2018年1月 7日 (日曜日)

落ち着いたAOR的なユーミン

ユーミンって、バブル期の頃、売れに売れたわけだが、それまで順風満帆だった訳では無い。荒井由実の時代、一世を風靡した訳だが、結婚して「松任谷由実」になって以降、『紅雀』『流線形'80』『OLIVE』『悲しいほどお天気』と優れた内容のアルバムをリリースしてきたが、決してセールス的に恵まれていた訳では無い。それぞれ、オリコン年度順位20〜30位程度止まりである。

特にこのアルバムは、評論家筋から受けが悪かった思い出がある。松任谷由実『時のないホテル』(写真 )。1980年6月のリリース。このアルバムに収録されている歌は、架空の物語や重たい詩の曲が多い。そういうところが、ポップで無い、というか、暗いとか重たいなんて評されて、ユーミンのアルバムの中でも一般的に評価が低い。

しかし、である。僕はこのアルバム、発売されて2ヶ月後くらいに、友人から借り受けて、カセットテープにダビング、思いっきりヘビロテになった思い出のアルバムなので、当時の評論家筋の低い評価がどうしても腹に落ちなかった。結論として、当時のこのアルバムに対しての辛口の評論を信じなくて良かった。このアルバムは、ユーミンのアルバムの中で、5指に入る「お気に入り」盤なのだ。

冒頭の「セシルの週末」なんて秀逸な短編ドラマを見ている様な内容で、何度聴いても感心するばかり。「時のないホテル」や「コンパートメント」は、スパイを主人公にした架空の推理小説の様な内容なんだが、これって、当時、ここまで優れた内容の、架空の推理小説の様な歌詞を書けるシンガーソングライターって、ユーミン以外いなかった。

「Miss Lonely」は、戦争に行って帰ってこない彼のことを、50年間、待ち続けている老婆を描いた内容は新鮮だったし、「ためらい」「よそゆき顔で」「5cmの向う岸」は、ユーミンお得意の「恋愛私小説」の短編を読んでいるようで、聴いていてとても楽しいし、その内容にグイグイ入り込んでいく。
 

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特に、このアルバムにおいては、アルバム全体を覆う、落ち着いたAOR的な雰囲気、ヨーロピアンな夕日に輝く黄昏時の「ブリリアントではあるが少し物悲しい」響きが最大の聴きどころ。プロデュース&アレンジの松任谷正隆の手腕の成せる技であろう。当時の日本では聴くことの出来ない、粋でお洒落な音世界がこのアルバムの中に詰まっている。

そして、極めつけはラストの「水の影」。タイトルが実に平凡なので、とても損をしている曲なんだが、これが詩・曲ともに秀逸。本来のユーミン・ワールド全開の秀曲である。アレンジが秀逸。短いエレピの前奏から導かれる、優しく、美しい曲。テーマは「時間」そして「移動」。

 

たとえ異国の白い街でも 風がのどかなとなり町でも
私はたぶん同じ旅人 遠いイマージュ 水面におとす

時は川 きのうは岸辺 人はみなゴンドラに乗り
いつか離れて 想い出に手をふるの

立ち去るときの肩のあたりに 声にならない言葉きこえた
あなたをもっと憎みたかった 残る孤独を忘れるほどに

よどみない浮世の流れ とびこめぬ弱さ責めつつ
けれど傷つく 心を持ち続けたい

時は川 きのうは岸辺 人はみなゴンドラに乗り
いつか離れて 想い出に手をふるの

『水の影』: 松任谷由実

 
 

東日本大震災から6年9ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年11月12日 (日曜日)

リゾート志向の冬のユーミン盤

僕にとってのユーミン盤は、それぞれに季節感がついてくる。僕が感じるには、ユーミンの盤にはそれぞれ、独特の季節感が流れていて、その季節毎に聴くユーミン盤が変わる。ただし、この季節感を感じるユーミン盤は、1989年リリースの『LOVE WARS』までに限定される。なぜか、1990年代以降のユーミン盤には、この「季節感」が感じられなくなっている。

さて、今年もそろそろ「冬」である。冬の季節を感じると、必ず聴きたくなるユーミン盤が何枚かある。その筆頭が、松任谷由実『SURF & SNOW』(写真)。1980年12月のリリース。キャッチコピーは「忘れないで、ときめくホリディを!」。僕はリアルタイムで、リリース日当日にこの盤を入手している。

