2026年2月11日 (水曜日)

ケリーの個性を盤一枚で感じる

昔から、ジャズ・ピアノは、僕の一番得意な楽器。今、レコード・コレクターズ2026年2月号の特集「この曲のピアノを聴け! ジャズ/フュージョン編」を楽しんでいる。ジャズ・ピアノ盤の名盤・好盤の類がズラリ記事に並んでいて、今の耳で、このジャズ・ピアノの名盤・好盤を聴き直すのは、以外と楽しい作業である。

Wynton Kelly『Kelly Blue』(写真左)。Wynton Kelly『Kelly Blue』(写真左)。1959年2月19日と3月10日の録音。ちなみにパーソネルは以下の通り。セクステット編成が2月19日、ピアノ・トリオ編成が3月10日の録音になる。

セクステット編成での2月19日の録音「Kelly Blue」「Keep It Moving」は、Wynton Kelly (p), Nat Adderley (cor), Bobby Jaspar (fl), Benny Golson (ts), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb (ds)。

トリオ編成での3月10日の録音「Softly, as in a Morning Sunrise」「On Green Dolphin Street」「Willow Weep for Me」「Keep It Moving」「Old Clothes」は、Wynton Kelly (p), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb (ds)。

さて、ウィントン・ケリーは、健康優良児的に、ポジティブにスイングするピアノが特徴。コロコロと明るく転がるようにフレーズがスイングする。端正に転がるようにスイングするのではなく、独特の揺らぎをもって、この「揺らぎ」が翳りとなってスイングする。これは、この盤のトリオ編成の演奏で良く判る。この盤のトリオ演奏でのケリーのピアノは絶好調。ケリーのメイン楽器としてのピアノの個性が手に取るように判る。
 

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一方、ウィントン・ケリーは伴奏上手でも有名で、彼のピアノの個性である「そこはかとなく、マイナーな影を宿しつつ、表向きには、ご機嫌にハッピー・スウィングするピアノ」が、フロント管をサポートする上で、ボーカルをサポートする上で、効果的に響くのだろう。その「伴奏上手のケリー」は、この盤のセクステット編成の演奏で、じっくり聞けば良く判る。

冒頭のタイトル曲「Kelly Blue」のセクステット演奏の前奏部分が、フロント3管のユニゾン&ハーモニーが、ファンキーだが、どこかダルで、どこか間延びした、ちょっと古い響きがするので、ちょっと聴き始めは戸惑うが、次の有名スタンダード曲「Softly, as in a Morning Sunrise」がトリオ演奏なので、ケリーのピアノが前面に出てくるのでホッとする。後は「On Green Dolphin Street」から「Willow Weep for Me」では、ケリーのスタンダード曲の解釈を感じ取る事ができる。

この盤は、ケリーのピアノを愛でるという切り口では、トリオ編成の演奏をメインに聴くべくアルバムだと思う。伴奏上手なケリーも聴くべき個性だとは思うが、この「伴奏上手」を聴き取るには、ある程度のレベルのステレオ装置が必要となって、気軽にという訳にいかず、なかなか判り難い個性である。

この盤、リヴァーサイドの中でも「ポップでキャッチャーな内容のファンキー・ジャズ盤」として、ジャズ者初心者向けのアルバムとして、よくそのタイトル名が上がる盤。しかし、ファンキー・ジャズとして聴くより、ケリーのピアノの個性がとても良く判る「ウィントン・ケリー入門盤」の一枚だろう。
 
 

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2026年2月 7日 (土曜日)

”Deodato/Airto”の不思議

1970年代のクロスオーバー/フュージョン・ジャズの有名レーベル「CTI」。1967年、プロデューサーのクリード・テイラー(Creed Taylor)によって創設されたジャズ・レーベル。テイラーは、このCTIレーベルで、ジャズの再びの大衆化を試み、クロスオーバー/フュージョン・ジャズのブームを牽引した。A&Mレコード内に創設された時の正式名称は「Creed Taylor Issue」で、独立後は「Creed Taylor Incorporated」。いずれも、単語の頭文字をとって「CTI」。

