2025年6月21日 (土曜日)

”収監後” 活動後期の名盤です。

「収監後」アート・ペッパーである。ペッパーは、麻薬禍にてシナノン療養所に収監された前と後とで、活動前期と活動後期に分かれる。

「収監後」活動後期のアート・ペッパーのアルト・サックスの個性は「米国NYメインの東海岸ジャズ」のトレンドに乗った、1970年代の純ジャズのマナーでのエネルギッシュでモーダルなブロウ。

ちなみに「収監前」活動前期のアート・ペッパーのアルト・サックスの個性は「米国ウエストコースト・ジャズ」のトレンドに乗った、流麗で聴き心地の良いストレートアヘッドなブロウ。

Art Pepper『Today』(写真左)。1978年12月1, 2日の録音。ちなみにパーソネルは、Art Pepper (as), Stanley Cowell (p), Cecil McBee (b), Roy Haynes (ds), Kenneth Nash (perc, congas on #2)。

当時、新進気鋭のスタンリー・カウエルのピアノ、セシル・マクビーのベース、そして、ドラムに様々な演奏フォーマットに柔軟に対応するロイ・ヘインズと、バックのリズム・セクションがとても興味深い、ペッパーのアルト・サックスがワン・ホーンのカルテット編成。
 

Art-peppertoday

 
1970年代純ジャズのトレンドだった「モーダルな展開」と「バップでパルシヴなリズム&ビート」をベースにした、「収監後」活動後期のアート・ペッパーの名演が詰まった好盤である。

このアルバムを聴けば、「収監後」活動後期のアート・ペッパーは、完全に完成している。後は年を重ねての「熟成」だけ。そんな充実した「収監後」活動後期のアート・ペッパーがここにある。

パフォーマンスの基本は「モード」。時々アブストラクトに、時々スピリチュアルに、時々フリーに傾くが、気にするほどではない。熱い、エモーショナルなブロウの迸り、と解釈できて、この盤でのペッパーのアルト・サックスは絶好調である。「収監後」活動後期のベスト・パフォーマンスの一つと僕は思っているくらいだ。

バックのリズム・セクションも良好。特に、スタンリー・カウエルのピアノが良い。1970年代の純ジャズのトレンド、「モーダルな展開」と「バップでパルシヴなリズム&ビート」のど真ん中をいく、安定したバッキングは見事なもの。マクビーのベースはカウエルのピアノの底を支え、ヘインズのドラムが安定したリズム&ビートを供給する。

充実したリズム・セクションを得て、アート・ペッパーは、「収監後」活動後期の「米国NYメインの東海岸ジャズ」のトレンドに乗った、1970年代の純ジャズのマナーでのエネルギッシュでモーダルなブロウを繰り広げる。見事なブロウに惚れ惚れする。ペッパーの「収監後」活動後期の名盤だろう。
 
 

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2025年5月26日 (月曜日)

「収監後」のペッパーの音の安定

このペッパーのリーダー作CDはジャケットがイマイチで、どうしても触手が伸びなかった思い出がある。1970年代とはいえ、純ジャズのアルバムで、こんなポップで凡庸なイラストのジャケットは無いだろう。いかに、1970年代の純ジャズ・シーンが迷走していたかが判る。しかし、このジャケに騙されてはいけない。意外とこの盤、内容グッドの好盤なのだ。

Art Pepper『No Limit』(写真左)。1977年5月26日の録音。コンテンポラリー・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Art Pepper (as, ts), George Cables (p), Tony Dumas (b), Carl Burnett (ds)。アート・ペッパー復帰後の3作目。ペッパーはこのアルバムを、1977年11月21日に亡くなったレスター・ケーニッヒに捧げている。

1977年の純ジャズの音世界である。ペッパーのアルト・サックスは好調を維持。「収監後」のペッパーの音、1970年代の純ジャズのマナーでのエネルギッシュでモーダルなブロウ。ペッパー・オリジナルなモードがほぼ成熟した感のある、好調なパフォーマンスを堅持している。ジョージ・ケイブルスのピアノも良い。流麗でグルーヴィーでソウルフル。ダイナミックな弾き回しで、しっかり、ペッパーをサポートし鼓舞している。
 

