次を見据えるマクリーン、である
いきなり涼しくなった千葉県北西部地方。今日の最高気温なんざぁ、23℃。先週の水曜日の最高気温が36℃だったから、一週間で、一気に13℃下がったことになる。これだけ涼しくなると、ハードなジャズもOK。モードだろうが、フリーだろうが、これだけ涼しくなれば大丈夫。ということで、いきなり、純ジャズ、モード・ジャズに走る。
Jackie Mclean『Right Now!』(写真左)。1965年1月29日の録音。ちなみにパーソネルは、Jackie McLean (as), Larry Willis (p), Bob Cranshaw (b), Clifford Jarvis (ds)。前作、前々作のメンバーを一新し、それでも、ピアノのウィリスは録音当時23歳、クランショウは録音当時32歳、ドラムのジャーヴィスは録音当時24歳。マクリーンが録音当時34歳で最年長。若手中心のメンバー構成は変わらない。
この盤では、マクリーン流のモード・ジャズを完全に自家薬籠中のものとしている。迷いや澱みは全く無い。マクリーン自ら確信を持って吹きまくる「マクリーン流モーダル・フレーズ」の数々。特にこの盤、マクリーンのワンホーン・カルテットなので、「マクリーン流モーダル・フレーズ」の個性がとてもよく判る。明らかに、コルトレーンの物真似でないことは明白。
冒頭の「Eco」が典型的なモード・ジャズ。この演奏で、マクリーンの目指した「マクリーンの考えるモード・ジャズ」の姿が良く判る。ハードバップのコードをベースとしたアドリブ・パフォーマンスそのままに、ベースをモードに変えたイメージの、ハードバップから聴いても違和感のない、モーダルなパフォーマンス。
モードになって、イメージがガラッと変わるコルトレーンとは、この辺りがちょっと違う。どちらかといえば、マイルスのアプローチに近いが、マクリーンはマイルスに比べて、かなりエモーショナル。マイルスはあくまでクールでヒップ。激情にかられて、エモーショナルにトランペットを吹くことは無い。
2曲目の「Poor Eric」は、静的で淡く広がる様なモーダル・フレーズを駆使したスローな演奏。音が無限に広がっていく様なフレーズは、モードで無いと表現できない。この静的で淡く広がる様な音のイメージは、モードならでは、である。モード奏法を採用することで獲得出来た、新しい吹奏表現。ジャズの表現の幅がグッと広がったんやなあ、と実感する。
CDでのリイシューでは、4曲目の「Right Now」のAlternate Versionが追加されているが、この演奏が興味深い。バックは懸命にモーダルな演奏で、マクリーンをサポートするのだが、当のマクリーンは、半分、完璧フリーな吹奏でアドリブ・フレーズを展開する。一生懸命モードをやってるバック置き去りの「掟破り」(笑)。録音当時、未発表音源となったのが良く判る。が、マクリーンは、完全にフリーな吹奏にチャレンジしている。
マクリーンは進化するアルト・サックス奏者というが、この盤では、マクリーン流モード・ジャズを自家薬籠中のものにした、どころか、フリー・ジャズな吹奏にも、チャレンジし始めているところが垣間見える。進化するアルト・サックス奏者であるマクリーンが、既に次のステップを見据えていることを示唆する、興味深いアルバムである。
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