突然に The Band のライブ音源 『LIve in Washington DC 1976』
僕が敬愛して止まない「The Band(ザ・バンド)」。米国ルーツ・ロックの伝説的バンドである。オリジナル・メンバーとしては、1967年から1976年にかけて活動。1983年にロビー・ロバートソン以外のメンバーにて再結成。1999年まで活動した。
ザ・バンドの、ロックをベースに、カントリー・ミュージック、フォーク、R&B、ゴスペルといった米校ルーツ・ミュージックの要素を反映させた音楽性は、まさに米国ルーツ・ロックの源とも言える。オリジナル・メンバーでのバンドの解散が1976年なので、今年で既に38年が経過したことになる。が、今でも色褪せない音世界は、米国ルーツ・ロックの範でもある。
今年、そんなザ・バンドのライブ音源が突如としてリリースされた。The Band『Carter Baron Amphitheater, Washington DC, July 17th 1976』(写真左)である。邦題は『ライヴ・イン・ワシントン1976』。1976年7月17日にワシントンのCarter Barron Amphitheatreで行われたコンサートの模様を収録したものである。
1975年、傑作『Northern Lights - Southern Cross(邦題:南十字星)』をリリースしたザ・バンドではあるが、この傑作はギター担当のロビー・ロバートソンの意向が前面に出たアルバムで、グループ・サウンドとしての「和」は失われていた。それでも、このアルバムは傑作で、1975年、ロックの曲がり角的な時代に、ザ・バンドの存在を再認識させた。
しかし、リリース後のツアーが、リチャード・マニュエルの交通事故による怪我でキャンセルになり、翌1976年6月にツアーを開始したもののメンバー間の関係悪化などで、満足いくツアーが行うことが出来なかった。この不調だったツアーがオリジナル・メンバーでのバンドの解散の直接原因となった。そんな曰く付くのツアーのライブ音源である。
今まで眠っていたライブ音源である。過度な期待は禁物と思いつつ聴いてみたが、やはり、既にリリースされているライブ音源である『ロック・オブ・エイジス』やボブ・ディランとの『偉大なる復活』での単独のライブパートに比べると、一段落ちる内容。
まず、演奏が荒い。シンプルではありながら、緻密でハイテクニックな演奏がザ・バンドの特徴なのだが、さすがにこのライブ音源の音は荒い。バンド全体のアンサンブルもざらざらしていて、ぴったり息の合ったバンド演奏という感じでは無い。メンバーそれぞれのパフォーマンスは可も無く不可も無くというレベルだろうか。
収録された曲も、前年にリリースされた『Northern Lights - Southern Cross』からの曲は当たり前として、その他の曲は、1968年リリースのファーストアルバム『Music From Big Pink』と1969年リリースのセカンドアルバム『The Band』からの曲がほとんどを占める。
この演奏された曲の選曲からも、当時のザ・バンドの厭世観漂うマンネリ状態、バンドの中の不協和音が見てとれる。ポジティブなクリエイティブ感覚が潰えれば、バンドの活力は萎え、バンドのポテンシャルは急低下する。そんな状態に陥りつつあるザ・バンドの状態が演奏の向こうに見えるようだ。
まあ38年を経てのリリースなので、過度な期待は出来る無い様では無い。まず、ザ・バンドを知らない、若きロック者の方々には、このザ・バンドのライブ盤はお勧め出来ない。ザ・バンドの演奏力がこんなものか、と思われたくないのである。ザ・バンドのマニアにとっても、一度は聴いてみる価値はあるものの、恐らく、愛聴盤にはならないだろうと思われる。
ザ・バンド者にとって、38年経って、なんとも悩ましいライブ音源をリリースしたものである。それでも、ゲットしてしまうんだなあ。ザ・バンドの音楽に惚れた弱みである(笑)。
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