2025年12月 6日 (土曜日)

ウェブスター・ミーツ・西海岸

ベン・ウェブスターとウエストコースト・ジャズとの邂逅。ウエストコースト・ジャズの、ほど良くアレンジされた、聴き手に訴求する、小粋なアレンジに乗ったリズム・セクションをバックに、ベン・ウェブスターのオールド・スタイルの、野太くて大らかでダンディズム溢れるテナーが練り歩く。

Ben Webster『At The Renaissance』(写真左)。1960年10月14日、ハリウッド「The Renaissance」でのライヴ録音。コンテンポラリー・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Ben Webster (ts), Jim Hall (g), Jimmy Rowles (p), Red Mitchell (b), Frank Butler (ds)。ジャズ・テナーのオールド・スタイルのレジェンド、ベン・ウェブスターの、1960年のライヴ盤。

冒頭の「Gone with the Wind」は、最初は、ウェブスターのオールド・スタイルのテナーと、ウエスコトーストの洗練されたリズム・セクションが、どこかギクシャクしている様な、なんかアンマッチの様な雰囲気が漂うので、これはミスマッチなのか、と思うんだが、そこは、ジャズ・テナーのオールド・スタイルのレジェンド、ベン・ウェブスターである。

演奏が進むにつれて、ウェブスターのテナーが、ウエスコトーストの洗練されたリズム・セクションの特徴を掴んで、野太くて大らかでダンディズム溢れるテナーが、どこかジェントルに温和にクールになって、ウエスコトーストの洗練されたリズム・セクションに寄り添うように、小粋で小洒落たテナーになって練り歩く。
 

Ben-websterat-the-renaissance

 
そうなれば、もう、このメンバーでのセッションは無敵である。ウエストコースト・ジャズの特徴を色濃く反映したリズム・セクションをバックに、ウエストコースト・ジャズ仕様にマイナー・チェンジしたウェブスターが、オールド・スタイルのテナーを吹きまくる。そもそも、ウエストコースト・ジャズに、ウェブスターの様な、こってこてオールド・スタイルのテナーは存在しない。そういう点からも、このライヴ盤の内容は貴重だろう。

ジム・ホールのギターも、ウェブスターのオールド・スタイルのテナーとの相性は良い。ウエストコースト仕様の、洒落てアーバンで流麗な「聴かせるギター」のホールに対して、ウェブスターの野太くて大らかでダンディズム溢れるテナーが、どこかジェントルに温和にクールになって、ホールのギターと協調する様にフロントを仕切る。繊細で流麗なホール、野太くて大らかでダンディズム溢れるウェブスター。良い意味での「好対照」。これが良いフロント・パフォーマンスを実現している。

ジミー・ロウルズのピアノ、レッド。ミッチェルのベース、フランク・バトラーのドラム、いわゆる「ウエストコースト・ジャズ」仕様のリズム・セクション、これが、また好パフォーマンスで、ウェブスター&ホールのフロントをガッチリ支え、聴き応えのあるリズム&ビートを叩き出す。特に、ミッチェルのベースが、演奏全体の「底」をガッチリ掴んで、バンドのパフォーマンス全体の「底」をコントロールしている。

1960年というハードバップの成熟期に、ベン・ウェブスターとウエストコースト・ジャズとの邂逅。一期一会の邂逅セッション「東海岸ミーツ西海岸」の成果。ジャズに境界は無い。良き邂逅は良き「化学反応」を醸し出す。その好例の様な好盤です。
 
 

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2025年11月17日 (月曜日)

バトル・シリーズの3作目です。

相も変わらず、Smoke Sessions Records の新譜を聴く度に、まあ、よくこれだけコンスタントに、現代のネオ・ハードバップ、現代のコンテンポラリー・ジャズの好盤をリリースし続けているものだ、と感心する。しかも、ベテラン、中堅のジャズマンを登用して、時折、興味深いアレンジ、演奏編成を仕掛けるのだから、隅に置けない。

Eric Alexander & Vincent Herring『Split Decision』(写真左)。2024年7月4–6日の録音。ちなみにパーソネルは、Vincent Herring (as), Eric Alexander (ts), Mike LeDonne (p), John Webber (b), Lewis Nash (ds)。ヴィンセント・ハーリングのアルト・サックス、エリック・アレキサンダーのテナー・サックスの2サックスが2管フロントのクインテット編成。アレキサンダー&ハーリングのバトル・シリーズの3作目。

