2026年4月 7日 (火曜日)

良好な発掘盤 ”Flight to Norway”

哀愁のバップ・ピアニスト、デューク・ジョーダン。1970年代、彼の復活作が『Flight to Denmark』。SteepleChaseレコードのジョーダンのリーダー作には、このヒット・アルバムのタイトルにあやかった「Flight to 〜」で始まるタイトルのアルバムが2枚かある。その一枚がこれ。

Duke Jordan『Flight to Norway』(写真左)。1978年11月10日、ノルウェー、ホヴィコッデンのアートセンターにてのライヴ録音。2003年、SteepleChaseレコードからのリリース。

ちなみにパーソネルは、Duke Jordan (p), Wilbur Little (b), Dannie Richmond (ds) 。2003年に突如リリースされた、デューク・ジョーダン・トリオの「良質な内容の蔵出し発掘ライヴ盤」である。

録音年から、25年経ってのリリースである。恐らく、演奏の内容は良いのだが、何か録音に問題があったんだろうな、と当たりをつけて聴き始める。なるほど、ドラムの音量が大きすぎたり、ベースの音量が小さすぎたり、お蔵入りライヴ音源の「あるある」の状態なんだけど、デューク・ジョーダンのパフォーマンスは良好。
 

Duke-jordanflight-to-norway

 
ジョーダンのピアノの個性である、フレーズ展開のセンスが抜群、メロディアスで、ハーモニーに富み、抑制と優雅さを兼ね備えたスウィング感が良好。基本はバップ・ピアノ。どの演奏も、疾走感溢れ、軽快にスイング、バップらしいメリハリの効いたもの。ピアノ・トリオ演奏のお手本の様なパフォーマンス。

演奏の内容については、やはり、スタンダード曲のアレンジと解釈が抜群に良い。5曲目の「I Should Care」。バップ・ピアノでありながら、どこか気品漂う、クールでジャジーな弾き回しが絶品。

ジョーダンのオリジナル曲も当然良い感じ。底抜けに明るく軽快な、冒頭の「Jealous Blues」。日本の新幹線にインスパイアされた、ジョーダンの4曲目「The Bullet」。10曲目「On Green Dolphin Street」は、僕の大好きなスタンダード曲なのだが、イントロの作りが実にお洒落。

ベースのリトルとドラムのリッチモンドは、反応の良い、玄人好みのリズム隊。ジョーダンのオンビートなフレーズに適応して、ジョーダンのピアノを支え、鼓舞する。録音バランスの問題はあるが、ジョーダン・トリオの良いところを捉えた、なかなかのピアノ・トリオ盤である。
 
 

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2026年4月 6日 (月曜日)

ジョーダンの ”Flight to Japan”

デューク・ジョーダン(Duke Jordan)。バップ・ピアノの名手であり、名作曲家出会ったが、デビュー以来、NYの時代は不遇の時代。とにかく売れない。1960年代半ばにはニューヨークでタクシー運転手をしていた時期もあった。しかし、973年北欧のスティープルチェイスに移籍、欧州での「ハードバップ・リバイバル」の流行に乗って、ジョーダンは人気ピアニストに。

Duke Jordan『Flight to Japan』(写真左)。1976年9月25日、東京の「Victor Studios」での録音。ちなみにパーソネルは、Duke Jordan (p), Wilbur Little (b), Roy Haynes (ds)。東京・吉祥寺にあるクラブ「サムタイム」に出演した後、翌日の深夜2時にスタジオ入りし、夜明けまでにレコーディングを終了したという逸話の残る、ピアノ・トリオの佳作。

ジョーダンのピアノは明らかに「哀愁」が漂う。ジャズってマイナー・キーが多用されるのだから、誰が弾いたって「哀愁」が漂うでしょうが、と思われるのだが、これが違う。ジョーダンのピアノだけが突出して「哀愁」が漂うのだ。ブルージーで哀愁漂う「オン・ビート」のバップ・ピアノ。この「オン・ビート」の弾き回しが、最大の個性だと僕は思っている。
 