『Deodato/Airto In Concert』(写真左)。 1973年4月20日、マジソン・スクエア・ガーデンの「Felt Forum」での録音。デオダートとアイアートのライヴ・パフォーマンスのカップリング盤。パーソネルは、以下の通り。デオダートのパートと、アイアートのパートで分かれる。

デオダートのパート「Do It Again」「Spirit of Summer」「Tropea」のパーソネルは、Eumir Deodato (key), John Tropea (g), Burt Collins, Joe Shepley (tp), Joe Temperley (bs), Garnett Brown (tb), John Giulino (b), Rick Marotta (ds), Rubens Bassini, Gilmore Degap (perc)。

アイアートのパートParana」「Branches」のパーソネルは、Airto Moreira (perc, vo), David Amaro (g), Hugo Fattorusso (p), Flora Purim (vo)。

ここでは、まずはオリジナル・アルバム、いわゆるLP時代の収録曲に限って語りたいのだが、まず、なぜ、こういうカップリング盤を出したのか、理解に苦しむ。デオダートはデオダート、アイアートはアイアートで、フルアルバムでライブ盤を出しても良かったと思うんだが。
 

Deodatoairto-in-concert
 

ただ、デオダートのパートはパートで、アイアートのパートはパートで、それなりに充実した内容のライヴ・パフォーマンスを発揮している。それぞれの音作りの個性がシッカリ出ていて、どちらも、約20分程度の短いライヴ・パフォーマンスになるが、聴いて楽しめる内容にはなっている。

冒頭の「Do It Again」を聴けば、デオダートの特徴的なブラスの重ね方、心地よい個性的なファズのかかったエレキ・ギター。金太郎飴的なストリングス。どう聴いたって、これはデオダートという演奏で、これはこれで楽しい。2曲目の 「Spirit of Summer」もスローでセンチメンタルな演奏とはいえ、あちらこちらに、デオダート節が炸裂している。

3曲目「Parana」では、アイアートのバンド演奏に代わる。この「Parana」は、ワールド・ミュージック志向のクロスオーバー・ジャズで、アイアートの音の個性がハッキリと出ている。このワールド・ミュージック志向という音作りは、この頃はまだ目新しくてこなれていないが、後に、ジャズの定番の音作りの一つとして定着するもの。アイアートは、その先駆け的な音をここで表現している。

続く、LPのB面にあたる、CDでは4曲目の「Toropea」は、デオダートのバンド演奏に戻る。ジョン・トロペイのギターをフィーチャーしたファンクネス芳しい曲で、トロペイのギターが十分に堪能出来る。切れ味の良いブラス/セクションをバックに、トロペイはバリバリ弾きまくる。

ラストの「Branches」は、やはり、ワールド・ミュージック志向の演奏だが、ちょっと不思議な曲で、パーカッション・ソロから始まり、アイアートとフローラのデュオで終わるという、基本はアイアートのパーカッションの個性をメインに据えた演奏だが、ちょっと中途半端かな、と。だが、アイアートの音の個性ははっきり判る。

それぞれ白熱のライヴ・パフォーマンスなので、聴き応えはある。しかし、これだけ白熱したパフォーマンスである。デオダート、アイアートそれぞれ、最低、LP一枚レベルのフルアルバムにして欲しかった。デオダートのパートだけは後に『Deodato – Live At Felt Forum - The 2001 Concert』のタイトルで出ているみたいだが、「Toropea」が見当たらないのは何故だろう。しかも「Skycraper」だけ、アイアートとの共演。何から何まで、不思議な内容のアルバムではある。
 
 

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2026年2月 4日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・312

メロディーの断片、落ち着きなく変化する音階、濃密な多色和音、予測不能なリズム。自由度の限りなく高いモードからややフリー、ヒルの個性全開。なぜ、この音源が録音当時、お蔵入りしたのか、とんと見当が付かない。リーダーとしての録音順としては6枚目のアルバムになる。そんなヒルの独特の個性が、こなれてメロディアスになり、聴き易くなっている。なのにお蔵入りとは・・・。

