生涯の演奏活動を通じての好盤
アート・ペッパーの「収監後」活動後期のアート・ペッパーのアルト・サックスの個性は「米国NYメインの東海岸ジャズ」のトレンドに乗った、1970年代の純ジャズのマナーでのエネルギッシュでモーダルなブロウは、1979年で成熟の域に達していた感がある。
Art Pepper『So in Love』(写真左)。1979年2月23日、5月26日、NYの「Sound Ideas Studios」での録音。パーソネルは以下の通り。
1979年2月23日のセッションは、1曲目「Straight, No Chaser」、4曲目「Diane」。パーソネルは、Art Pepper (as), Hank Jones (p), Ron Carter (b), Al Foster (ds)。
1979年5月26日のセッションは、2曲目「Blues for Blanche」、3曲目「So in Love」、5曲目「Stardust」。パーソネルは、Art Pepper (as), George Cables (p),, Charlie Haden (b), Billy Higgins (ds)。
2つのセッションのごった煮の収録。プロデュースの趣味が悪いといえば悪い。1979年2月23日のセッションと1979年5月26日のセッションのリズム・セクションが総替えで、リズム・セクションの音、個性が全く異なる。
1979年2月23日のセッションのピアノは、大ベテラン・バッパーの「ハンク・ジョーンズ」、ベースが、中堅熟練の「ロン・カーター」、ドラムがプログレッシヴなベテラン「アル・フォスター」。
かたや、1979年5月26日のセッションのピアノは、中堅多弁の「ジョージ・ケイブルス」、ベースが哲人「チャーリー・ヘイデン」、ドラムがユーティリティーな職人「ビリー・ヒギンス」。
しかし、この全く異なるリズム・セクションをバックに、アート・ペッパーのアルト・サックスは、音を変えることはなく、フレーズの音色・展開を変えることは全く無い。見事なまでに、「米国NYメインの東海岸ジャズ」のトレンドに乗った、1970年代の純ジャズのマナーでのエネルギッシュでモーダルなブロウを吹きまくる。雰囲気は完全に「我が道を行く」。
あまりにペッパーのアルト・サックスが全面に出て、徹底的に「収監後」活動後期の「米国NYメインの東海岸ジャズ」のトレンドに乗った、1970年代の純ジャズのマナーでのエネルギッシュでモーダルなブロウを繰り広げているので、バックのリズム・セクションの音と個性の違いが全く気にならなくなって、この盤の「2つのセッションのごった煮の収録」の欠点を消している。
この盤では「収監前」活動前期のペッパーと「収監後」活動後期のペッパーの比較の議論を、完全に無意味なものにしている。ペッパーの生涯の演奏活動を通じて、彼の即興演奏とフレージングの技術と円熟度が頂点に達した、ペッパーのアルト・サックスの最終形が、この盤の演奏に記録されている。
イラストがメインのジャケはちょっと安っぽいが、中身は超一級品。好盤である。
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