このライブ盤はLPで聴くが良い
6月7日だったか、吉田拓郎が久し振りにテレビに登場した。BS日テレの谷村新司がホストを務める音楽番組「地球劇場〜100年後の君に聴かせたい歌〜」にゲスト出演したのだ。
拓郎御大は、思いのほかお元気そうで安心した。顔のシワシワ度からすると、2歳年下の谷村新司の方がシワシワで、拓郎御大の方が若々しく見える。一時は肺がんになったり、ツアー途中で体調不良を訴えたりと、結構、健康面での不安がつきまとっていたので、今回のテレビでの元気な様子は何よりであった。
番組の中でも、なかなか良い歌を唄ってくれて、とても楽しめた。「今日までそして明日から」「落陽」「純情」「流星」「僕たちはそうやって生きてきた」そして「襟裳岬」などなど。昔の名曲と今の名曲、新旧織り交ぜて、心ゆくまで「拓郎節」を聴かせてくれた。
ということで、吉田拓郎のライブ盤が聴きたくなった。拓郎御大は1970年代から節目節目で、内容の良いライブ盤をリリースしている。吉田拓郎のライブ盤に駄作は無い。どのライブ盤も内容充実。どのライブ盤を選んでも全く損は無い。でも、そんな中でも、このライブ盤は、僕は一番聴いて来たライブ盤になる。
そのライブ盤とは、『TAKURO TOUR 1979』(写真左)と『TAKURO TOUR 1979 Vol.2 落陽』(写真右)の2枚。この2枚は同時期のライブ音源を採用したもの。『TAKURO TOUR 1979』は1979年10月、その追加盤である『TAKURO TOUR 1979 Vol.2 落陽』は1979年12月にリリースされている。
1979年に行われた日本武道館、篠島、静岡市民文化会館でのライブを収録していて、当時の拓郎御大の充実度の高さが聴き取れる、素晴らしい内容になっている。整った出来の良いライブ盤というよりは、拓郎御大の気合いで一気に聴かせてしまうような、勢いの凄さが素晴らしいライブ盤である。
『TAKURO TOUR 1979』は冒頭「知識」から始まる。僕にとっては、まず、これが良い。この「知識」という曲は大好きな曲で、僕は弾き語りでも歌うくらいに大好きだ。歌詞が良い。惚れ惚れする。続く「大いなる」も良い。大好きだ。そして、3曲目が「流星」。もう堪らない。
『TAKURO TOUR 1979 Vol.2 落陽』も負けてはいない。冒頭「あゝ青春」から始まる。至福の時である。続く曲「君去りし後」に思わず痺れる。「旅の宿」が硬派だ。そして「我が身可愛いく」から「狼のブルース」の展開に惚れ惚れする。
ということで、この『TAKURO TOUR 1979』と『TAKURO TOUR 1979 Vol.2 落陽』は、選曲のバランスが抜群で、巷溢れる「拓郎者」からしても納得の選曲なのだ。
しかし、である。この『TAKURO TOUR 1979』と『TAKURO TOUR 1979 Vol.2 落陽』の2枚は『COMPLETE TAKURO TOUR 1979』というタイトルでCD化されているのだが、現在、入手出来る2009年11月にリリースされた、SHM-CD仕様のライブ盤は、かの名曲「ペニーレインでバーボン」が入っていない。「つんぼ桟敷」という差別用語とも受け取れる言葉が含まれていることからオミットされている。
これがいけない。僕はこの「ペニーレインでバーボン」という曲が大好きなのだ。絶対なのだ。「ペニーレインでバーボン」が入っていない『TAKURO TOUR 1979』はあり得ない。ということで、僕が通常聴く『TAKURO TOUR 1979』は、MacでLPから音源ファイルに変換して、それをiTunesプレイヤーを使い、PCオーディオ環境で再生している。
あの拓郎御大の大名盤『今はまだ人生を語らず』の冒頭が「ペニーレインでバーボン」なんだが、やっぱり、この曲が無いとアルバムの魅力は半減する。今では、この「ペニーレインでバーボン」抜きの『今はまだ人生を語らず(−1)』がリリースされているが、「ペニーレインでバーボン」抜きの『今はまだ人生を語らず』は、僕にとってはあり得ない。
拓郎御大の充実した勢いと選曲のバランスが秀逸のライブ盤『TAKURO TOUR 1979』と『TAKURO TOUR 1979 Vol.2 落陽』。この2枚は出来たらLPで聴いて欲しい。録音状態はドンシャリで、ちょっとなあという感じだが、拓郎御大の勢いあるボーカルで、そんな録音状態も帳消し。良いライブ盤です。
大震災から3年3ヶ月。決して忘れない。まだ3年3ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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