Andrew Hill『Andrew!!!』(写真左)。1964年6月25日の録音。ブルーノートの4203番。ちなみにパーソネルは、Andrew Hill (p), John Gilmore (ts), Bobby Hutcherson (vib), Richard Davis (b), Joe Chambers (ds)。ブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンが見出した「最後の才能」、アンドリュー・ヒルの録音当時、お蔵入り盤である。リリースは4年後、1968年である。

確かに、アルフレッド・ライオンが言う様に、セロニアス・モンクの様に、音が予測不可能な様に飛ぶ。そして、間の取り方、チェンジ・オブ・ペースが定型ではない。つまりは、ジャズの最大の特徴である「即興演奏」の最たるものが、モンクの紡ぎ出すフレーズで、予測不可能な如く、音が飛び、間が複雑に入り、再現性はほぼ無い。即興演奏の究極形である。
 

Andrew-hillandrew

 
そんなモンクの様な予測不可能な「即興演奏」を、ヒルは踏襲しているが、モンクが角が立って、スクエアにカクカクとスイングするが、ヒルは、角が適度にラウンドしていて、意外とメロディアスにスイングする。音が適度に予測不可能名レベルで飛ぶのだが、その飛び方も、モンクに比べて穏やかで優しい。このアルバムを聴くと、ヒルはモンクの影響下から完全に抜け出て、独自のフレーズ作りを確立していることを強く感じる。

ヒルの個性的な音は、意外とメロディアスな面を持ち合わせている分、サイドマンはヒルの音を理解しやすく、ヒルの音に追従しやすくなる。そんなところに、モーダルでフリーでスピリチュアルな、ハッチャーソンのヴァイブと、ギルモアのテナーが絡んでくるのだから堪らない。ハッチャーソンもギルモアも、ヒルの音世界を十分理解して、良い音出しつつ、ヒルの個性的なフレーズに呼応し、絡み、対抗する。

このヒルの音世界一色の、バンド全体が一丸となったパフォーマンスは迫力満点。フロント楽器として、ハッチャーソンのヴァイブ、ギルモアのテナーが好調に「ヒル節」を叩き出す。そして、ヒルはそんなフロントのパフォーマンスを推進力として、さらに先の「ヒル節」を弾きまくる。ヒルの個性全開。良いアルバムです。
 
 

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2026年1月28日 (水曜日)

”アート・テイタム傑作集”です。

昨日「アート・テイタムは、ガーナーと同じ時代を生きたピアニストだが、テイタムは、驚異的なテクニックを武器に、アクロバティカルな、テクニックの高さをウリにした、エンタテインメント性を追求したピアノ。今日は、その「アート・テイタム」。

Art Tatum『Solo Masterpieces Vol.1』(写真左)。1953年と1955年に録音されたソロピアノの音源集。ちなみにパーソネルは、Art Tatum (p) のみ。タイトル通り、ジャズ・ピアノの神様、アート・テイタムのソロ・パフォーマンス集。CDでの「Solo Masterpieces」(全8巻)シリーズの第一弾。

コンコード・ミュージック・グループのオリジナル・ジャズ・クラシックス・リマスター・シリーズの一環としてリリースされている。これらの曲はジョー・タランティーノによってリマスターされている。音にはまだ時折ヒス・ノイズが残ってはいるが、概ね、良好なリマスターで、モノラルであるがゆえ、ソロ・ピアノの音色、フレーズの音としては良い感じ。

とにかく聴いていてとても楽しい。驚異的なテクニックを武器に、アクロバティカルな、テクニックの高さをウリにした、エンタテインメント性を追求したピアノ。それが、アート・テイタムのソロ・ピアノの特徴。20世紀を代表するクラシックのピアニストのホロヴィッツや大指揮者トスカニーニがテイタムの演奏を聴きに訪れたことは有名な話。このアルバムを聴けば、その逸話も納得する。
 