Duke-jordanflight-to-japan  

 
この盤、ジョーダンのオリジナル曲がほとんど。さすが、ジャズの名作曲家の一人。良い曲ばかりで、自作曲であるが故、アドリブ展開なんかも、スムーズで魅力的なフレーズをバンバン叩き出している。しかし、6曲目の「I Can't Get Started」だけがスタンダード曲なのだが、この演奏が、このトリオ盤の中で白眉の出来。さすが、バップ・ピアニストの第一人者の一人、スタンダード曲の解釈については、一目置くところがある。

曲目をみると「Love Hotel」や「The Bullet(Shinkansen)」なんていう曲もあって、思わず苦笑するが、曲としては良い曲、良い演奏だからまあいいか(笑)。「Lullaby of the Orient」は、日本滞在中に作ったジョーダンのオリジナルで、クミコという若い女性ファンの為に書かれたそう。「Stone Wall Blues」では、冒頭、当時、国鉄の車内放送のジングル「汽笛一声新橋を」から始まるユニークなアレンジ。

1970年代に、スティープルチェイス・レーベルに残したリーダー作は良好盤ばかりで駄盤が無い。スティープル・チェイスの総帥ディレクター、ニルス・ウィンターがデューク・ジョーダンの才能を高く評価していたこと、そして、なにより、双方の相性が相当良かったのだろう。この『Flight to Japan』もその例に漏れない。高レベルを維持したジョーダンの佳作。
 
 

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2026年3月28日 (土曜日)

復帰後8枚目、好調ジョーダン

NY時代、不遇だった哀愁のピアニスト、デューク・ジョーダン。1962年の『East and West of Jazz』以降、1960年代半ばにはニューヨークでタクシー運転手をしていた時期もあった。1973年の『Brooklyn Brothers』でカムバック。1973年北欧のスティープルチェイスに移籍し、『Flight to Denmark』で完全復活を果たし、この盤は、11年のブランクを経て復帰後、8枚目のリーダー・アルバムになる。

Duke Jordan『Misty Thursday』(写真左)。June 30, 1975年6月30日、NYCでの録音。 SteepleChaseレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Duke Jordan (p), Chuck Wayne (g), Sam Jones (b), Roy Haynes (ds)。ピアノ・トリオにギター入りのカルテット編成。

ギターにチャック・ウェインが参加している。チャック・ウェインは、1940年代に頭角を現し、ビバップ・スタイルで演奏した初期のジャズギタリストの一人。ちょっと録音バランスが悪くて、ギターの音が大きく録音されているが、ジョーダンのバップ・スタイルのピアノとの相性が良く、そんなに五月蠅いとは感じ無い。
 

Duke-jordanmisty-thursday

 
ジョーダンのピアノは好調を維持している。ジョーダンのピアノは「オン・ビート」。頭拍子、頭打ちでのフレーズの弾き回しである。バックのリズム隊はオフ・ビート。フロントのピアノはオン・ビート。この状態で哀愁感溢れるフレーズをキメまくるので、嫌が応にも、ジョーダンのフレーズが印象に残る。フレーズがビートに埋もれず、前に出るのだ。

そのリズム隊、サム・ジョーンズのベース、ロイ・ヘインズのドラムが実に良い味を出している。このリズム隊のパフォーマンスが、ジョーダンのピアノを映えに映えさせている。実はこのリーダー作から、北欧の老舗レーベル、スティープル・チェイスの録音でありながら、ジョーダンはNY録音に切り替えている。そのせいで、リズム隊も総替え。NY在住のリズム隊で以降録音しているのだが、これが当たるのだから面白い。

スティープルチェイスでのジョーダンのリーダー作は外れが無い。ジョーダンのピアノも好調で、どのリーダー作を聴いても、出来にバラツキが無いのは立派。1980年代からのキース・ジャレットのスタンダーズがウケるのであれば、1970年代のスティープルチェイスのジョーダンも、もっとウケても良いと思うのだが。如何だろう。
 
 

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2024年2月16日 (金曜日)

