2014年6月13日 (金曜日)

このライブ盤はLPで聴くが良い

6月7日だったか、吉田拓郎が久し振りにテレビに登場した。BS日テレの谷村新司がホストを務める音楽番組「地球劇場〜100年後の君に聴かせたい歌〜」にゲスト出演したのだ。

拓郎御大は、思いのほかお元気そうで安心した。顔のシワシワ度からすると、2歳年下の谷村新司の方がシワシワで、拓郎御大の方が若々しく見える。一時は肺がんになったり、ツアー途中で体調不良を訴えたりと、結構、健康面での不安がつきまとっていたので、今回のテレビでの元気な様子は何よりであった。

番組の中でも、なかなか良い歌を唄ってくれて、とても楽しめた。「今日までそして明日から」「落陽」「純情」「流星」「僕たちはそうやって生きてきた」そして「襟裳岬」などなど。昔の名曲と今の名曲、新旧織り交ぜて、心ゆくまで「拓郎節」を聴かせてくれた。

ということで、吉田拓郎のライブ盤が聴きたくなった。拓郎御大は1970年代から節目節目で、内容の良いライブ盤をリリースしている。吉田拓郎のライブ盤に駄作は無い。どのライブ盤も内容充実。どのライブ盤を選んでも全く損は無い。でも、そんな中でも、このライブ盤は、僕は一番聴いて来たライブ盤になる。

そのライブ盤とは、『TAKURO TOUR 1979』(写真左)と『TAKURO TOUR 1979 Vol.2 落陽』(写真右)の2枚。この2枚は同時期のライブ音源を採用したもの。『TAKURO TOUR 1979』は1979年10月、その追加盤である『TAKURO TOUR 1979 Vol.2 落陽』は1979年12月にリリースされている。

1979年に行われた日本武道館、篠島、静岡市民文化会館でのライブを収録していて、当時の拓郎御大の充実度の高さが聴き取れる、素晴らしい内容になっている。整った出来の良いライブ盤というよりは、拓郎御大の気合いで一気に聴かせてしまうような、勢いの凄さが素晴らしいライブ盤である。
 

Takuro_tour_1979

 
『TAKURO TOUR 1979』は冒頭「知識」から始まる。僕にとっては、まず、これが良い。この「知識」という曲は大好きな曲で、僕は弾き語りでも歌うくらいに大好きだ。歌詞が良い。惚れ惚れする。続く「大いなる」も良い。大好きだ。そして、3曲目が「流星」。もう堪らない。

『TAKURO TOUR 1979 Vol.2 落陽』も負けてはいない。冒頭「あゝ青春」から始まる。至福の時である。続く曲「君去りし後」に思わず痺れる。「旅の宿」が硬派だ。そして「我が身可愛いく」から「狼のブルース」の展開に惚れ惚れする。

ということで、この『TAKURO TOUR 1979』と『TAKURO TOUR 1979 Vol.2 落陽』は、選曲のバランスが抜群で、巷溢れる「拓郎者」からしても納得の選曲なのだ。

しかし、である。この『TAKURO TOUR 1979』と『TAKURO TOUR 1979 Vol.2 落陽』の2枚は『COMPLETE TAKURO TOUR 1979』というタイトルでCD化されているのだが、現在、入手出来る2009年11月にリリースされた、SHM-CD仕様のライブ盤は、かの名曲「ペニーレインでバーボン」が入っていない。「つんぼ桟敷」という差別用語とも受け取れる言葉が含まれていることからオミットされている。

これがいけない。僕はこの「ペニーレインでバーボン」という曲が大好きなのだ。絶対なのだ。「ペニーレインでバーボン」が入っていない『TAKURO TOUR 1979』はあり得ない。ということで、僕が通常聴く『TAKURO TOUR 1979』は、MacでLPから音源ファイルに変換して、それをiTunesプレイヤーを使い、PCオーディオ環境で再生している。

あの拓郎御大の大名盤『今はまだ人生を語らず』の冒頭が「ペニーレインでバーボン」なんだが、やっぱり、この曲が無いとアルバムの魅力は半減する。今では、この「ペニーレインでバーボン」抜きの『今はまだ人生を語らず(−1)』がリリースされているが、「ペニーレインでバーボン」抜きの『今はまだ人生を語らず』は、僕にとってはあり得ない。

拓郎御大の充実した勢いと選曲のバランスが秀逸のライブ盤『TAKURO TOUR 1979』と『TAKURO TOUR 1979 Vol.2 落陽』。この2枚は出来たらLPで聴いて欲しい。録音状態はドンシャリで、ちょっとなあという感じだが、拓郎御大の勢いあるボーカルで、そんな録音状態も帳消し。良いライブ盤です。

 
 