もともと発売日が12月1日だったこともあり、収録曲の「恋人がサンタクロース」と「雪だより」をとても印象的だったこともあって、僕の頭の中では、この盤は「冬のユーミン盤」になった。加えて、1987年に公開された映画「私をスキーに連れてって」のオープニングに印象的に使われた「サーフ天国、スキー天国」のイメージが加わって、この盤は「冬のユーミン盤」として”確定”された。
 

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タイトルが『SURF & SNOW』なので、「灼けたアイドル」や「人魚になりたい」など夏の曲もある。「サーフ天国、スキー天国」だって、曲の半分はサーフィンの情景なので「夏」である。しかし、この盤がリゾート志向の曲作りになっている為、僕の頭の中では、夏の部分は、日本の冬での「夏」の地域。南半球もしくは常夏の島の話として解釈している。

他の曲、「まぶしい草野球」は春まだ浅い冬の終わりの季節設定だし、「シーズン・オフの心には」や「恋人と来ないで」も冬の季節がピッタリだと感じる。「彼から手をひいて」や「ワゴンに乗ってでかけよう」はオールシーズン・タイプの曲なんで、どの季節にも、つまりは「冬」にも合う。

よって、僕の中では、この『SURF & SNOW』は「リゾート志向の冬のユーミン盤」。それぞれの曲のアレンジも良好、当時のニューミュージックと呼ばれる曲の中でも、そのポップス感は突出している。当時としては、新しい感覚のポップ・ロックとして先端を行く存在だった。今でも、この木枯らし吹く季節になると、この盤が聴きたくなる。今年もそろそろ本格的な冬である。

 
 

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2017年11月11日 (土曜日)

晩秋の季節の「ユーミン盤」です

秋も深まってきた。日も短くなって、朝は日が昇るのが遅くなったし、夕暮れ時は結構早く陽が落ちる。今年は気温の変動がダイナミックだったが、このところ落ち着いて来て、やっと平年通りの気温に落ち着いて来た。気温が下がって日が短くなると、とにかく「物寂しい」。なんだか内省的になって、何を聴いても「しみじみ」する。

毎年毎年、この季節になると、じっくりと聴き込むユーミン(松任谷由実)のアルバムがある。松任谷由実『紅雀』(写真左)である。1978年3月のリリース。ユーミンが松任谷正隆さんとの結婚後、「荒井由実」改め「松任谷由実」として最初のオリジナルアルバムになる。当時のキャッチコピーが「1年5ヶ月の沈黙をやぶり第5弾ついに登場!! ユーミンの新しい世界がここに!!」。

全編に渡って、実に内省的な内容である。地味というか「しっとり」としている曲が多い。曲ひとつひとつ、実に丁寧に作られていると思う。しかし、印象に残りにくく、コレと言ったキャッチャーな曲に乏しい。シングルカットされた「ハルジョオン・ヒメジョオン」もリズムカルであるが、異国叙情が漂う、優しく穏やかな曲である。
 

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ユーミン自身も語っているが、ユーミンのアルバムの中で一番地味な内容。これだけ地味な印象のあるアルバムである。それではあまり聴き直すことも無いのでは、と思うのだが、意外とこれが、毎年毎年、この季節になると聴きたくなって、必ずライブラリーから取り出してきて聴き込むのだ。不思議な魅力を持ったアルバムである。

アルバム全体のアレンジは、当時、米国で流行っていたフュージョン・ミュージック、特にCTIフュージョンの影響をモロに受けている。例えば「LAUNDRY-GATEの想い出」のアレンジなど、ホーンの使い方、リズムなど、当時のフュージョン・ジャズのリーダー格、ボブ・ジェームスの『Heads』というアルバムに収録されている「We're All Alone」のアレンジを上手く取り入れている。

聴き返してみると、この『紅雀』、フュージョン・ミュージックなユーミンだった様な気がする。とてもきめ細かく丁寧にアレンジされた楽曲が心地良い。当時のフュージョン・ミュージックの特徴を踏まえて聴くと、このアルバム、実に聴き応えがある。一般受けはしないが、フュージョン者にとっては聴き応え十分。我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、晩秋の季節の昼下がりに、ゆったりと聴き込むのが通例になっている。

 
 

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2015年3月14日 (土曜日)

早春のユーミン盤はこれ。

我が千葉県北西部地方、今年の春は歩みが遅い。3月に入ってもなかなか暖かくならない。関西地方に比べると関東地方は春がやや遅い。大阪出身の僕としては、どうにもこの春の遅さが何年経っても合わない。春の選抜高校野球が始まっても、関東地方では雪が降る年があるもんなあ。