流麗バップで粹な『Lover Man』

長年、デューク・ジョーダン(Duke Jordan)のピアノがお気に入り。ジャズを聴き始めた頃に、ジョーダンの名盤『Flight to Denmark』に出会って、ジョーダンのピアノと曲がお気に入りになった。ブルージーで哀愁漂う「オン・ビート」のバップ・ピアノ。この「オン・ビート」の弾き回しが、最大の個性だと僕は思っている。

Duke Jordan『Lover Man』(写真)。1975年11月18日、NYCでの録音。ちなみにパーソネルは、Duke Jordan (p), Sam Jones (b), Al Foster (ds)。エレ・マイルスの要であったアル・フォスターのドラム、60年代後半のピーターソン・トリオのベーシスト、サム・ジョーンズのベースのドラムが耳新しい、ジョーダン・トリオの秀作。

ドラムがアル・フォスター、ベースがサム・ジョーンズになったからと言って、ジョーダンのピアノの個性と特徴、弾きっぷりが変わる訳では無い。逆に、ドラムのアル・フォスターとベースのサム・ジョーンズが、ジョーダンのピアノの個性と特徴、弾きっぷりを十分に理解して、ジョーダンのピアノが引き立つリズム&ビートを供給する様が、この盤の聴きどころ。
 

Duke-jordanlover-man

 
そして、そんなドラムのアル・フォスターとベースのサム・ジョーンズのリズム&ビートを得て、ジョーダンのピアノは、よりダイナミックで明確なタッチ、反面、歌心溢れる叙情的な「流麗バップな」ピアノを弾き進めている。とりわけ、スタンダード曲の解釈とアレンジが聴きもので、タイトル曲の「Lover Man」など、惚れ惚れと聴き込んでしまう。

ジョーダンの自作曲も良い。2曲目の「Dancer's Call」、続く3曲目の「Love Train」がそうなのだが、良い曲書くなあ、と感心する。しかも、ジョーダンのピアノは自作曲でより輝く。思いっきり「オン・ビート」のピアノが美しい。そして、CDリイシュー時のボートラ2曲中の1曲、アル・フォスター作の「Sea」が独特の個性を振りまいている。この1曲だけは、CDリイシュー時のボートラの恩恵。

ジョーダンは、自らのピアノの個性や特徴を変えることは絶対に無い類のピアニスト。リーダー作を重ねていくとマンネリ化する恐れが大。そこは、フロント管を1〜2本追加して、カルテット、もしくはクインテットと編成を変える、もしくは、トリオの場合は、ベーシストとドラマーを変えて、リズム&ビートのニュアンスを変える、のどちらかで回避する訳だが、この盤の場合は「後者」。ドラムのアル・フォスターとベースのサム・ジョーンズのリズム&ビートの人選が、ものの見事に成功している。
 
 

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2022年12月 2日 (金曜日)

企画盤「危険な関係のブルース」

レジェンド級の「哀愁のピアニスト」、デューク・ジョーダン。ピアニストの腕前もさることながら、作曲家としての才能が素晴らしい。とにかく、書く曲書く曲、良い曲ばかり。特に、ブルース調の曲、マイナー超の曲が素晴らしい。「哀愁のピアニスト」の面目躍如である。

ジョーダン作曲の曲の中で一番有名なのが「NoProbrem(危険な関係のブルース)」。この曲は、元々は、1959年のフランス映画「危険な関係(Les Liaisons Dangereuses)」の為に書き下ろされたもの。

しかし、このサウンドトラックには、作曲者については「J. Marray」という名前が記載されており、本来の作曲者であるデューク・ジョーダンには著作権料が一切入って来なかった。全く以て酷い話である。

これを見かねたチャリー・パーカー未亡人のドリス・パーカーが、経済的支援を含め、デューク・ジョーダンの為に、1962年に録音した企画盤がある。

Duke Jordan『Les Liaisons Dangereuses』(写真左)。1962年1月12日、NYでの録音。パーソネルは、Duke Jordan (p), Eddie Khan (b), Art Taylor (ds), Sonny Cohn (tp #1,3-7), Charlie Rouse (ts #1,3-7)。ちなみに収録曲は以下の通り。

side 1 (A)
01. No Problem #1 (Duke Jordan) 8:50
02. No Problem #2 (Duke Jordan) 4:15
03. No Problem #3 (Duke Jordan) 6:21

side 2 (B)
04. Jazz Vendor (Duke Jordan) 4:52
05. Subway Inn (Duke Jordan) 4:04
06. The Feeling Of Love #1 (Duke Jordan) 7:14
07. The Feeling Of Love #2 (Duke Jordan) 3:18
 