Art-pepperno-limit

 
ベースの音はエレベか、はたまた、アコベにアタッチメントを付けて音を増幅したか。いずれにしても、1970年代の純ジャズの音である。このベースの音について評判が悪いが、テクニックはまずまず、リズム&ビートも堅実。音は1970年代のジャズ録音のトレンドである「電気的に増幅された音」をとやかく言うよりは、メンバーそれぞれの演奏内容をしっかり聴くことが肝要かと思う。そんなに忌み嫌うほど、酷いベースとドラムとは感じないんやけどなあ。

とりわけ、ペッパーが、ラジオで、ロバータ・フラックが歌うこの曲を聴いて,感動して吹き込みを決意したという2曲目の「Ballad of the Sad Young Man」や、妻に捧げた3曲目「My Laurie」といった、ペッパーのバラード吹奏が魅力的。そして、CDリイシュー時、ボートラで追加収録された、ラストの「No Limit」がとても良い。「収監後」のペッパーの主要レパートリーだった、ラテン志向のアグレッシブな「Mambo de la Pinta」も良い出来。

この『No Limit』あたりで、「収監後」のペッパーの音は成熟し安定してきたと感じる。コルトレーンの影響とか、コルトレーンのモノマネとか、色々揶揄される「収監後」のペッパーであるが、この盤でも判る様に、「収監後」のペッパーのアルト・サックスは、1970年代の最先端のサックスの吹奏のトレンドに則った、ペッパー・オリジナルな吹奏である。そんなペッパー・オリジナルなパフォーマンスが、てんこ盛りな好盤である。
 
 

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2025年5月25日 (日曜日)

ジャズ喫茶で流したい・287

ローリー・ペッパー(アート・ペッパーの妻)のBandcampでのメモを引用させていただく。1978年のアート・ペッパー二度目の来日。自らのバンドを率いてのライヴ行脚であった。

「1978年、私たちは2度目の来日を果たした。 今度はアートが自分のバンドを率いて、自分の曲を演奏した。 とても素晴らしいツアーだった。 これは山形の円形劇場で収録されたラジオ放送だった。 バンドがどんなに不思議で感動的な聴衆を集めていたかがわかるだろう」。

Art Pepper『Live In Japan』(写真左)。1978年3月14日、山形の「YBC TV Hall」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Art Pepper (as), Milcho Leviev (p), Bob Magnusson (b), Carl Burnett (ds)。Art Pepper『Live In Japan Vol. 1 - Ophelia』と、Art Pepper『Live In Japan Vol. 2 - The Summer Knows』と、2枚のアルバムに分けてリリースされていたものをカップリングして、リイシューしたものらしい。

「収監後」のアート・ペッパーである。「米国NYメインの東海岸ジャズ」のトレンドに乗った、1970年代の純ジャズのマナーでのエネルギッシュでモーダルなブロウが、しっかりと記録されている。このライヴでのペッパーは好調。「ペッパー・オリジナルなモード」に展開し、「ダイナミックにスイング」する。コルトレーンの影響下のブロウとするよりは、1970年代の最先端のサックスの吹奏のトレンドに則った、とした方がしっくりくる。
 

Art-pepperlive-in-japan

 
エモーショナルで、時にフリーに時にアブストラクトに展開するのは、確かにコルトレーンっぽいが、このライヴ録音がされた時代では、これは「1970年代の最先端のサックスの吹奏のトレンド」となっている。そして、出てくるフレーズのノリと展開は、コルトレーンとは似ても似つかぬもの。「収監後」のペッパーのアルト・サックスの個性がしっかり記録されている。ここでのペッパーのブロウは素晴らしい。現代の第一線のサックス奏者のパフォーマンスと比べても、勝るとも劣らぬ、素晴らしい個性的なブロウである。

ミルチョ・レヴィエフのピアノも良い味を出している。変幻自在のピアノ、と形容したら良いか。1950年代〜60年代のジャズ・ピアノのスタイルの中から、ペッパーに合ったスタイルを選び出し、そのスタイルをレヴィエフ・オリジナルとしつつ、ペッパーを効果的にサポートし鼓舞する。