Art-tatumsolo-masterpieces-vol1  

 

どの曲もテイタムの驚異的テクニックと歌心を感じることは出来るが、まず冒頭の「Moonglow」では、テンポの変化がテイタム独特でユニーク。遊び心あふれるタッチが随所に散りばめられて、こういうところが、エンタテインメント志向と解釈される所以。テイタムの弾きっぷりはワイルド。彼は左手の使い方も秀逸で、リズム&ビートの供給が素晴らしい。まさに伴奏を必要としない「ひとりバンド」状態。

続く「Love For Sale」では、テイタムは素晴らしいユーモアと遊び心で、エンタテインメント志向を継続、楽曲の持つフレーズの美しさを右手でしっかりと表現。この右手の表現が、これまたテイタムらしいもの。左手でリズム&ビートをキープしつつ、遊び心とシリアスな面の交歓が聴いていて楽しい。アドリブ・フレーズの即興の閃きの美しさも、テイタムならでは、のもの。

冒頭の2曲だけで、テイタムの個性と当時としての「先進性」が良く判る。僕は、この「Solo Masterpieces」については、LP時代の『Tatum Solo Masterpieces』(邦題「アート・テイタム傑作集」・写真左)で、テイタムを勉強させてもらった。

CDは全8巻もあるんで、手っ取り早くテイタムのソロ・パフォーマンスを堪能するには、このLP時代の『Tatum Solo Masterpieces』が最適かと思う。CDかサブスク音源でリイシューされないかなあ。LPからのダイレクト・コピーの音源でも良いんだけれど・・・。
 
 

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2026年1月27日 (火曜日)

エロール・ガーナーを再聴する

昔、僕がジャズを本格的に聴き始めた約50年前。ジャズ初心者向けのアルバムの紹介本や、紹介記事、紹介チラシに、なぜか必ず入っていたピアニスト、エロール・ガーナー(Erroll Garner)。僕は、当時、このエロール・ガーナーのリーダー作、それも何故か『Concert By The Sea』ばかりが紹介されていて、これも勉強とばかりに購入、意気込んで聴き始めたのだが、これが、なんとも良く判らない。戸惑った。

Erroll Garner『Contrasts』(写真左)。1954年7月27日の録音。ちなみにパーソネルは、Erroll Garner (p), Wyatt Ruther (b), Fats Heard (ds)。エロール・ガーナーが1954年に発表したスタジオ録音のアルバムである。1988年のCDリイシュー時には「The Original Misty」というタイトルでリイシューされた。

ガーナーの個性は、スイング・ジャズを踏まえたピアノだったり、当時の流行の弾き方だったブギウギ・ピアノであったり、スライド・ピアノであったりする。つまりは、モダン・ジャズの基となった、モダン・ジャズ以前の、モダン・ジャズの要素となった、ポップで大衆的なピアノの響きなのである。つまり、モダン・ジャズにおけるピアノとは、アプローチ、テクニック、響きが違う。そこが「戸惑い」の原因。

ガーナーの個性は、即興性というジャズの基本を踏まえつつ、テクニックは優秀、そして、曲の美しいフレーズを捉えて、歌心満点のピアノを弾きまくるという点。つまり、聴き手を十分に意識した、聴き手に「聴いて楽しませる」ことn主眼を置いた、ジャズ・ピアノの「エンタテインメント性」を表出した、最初のピアニストということになる。
 

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例えば、アート・テイタムは、ガーナーと同じ時代を生きたピアニストだが、テイタムは、驚異的なテクニックを武器に、アクロバティカルな、テクニックの高さをウリにした、エンタテインメント性を追求したピアノ。ガーナーは、逆に、テクニックの高さはあるが、それよりも歌心溢れるフレーズ、いわゆる、聴き手を意識したエンタテインメント性をウリにしたピアノであると言える。