Duke-jordanles-liaisons-dangereuses

 
この曰く付きの名曲「No Problem」が3バージョン連続して収録されている。ジャズ・メッセンジャーズのような熱いハードバップな演奏の「No Problem #1」。ちょっぴりラテン志向が見え隠れする、アップテンポのピアノ・トリオ演奏の「No Problem #2」。ユッタリとしたテンポで、印象的にメリハリを付けて演奏される「No Problem #3」。

名曲というのは、どんなアレンジにも十分耐える。この「No Probrem」の3連発は、アレンジを変えているだけだが、冗長なところは全く無く、飽きることが無い。

後半(LP盤だとB面に相当する)は、トランペットとテナー・サックスがフロント2管、クインテット演奏の佳曲が並ぶ。どの曲も良い感じの曲ばかり。ジャズの名作曲家、デューク・ジョーダンの面目躍如的な演奏。

但し、この盤で誤解されやすいのは、デューク・ジョーダンは、この「No Problem」1曲だけの「一発屋」の様に感じるところ。何も、デューク・ジョーダン作の佳曲は「No Problem」だけでは無い。彼の書く曲はどれもが「佳曲」。

そういう意味で、この企画盤、デューク・ジョーダンの代表作として、よくジャズ盤紹介本やジャズ雑誌で紹介されているが、とんでもないことである。

この盤は、真の作曲家に著作権を認めない、という酷い仕打ちに怒ったドリス・パーカー(Doris Parker)が、デューク・ジョーダンの名誉回復のために録音した企画盤であり、デューク・ジョーダンの優れたリーダー作は他に沢山ある。

この企画盤は、デューク・ジョーダンのリーダー作をある程度、聴き込んで、彼のピアノの個性、優れた作曲能力を踏まえた上で、気分転換的に聴く盤だろう。これを代表作とするなんて、何て乱暴な事をするのか、未だに理解に苦しむ。
 
 

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   ・四人囃子の『Golden Picnics』
 
 
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2022年12月 1日 (木曜日)

ジョーダンとファーマーの共演盤

デューク・ジョーダン(Duke Jordan)。欧州に渡った後、1970年代に、スティープルチェイス・レーベルに残したリーダー作は良好盤ばかりで駄盤が無い。スティープル・チェイスの総帥ディレクター、ニルス・ウィンターがデューク・ジョーダンの才能を高く評価していたこと、そして、なにより、双方の相性が相当良かったのだろう。

Duke Jordan『Duke's Artistry』(写真)。1978年6月30日、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Duke Jordan (p), Art Farmer (flh), David Friesen (b), Philly Joe Jones (ds)。フロント管にアート・ファーマーのフリューゲルホーン1管のカルテット編成。ファーマーのフリューゲルホーンが優しく唄い上げ、ジョーダンのピアノのバッキングの巧みさ、そして、ジョーダンの書く曲の良さが、とても良く判る盤である。

全曲デュークによりオリジナル曲で占められており、これがまた、どの曲も出来が良い。作曲家としてのデューク・ジョーダンの才能を改めて認識出来る内容。この良き曲に恵まれて、ファーマーの暖かくて丸みのある、それでいて、相当にテクニカルで力感溢れるフリューゲルホーンが映えに映える。
 

Duke-jordandukes-artistry

 
デューク・ジョーダンのピアノ、デイヴィット・フリーゼンのベース、フィリー・ジョーのドラムによるトリオのバッキングがこれまた見事。特に、ジョーダンの伴奏上手なピアノには感心する。フリーゼンのベースは厚みのある骨太な音で堅実、そして、フィリージョーは意外と整ったバップ・ドラミングで、リズム&ビートを供給する。