気のせいかもしれないが、演奏のところどころで、「至上の愛」的なフレーズがフッと出てくるのには、思わず「へっ」と思ったり、「にんまり」苦笑いしたり。しかし、それが違和感なく、自然とパフォーマンスの中で躍動する訳だから、まさしく、このペッパー・バンドのライヴ・パフォーマンスは、1970年代の、1970年代の演奏トレンドをしっかりと踏まえた、上質のパフォーマンスなんだろうと至極納得した。

1978年を生きるペッパーの極上のパフォーマンスの記録がここにある。1970年代純ジャズの名盤の一枚だと僕は思う。
 
 

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2025年5月22日 (木曜日)

ペッパーの1977年のライヴ音源

実は、アート・ペッパーがお気に入りで、ペッパーのマニアになって、はや45年。アルバム・コレクターをやってた時は、ペッパーについては、海外のネットショップも含めて、入手出来る範囲でのペッパーのリーダー作は、ボックス盤も含めて、コンプリートしていた。

ペッパーについては、1970年代から、ペッパーが、麻薬禍でシナノン(麻薬療養所)に収監される前と収監された後で、演奏のスタイルが変わるんだが、この収監前と収監後、どちらのペッパーが良いか、という不毛な議論があった。

僕は、収監前は「米国ウエストコースト・ジャズ」のマナーに則った、流麗で聴かせるフレーズをメインにしたブロウ。週間後は「米国NYメインの東海岸ジャズ」のトレンドに乗った、1970年代の純ジャズのマナーでのエネルギッシュでモーダルなブロウ。どちらも、ペッパーのアルト・サックスの個性は変わらないと思うのだが、なぜ「収監前と収監後、どちらのペッパーが良いか」と言う不毛な議論が繰り広げられたのか、理解に苦しむ。

Art Pepper『A Night in Tunisia』(写真左)。1977年1月23日、カリフォルニア、ハーフムーンベイの「Bach Dynamite & Dancing Society」でのライヴ録音。1983年のリリース。ちなみにパーソネルは、Art Pepper (as), Smith Dobsen (p), Jim Nichols (b), Brad Bilhorn (ds)。アート・ペッパーのワンホーン・カルテットのライヴ音源。
 

Art-peppera-night-in-tunisia

 
録音年からすると「収監後」のアート・ペッパーである。ローカルなライヴ・パフォーマンスなんだろう、リズム・セクションを形成するメンバーは知らない名前ばかり。ワンホーン・カルテットなので、ペッパーは誰に遠慮することも無く、伸び伸びとアドリブ・ソロを繰り広げている。

メンバー紹介などのMCがちょっと長いのには閉口する。が、逆に、当時のライヴの雰囲気を味わうには、なかなか臨場感溢れるものなので、まあ仕方ないか、と諦めて耳を傾けると、意外と面白いエピなどを披露していて、聴衆もノリノリである。当時のライヴの雰囲気がダイレクトに伝わってくる。

演奏はバックのリズム隊が無名な割に、整った内容のあるパフォーマンスに仕上がっている。アート・ペッパーのアルトは好調を維持していて、「ペッパー・オリジナルなモード」に展開する2曲目「The Trip」、好調ペッパーの印「ダイナミックにスイング」する、4曲目ラストの「A Night in Tunisia」は聴き物。

ライヴ音源をできるだけそのまま収録したみたいで、長いMCがあったり、PAに不調が発生したり、ちょっと散漫になる部分も多々あるが、とにかくワンホーン・カルテットの演奏の部分だけは、きっちり充実している。ジャズ者一般万民にお勧めする類のライヴ盤ではないが、ペッパーのマニア「ペッパー者」の方々には、意外と楽しめるライヴ盤としてお勧めしたい。
 
 

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2024年7月 4日 (木曜日)

「後半のペッパー」の最初の傑作

天才アルト・サックス奏者、アート・ペッパー。1972年だったか、シナノンを正式に出所、ペッパーの「活動後期」が始まる。

そして、1975年8月、このケーニッヒ率いるコンテンポラリー・レーベルと契約を交わし、復帰後初のスタジオ録音を行う。『Living Legend』である。復帰後第一弾であるが故、慎重に誠実に着実にアルト・サックスを吹き進めていて、「後半のペッパー」の実力の半分くらいしか出ていないのがもどかしい。それでも、復帰後第一弾のリーダー作としては及第点。