それでも、日は長くなり、陽射しのタップリになり、春はもうすぐそこまで、という感じになってきた。いわゆる「早春」の季節である。朝夜は冷えるが氷点下にはならず、日中は10度を超えると「早春」である。本格的な春はまだ先だが、家の周りのそこかしこに「春のサイン」が見え隠れする。

1970年代Jポップの中で、そんな「早春」の季節に合うアルバムは、と問われれば、僕は、荒井由実『MISSLIM(ミスリム)』(写真左)を挙げる。僕にとって、この『MISSLIM』は高校時代からずっと「早春」のアルバムなのだ。

『MISSLIM』は、荒井由実のセカンド・アルバム。1974年10月のリリース。ちなみにパーソネルは、荒井由実 (vo,p), 松任谷正隆 (key), 林立夫 (ds,per), 細野晴臣 (b), 鈴木茂 (el-g), 斉藤ノブオ (per)、辺りが中心メンバー。山下達郎がコーラスアレンジを担当している。

特に、この『MISSLIM』のLP時代のA面を占める5曲が絶品である。「生まれた街で」「瞳を閉じて」「やさしさに包まれたなら」「海を見ていた午後」「12月の雨」。ずっと、この5曲は「早春」の季節にピッタリだと思っている。まあ、A面のラストが「12月の雨」なのはご愛嬌。

特に歌詞の世界が絶品である。「生まれた街で」の「街角に立ち止まり 風を見送った時、季節がわかったよ」の一節には聴く度に痺れる。「瞳を閉じて」の「風がやんだら 沖まで船を出そう、手紙を入れた ガラスびんをもって」の出だしはまるで小説の出だしのようだ。
 
 
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続く「やさしさに包まれたなら」の「カーテンを開いて 静かな木洩れ陽の、やさしさに包まれたなら きっと、目にうつる全てのことは メッセージ」の一節については、これは絶対に書けそうで書けないなあ、と脱帽。「海を見ていた午後」は「山手のドルフィンは 静かなレストラン、晴れた午後には 遠く三浦岬も見える」と、まるで写実主義の絵画を見るようだ。

そして、ラストの「12月の雨」の歌詞が最高に良い。この曲の歌詞は全てが良いが、特に「時はいつの日にも 親切な友達、過ぎてゆく昨日を 物語にかえる」のフレーズには、もう「参りました」である。まあ、これはタイトルを見る限り「冬」の歌なのだが、「早春」のこの季節に聴いてもなかなかいける。

そして、このアルバムの全ての楽曲において言えることは、アレンジが秀逸なこと。特にキーボードとベースの使い方が抜群。素晴らしくセンスが良い。キーボードは松任谷正隆、ベースは細野晴臣。パーソネルを見て納得。このアルバムのアレンジはヘッド・アレンジが中心だったのことだが、ひらめきとセンスが素晴らしい。

この『MISSLIM』のLP時代のB面、CDでいう6曲目以降は、その歌の世界がちょっと歌謡曲に寄っている感じがして、LP時代はあまり聴かなかった。が、聴き耳を立ててみると、これがなかなか良い。恐らくはアレンジが良いのだろう。今ではCDであることもあって、冒頭の「生まれた街で」から、ラストの「旅立つ秋」まで一気に聴き通してしまう。

このユーミンの『MISSLIM』は、僕にとっての「早春」のユーミン盤。我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、昼下がりの「ジャズの合間の耳休め」として、季節のヘビロテ盤になっています。
 
 
 

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2015年1月 9日 (金曜日)

年末年始にピッタリのユーミン盤

去年の暮れから新年にかけて、酷い風邪を引いて散々な目に会った。丸4日間、ほぼ寝たきりの状態で、紅白歌合戦は半分だけ、元旦は、食事時以外は床の中。やっと熱が引いたのが1月の3日になってから。ほんと、久し振りに散々な年末年始であった。

さて、僕にとっての1970年代のJポップには、それぞれの季節に合ったアルバムというのがある。春夏秋冬、それぞれの季節にピッタリのアルバム、そのアルバムを聴けば、そのそれぞれの季節の思い出や風景が脳裏に浮かぶ、そんなアルバムが多々ある。恐らく、1970年代を過ごした多感な学生時代の中で、様々な良い思い出、悪い思い出の中で、印象深いJポップのアルバムが流れていたんだろう。

