流麗バップで粹な『Lover Man』
長年、デューク・ジョーダン(Duke Jordan)のピアノがお気に入り。ジャズを聴き始めた頃に、ジョーダンの名盤『Flight to Denmark』に出会って、ジョーダンのピアノと曲がお気に入りになった。ブルージーで哀愁漂う「オン・ビート」のバップ・ピアノ。この「オン・ビート」の弾き回しが、最大の個性だと僕は思っている。
Duke Jordan『Lover Man』(写真)。1975年11月18日、NYCでの録音。ちなみにパーソネルは、Duke Jordan (p), Sam Jones (b), Al Foster (ds)。エレ・マイルスの要であったアル・フォスターのドラム、60年代後半のピーターソン・トリオのベーシスト、サム・ジョーンズのベースのドラムが耳新しい、ジョーダン・トリオの秀作。
ドラムがアル・フォスター、ベースがサム・ジョーンズになったからと言って、ジョーダンのピアノの個性と特徴、弾きっぷりが変わる訳では無い。逆に、ドラムのアル・フォスターとベースのサム・ジョーンズが、ジョーダンのピアノの個性と特徴、弾きっぷりを十分に理解して、ジョーダンのピアノが引き立つリズム&ビートを供給する様が、この盤の聴きどころ。
そして、そんなドラムのアル・フォスターとベースのサム・ジョーンズのリズム&ビートを得て、ジョーダンのピアノは、よりダイナミックで明確なタッチ、反面、歌心溢れる叙情的な「流麗バップな」ピアノを弾き進めている。とりわけ、スタンダード曲の解釈とアレンジが聴きもので、タイトル曲の「Lover Man」など、惚れ惚れと聴き込んでしまう。
ジョーダンの自作曲も良い。2曲目の「Dancer's Call」、続く3曲目の「Love Train」がそうなのだが、良い曲書くなあ、と感心する。しかも、ジョーダンのピアノは自作曲でより輝く。思いっきり「オン・ビート」のピアノが美しい。そして、CDリイシュー時のボートラ2曲中の1曲、アル・フォスター作の「Sea」が独特の個性を振りまいている。この1曲だけは、CDリイシュー時のボートラの恩恵。
ジョーダンは、自らのピアノの個性や特徴を変えることは絶対に無い類のピアニスト。リーダー作を重ねていくとマンネリ化する恐れが大。そこは、フロント管を1〜2本追加して、カルテット、もしくはクインテットと編成を変える、もしくは、トリオの場合は、ベーシストとドラマーを変えて、リズム&ビートのニュアンスを変える、のどちらかで回避する訳だが、この盤の場合は「後者」。ドラムのアル・フォスターとベースのサム・ジョーンズのリズム&ビートの人選が、ものの見事に成功している。
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