Art Pepper『The Trip』(写真左)。 September 1976年9月15–16日の録音。1977年のリリース。ちなみにパーソネルは、Art Pepper (as), George Cables (p), David "Happy" Williams (b), Elvin Jones (ds)。

前作『Living Legend』から、バックのリズム・セクションは総入れ替え。目立つところでは、ピアノは後に”盟友”となるジョージ・ケイブルス。ドラムはポリリズミックなレジェンド・ドラマー、エルヴィン・ジョーンズ。

この「活動後期」のリーダー作第2弾で「後半のペッパー」のスタイル全開。「活動前期」のスタイルに比べて、覇気溢れアグレッシヴ、硬派で力感溢れるアドリブ展開、そして、時々、フリーにアブストラクトにブレイクし、スピリチュアルな響きを振り撒いたりする。

が、この盤での演奏については、決して感情のままに吹きまくるのでは無い。しっかり感情をコントロールし、抑制を効かせたフリーなブレイクダウン。端正でモーダルで、ハードバップな要素とフリーな要素が程よくハイブリッドした、当時のハードバップな演奏のトレンドにしっかり追従した、メインストリーム志向の純ジャズな展開。
 

Art-pepperthe-trip

 
基本はハードバップ、モーダルに展開し、時々、フリーにスピリチュアルにブレイクする。モーダルな展開は流麗でペッパーならではの展開。以前、どこかで聴いたモーダルな展開ではない。明らかに、ペッパーのオリジナル。フリーにスピリチュアルにブレイクするところは、しっかり感情コントロールされ、抑制が効いたもの。

ケイブルスのピアノとの相性が抜群に良い。「後半のペッパー」の特質を咄嗟に理解し、ペッパーと同様に「覇気溢れアグレッシヴ、硬派で力感溢れるアドリブ展開、そして、時々、フリーにアブストラクトにブレイクし、スピリチュアルな響きを振り撒く」ケイブルスのピアノは見事。

そこに、エルヴィンのポリリズミックはドラムが、様々なニュアンスのアクセントを付けていく。この盤でのエルヴィンのドラミングの貢献度は高い。

我が国の評論家筋から、なぜか「コルトレーンの物真似」なんていう難癖をつけられ、何かと問題にされる「後半のペッパー」盤だが、選曲も良く、それぞれの曲想に応じた、様々な表現を聴かせてくれるペッパーのアルト・サックスは「本物」である。

端正で、モーダルな展開のいマージネーションがユニークで豊か、抑制の効いたフリーなブレイク。この盤のペッパーのアルト・サックスは唯一無二であり、コルトレーンの物真似では決して無い。どこがコルトレーンの物真似なのか、良く判らない。

「後半のペッパー」は、「前半のペッパー」に、覇気溢れアグレッシヴ、硬派で力感溢れるアドリブ展開を付加し、モーダルで、ハードバップな要素とフリーな要素が程よくハイブリッドした、「前半のペッパー」からアップグレードしたペッパーである。そんな「後半のペッパー」の最初の成果が、この盤に溢れている。
 
 

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2024年7月 2日 (火曜日)

復帰後ペッパーの初リーダー作

天才アルト・サックス奏者、アート・ペッパーの活動時期について、薬物中毒者の為のリハビリテーション施設シナノンで過ごしたブランクの時期を境に、シナノン出所後を「後半のペッパー」とするのだが、確か、シナノンを正式に出所したのは1972年だったか、それでも出所後、そんなには世の中は甘く無かった訳で、すぐにはジャズ・シーンに戻れなかった。

それでも、シナノン療養所に入っていた時に、コンテンポラリー・レーベルの総帥プロデューサー、レスター・ケーニッヒがペッパーを訪問、復帰するよう励ました、という逸話が残っている。そして、ペッパーはその恩義に報いる様に、1975年8月、このケーニッヒ率いるコンテンポラリー・レーベルと契約を交わし、復帰後初のスタジオ録音を行う。

Art Pepper『Living Legend』(写真左)。1975年8月9日の録音。ちなみにパーソネルは、Art Pepper (as), Hampton Hawes (ac-p, el-p), Charlie Haden (b), Shelly Manne (ds)。ペッパーのワンホーン・カルテット。バックのリズム・セクションは、ウエストコースト・ジャズのレジェンド・ミュージシャンで固めている。ペッパーからすると、この人選はリラックス出来ただろう。ケーニッヒの粋な計らいである。

