A&M志向のラウンジ・サウンド
邦題「ミス・ジョーンズに会ったかい?」。米国のピアニスト、アレンジャーであるアーティー・バトラー(Artie Butler)が1968年に発表したデビュー・アルバムであり、彼の代表作である。クロスオーバー&フュージョンの老舗レーベルである、A&MレコードとCTIレコード(クリード・テイラー・プロデュース)の共同企画としてリリースされている。
Artie Butler『Have You Met Miss Jones』(写真左)。1968年1,2月、Van Gelder Studiosでの録音。A&M 3000 series (12 inch LP)のSP-3007番。ちなみにパーソネルは、Artie Butler (p, key, arr, cond), Burt Collins (tp,flh), Romeo Penque (ss, fl), Jerome Richardson (fl), Corky Hale (harp), David Carey (vib), Herbie Hancock (p), Ron Carter (b), Gary Chester (ds), George Devens (perc)。ここに、弦とブラスのアンサンブルが入る。
極上のラウンジ・ポップ、ボサノヴァ、イージーリスニングが融合した、お洒落なクロスオーバー&フュージョン・ジャズ志向のサウンドが特徴。ながら聴きのコンテンポラリーなジャズとして、聴いて楽しい、聴いてポップなサウンドである。アーティー・バトラーを始めとして、ハービー・ハンコックやロン・カーターといったビッグネームが名を連ね、イージーリスニング志向なサウンドでありながら、演奏内容はしっかりしている。
アレンジが洗練されていて、ハーブ・アルパートのティファナ・ブラスを彷彿とさせるマリアッチ風のエッセンスや、軽快なブラジリアン・ボサノヴァのリズムが散りばめられていて、とにかく聴いていて楽しい。収録曲については、リチャード・ロジャースによるジャズ・スタンダードの表題曲をはじめ、当時のポップスや映画音楽のカバーが中心となっていて、これまたポップで楽しい。
A&M / CTIならではの「最高峰のイージーリスニング志向のクロスオーバー&フュージョン・ジャズ」の一枚。そのグルーヴは、「A&Mレーベルを象徴する、太陽の光を浴びた、心地よいグルーヴ」と評価されているくらい、明るくポップで、洗練されてお洒落なサウンドに仕上げられている。アルバム全体に「サイケデリックで気怠いエネルギー」を与えている、電子楽器オンドリオンの音色も個性的。
このアルバムが持つ「レトロフューチャーなお洒落さ」や「1968年という時代の空気感」は、今聴いても、どこか新鮮に響く。このアルバムには、普遍的な、A&M / CTIならではの「最高峰のイージーリスニング志向のクロスオーバー&フュージョン・ジャズ」の音がぎっしり詰まっている。イージーリスニング志向のクロスオーバー&フュージョン・ジャズのアルバムとして、とても良く出来た内容である。
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