そんなガーナーの個性がとても良く理解出来るアルバムがこの『Contrasts』。ガーナーはテクニックの高さを優先しないで、歌心を重視した弾きっぷりで、明らかにビ・バップとは違う切り口での弾き回し。スイング・スタイルのピアノは、この歌心だけを重視して、テクニックは二の次、あとはリズム楽器としての役割を追求するものだったので、ガーナーのピアノとは全く性質が違う。

ガーナーの「ビハインド・ザ・ビート」が心ゆくまで感じる事ができる。「ビハインド・ザ・ビート」とは、左手でビートを刻み、右手のメロディーが、左手のビートから若干遅れて出てくる弾き方。弾き方というか、エロル・ガーナーの場合は、自然発生的にこの弾き方になっている。これが、このアルバムでは良く判る。

モダン・ジャズ期にテイタムのテクニックの高さをウリにした、エンタテインメント性を弾き継いで、モダン・ジャズ・ピアノとして成立させたのが「バド・パウエル」、歌心溢れるフレーズをウリにした、エンタテインメント性を弾き継いで、モダン・ジャズ・ピアノとして成立させたのが「ビル・エヴァンス」。そんな単純な解釈を僕はして、彼らのピアノを楽しんでいる。
 
 

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2026年1月26日 (月曜日)

オールド・スタイルなトリオ好盤

全曲、ジャズ・スタンダード曲で固められた、「オールド・スタイル」なピアノ・トリオで奏でられた、小粋なスタンダード曲集。全編、このピーターソン・オールド・スタイル・トリオでのダイナミックでスインギー、ハイテクニックで疾走感抜群なトリオ演奏。理路整然とした、ハードバップ’・スタイルの演奏で、聴いていて、安定感抜群。

Oscar Peterson『On the Town with the Oscar Peterson Trio』(写真左)。1958年7月1–5日、トロントのタウン・タバーンでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Oscar Peterson (p), Herb Ellis (g), Ray Brown (b)。ドラムの代わりに、ハーブ・エリスのギターを入れた、当時、オスカー・ピーターソンお得意の「オールド・スタイル」なピアノ・トリオでのライヴ・パフォーマンス。

アレンジが良い。ピーターソンのそれぞれのジャズ・スタンダード曲の対する解釈が小粋で、スタンダード曲の持つ歌心を、ハイテクニックなオールド・スタイル・トリオが弾き進めていく。特に、ピーターソンのピアノが凄まじく、ライヴならではの所作なのだろう、もうオーヴァー・スイングといっても良い位、スイングしまくるピーターソンのピアノ。
 

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このハイテクニックで、バリバリにスイングしまくるピアノに、堂々と相対するのが、エリスのギター。ピーターソンのピアノ捌きのスピードに応じて、緩急自在、硬軟自在、変幻自在にギターを弾きまくるエリス。このエリスのパフォーマンスも、このオールド・スタイル・トリオの聴きどころ。特に、ピーターソンのピアノとの絡みは、聴いていてゾクゾクする瞬間が沢山あって、楽しいことこの上無し。

そして、このピーターソンとエリスのパフォーマンスのリズム&ビートをしっかり支えるのが、レイ・ブラインのベース。ブラインのベースがあってこそ、ピーターソンとエリスのパフォーマンスが映えに映える、2人が安心して、カッ飛び演奏を繰り広げられる。音が大きく、ソリッドで、ブンブン胴鳴りするアコベは、このオールド・スタイル・トリオ演奏のベースをガッチリ支え鼓舞している。

この胸の空くような、オールド・スタイル・トリオのパフォーマンス。これまで、ほとんど陽の目を見ていないのが現状だろう。一般のジャズ者の方々でも、この盤の存在とその優れた内容を知る人は少ない。これは、ピーターソンにとっても不幸なことで、この盤、オールド・スタイル・トリオの好盤として、もっと評価されて然るべき盤だと僕は思う。とにかく、聴き終えた後、スカッと爽快感が心地良い好演である。
 
 

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2026年1月25日 (日曜日)