ここでのペッパーの吹奏は「後半のペッパー」のスタイル。覇気溢れアグレッシヴ、硬派で力感溢れるアドリブ展開、しかし、フリーにアブストラクトにブレイクダウンはしない。復帰後第一弾、しかも、有力ジャズレーベルのコンテンポラリーでの録音。失敗は許されない。と言って、「昔の名前で出ています」風に、ウエストコースト・ジャズのマナーに則った、流麗で歌心溢れる、聴いていて心地良く、心地良くスイングする「前半のペッパー」は、プロとして出来ない。
 

Art-pepperliving-legend

 
昔の「前半のペッパー」の雰囲気を少し漂わせながら、慎重に誠実に着実に、覇気溢れアグレッシヴ、硬派で力感溢れるアドリブ展開という「後半のペッパー」のスタイルで吹き進めるペッパーが愛おしい。本当は、フリーにアブストラクトにブレイクダウンし、スピリチュアルな響きを振り撒いたりしたいのだが、復帰後初のリーダー作である。とても慎重に吹き進めるペッパー。気持ちは判るなあ。

慎重に誠実に着実に、覇気溢れアグレッシヴ、硬派で力感溢れるアドリブ展開しているが、そのパフォーマンスの内容は良い。テクニック的にも「前半のペッパー」と比べて遜色は無いし、アドリブ・フレーズの流麗さについては、「前半のペッパー」を彷彿とさせる部分も多々登場する。ブロウが覇気溢れアグレッシヴ、硬派で力感溢れる内容に変化しているので、「前半のペッパー」をなぞっているのでは無い。この辺りにペッパーの矜持を強く感じる。

バックのリズム・セクションも「後半のペッパー」のスタイルを理解して、なかなか躍動感溢れるパフォーマンスで、ペッパーを支え鼓舞する。ホーズのエレピもなかなか味があって、そのホーズのエレピに絶妙に絡む、ベースの哲人ヘイデンのパフォーマンスも聴きもの。ドラムのマンは変幻自在なドラミングで、ペッパーの様々な表現に対して、的確に最適なリズム&ビートを供給する。

シナノン出所後、有力レーベル下での初のリーダー作なので、ペッパーは、とにかく慎重に誠実に着実にアルト・サックスを吹き進めていて、「後半のペッパー」の実力の半分くらいしか出ていないのがもどかしいが、テクニック含めて、水準以上のブロウをキープしているところは、さすが、天才アルト・サックス奏者、アート・ペッパーである。復帰後第一弾のリーダー作としては及第点だろう。
 
 

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2024年7月 1日 (月曜日)

ペッパーの復活直前のライヴ音源

さて、いよいよ、後期のアート・ペッパーのリーダー作を記事に上げていこうかと思う。

アート・ペッパーの活動時期は大きく2つに分かれる。1960年代後半、薬物中毒者の為のリハビリテーション施設シナノンで過ごしたブランクの時期を境に、1950年代~1960年代前半の「前半のペッパー」とする。そして、麻薬禍からの復活、後半のカムバック後、1970年代~亡くなる1982年までを「後半のペッパー」としている。

Art Pepper 『I'll Remember April : Live at Foothill College』(写真左)。1975年2月14日、Los AltosのFoothill Collegeのジムでの録音。ちなみにパーソネルは、Art Pepper (as), Tommy Gumina (polychord), Fred Atwood (b), Jimmie Smith (ds)。アート・ペッパーのワンホーン・カルテット。ペッパーのパフォーマンスの様子が良く判る演奏編成。

1960年代の終わりには、麻薬禍からの回復ステージに入ってはいたが、現在、正式盤として残された音源は、1968年11月録音の『Live at Donte's, 1968』。その後、この1975年の『I'll Remember April』まで、6年以上、残された録音は無い。このロスアルトスのフットヒル・カレッジのジムでの録音は、コンテンポラリー・レコードと契約する直前のライヴ録音になる。