例えば、松任谷由実、ユーミンのアルバムなどは、その季節性のあるアルバムが多くあって、この年末年始の季節では、1981年11月リリースの『昨晩お会いしましょう』(写真)が、そんな「季節に合ったアルバム」の一枚である。

このアルバムがリリースされた11月1日の頃は、僕は大学4回生。就職先も決まって、卒論にも目処が立ち、卒業までの残された自由な時間を謳歌していた時期でもある。そんな時期にこのユーミンの『昨晩お会いしましょう』はリリースされた。

このアルバムは、ユーミンのアルバムの中でも特に印象深いアルバムの一枚で、冒頭の「タワー・サイド・メモリー」の存在がその理由。この「タワー・サイド・メモリー」の舞台は神戸。ここでのタワーとは「神戸ポートタワー」のこと。僕の大学は神戸にあって、この歌は、ユーミンのご当地ソングの一曲だが、この曲がいたく気に入った。

以降、このアルバムの音世界は、ユーミンお得意の「私小説ソング」のオンパレードで、松任谷正隆の秀逸なアレンジと共に、アルバム全体の出来は非常に良い。捨て曲無し、ユーミンの才能が遺憾なく発揮された代表盤の一枚だろう。

そんな捨て曲無しの中でも、やはり「守ってあげたい」「夕闇にひとり」「カンナ8号線」あたりの出来が抜きんでている。詩、曲、共にベストに近い出来で、今の耳できいても聴き応えがある。

そして、年末年始の季節に合ったアルバムである理由はラストの「A HAPPY NEW YEAR」の存在。1981年当時、この曲を初めて聴いた時、なんて良い曲なんだ、と思いっきり感心した。ユーミンって凄いなあ、と単純に思った。
 

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A Happy New Year!
大好きなあなたの部屋まで
凍る街路樹ぬけて急ぎましょう
今年も最初に会う人が
あなたであるように はやく はやく

A Happy New Year!
新しいキスを下さい
そして鐘の音 通りにあふれて
今年も沢山いいことが
あなたにあるように いつも いつも

A Happy New Year!
今日の日は ああどこから来るの
陽気な人ごみにまぎれて消えるの
こうしてもうひとつ年をとり
あなたを愛したい ずっと ずっと

今年も沢山いいことが
あなたにあるように いつも いつも

 

こんな素敵な詩と曲を持った「新年を祝う歌」が今まで日本にあっただろうか。詩の世界も私小説風で実にモダン。曲がこれまた、耽美的かつ深淵、懐深い響きをたゆたえ、シンプルかつリリカル。ピアノの響きが印象的で、これは名曲だと僕は思う。

余談になるが、原田知世主演の映画「私をスキーに連れてって」の中で、この「A HAPPY NEW YEAR」が挿入歌として使われたシーンが僕は大好きで、「明けましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします」と彼に交際OKの意志を伝える知世ちゃんの台詞には今でもしびれます(笑)。

有名なヒプノシスのデザインのジャケットは「やり過ぎ」であまり好きでは無い。ちなみに発売当時のキャッチコピーは「過去、現在、未来、時の流れは 今 ユーミンに止められた。あなたの青春の一場面が息づく」。う〜ん、これも「やり過ぎ」ですね(笑)。

それでも、このアルバムの内容は上出来で、この『昨晩お会いしましょう』はユーミンのアルバムの中でも上位に位置する「お気に入り」の一枚です。

 
 

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2014年12月20日 (土曜日)

Xmasの季節のユーミン盤です

1970年代から80年代前半のユーミンのアルバムには、季節性を感じさせる名曲が多数収録されていて、これがそれぞれに絶品。それぞれの曲を聴けば、その曲の中で唄われる季節を感じ、その季節の雰囲気を追体験する。特に、その歌詞の世界は絶品であり、この時代のユーミンは「詩人」であった。

さて、今年もそろそろXmasである。最近はテレビや商店街での派手なXmasイベントや装飾が控えめになって、意外と静かな年の瀬である。僕としては好ましいことで、Xmasの季節は厳かに過ごして然るべきだと思っている。

さて、このXmasのシーズンになると、必ず聴きたくなるユーミンのアルバムがある。バリバリに季節性を感じさせる名曲「ロッヂで待つクリスマス」が冒頭に入っている、そのアルバムとは『流線形’80』(写真左)。
 
結婚を機に一旦活動を停止、1978年3月に『紅雀』で、荒井由実から松任谷由実に名前を変えてカムバックしたユーミンが、8ヶ月という短期間でリリースした、松任谷由実名義のアルバムとしては2枚目の『流線形'80』。