大震災から3年3ヶ月。決して忘れない。まだ3年3ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

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2013年3月 9日 (土曜日)

LP時代の音で幸せなひととき

朝から暖かい一日。暖かくなると、寒かった頃に控えていたことを色々とやりたくなる。特に、開腹手術を受けてからは、寒い部屋での作業は御法度。書庫の中のCDの整理はなかなか叶わなかった。

しかし、昨日今日と暖かい。というか、外に出て日向を歩いていると、早々に暑くて汗ばんでくる位だ。これだけ暖かくなると、西向きの暖房のない部屋も室温が上がる。ホワイトデーのプレゼント用のCDのチョイスとJポップのCDの整理を実施する。

すると意外なものが発掘された。LPをデジタルデータに落とした時の音源データのバックアップがCD-Rで発見された。東日本大震災の折の壊滅した部屋の片づけ時に捨てたと思っていたのでビックリ。音源データのフォーマットを見たら「aiff」形式。LPからPCに取り込んだ時のそのままのデータである。圧縮されたり加工されたりしていない。これは使える。

その音源データの中に、吉田拓郎の『今はまだ人生を語らず』(写真左)があった。吉田拓郎の初期の大傑作であるが、実はCDでリイシューされていない。正確には一度CDでリイシューされたのだが、とある理由である枚数が出た後、早々に発売中止になっている。それ以来、再発されることは無かった。

とある理由とは、冒頭の「ペニーレインでバーボン」の歌詞にある。「つんぼ桟敷」という単語があるのだが、これが差別用語として引っかかるらしいのだ。事実、この歌詞のこの部分のお陰で、何かとややこしいことに巻き込まれてきたらしく、吉田拓郎サイドは、もう懲り懲りという感じで、今もって全く再発される気配は無い。

しかし、このアルバムは吉田拓郎の大名盤である。アルバムとして聴きたい。中古LPを探し回った。しかし、このアルバムは吉田拓郎の大人気盤である。なかなか見つからない。これはどうも駄目かなあ、と思い始めた頃、近くに個人でLPなどを不用品販売っぽく、商売気無く、適当に売っているお店を嫁はんが見つけてきた。
 

Jinsei_katarazu

 
どうせ大したものは無いやろうな、と期待もせずに冷やかし始めたら、なんと吉田拓郎の『今はまだ人生を語らず』が、美品であるじゃないですか。しかも値段は800円。ビックリしつつ、その驚きを悟られないよう平静を装いながら、なんと本当に800円でゲット。盤の状態も極上。ジャケットも極上。凄くラッキーな買い物だった。

そんなラッキーな経緯を経た音源データである。しかも、「aiff」形式で全く加工されていない音源。即、PCオーディオの環境にコピーして、早速、ハイレゾ仕様で聴いてみた。スピーカーから出てきた音は、LP時代の音、レコードプレイヤーの音、カートリッジの音である。優しく柔らかい、音のエッジが適度に丸い、LP時代の音である。

しかも、音の分離が良い。この『今はまだ人生を語らず』のアレンジを担当したのは、恐らく、あの松任谷正隆であろうと思われる(クレジットが無いけど、そうでしょう)。ヘッドアレンジっぽい、素晴らしいアレンジが、素晴らしいバックバンドの演奏で展開されている。

実に男気のある質実剛健な米国ルーツ・ロック風の音づくりで、基本的には、ボブ・ディランのバックバンドを勤めていた「ザ・バンド」風の音作り。渋く凝った音作りでチャラチャラしたところが全く無い。ストイックなまでの硬派なサウンド。参加ミュージシャンも、目を惹くビッグネームだけ拾ってみても、石川鷹彦、村上秀一、後藤次利・・・。凄いメンバーが集結して、よってたかって拓郎を惹き立てている。

目から鱗とはこのことで、ところどころで、こんな音が入っていたんやなあ、とか、この変態チックなベースラインはなんや、とか、ギターの伴奏フレーズが複雑怪奇やぞ、とか、今までの環境で気が付かなかった音に色々と気が付いた。特に、ドラムとベースの音が追い易くなった。「人生を語らず」のタイトなドラミングや、「襟裳岬」のベースラインなんて、もうそれはそれは痺れっぱなし。

いや〜素晴らしい音である。たまたま見つかった音源データで幸せな時間を過ごした土曜日の夕暮れ時でした。しかし、LP音源をPCで取り込んで、ハイレゾデータ化して、PCオーディオ環境で聴くって、結構いけるぞ。僕の手元には、未だCD化されない、ニューミュージック時代の名盤がLPとして数十枚眠っているが、もう一度、自らで、デジタル化に挑戦してみるか。

 
 

大震災から2年。でも、決して忘れない。まだ2年。常に関与し続ける。

がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

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