ジョーダンの曲はどれもが「ユッタリ&シットリ」していて、どの曲も良好。5曲目の「Lady Dingbat」はバラード曲。ジョーダンのバラード曲は絶品。ジョーダンのピアノがイントロから映えに映える。ファーマーの丸いフリューゲルホーンによるアドリブ展開も優しくて良し。そうそう、ブルース曲も良いですね。ラストの「Dodge City Roots」など、小粋で格好良くて、気品溢れる展開が聴き応え十分。

この盤、裏面の解説を紐解くと、ファーマーが当日夕刻のフライトで移動するという、相当タイトなスケジュールの中の録音だった様です。そんな中、リーダーのデューク・ジョーダンの周到な準備によって、メンバー集まり次第、即、録音に臨むことが出来、1曲当たり多くても2テイク、トータルで2時間で録音を完了したとのこと。そんなタイトな録音環境を全く感じさせ無い、とても充実した内容のアルバムです。
 
 

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2022年11月28日 (月曜日)

ジョーダン・トリオのお蔵入り盤

冬を感じる頃になると、決まって聴きたくなるピアニストがいる。デューク・ジョーダン(Duke Jordan)。恐らく、ジョーダンの代表盤の1枚『Flight to Denmark』のジャケットのイメージがそうさせると思うんだが、確かに、ジョーダンのピアノって、秋の終わりから冬にかけて聴くと沁みる印象が強い。

Duke Jordan Trio『Truth』(写真左)。1975年3月2日、コペンハーゲンでの録音。SteepleChaseレーベルの SCS 1175番。ちなみにパーソネルは、Duke Jordan (p), Mads Vinding (b), Ed Thigpen (ds)。録音当時はお蔵入りの音源で、リリースは1983年。ジョーダンお得意のトリオ編成。ベースにヴィンディング、ドラムにシグペン。かの名盤『Flight to Denmark』と同じトリオ編成で、約1年半後の録音。

その内容は十分に期待出来るレベルだと思うのだが、録音当時は何故かお蔵入り。1983年にやっとリリースされている。スティープルチェイスの総帥ディレクター、ニルス・ウィンターが、既リリースの『Flight to Denmark』『Two Loves』と同じメンバー、同じ曲想のアルバムが続くのは好ましくないと判断したのだろうか。

内容的に素晴らしいピアノ・トリオである。確かに、先行の『Flight to Denmark』『Two Loves』と雰囲気・演奏の志向は同じなのだが、デューク・ジョーダンのピアノの個性がより判り易くなっている様に感じる。
 

Duke-jordan-triotruth
 

ジョーダンは、レジェンド級のバップ・ピアニストで、ピアノ腕前もさることながら、彼の書く曲は佳曲ばかり。特にブルースについては、魅力的な曲ばかり。この盤でも、冒頭の「Layout Blues」など絶品である。

ジャズの自作曲には、作曲を担当するジャズマンの楽器の個性がダイレクトに伝わるものが多い。恐らく、この盤に収録された曲全てが、ジョーダンのオリジナルだということもあるだろう。ジョーダンの自作曲もそうで、ジョーダンのピアノの個性がより判り易くなっている。

ジョーダンの個性の1つが、左手のリズム&ビートが「オン・ビート」であること。普通は「オフ・ビート」なんだが、ジョーダンのビートは「オン・ビート」。これが、ジョーダン独特のフレーズの「ノリ」を生んでいる。そして、その独特の「ノリ」が、バックのベース&ドラムのリズム&ビートに埋もれる事無く、逆に全面に浮き出てくる効果を醸し出している。

ジョーダンの代表盤に上がらない、地味なジョーダンのトリオ盤であるが、その内容は先行の『Flight to Denmark』『Two Loves』と引けを取らない。逆に、先行の『Flight to Denmark』『Two Loves』と併せて、3部作として一気に聴き通した方が、ジョーダンのピアノの個性が良く理解出来て良い様な気がする。
 
 

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2022年3月24日 (木曜日)

ジョーダンの曲の良さを愛でる

ハードバップ時代、ジャズ曲の作曲の名手というのが幾人かいる。デューク・ジョーダンなどは、そんな名手の1人。「Jordu」「No Problem(危険な関係のブルース)」など、完全にスタンダード曲化した名曲は数知れず。どっぷりマイナーで哀愁滲む泣き節フレーズがてんこ盛りのジョーダンの自作曲の数々は、とにかく「ジャズらしい」のだ。