アルバム全体の雰囲気としては、ユーミンとしては絶好調とは言い難い内容ではある。日本の新しい感覚のポップスもあれば、意外と俗っぽい歌謡ポップス調の曲もある。どちらの方向に行こうとしているのか、よく判らないアルバムではある。

しかし、この「日本の新しい感覚のポップス」の類の曲は絶品である。「真冬のサーファー」は、山下達郎がバック・コーラスに参加した絶品。山下達郎アレンジのコーラス・ワークは渾身の出来である。このコーラス・ワークはそれまでの日本には無かったものだ。
 

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「入り江の午後3時」は、軽快なポップス・ソング。この穏やかな軽やかさは米国には無い。日本ならではの穏やかな軽やかさ。暖かい日だまりの様な軽やかさ。ユーミンの面目躍如な名曲。「かんらん車」は、世田谷・二子玉川園の観覧車をモデルにした、雪も舞う寒い冬に独りで閉園前の観覧車に乗るという、まさにユーミン・ワールド。

そして、このXmasのシーズンを彷彿とさせるユーミンの名曲が「ロッヂで待つクリスマス」。これはどこから聴いても名曲。明らかに、このXmasのシーズンにぴったりの、聴けばこのXmasシーズンを必ず思い出させてくれる名曲中の名曲である。

逝った人たちへの「レクイエム」が心に沁みる。とにかく歌詞の世界が絶品である。アレンジも厳かでしみじみとしていて絶妙。 
  

小さなつむじ風が 尾根をかけ降りるたびに 縞模様広がる 
月のゲレンデ 夢を見るように 私はガラスにほほよせる

ゲームにはしゃぐ人も 炎を見ていた人も いつか表に出て
熱のある日は 部屋に残された 子供の私が蘇り座ってる

君の君の声のこだま追いかけ 窓もドアも越えて 心は滑る
やがて響きわたる 花火の音を ロッヂで待つクリスマス

 
ライトアップされた図書館脇のクリスマス・ツリーを眺めながら、聖歌隊の賛美歌を聴きつつ、遠い空の下にいる人のことを慮りながら、しみじみとその季節感を噛みしめていた学生時代を思い出す。さあ、あと4日でXmasイブ。

 
 

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2014年10月12日 (日曜日)

「OLIVE」と対のアルバムです。

昨日、我がバーチャル音楽喫茶『松和』で、秋たけなわの季節に流れる季節限定の「耳休みアルバム」として、松任谷由実の『OLIVE』について語った。この『OLIVE』の内容は「私小説ポップス」。

それまでのJポップの歌詞の世界は、あの人を好きになった、あの人に振られたとか、惚れた腫れた失恋した、の話がほとんど。それもあまり現実感の無い「惚れた腫れた」の、直接的、主観的な話がほとんど。

しかし、このユーミンの『OLIVE』は、それまでのJポップの歌詞の世界とは一線を画した。アルバムに詰まっている歌の世界は、実に「リアル」で「客観的」。それまでのJポップの歌詞の世界の真逆で、この歌詞の世界には「唸りに唸った」。

実はこの『OLIVE』と対になる「私小説ポップス」のアルバムがもう一枚ある。そのアルバムとは、松任谷由実『悲しいほどお天気』(写真左)。『OLIVE』は1979年7月20日のリリース。そして、この『悲しいほどお天気』は1979年12月1日のリリース。前作『OLIVE』のリリースから5ヶ月の、驚異的なハイペースなリリース。

この頃のユーミンは創造力が最高潮だったらしく、約半年間隔でのハイペースなアルバム・リリース。恐らく、次から次への歌詞が曲が浮かんできて、しかもそれぞれの曲が水準以上の出来だったのだろう。1978年3月リリースの『紅雀』から1983年12月リリースの『VOYAGE』まで、約半年間隔のアルバム・リリースになるが、確かに収録された曲は「捨て曲無し」である。

さて、『OLIVE』と対になる「私小説ポップス」のアルバムの『悲しいほどお天気』は、『OLIVE』の歌詞の世界、音世界を引き継いで、「リアル」で「客観的」な、私小説風の歌詞の世界が全編に渡って繰り広げられている。アルバムのサブタイトルも「The Gallery in My Heart」。明らかに「私小説ポップス」である。
 