この ”My Fair Lady” 良しです

マイ・フェア・レディの楽曲のジャズ化としては、先行して、シェリー・マンのコンテンポラリー盤(ピアノは、アンドレ・プレヴィン)があって、この盤については、僕がジャズを本格的に聴き始めた、今を去ること、約50年前、ジャズ初心者向けの推薦盤だった。確かに、プレヴィンのアレンジが良く効いていて、ジャズ者初心者だった僕も、直ぐに入手して、しばらくの間、ヘビロテ盤だった記憶がある。

Oscar Peterson『Plays My Fair Lady』(写真左)。1958年11月の録音。ちなみにパーソネルは、Oscar Peterson (p), Ray Brown (b), Gene Gammage (ds)。オスカー・ピーターソンがライフワークにしていた、ミュージカル曲集の第1弾。オスカー・ピーターソンならではのアレンジでブロードウェイ・ミュージカルの楽曲を上手くジャズ化している。

しかし、このオスカー・ピーターソンのマイ・フェア・レディの楽曲のジャズ化盤があるのを知ったのは、それから20余年後。21世紀に入ってからである。インターネット経由で、有名ジャズマンのディスコグラフィー一覧が入手しやすくなって、ピーターソンのディスコグラフィーを入手した時に、この盤の存在を知った。しかし、中古LPは見当たらず、CDリイシューもされてなく、聴きたくても聴けない状態が続いた。
 

Oscar-petersonplays-my-fair-lady

 
そして、いよいよCDリイシューされて、初めて聴いた訳だが、「あれ、シェリー・マン=プレヴィン盤より、内容が濃い」と思った。もともと、ジャズ・ピアノのヴァーチューゾのピーターソンである。ピーターソンのハイテクニックでドライブ感&スイング感抜群、歌心抜群のピアノを最大限に活かしたアレンジが素晴らしく、マイ・フェア・レディの楽曲を目眩くピーターソンのバリバリの弾きっぷりで、ハードバップ化していく。

ドライブ感&スイング感抜群なんで、ちょっと五月蠅く耳に付くかと思いきや、ピーターソンが弾き進めるフレーズが歌心抜群な分、全く気にならない、どころか、圧倒的なドライブ感&スイング感のお陰で、マイ・フェア・レディの楽曲の持つキュートさ、陽気さが全面に浮き出て、聴いていて、とても楽しく、そして、ピーターソンのピアノが映えに映えている。ジャズ・ピアノのトリオ盤としても、十分に優れた内容の演奏だと言える。

どうして、この盤、シェリー・マンのコンテンポラリー盤と同様、ジャズ初心者向けの推薦盤にならなかったのだろう。どうも、当時、我が国では、ピーターソンの人気はイマイチだったからなあ。でも、今の耳で聴いても、このピーターソンのマイ・フェア・レディ盤は優れている。シェリー・マンのコンテンポラリー盤と同等、若しくはそれ以上だろう。ちなみに、僕はどちらの盤も大好きだ。
 
 

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2026年1月23日 (金曜日)

ソウル志向のシルヴァー・ジャズ

このジャケをみたら、ほとんどの人が「ビビる」だろう。どう見ても、ジャズのアルバムのジャケとは思えない(笑)。この奇妙な恰好をして写っているのは、ホレス・シルヴァー本人。「THE UNITED STATES OF MIND」という思想に入れ込んでいた時期のシルヴァー本人。内容的には、決して「危ない」「怪しい」類の音楽では無いのでご安心を。

Horace Silver Quintet『That Healin' Feelin'』(写真左)。1970年4月8日と6月18日の録音。ブルーノートの4352番。サブタイトルが「The United States of Mind Phase 1」。当時、シルヴァーが入れ込んでいた思想の名称がサブタイトルにあるので、スピリチュアルな側面もあるのか、と警戒するが、これが全く無い(笑)。

それでも、後に『The United States of Mind』としてCDにまとめられた3部作アルバムの最初のもの。ファンキー・ジャズ一本槍のホレス・シルヴァーが、ソウル・ミュージックに一番接近したアルバムの一枚である。