まだ、有力なジャズ・レーベルと契約していない状態。ペッパー自体、ジャズ・シーンからも忘れられた存在なので、バックのメンバーはほぼ無名のミュージシャンばかり。よって、バッキングの演奏レベルは酷くは無いが中程度。
 

Art-pepper-ill-remember-april-live-at-fo  

 
キーボードはシンセで弾きまくっていて、1970年代の純ジャズの悪いところが揃っている。そして、録音場所が大学のジムらしく、録音状態は良くない。雑音が、というよりは、音がモワンと変に広がって、変なエコーがかかっている状態。

しかし、である。フロント1管のアート・ペッパーのアルト・サックスのパフォーマンスが素晴らしく良いのだ。やはり、シャバの空気はウマかったのか(笑)、覇気に満ちたノリノリの吹奏を聴かせてくれる。但し、活動時期の前半、ウエストコースト・ジャズのマナーに則った、流麗で歌心溢れる、聴いていて心地良く、心地良くスイングするペッパーの吹奏では全く無い。

覇気溢れアグレッシヴ、硬派で力感溢れるアドリブ展開、そして、時々、フリーにアブストラクトにブレイクダウンし、スピリチュアルな響きを振り撒いたりする。これを、以前では「コルトレーンの物真似」と切り捨てられているが、それは極端な評価だろう。フリーにアブストラクトにブレイクダウンはするが、そのフレーズもコルトレーンとは異なる。加えて、特にテーマ部の吹奏では、活動期前半の流麗で歌心溢れるフレーズもしっかり出てくる。

コルトレーンの物真似、というよりは、プレイする時点での感性に正直に従い、硬派にアグレッシヴに、フリーにアブストラクトに展開する側面を、活動期前半の「流麗で歌心溢れる、聴いていて心地良く、心地良くスイングする」ペッパーにアドオンしたとした方がしっくりくる。コルトレーン流に宗旨替えしたのではなく、アルト・サックス奏者としてアップグレードして、表現の幅が大きく広がった、と評価すべきかと思う。

そして、1975年8月、コンテンポラリー・レコードと契約し、活動期後期の最初のスタジオ録音盤『Living Legend』をリリースし、ペッパーは、やっと麻薬禍からの復活を遂げることになる。
 
 

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2024年3月19日 (火曜日)

未知のジャズ好盤 『Collections』

アート・ペッパーは、僕のお気に入りのアルト・サックス奏者の一人。ジャズを本格的に聴き始めた頃、 『Art Pepper Meets The Rhythm Section』に出会って以来、長年、ずっと「お気に入り」。

最近、当ブログにアルバム評をアップしたリーダー作を、ディスコグラフィーに照らし合わせてチェック。今回、この盤で、ペッパー前期(麻薬禍で収監され活動を停止した時期以前)の盤をほぼ押さえることができた。

Red Norvo, Art Pepper, Joe Morello and Gerry Wiggins『Collections』(写真左)。1957年1月3日、ロスでの録音。Red Norvo (vib), Art Pepper (as,on tracks 2, 5, 7 & 10, ts on track 1), Howard Roberts (g), Gerry Wiggins (p), Ben Tucker (b), Joe Morello (ds)。パーソネルを見渡し、この盤の音を聴けば、基本的に米国西海岸ジャズである。

この盤は一般的には知られていない盤だと思う。が、昔のジャズ本を紐解くと、スイングジャーナル1974年4月臨時増刊『幻の名盤読本』に、この盤の紹介がある。ただし、デイヴ・ブルーベックの相棒、名ドラマーの「ジョー・モレロ」の初リーダー作として、である。

演奏を聴いていて、そうかなあ、と思う。この盤のセッションにはリーダーはいなかったのではないか。演奏者が平等にソロ・パフォーマンスのスペースを与えられていて、演奏の基本は西海岸ジャズ。しっかりアレンジされ、そのアレンジに則った演奏である。モレロのリーダーとしての「音の方向性」の指示の結果とは思えない。
 

Red-norvo-art-pepper-joe-morello-and-ger

 
レッド・ノーボのヴァイブ、ハワード・ロバーツのギター、ジェリー・ウィギンスのピアノ、ベン・タッカーのベース、ジョー・モレロのドラムのクインテットに、アート・ペッパーがサックスでフロント参加、収録全10曲中、5曲に参加するという構成。