Duke Jordan『Duke's Delight』(写真)。1975年11月18日、NYの「C. I. Recording Studios」での録音。スティープルチェイス・レーベルの1046番。ちなみにパーソネルは、Duke Jordan (p), Richard Williams (tp), Charlie Rouse (ts), Sam Jones (b), Al Foster (ds)。リチャード・ウィリアムスのトランペットと、チャーリー・ラウズのテナー・サックスがフロント2管のクインテット編成。

2曲目の「(In My) Solitude」のみ、スタンダード曲であり、ジョーダンのピアノのソロ演奏。その他全て、デューク・ジョーダンの作曲。このジョーダンの自作曲の出来が非常に良い。同じ編成の名盤、ブルーノートの『Flight to Jordan』もそうだったが、ジョーダンの手になる曲は、どれもが内容があって素晴らしい。マイナー調で攻めまくり、哀愁感だだ漏れ、それでいて、フレーズは凛としていてキャッチャー。思わず引き込まれてしまうほどのブルージーでジャジーな旋律。
 

Dukes-delight_duke-jordan

 
そう、ジョーダンの書く曲はどれもが「ジャズらしい」のだ。これぞ「ジャズ曲」という雰囲気が濃厚に漂う、ジョーダンの自作曲。ジョーダンのリーダー作には、ジョーダンの書く曲が一番フィットする。当然、ジョーダンのピアノは、ジョーダン曲にピッタリとマッチする(当たり前か)。ジョーダンの端正で骨太なタッチに、ジョーダン作の凛としてキャッチャーな楽曲が良く似合う。

ジョーダン作の曲のフレーズが美しいので、恐らく、それを吹いたらきっと楽しいんだろう。リチャード・ウィリアムスのトランペットと、チャーリー・ラウズのテナー・サックスのフロント2管は活き活きとして、実に楽しそうに吹きまくっている。特に「隠れ名手」のリチャード・ウィリアムスのトランペットが、流麗かつ凛とした音色で活き活きと吹きまくっているのが印象的。

そうそう、渋う渋いテナー・マンのチャーリー・ラウズも何時になく楽しげにサックスを吹き上げてます。サム・ジョーンズも何時になくモダンなベースをブンブン弾きまくってるし、アル・フォスターのドラムもジャジーの極み。そう、このアルバム、ジョーダンの自作曲を渋い渋いパーソネルでの演奏によって思いっ切り引き立たせ、ジョーダン作曲の曲の良さを思いっ切り愛でまくることが出来る、そんなアルバムです。
 
 

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2021年6月22日 (火曜日)

デューク・ジョーダンを愛でる

こういう録音をちゃんと残しているから、ブルーノート・レーベルは、ジャズの老舗レーベルとして、常に一目置かれるし、リスペクトの対象にもなるのだなあ、と改めて感心する。

この盤のリーダーは当時、優れたジャズ・ピアニストでありコンポーザーでもあった。しかし、如何せん人気が出ない。当然、リーダー作は売れない。一時、タクシー・ドライバーに転じて、糊口を凌いだ時期もあった。しかし、最終的にジャズ・ピアノのレジェンドの一人として名を残している。

Duke Jordan『Flight to Jordan』(写真左)。1960年8月4日の録音。ブルーノートの4046番。ちなみにパーソネルは、Duke Jordan (p), Dizzy Reece (tp), Stanley Turrentine (ts), Reggie Workman (b), Art Taylor (ds)。ディジー・リースのトランペットとスタンリー・タレンタインのテナー・サックスの2管がフロントのクインテット編成。

デューク・ジョーダンはビ・バップ時代から活躍していたジャズ・ピアニスト。マイナーな響きが癖になる、ブルージーでクールなファンクネスを漂わせたピアノが個性。タッチは端正で破綻は無い。作曲やアレンジの才にも優れ、特にフロントに管を配したアレンジは秀逸なものが多い。コンポーザーとしての代表曲は「No Problem(邦題:危険な関係のブルース)」。
 