ちなみにパーソネルは、4月8日の録音が、Horace Silver (p, el-p), Randy Brecker (tp, flh), George Coleman (ts), Bob Cranshaw (el-b), Mickey Roker (ds), Andy Bey (vo, 2-5)。6月18日の録音が、Horace Silver (p, el-p), Randy Brecker (tp, flh), Houston Person (ts), Jimmy Lewis (el-b), Idris Muhammad (ds), Gail Nelson (vo, 6), Jackie Verdell (vo, 7–9)。
 

Horace-silver-quintetthat-healin-feelin

 
基本は、シルヴァー印のファンキー・ジャズ。しかし、この盤で「耳を引く」のが、シルヴァーのエレクトリック・ピアノ。シルヴァーの弾くエレピが凄く良い。シルヴァー印のファンキー・ジャズにピッタリのエレピの音、エレピの弾きっぷり。このシルヴァーの弾くエレピが、このアルバムの「キモ」になっている。

このアルバムでは、大々的にボーカルの導入に踏み切っている。3人のボーカリストが分担して、ボーカルを担当しているが、そうなると、このアルバムは「R&B」志向のソウル・ジャズになるのか、と思いきや、そうはならない。あくまで、ソウル・ミュージック志向の、シルヴァー印のファンキー・ジャズ。

大胆なボーカルの導入とエレピの導入で「ソウル・ミュージック志向」を実現している。演奏の基本は、その時その時のシルヴァー印のファンキー・ジャズ。それが証拠に、ソウル・ミュージック志向の割に、粘るファンクネスはライト。ライト仕様のソウル・ミュージック志向なのが、このアルバムの個性であり、シルヴァー印のファンキー・ジャズのバリエーションである。

へんちくりんな恰好をしてジャケに収まっているシルヴァーだが、このアルバムでの音は、ボーカルを抜けば、とても硬派でアーティスティックな、シルヴァー印のファンキー・ジャズである。モード・ジャズにも、ソウル・ジャズにも柔軟に適応し、自らのファンキー・ジャズに昇華させている。ジャケに惑わされずに手にすれば、1970年当時のシルヴァー印のファンキー・ジャズの最前線が体感できる。そんな好盤である。
 
 

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2026年1月22日 (木曜日)

”Night Train” 17年振りに記事化

レコード・コレクターズ2026年2月号の特集「この曲のピアノを聴け! ジャズ/フュージョン編」。日本の演奏家も含めて、ジャズ/フュージョンを代表するピアノの名演をまとめて紹介するというものだが、有名な名盤からちょっとマニアックな好盤から、ジャズ・ピアノの個性という切り口でチョイスし紹介している、好感の持てる企画記事である。

Oscar Peterson Trio『Night Train』(写真左)。1962年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Oscar Peterson (p) Ray Brown (b) Ed Thigpen (ds) という、1959年以来の不動のメンバー。いわゆる、オスカー・ピーターソンの黄金の「ザ・トリオ」である。当ブログでは、2009年10月28日にて「ピアノ・トリオの代表的名盤・2」としてご紹介済み。

ピーターソンのピアノの凄いところは、アート・テイタムやバド・パウエルに匹敵するテクニックの持ち主だが、不必要にテクニックを前面に押し出さないところ。必要な時は、テイタムばりに、バドばりに、ガンガン弾きまくるが、アルバム・コンセプトとして不要な場合は、絶対に弾き過ぎない。非常に分別がある、理知的な、コントロールされたピアノが特徴。
 

Night_train 
 

冒頭のタイトル曲「Night Train」を聴くだけでそれが判る。とても素敵なブルース曲だが、ミッドテンポのゆったり悠然とした、余裕タップリの弾きっぷり。排気量の大きなスポーツカーが、般道路をゆっくりと悠然と走っているような感じ。指捌きを聴けば、ピーターソンのピアノ・テクニックの高さが直ぐに判る。

