楽しめるが、そんな最高レベルのリズム・セクションをバックに、フロントのトランペット、サックス、ギター、トロンボーン、フルートが、クールに端正に静的スピリチュアルにモーダルに吹きまくるのだから、このフロント管入りのトータルなグループ・サウンドも魅力満載。2024年のメインストリームな純ジャズの優秀盤だと思います。
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