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冒頭の「ジャコビニ彗星の日」は、1972年10月のジャコビニ流星群をテーマにした作品。天文ファンとして、個人的にも懐かしいテーマだ。当時、僕は中学2年生。流星群をテーマにした曲なので、タイトルはちょっとおかしい。しかし、歌詞に書かれている内容はほぼ正しい。確かにシベリアまで見に行って空振りを食らった観測隊もあった。私的なエピソードも織り交ぜて、実にリアルな内容である。

4曲目の名曲「DESTINY」は、ありそうでなさそうで、やっぱり現実にありそうな男女の世界を表現していて実に秀逸。ここまで極端では無いにしろ、ふられた方って、運気が下がっている分、こういう間の悪さって、あるよな。僕にも経験がある。そういう意味で、この「DESTINY」の歌詞はリアル。人気曲である分、恐らく、他の皆さんもこういう経験があるんだろうな。

6曲目のタイトル曲「悲しいほどお天気」も私小説的な歌詞の内容に思わず唸る。玉川上水沿いの道が舞台となって、ユーミンの美大時代の思い出が展開される。この曲は全くもって「私小説」風で「客観的」。目の前にその風景が浮かぶようだ。写実主義のような曲。

そして、僕はこの曲が一番好きで、実はユーミンの曲の中でも一番好きな曲なのだが、その曲とは、3曲目の「緑の町に舞い降りて」。サブタイトルが「Ode of Morioka」。サブタイトルの通り、ユーミンが盛岡での小旅行の印象を綴った曲で、アレンジから歌詞から曲から、何から何まで素晴らしい名曲。特にイントロの松任谷正隆のピアノのフレーズが痺れるほど好きである。この曲も「リアル」で「客観的」。歌われる情景がリアルに浮かぶ。

この『悲しいほどお天気』は、『OLIVE』と対になる「私小説ポップス」のアルバムとして、『OLIVE』を聴いた後、必ずといって良い程、ターンテーブルに載るアルバムでした。今でも、『OLIVE』を聴いたら『悲しいほどお天気』、『悲しいほどお天気』を聴いたら『OLIVE』を聴く、といった、全く対になって、CDプレーヤーのトレイに載る「私小説ポップスなアルバム」です。

 
 

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2014年10月11日 (土曜日)

「私小説ポップス」に思わず唸る

台風が2週連続で来るみたいで、ちょっと閉口気味の今日この頃。それでも、季節は全くの「秋」である。あの蒸し暑かった夏は夢だったのか、と勘違いしてしまいそうな、ダイナミックな季節の変化に改めて感心する。

普段はメインにジャズを据えてアルバムを聴き進める訳だが、さすがに長時間、ジャズを聴き続けると耳が疲れる。といって、バーチャル音楽喫茶としては、音楽が流れていない時間はあり得ない(笑)。僕の場合、ジャズの合間の耳休めのアルバムとしては、1970年代のロックであったり、Jポップであったりする。

今日は1970年代Jポップ。この「秋たけなわ」の季節、必ず毎年引き出してきて聴くアルバムが何枚かある。その中の一枚が、松任谷由実『OLIVE』(写真左)。松任谷由実になってからの3枚目のオリジナル・アルバム。1979年7月20日のリリース。

帯紙のキャッチ・コピーは「未来を先駆した話題の新曲「帰愁」「稲妻の少女」等の創作をずらりとそろえついに発表したユーミンのキラキラ輝くときめきのニューアルバム!」とある。未来を先駆した曲とは、未だに良く判らない表現なんだが、僕にとっては、それまでの日本のポップスには無かった「私小説」的な歌詞が衝撃的だった。

音の雰囲気は響きが静謐で豊か。清秋の空の様な澄み切った空気感。このアルバムの雰囲気は、日本の季節で言うと「秋」。逆に「秋」の雰囲気にしか合わないアルバムの響きが詰まっている。つまりは、この松任谷由実『OLIVE』は秋に聴くべきアルバムなのだ。

このアルバムに収録された曲の歌詞が凄い。大学時代、僕はこのアルバムを手にして、思わず唸った。こんな歌詞は、それまでのJポップではとても珍しかった。それまでのJポップの歌詞の世界は、あの人を好きになった、あの人に振られたとか、惚れた腫れた失恋した、の話がほとんど。それもあまり現実感の無い「惚れた腫れた」の、直接的、主観的な話がほとんど。

しかし、この『OLIVE』というアルバムに詰まっている歌の世界は、実に「リアル」で「客観的」。それまでのJポップの歌詞の世界の真逆で、この歌詞の世界には「唸りに唸った」。
 