ジャズ界屈指のサックス奏者2人が、楽しくフレンドリーな「2管フロント」で、リラックスした、それでいて、大らかで力感溢れる2サックスのユニゾン&ハーモニー、時にサックスのバトル、時に、それぞれの歌心溢れるアドリブ・ソロを披露する。良い意味で競争力のある2人、活力のある、ハードバピッシュな演奏を競うが如く、時に、手を取り合って、展開する。
 

Eric-alexander-vincent-herringsplit-deci

 
この2管フロントのパフォーマンスを聴いて思うのだが、その2人の音には、もはやコルトレーンの影は無い。現代のネオ・ハードバックのサックスについては、コルトレーン・スタイルは「常識」となり、ジャズ・サックスの「基本」となった。コルトレーンの没後、約60年。ほぼ、そのサックス・スタイルの変遷をリアルタイムに感じてきたが、この盤の演奏を聴いていて、万感の想いがする。

名手2人のパフォーマンスである。悪かろう筈が無い。2人とも、それぞれの個性とテクニックのありったけを尽くして、サックスを吹きまくる。どこかで少しでもミスをしたら、相手に「切られる」、みたいな、心地良い集中を感じる良好なテンションと、和やかな熱気の中での素晴らしいパフォーマンス。Smoke Sessions Records の真骨頂である。

マイク ・ルドン、ジョン・ウェバー、ルイス・ナッシュのリズム・セクションも良好&好調。ルドンはマッコイ・タイナー張りのプレイで胸の空くようなプレイを展開、ウェバーのベースは堅実なビートを弾き出し、ナッシュのドラムが演奏全体のリズム&ビートをコントロールする。フロント2管を含めたクインテット、心地良いネオ・ハードバップを叩き出す。好盤です。
 
 

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2025年11月 3日 (月曜日)

”ヴァンガードのロリンズ” の再発

未だに、ハードバップ時代のリイシューがあるのには驚く。もう、品切れだと思うんだが、レコード会社というのは商魂たくましい。手を変え、品を変え、リイシューし、ジャズ者ベテランを中心に「搾取」を繰り返している(笑)。しかし、リイシューにも、確かに、これは価値があるな、と思われる、素敵なリイシューも存在する。

Sonny Rollins『A Night at The Village Vanguard (The Complete Masters)』(写真左)。1957年11月3日の録音。ブルーノートの1581番。ちなみにパーソネルは、Sonny Rollins (ts), AFTERNOON SET: Donald Bailey (b) Pete LaRoca (ds), EVENING SET: Wilbur Ware (b) Elvin Jones (ds)。エンジニア、ケヴィン・グレイによる最新リマスターを採用した、音質向上のコンプリート盤のリイシュー。

新たに発見された未使用のオリジナル7.5ipsマスターテープからケヴィン・グレイがリマスタリング。これが最大の「ウリ」。確かに音が良い。ロリンズのテナー・サックスは、骨太でブラスの低音が心地良く響いて、音の太さが耳に心地良い。ヴィレッジ・ヴァンガードの客席のど真ん中に座って、聴いているんじゃないか、と錯覚する位の生々しいテナー・サックスの音。未使用のオリジナル・マスターって、こんなに威力があるのだなあ、と感心した。
 

Sonny-rollinsa-night-at-the-village-vang

 
何故、未使用のオリジナル7.5ipsマスターテープが存在したのか。録音技師のルディ・ヴァン・ゲルダーは、自らのスタジオではアンペックス社製の15ipsのテープレコーダーを使用していた。が、これは重い。「ヴァンガード」には、かわりに7.5ips(1秒間に7.5インチ)のデッキを使った。そして、その7.5ipsマスターテープの素材を、自らのスタジオの15ipsのテープにダビングし、マスタリングしている。このダビングの過程で音の劣化が起きた。そして、オリジナル7.5ipsマスターテープが、マスタリングに未使用のまま残った。それが真相らしい。

なので、この『A Night at The Village Vanguard (The Complete Masters)』は、ルディ・ヴァン・ゲルダーのマスタリングの成果では無い。名匠ケヴィン・グレイのマスタリングである。それでは、この『A Night at The Village Vanguard』は、オリジナルとは別物か、といえば、そうじゃ無い。録音されたロリンス・トリオのパフォーマンス音源は同じなのだ。しかも、ケヴィン・グレイのマスタリングは、できる限り、ルディ・ヴァン・ゲルダーのマスタリングのイメージに近づけているみたいなのだ。

よって、この素晴らしい音の『A Night at The Village Vanguard (The Complete Masters)』がリイシューされた。そのライヴ音源の素晴らしさは、「最高の 『A Night At The Village Vanguard」(2014年11月19日の記事)にまとめてあります。とにかく、このライヴ盤でのロリンズは素晴らしい。ロリンズのインプロヴァイザーとしての最高の姿を、このライヴ盤はしっかりと捉え、記録している。しかし、ロリンズがこんなにステージ上でおしゃべりとは思わなかった(笑)。
 