クインテットのみの演奏についても溌剌とした、内容充実な西海岸ジャズであるが、5曲のペッパーの参加が、さらにこの盤の演奏内容を充実させている。それほどに、ペッパーのパフォーマンスは充実している。

1曲目のペッパーの自作曲「Tenor Blooz」では、ペッパーはテナー・サックスを吹いている。ペッパーがテナーを吹くのか、とも思うのだが、出てくるフレーズは明らかに「ペッパー節」。ただ、テナーの音程での「ペッパー節」はちょっとうるさく響いて、僕には「トゥー・マッチ」(笑)。張り切っているんでしょうが、ねえ。

しかし、本業のアルト・サックスに持ち替えた残りの参加4曲、「You're Driving Me Crazy」「Pepper Steak」「Yardbird Suite」「Straight Life」では、流麗でユニーク、聴き応えのある、素晴らしいアドリブ・フレーズを展開する。とりわけ、スタンダード曲でのパフォーマンスは秀逸。十八番の「Straight Life」は見事。

「イントロ」というマイナー・レーベルからのリリースで、典型的な西海岸ジャズのジャム・セッション盤だが、ペッパー参加が素晴らしいところから「幻の名盤」して、以前、注目されていた盤。ペッパーのディスコグラフィーにも、リーダー作の範疇に当盤のタイトルが上がっているものが多い。

今回、久々に見つけて聴き直してみたが、「名盤」というほどではないにしろ、内容充実の典型的な西海岸ジャズに、ペッパーのサックスが秀逸。「未知のジャズ好盤」として、鑑賞に十分耐える内容。楽しめました。
 
 

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2024年2月24日 (土曜日)

復活直後の『Live at Donte’s』

1960年代後半、薬物中毒者の為のリハビリテーション施設シナノンで過ごしたブランクの時期を境に、1970年代〜亡くなる1982年までの活動期間を「後半のペッパー」 とするが、このライヴ音源は「後半のペッパー」の予告編的な演奏内容が記録されている。

Art Pepper Quintet『Live at Donte's, 1968』(写真)。1968年11月24日、ハリウッド「Donte」でのライヴ音源。ちなみにパーソネルは、Art Pepper (as), Joe Romano (ts), Frank Strazzeri (p), Chuck Berghofer (b), Nick Ceroli (ds)。

このライヴ録音の時期は、ペッパーはシナノンを出て、バディ・リッチ楽団で演奏を始めたところ、脾臓破裂の大手術を受け生死を彷徨った後、そんなに時間が経っていない頃ではないかと思われる。

確かに、ペッパーの吹き回しは、ちょっと元気が無い。逆に、フロント管の相方、ジョー・ロマーノのテナー・サックスがやけに元気一杯で、自由奔放、豪快でアグレッシヴな吹き回しは五月蝿いくらい。

演奏途中でのフェードアウトや,若干の音の欠落等もあって、音源の完成度としては「イマイチ」だが、テープ音源でありながら、音質はそこそこのレベルを維持しているので、「後半のペッパー」の特徴である、力強いバップで流麗なフレーズと、ややフリーキーなアグレッシヴでエモーショナルなフレーズが混在する吹き回しが良く判る。
 

Art-pepper-quintetlive-at-dontes-1968

 
ややフリーキーなアグレッシヴでエモーショナルなフレーズは、明らかにコルトレーンの影響が明らかなんだが、意外とこなれていて、コルトレーンのコピーには陥っていない。既に、ペッパー流のアグレッシヴな吹き回しになっているところが流石だなあ、と感心するところ。

もともと、メロディアスに流麗に吹き回すテクニックについては、「前半のペッパー」の最大の特徴だったのだが、「後半のペッパー」では、前半の「メロディアス」の部分が「力強いバップ」な吹き回しになっている。

ただ「流麗」なところは変わらないので、「後半のペッパー」は突如、演奏スタイルを180度変えた訳ではない。テクニック優秀、流麗な吹き回しの部分は「前半のペッパー」と変わらない。