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例えば、冒頭の「未来は霧の中に」は、東京オリンピックや1969年のアポロ月面着陸というイベントを具体的に織り込んで、その時代と当時の自分を対比させて展開する歌詞で私小説的。続く「青いエアメイル」は失恋の歌詞だが実に具体的。

3曲目の「ツバメのように」はタイトルからして、空をツバメの様に飛ぶ、なんていう爽やかで夢想的な歌詞かと思いきや、飛び降り自殺をした少女を題材に、その自殺現場をリアルに描写し、その少女の自殺に至る心情を客観的に冷徹に語る。この「ツバメのように」の歌詞を初めて聴いた時には、背筋に戦慄が走ったことを覚えている。

ハイ・ファイ・セットに提供してヒットした「冷たい雨」だって、実にリアルに女性のメッタメタな失恋状況を描写している。「部屋に戻ってドアを開けたら、あなたの靴と誰かの赤い靴」なんて、思いっきりリアルで、これも思わず背筋に旋律が走る。

そして、絶品はラストの「りんごのにおいと風の国」。晩秋に向かいつつある10月の終わり。ひたむきにある男性を追いかける女性の情緒的な心情と深まる秋の風情を織り交ぜて、独特の静謐で鮮烈な「大人のおとぎ話」を現出している。

このアルバムに詰まったユーミンの歌詞の世界には驚いた。驚愕したと言って良い。そして、この私小説的な歌詞は、松任谷正隆氏の絶妙なアレンジによって、豊かな静謐感と澄み切った空気感を伴って、唯一無二なユーミンならではの音世界を聴かせてくれる。僕は、この『OLIVE』というアルバムにして、ユーミンという才能を確認した。

アルバム・ジャケットのデザインも先進的だった。横木安良夫の撮影による絶品で、1960年代のイタリアンなデザインで、構成としてはファッション雑誌風の構成で統一されている。このジャケット・デザインにも当時「唸った」。

今の秋たけなわの季節には、このユーミンの『OLIVE』というアルバムが良く似合う。我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、毎年、秋たけなわの季節に流れる、季節限定の「耳休みアルバム」です。

 
 

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2008年4月 5日 (土曜日)

春はユーミン(荒井由実だよ)

春ですね。朝の日差しの柔らかさが「春」。でも、北風が少し冷たくて、春本来の暖かさでは無い。どうも、桜が満開になってから、少し花冷え状況が続く、千葉県北西部地方です。

さて、ジャズをずっと聴き続けると、時々、他のジャンルの曲で「息抜き」したくなる。ということで、今日は、ジャズを離れて、70年代のJポップの話題を。

春になると、なぜかユーミンが聴きたくなる時がある。ユーミンといっても、松任谷由実ではない、荒井由実のほうである。ユーミンの荒井由実時代のアルバムは、ファースト・アルバム「ひこうき雲」から、「ミスリム」「コバルト・アワー」「14番目の月」、ベストアルバム「ユーミン・ブランド」。

春風吹いて、春ののどかな日差しの中で、フッと聴きたくなるユーミンは、まずは『コバルト・アワー』(写真左)。ジャケットも、ほんのりとピンク色が入っていて、春らしいと言えば、春らしい。

「卒業写真」「花紀行」という、春の季節の曲が入っている、という記憶が、春になると、この『コバルト・アワー』を思い出させるのかも知れない。
 

Cobalt_hour

 
「卒業写真」といえば、本家ユーミンのバージョンも良いが、僕は、圧倒的に、ハイ・ファイ・セットの「卒業写真」(写真右)が良い。ハイ・ファイ・セットのバージョンの「卒業写真」の前奏が流れるだけで、ウルウルしてしまう。そして、山本潤子さんのボーカルで「悲しい〜、ことが〜あると〜」と入ってくると、もう駄目。胸一杯になって感じ入ってしまう。まあ、それだけ、悪い思い出がいっぱい詰まった思い出の歌だと言うことです(笑)。

出だしの「コバルト・アワー」の調子は、明るくリズミカルで、これから展開される音世界を期待してワクワクする。明るくリズミカルといえば、5曲目の「ルージュの伝言」も実に良い。オールディズの曲調と、歌で歌われる主人公の女性が実に可愛い。ジブリのアニメ映画「魔女の宅急便」のオープニングでも使われましたよね。雰囲気ピッタリでした。

ドラマチックな展開の「航海日誌」の「海」も「春の夜の海」を思い起こさせるし、「少しだけ片想い」も、これからの「恋」を予感させるようなポジティブな明るさに満ちていて、気分は「春」。