そして、テイタムやバドにはちょっと希薄な「スイング感」が、ピーターソンのピアノには「てんこ盛り」。ジャジーでブルージーでちょっとファンキーなスイング&ドライブ感が素晴らしい。歴代のジャズ・ピアニストの中で、最高にスイング&ドライブするピアノ、だと断言したい。特に、この盤では、実に趣味良くクールにスイングしている。

これは、テイタムやバドには無い、ピーターソン独特の個性である。ハイテクニックでスインギーにドライブするピーターソンのピアノ。テイタムは「エンターテインメント」、バドは「ストイック」、そして、ピターソンは「スインギーなドライブ感」。ジャズ・ピアノの「ハイテクニック3人衆」。ピーターソンのピアノには「成熟」を感じる。
 
 

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2026年1月21日 (水曜日)

自らを整えるビル・エヴァンス

ビル・エヴァンスは、彼のジャズ・ピアニストの歴史の中で、節目節目、だいたいがトリオのメンバーが入れ替わった時、恐らく自分を整え直す意味があるんだと思うのだが、ドラムにフィリー・ジョー・ジョーンズ(以降、フィリージョーと略)を自らのトリオに招いて、ビルのホームである、NYのライブハウス、ビレッジ・ヴァンガードのライヴに臨む習慣がある。

Bill Evans『Getting Sentimental』(写真左)。1978年1月15日、NYのビレッジ・ヴァンガードでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Bill Evans (p), Michael Moore (b), Philly Joe Jones (ds)。録音当時は未リリース。実際にリリースされたのは2003年8月。マイルストーン・レーベルからのリリースであった。ヴィレッジ・ヴァンガードでのライヴの私家録音である。

長年、ベースの相棒だったエディ・ゴメスが辞めて、マーク・ジョンソンが加入するまでの時期のライヴ録音。ベースが、マイケル・ムーアというのが珍しい。そして、ファンタジー時代の後半、ドラムを務めたエリオット・ジグムンドもビルの下を離れた、その空席となっていたところに、ドラム担当として、フィリージョーが参加している。

このドラムのフィリージョー。ダイナミックでバッシバッシとバップなドラムを叩きまくるフィリージョーと、耽美的でリリカルな側面を持つビル・エヴァンスのピアノとは「アンマッチ」なのでは、と思うんですが、ビルは意外と元気溌剌に、バップなピアノを弾きまくっている。
 

Bill-evansgetting-sentimental

 
ビルが耽美的でリリカルなバップ・ピアノを奏で始めると、フィリージョーは、意外と繊細で細やかなバップ・ドラミングにチェンジしている。これが意外と見事で、ビルが楽しげに弾き進めているのも理解出来る。フィリージョーのドラミングとビルのピアノは意外と相性が良い、ということを再認識する。

ビルのピアノは相変わらずである。バップなダイナミックな弾き回しもあれば、耽美的でリリカルな弾き回しもある。いわゆる「お馴染み」のビルである。

逝去する2年半ほど前のライヴで、体調は既に悪かったはずだが、このビレバガでのライブ・パフォーマンスは、そんな健康上の障害があるなんて雰囲気は微塵も無い。右手もしっかり回っているし、なにより、このライヴ・パフォーマンスには、よれたり、ミスタッチがあったりという破綻が無い。

ムーアのベースは意外と検討していて、ビル・エヴァンス・トリオの歴代のベーシストと比較しても遜色はない。ビルのピアノの個性を良く理解して、ビルのピアノと対等のインタープレイを仕掛けている。アドリブ部のベースラインのイマージネーションも豊かで、ムーアのベースにとりたてての欠点は無い。大健闘のマイケル・ムーアである。

このライヴ・パフォーマンスの位置づけは、いわゆる、ビルの「浪人時代」、次のピアノ・トリオを立ち上げるまでのリハビリ時期のライヴ音源になる。細かいところにお構いなしのビルのパフォーマンスは清々しい。2年半後に鬼籍に入るとは思えない上質のパフォーマンス。私家録音でちょっと音は悪いが、ビルのピアノを愛でるのに不都合は無い。好ライヴ盤である。
 
 

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