つまりは「前半のペッパー」は、米国ウエストコースト・ジャズの音世界でのペッパーのパフォーマンスで、「後半のペッパー」は、コルトレーン後の、1970年代のモード・ジャズの音世界でのペッパーのパフォーマンスだった、ということで、「前半のペッパー」と「後半のペッパー」との優劣をつけることはナンセンス。どちらもペッパーで、どちらも僕からすると優れたペッパーである。

演奏曲はスタンダード曲がメインだが、このスタンダード曲についても、ペッパー流のアグレッシヴな吹き回しが、コルトレーン後の、1970年代のモード・ジャズな吹き回しで、決して懐メロ風には陥らず、当時として、時代の先端を行く、挑戦的な展開になっているのは立派。

このライヴ音源を聴くと、ペッパーは進化するタイプのジャズマンだったことが良く判る。
 
 

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2024年2月 7日 (水曜日)

常態のペッパー『Smack Up』

伝説のアルト・サックスの天才奏者「アート・ペッパー(Art Pepper)」。彼のキャリアの最大の特徴は「ジャンキー(麻薬中毒者)」であったことだろう。ペッパーのディスコグラフィーを振り返ってみると、初リーダー作が1956年の録音。それから1960年の録音までが、アート・ペッパーの活動前期と定義して良い。

アート・ペッパーの活動前期は、1950年代半ばから薬物関連の懲役刑のため何度も活動が中断、刑務所から出てきた時にリーダー作を録音するといった状況で、1960年代半ばにはシーンから姿を消すことになる。そして、1960年代後半は麻薬更正施設「シナノン療養所」に入所している。

Art Pepper『Smack Up』(写真左)。1960年10月24–25日の録音。Contemporaryレーベルからのリリース。トナミにパーソネルは、Art Pepper (as), Jack Sheldon (tp), Pete Jolly (p), Jimmy Bond (b), Frank Butler (ds)。ペッパーのアルト・サックスとシェルダンのトランペットが2管フロントのクインテット編成。

このアルバムは録音時点でほどなく正式リリースされている、アート・ペッパーの活動前期の最後に位置するリーダー作。収録曲は正式には全6曲。ペッパーの自作曲は1曲のみ。渋めのスタンダード曲が1曲。他の4曲は当時の「ミュージシャンズ・チューン」。1960年の録音で、オーネット・コールマンの曲「Tears Inside」を収録しているところが興味深い。この1960年時点で、ペッパーはフリー・ジャズに興味を示していた、とも捉えられる。
 

Art-peppersmack-up 

 
さて、このアルバムでのペッパーのアルト・サックスは好調。クールにエモーショナルに流麗にアルト・サックスを吹き進めている。落ち着いたアドリブにも、ペッパーらしいセンスの良さが感じられるし、楽器も良くなっているし、テクニックも揺るぎがない。恐らく、刑務所から出てきた時のペッパーは「常態」にあったのだろう。そんな「常態」での落ち着いた、天才の閃きの様なアドリブ・フレーズを披露している。

この「常態」でのペッパーを「沈滞している」と評する向きもある。が、元々、名盤の誉高い『Surf Ride』や『Meets the Rhythm Section』での「躁状態」にある様な根明で強烈な吹き回しについては、ペッパーは麻薬を「ばっちりキメて」吹いていたのでないか、と疑っているので、僕はそれらがペッパーの「真のベスト」とは感じていない。確かに凄い吹き回しではあるのだが....。「常態」での根明で強烈な吹き回しについては、アート・ペッパーの活動後期の特徴になる。これについては、また後日に語りたい。

さて、この『Smack Up』に話を戻すと、この盤のセッションについては、バックのリズム・セクションについても、なかなか好調なパフォーマンスを聴かせてくれる。特に、ピート・ジョリーのピアノが好調。ボンドのベース、バトラーのドラムも堅実なサポート。そうそう、フロント管の相棒、シェルダンのトランペットもなかなか。そう思って聴きながらパーソネルを改めて見渡すと、当時、ウエストコースト・ジャズの代表的ジャズマンが一堂に会しているではないか。良いはずである。

この『Smack Up』、ペッパーの活動前期の「最後の佳作」。「常態のペッパー」の落ち着いたクールな吹き回しを「沈滞している」として遠ざけるには勿体無い。ペッパーの活動前期の「常態のペッパー」のアルト・サックスを十分に楽しめる好盤です。
 
 

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