 

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2025年10月31日 (金曜日)

BNのイージーリスニング盤です

硬派な老舗ジャズ・レーベルのブルーノート。4200番台も後半になると、大衆受けする「売れる」盤だけを狙った、イージーリスニング志向のジャズ盤を制作する様になる。とにかく「聴き心地」優先、ジャズのアーティスティックな面を封印し、ポップ度を高める為に、ジャジーなリズム&ビートを活用し、ストリングスをオーバーダビングする。ほとんど、イージーリスニングなアルバムも制作していた。

Stanley Turrentine『Always Something There』(写真左)。1968年10月の録音。ブルーノートの4298番。ちなみにパーソネルは以下の通り。フレンチ・ホルン入り小ビッグバンド編成。ここに、ストリングスをオーバーダビングしている。ただし、波ー祖ネルを見渡すと、ジェローム・リチャードソン、サド&ハンク・ジョーンズ、ケニー・バレル、ハービー・ハンコック、メル・ルイス、ミッキー・ローカーなど、当時のメインストリーム系の一流ジャズマンが多く参加している。

Stanley Turrentine (ts), Burt Collins (flh), Jimmy Cleveland (tb), Jerry Dodgion (as, fl, cl), Jerome Richardson (ts, fl cl), Thad Jones (tp, arr), Kenny Burrell (g), Barry Galbraith (g, tracks 2, 10), Hank Jones (p, tracks 2, 3, 5-8, 10), Herbie Hancock (p, tracks 1, 4, 9), Bob Cranshaw (b), Mel Lewis (ds, tracks 1, 2, 4, 9 & 10), Mickey Roker (ds, tracks 3, 5-8), Dick Berg, Jim Buffington, Brooks Tillotson (French horn)。
 

Stanley-turrentinealways-something-there

 
しかし、冒頭の「(There's) Always Something There to Remind Me」から、あ〜遂に、ブルーノート・レーベルも、ここまで俗っぽくなってしまったか、と苦笑いする。軽快なブラスのユニゾン&ハーモニー、小洒落たポップなビッグバンド・サウンド、途中、ストリングスがオーバーダビングされて、もう、これは、ジャズなリズム&ビートをベースにした「イージーリスニング音楽」。

演奏自体は、当時のメインストリーム系の一流ジャズマンが多く参加しているんで、カッチリとまとまっているし、楽器の響きも良い。でも、いかんせんアレンジがポップで俗っぽい。アレンジは誰か、と確認したら、サド・ジョーンズ。意外。サドもこんな俗っぽいポップでライトなビッグバンド・アレンジをするんだ、と変に感心する。

レノン&マッカートニーの「Hey Jude」「The Fool on the Hill」、ドアーズの「Light My Fire」など、ロックのヒット曲のカヴァーが入っていたり、フィフス・ディメンションの「Stoned Soul Picnic」が入っていたり、とにかく、一般大衆の訴求する、大衆受け狙いのイージーリスニング盤である。ただし、オーバーダビングされたストリングス以外のジャズマンの演奏はしっかりしているので、聴き心地は良い。ながら聴きのジャズ盤としては良い内容かもしれない。
 
 

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2025年10月29日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・303

スコット・ハミルトン(Scott Hamilton)。1954年9月12日生まれ。今年で71歳。米国ロードアイランド州出身。1976年にニューヨークに移り、1977年に初リーダー作『Scott Hamilton Is a Good Wind Who Is Blowing Us No Ill』(Concord Jazz)でメジャー・デビュー。ジャズ・サックスが、皆「コルトレーン」スタイルを踏襲する中、オーソドックスな吹奏スタイルを守り通し、現在では、オールド・スタイル・テナーのレジェンド。

Scott Hamilton『Looking Back』(写真左)。2024年1月14 -16日、スウェーデンでの録音。ちなみにパーソネルは、Scott Hamilton (ts), Jan Lundgren (p), Hans Backenroth (b), Kristian Leth (ds)。『Danish Ballads & More』『Classic』に続く、モダンジャズ全盛期にもかかわらずオーソドックスなスタイルを守り通す、硬派なテナー奏者、スコット・ハミルトンが、ヤン・ラングレン率いる「北欧ピアノ・トリオ」をバックにした好盤。

