「ベルリン三部作」を聴き通す
冬の寒空の季節、学生時代から、いつの時代にも必ず聴く「70年代ロック盤」が幾枚かある。気温の上がらない下宿の部屋の中で、炬燵に入ったまま、本を読みながら耳を傾けた盤。面白い事にこの冬の時期にしか選盤しないものがほとんど。恐らく、この寒々とした鉛色の空を窓に見ながら、部屋の中でジッと耳を傾けるのにピッタリな雰囲気なんだろう。
で、昨日は、David Bowie『Low』。「ベルリン三部作」の第1弾。この「鬱」がクールなグラム・ロックは、冬の寒空の季節にピッタリ。そして、「ベルリン三部作」と言われるだけあって、『Low』から始まって、あと2枚、寒々とした鉛色の空を窓に見ながら、部屋の中でジッと耳を傾けるのにピッタリな盤に耳を傾けるのが「習わし」。
まずは、David Bowie『Heroes』(写真左)。「ベルリン三部作」の第2弾。前作から僅か10ヶ月後、1977年10月のリリース。邦題は「英雄夢語り」。参加ミュージシャンの多くが共通しており、同じくベルリンで録音され、インスト曲の比率も高く、前作の『Low』とは「姉妹作」と言える内容である。しかし、前作『Low』と比較して、独プログレの影響は残ってはいるが、ポジティブでドラマチック、従来のグラム・ロック色が前面に出てきている。
続いて、David Bowie『Lodger』(写真右)。「ベルリン三部作」の第3弾。1979年5月のリリース。邦題は「間借人」。この盤は、スイスのモントルーにあるマウンテン・スタジオでレコーディングされている。但し、引き続いてブライアン・イーノが参加しており、イーノの音楽性がポジティブに作用していることから、「ベルリン三部作」の最終章として認識されている。
この「ベルリン三部作」の第3弾においては、インスト曲は無く、ポップな歌ものに取って代わっている。アルバム全体の雰囲気は、ポップで明るい。「ベルリン三部作」の中で、ブライアン・イーノの影響が一番強く表れている盤でもある。LP時代のA面はその影響が強く表れ実験的な雰囲気の曲が並ぶ。しかし、後半、LP時代のB面は、ボウイらしさが発揮された曲が統一感を持ってズラリと並ぶ。
「ベルリン三部作」は作を重ねる度に、「荒涼とした冷たく暗い雰囲気」と「どこか陰鬱な雰囲気」が緩和され、ポジティブにポップに、徐々に明るい雰囲気になっていく。それでも、独プログレの影響が色濃く感じられ、欧州的なアンビエントかつ実験的なロックの雰囲気は3作共通。「欧州的な雰囲気」がクールなグラム・ロックは、寒々とした鉛色の空を窓に見ながら、部屋の中でジッと耳を傾けるのにピッタリなのだ。
東日本大震災から6年10ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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