7曲目の「CHINESE SOUP」は、季節を問わずの名曲。歌詞もウィットに富み、曲も素晴らしい。9曲目の「雨のステイション」に至っては、これはもう季節は、春を過ぎて梅雨。そして、ラストはなぜか唐突に、なぜ、この『コバルト・アワー』のラストに収録されたのかが未だに判らない「アフリカへ行きたい」で終わる。

でも、やっぱり、アルバム全体を通じて、松任谷正隆のアレンジが秀逸で、細野晴臣、林立夫、鈴木茂のビッグネームが並ぶ「ティン・パン・アレイ」のバック演奏が、実にポジティブで明るくて、ノリが良くて、聴いていて、ワクワクして、ルンルンで、思わず「心でスキップ」状態になるんですよ、このアルバム。

理屈はともかく、春はユーミン(荒井由実)。ふと聴きたくなるアルバムの筆頭は『コバルト・アワー』。今でも時々聴く良いアルバムです。
 
 
 
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2007年8月22日 (水曜日)

夜明けの雨はミルク色〜、っと

暑いなあ。実に蒸し暑い。もう、言い飽きたんだけど、やっぱり暑い。明日は、曇りのち雨の天気予報。日差しが無い分、気温は下がるみたい。我が千葉県北西部地方は、本格的な雨に見放されて久しい。カラカラである。明日は、是非とも、雨が降って欲しいものだ。

さて、昨日は、会社で、急な飲み会のお誘いがあって、急遽、参加決定。結構、長々と飲んでいて、家に帰り着いたのが、夜23時過ぎ。暑い夜道を汗をかきかき歩いて帰って、もうグロッキー。ブログはお休みさせていただきました。

この酷暑続きの今年の夏。もう今週は、朝から激しく蒸し暑い。よって、通勤音楽は、ジャズでもロックでも無い。今週は、ず〜っと「70年代Jポップ」。日本の歌、日本の曲である。実は昨日から、通勤音楽は「荒井由実」。荒井由実時代のアルバムは、どれも良い内容であるが、僕は、ファースト・アルバムの「ひこうき雲」と、荒井由実としては、ラスト・アルバムの「14番目の月」がお気に入り。

特に「ひこうき雲」(写真左)は、デビューしたばかりのシンガー・ソング・ライターとしての「瑞々しい」感性が溢れている。どの曲も「作られた」感じがしない。荒井由実の才能だけで書かれた「天才そのまま」の楽曲がズラリ並んでいる。表題曲の「ひこうき雲」は絶対的な名曲で、この曲について、多くを語るつもりは無い。聴けば判る。
 

Yuming_hikoukigumo

 
僕はこの「ひこうき雲」ってアルバムは、ユーミンとしては珍しい、バリバリの「メルヘン・ソング」が、幾つか入っているところが気に入っている。ユーミンに乙女チックな「メルヘン・ソング」は似合わないと常々思っているが、このデビュー・アルバムには入っているんですね。「ベルベット・イースター」「雨の街を」「紙ヒコーキ」、この3曲は、後の松任谷由実時代には絶対に聴くことに出来ない「メルヘン・ソング」。

特に「雨の街を」は名曲。出だしの歌詞「夜明けの雨はミルク色 静かな街に ささやきながら 降りて来る 妖精たちよ」。これ、初めて聴いたとき「ウヘ〜っ」と感嘆した。この「夜明けの雨はミルク色」なんて歌詞、凡人には出ません。この出だしの歌詞だけ見ても、いかに、当時、荒井由実は天才だったが判ります。「四畳半フォーク」全盛時代に、この歌詞は驚きの一言でした。

そして「ベルベット・イースター」。これは曲にビックリ。当時、今まで聴いたことのないコード進行と曲調。ギターで作曲した曲では無い。ピアノじゃないと、クラシックの素養がないと生まれない曲。そして、サビの歌詞「空がとってもひくい 天使が降りて来そうなほど いちばん好きな季節 いつもとちがう日曜日なの」。日本語の選び方が絶妙。こんな歌詞、書けまへん。そして、なんてメルヘンチックな歌詞なんだろう。ちょっと、こっぱずかしくなるような「メルヘン・ソング」。素晴らしい。

最後に余談になりますが、「きっと言える」という曲。曲中ずっと転調を繰り返す凄い曲で、当時のユーミンの凄みを感じて、暫く、聴くのが怖かった曲です(笑)。
 
 
 
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