ヤン・ラングレン (スウェーデン), ハンス・バッケンルート (スウェーデン), クリスチャン・レト (デンマーク) の北欧のピアノ・トリオ、ヤン・ラングレン・トリオをバックに、スコット・ハミルトンが、朗々と悠然とテナー・サックスを吹き上げていく。これがまあ「絶品」なのだ。透明度の高い、耽美的でリリカルな、北欧ジャズのピアノ・トリオの音世界に、ハミルトンのテナーがバッチリ合う。
 

Scott-hamiltonlooking-back

 
ゆったりとした、朗々と吹き上げていくテナーだが、これ自体がテクニックの塊。フレーズの音に変な揺らぎが無く、ピッチがずれることはない。ロングトーンにも音の揺らぎが無い。これ、凄いテクニック。このテクニックに裏打ちされているからこそ、ハミルトンのバラード・プレイは映えに映えるのだ。加えて、音が心地良い塩梅に「太い」。マイルドだが芯の入った音は、歌心と説得力・訴求力抜群。加えて、スイング感、ドライブ感も抜群なのだから、申し分無い。

冒頭、あの有名ミュージカル映画・マイ・フェア・レディの挿入曲「I’ve Grown Accustomed to Her Face」から始まり、マイルスの演奏でも知られるレオ・ドリーブの歌曲「The Maids of Cadiz」続く、トミー・フラナガン作の隠れ名曲「Beyond the Bluebird」、スコット・ハミルトンの自作の佳曲「Big Tate」、そして、ホーギー・カーマイケルの名曲「Rockin’ Chair」と、ここまで聴き続けると、もう、ハミルトンのオールド・スタイル・テナーの魅力にどっぷりと填まっている。

今年71歳のハミルトン。オールド・スタイルのテナーは健在。というか、オールド・スタイルのテナーの魅力が増幅されている。選曲も良い、アレンジも良いのだろうが、バックに北欧の強力なピアノ・トリオを配した、というのも、ハミルトンのオールド・スタイルなテナーが映えに映える、大きな理由だろう。聴けば聴くほど、味わいが深くなる、現代のネオ・ハードバップの秀作である。
 
 

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2025年10月27日 (月曜日)

清水靖晃『案山子』を再聴する

1980年代の和フュージョンは聴いていて面白い。1970年代は、米国フュージョンのフォロー的音作りからスタートしたが、1980年を迎える頃には、米国フュージョンとは違う、明らかな、和フュージョン独特の個性を発揮し始める。シンセサイザーの多用、テクノ&ニューウェーヴとの融合、希薄なファンクネス。今一度、再聴に値する、個性的なアルバムが多くリリースされている。

清水靖晃『案山子』(写真左)。1982年10月の録音。ちなみにパーソネルは、清水靖晃 (sax, cl, ds, perc, vo), 笹路正徳 (key), 土方隆行 (g), 渡辺モリオ (b), 山木秀夫 (ds), 以上、マライア・メンバー。ゲストとして、スペクトラムの兼崎順一 (tp) 等が参加。1980年代、独特の深化を遂げた「和フュージョン」の傑作の一枚。

2ヶ月後に完成するマライアの傑作『うたたかの日々』(ここをクリック)のプロトタイプ的な内容。ジャズ、フュージョン、ハード・ロック、プログレッシブ・ロック、テクノ、ニューウェーヴといった要素を融合した、我が国独特の「和フュージョン・ジャズ」志向な傑作。マライアの音世界に比べて、ニューウェーヴ&テクノ志向が強く出ている。
 

Photo_20251027191201

 
最初、聴いた時は、テクノ・ポップか、YMOか、と思った。聴き進めて行くと、高橋ユキヒロ的な音世界が広がり、続いて、細野晴臣流人力ループ風ミニマルな音世界が出てきて、即興演奏風のパートでは、欧州のニュー・ジャズ志向のスピリチュアルな音世界が広がる。縦ノリ均一ビートは、やはり、テクノの影響が大。

6曲目「夢では」の、ニュー・ジャズ風の縦ノリ均一ビートに乗った、スピリチュアルでフリーな展開はジャジー&エレクトロ。途中、ボーカルが入ってくると、たちまち、その音世界は「ジャジーなニューウェーヴ&テクノ志向」に変換していく。それでも、管楽器のユニゾン&ハーモニーはジャジー。テープ操作によるギミックも小気味良く、和フュージョンならではの「融合音楽」の成果がこの1曲に詰まっている。

全くもって、摩訶不思議な音世界である。恐らく、和フュージョンだけかもしれない。ジャズ、フュージョン、ハード・ロック、プログレッシブ・ロック、テクノ、ニューウェーヴといった要素を融合した音世界。和フュージョンならではの音楽成果。音楽ジャンルを全く気にせず、「良い音楽」として、再評価したい、清水靖晃『案山子』である。
 
