90年代ジョンスコの名盤の一枚
ジョン・スコフィールド(John Scofield・以降「ジョンスコ」)は、爽快に捻れ、爽快にディストーションする、良い意味での「変態ギタリスト」。米国ジャズでは、もう一人、浮遊感を全面に押し出しつつ、捻れまくる、飛びまくる、良い意味での「変態ギタリスト」がいる。ビル・フリゼールである。
John Scofield『Grace Under Pressure』(写真左)。1991年12月の録音。ちなみにパーソネルは、John Scofield (el-g), Bill Frisell (el-g, ac-g), Charlie Haden (b), Joey Baron (ds)。Horn Section (Tracks 3, 5–6, 8 & 10) = Jim Pugh (tb), Randy Brecker (flh), John Clark (French horn)。 ジョンスコとフリゼールのツイン・ギター編成により録音されたアルバム。
ジョンスコとフリゼール、良い意味での「捻れ変態ギター」の共演である。この二人の共演は、Marc Johnson's Bass Desires『Bass Desires』(1985年5月録音)、Marc Johnson's Bass Desires『Second Sight』(1987年3月の録音)の2枚のベーシスト、マーク・ジョンソンのリーダー作の2枚で共演している。今回の『Grace Under Pressure』では3回目の共演になる。
今回の共演は、ジョンスコのリーダー作での共演。同じ「捻れ変態ギター」のカテゴリーの二人だが、その音の個性は少しずつ異なる。このアルバムでは、ジョンスコのリーダー作であるが故、フリゼールの捻れギターは、ジョンスコの捻れギターの音に極力寄せて、ジョンスコのギターの個性を前面に押し出す様なトーンで、ジョンスコの捻れギターに寄り添っている。
ジョンスコは「メインストリームな純ジャズ志向」の音に、強めのディストーションをかけて、ジョンスコの捻れギターの個性を増幅している。フリゼールはジョンスコのトーンに寄せつつ、自らの個性をコンパクトにしながらも、しっかりとフリゼール流の捻れギターを表現している。そして、その二人の捻れギターの音による、極上のインタープレイとアンサンブル、そしてソロ。
特に、タイトル曲「Grace Under Pressure」が堪らなく素晴らしい。その他の曲も、もジョンスコとフリゼールの極上のインタープレイとアンサンブル、そしてソロによる、素晴らしい「2ギター・アルバム」を展開している。拮抗し寄り添う、二人の良い意味での「捻れ変態ギター」の共演。これは名演、これは名盤。
元々は、パット・メセニーとの共演アルバムになるはずだったらしいが、メセニーのスケジュールの関係等でキャンセルになってしまった「いわくつきの作品」。それでも、ジョンスコは「2ギター・アルバムのコンセプトを実現したい」ということで、フリゼールに声をかけ、実現に至ったのが、このアルバム。
「いわくつきの作品」ではあったが、結果、これだけの優れた内容の「2ギター・アルバム」を残せたのだから、何が幸いするか判らない。とにかく、この盤は、1990年代ジョンスコの名盤の一枚だろう。
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