Flight-to-jordan-1

 
この唯一のブルーノートでのリーダー作である『Flight to Jordan』は、そんなジョーダンのピアノの個性と作曲&アレンジの才の両方をしっかり体感し確認出来る好盤である。さすが、ブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンのアルバム作りのセンスの良さが光っている。

ジョーダンの伴奏上手なピアノを引き立て、ジョーダンの書く曲の良さを伝えてくれる、フロントのディジー・リースのトランペットとスタンリー・タレンタインのテナー・サックスの2管の存在。取り立ててジャズとして先進的な内容では無い、しかし、極上のハードバップな演奏がこの盤に詰まっている。ハードバップの良いところがてんこ盛り。

この盤がリリース当時、売れなかったのも意外だし、ジョーダン自身が売れなかったのも意外である。音楽なんてそんなものかもしれないが、売れていないがジャズマンとして優れたテクニックを持ち、コンポーザーとしての優れた才能を持ったジャズマンの波fーマンスを、こうやって、しっかりと記録に残すジャズ・レーベルって、やっぱり凄いなあと思うのだ。

ジャケット・デザインも秀逸。1960年という時期に、ジョーダンのピアノの個性と作曲&アレンジの才の両方をしっかり体感し確認出来る盤を記録として残したこと、ブルーノートらしい素晴らしい仕事だったと思います。
 
 
 

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2021年1月26日 (火曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・87 『Two Loves』

Duke Jordan(デューク・ジョーダン)を聴き直している。今から40年ほど前、『Flight to Denmark』を聴いて以来、大好きなジャズ・ピアニストの1人である。故に、ジョーダンのリーダー作は結構、聴いてきたのだが、どうもデューク・ジョーダンの話題をこのブログに記事として載せていなかった様だ。これを機会に、順にジョーダンの好盤の記事をアップしていきたい。

ジョーダンのピアノは明らかに「哀愁」が漂う。ジャズってマイナーキーが多用されるのだから、誰が弾いたって「哀愁」が漂うでしょうが、と思われるのだが、これが違う。ジョーダンのピアノだけが突出して「哀愁」が漂うのだ。メジャー調の曲だって、ちょっとアップテンポの曲だって、なぜかそこはかとなく「哀愁」が漂うのだ。これが不思議。

Duke Jordan『Two Loves』(写真左)。1973年11月25日と12月2日、デンマーク、コペンハーゲンの「Sound Track」での録音。ちなみにパーソネルは、Duke Jordan (p) Mads Vinding (b) Ed Thigpen (ds)。あのピアノ・トリオ好盤『Flight to Denmark』と同じ日に録音されたもの。LP時代は全9曲、CDになって、ボートラが4曲追加されている。
 
 
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ピアノ・トリオ好盤『Flight to Denmark』と同じ日に録音されたものとは言いながら、『Flight to Denmark』が、どっぷりブルージーで「哀愁」漂うバップなピアニストが北欧ジャズとの融合を果たした、耽美的で儚さ漂う「北欧のバップ」風だったのに対して、このアルバムは、元来のジョーダンの個性である「正統派バップ」風のアルバムになっている。

『Flight to Denmark』と比して、タッチがより明確で、演奏のテンポがアップしているので、演奏全体の雰囲気は明るくて、そこはかとなく「陽気」。タッチは変わらずリリカル。決してテクニックに走らず、ミッドテンポの判り易いアドリブ・フレーズは「流麗」そのもの、凄みすら感じさせる。でも、このアルバムでも全編に渡って、ジョーダンのピアノには「哀愁」がしっとりと漂っている。これが良い。

同じセッションの中で、『Flight to Denmark』風と『Two Loves』風に弾き分けるテクニックは凄いなあ、と改めて感じ入ってしまう。数少ない選ばれた音で、美しく哀愁感漂う旋律を紡ぎ出すパフォーマンスは、デューク・ジョーダンの真骨頂。『Flight to Denmark』を「ピアノ・トリオの代表的名盤」とするなら、この盤も「ピアノ・トリオの代表的名盤」でしょう。
 
 
 

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