 
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2025年10月14日 (火曜日)

ながら聴き用のブルーノート盤

大手リバティーの傘下に入って以降、当時のブルーノートとして、純ジャズ度、モダン・ジャズ度は落とすこと無く、大衆受けする「売れる」ジャズ盤をリリースする様になる。これは、4100番台までは、ほとんど無かったこと。しかし、4200番台も後半になると、大衆受けする「売れる」盤だけを狙った、イージーリスニング志向のジャズ盤を制作する様になる。

Stanley Turrentine『The Look Of Love』(写真左)。1968年4月15日 (#1, 4, 10) と5月2日 (#3, 5, 7-8) 5月13日 (#2, 6, 9) の録音。5月27日にストリングスのオーバーダビング。ブルーノートの4286番。漆黒ファンキーなテナー・レジェンド、スタンリー・タレンタインのリーダー作。ちなみにパーソネルは、以下の通り。

Stanley Turrentine (ts), Jimmy Nottingham, Snooky Young (flh), Benny Powell (b-tb), Jim Buffington (french horn), Hank Jones (p, tracks 3–5, 7, 8 & 10), Duke Pearson (p, track 1; arr, track 1-3 & 5–9), Roland Hanna (p, tracks 2, 6 & 9), Kenny Burrell (g), George Duvivier (b), Grady Tate (ds, tracks 1, 3–5, 7, 8 & 10), Mickey Roker (ds, tracks 2, 6 & 9),Thad Jones (arr, tracks 4 & 10)。

3セッションからの収録で、ピアノやドラムは2人で交代して担当しているが、基本の編成は、テナー・サックス :1, フリューゲルホーン :2, ベース・トロンボーン :1, フレンチホルン :1, ギター :1 以上がフロントで、5管のフロント管にギター。そして、リズム隊に、 ピアノ :1, ベース :1, ドラム :1 で、総勢9名=ノネット編成。アレンジは、ピアソンとサドが分担して担当しているが、聴いていて、その差は微少。そして、ノネット編成の演奏のバックに、後日、ストリングスをオーバーダビングしている。
 

Stanley-turrentinethe-look-of-love

 
アルバム全体の音の雰囲気は、イージーリスニング志向のポップなジャズ。いわゆる「イージーリスニング・ジャズ」である。ジャズのリズム&ビートを、ポップで平易な4ビート&8ビートをベースにして、ジャズ臭さを中和して、ポップなイージーリスニング志向のリズム&ビートにしつつ、フロント楽器は、それぞれ、ハードバップ時代の判り易い旋律、判り易いアドリブを展開する。聴き手の「ながら聴き」のニーズにでも合わせたのか、ブルーノートでは、それまでに無かった、完璧なまでの「イージーリスニング・ジャズ」である。

フリューゲルホーン、ベース・トロンボーン、フレンチホルンは伴奏に徹していて、基本はタレンタインのテナーが映える様に仕掛けられたホーン楽器である。そして、この伴奏に徹した管楽器のユニゾン&ハーモニーをベースに、タレンタインは気持ち良く、ポップでファンキーなテナーで、ポップなバカラック曲「The Look Of Love」や「This Guy's In Love With You」、レノン=マッカートニーの「Here, There and Everywhere」、チャップリンの「Smile」などを、明るく朗々とかつ印象的に吹き上げていく。

このアルバムの「イージーリスニング・ジャズ」的な音世界は、1970年代のCTIレーベルの弦入りクロスオーバー&フュージョン・ジャズの先駆け的な音と捉えることも出来るが、CTレーベルの弦入りクロスオーバー&フュージョン・ジャズの方が、面白い事にリズム&ビートがジャジーで、明らかにジャズに軸足を残している。

この筋金入り漆黒ファンキー&アーバンなタレンタインのテナーと、漆黒ファンキー&アーバンなバレルのギターがフロントにいなかったら、この盤、もしかしたら、完璧に「イージーリスニング・ミュージック」に陥っていたかも。タレンタインのテナーとバレルのギターが、辛うじてこの盤を「ジャズ」に留めている。それほど、この盤のアレンジは、売れ筋の「ポップス」的アレンジに偏っている。やはり、ブルーノートに「イージーリスニング・ジャズ」は似合わない。
 
 

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2025年10月11日 (土曜日)

アーヴィンの初ブルーノート盤

ブッカー・アーヴィン(Booker Ervin)は、早逝のコルトレーン・スタイルのテキサス・テナーマン。モーダルでアグレッシブで自由度の高いテナーで、時々、フリーに走り、アヴァンギャルドに傾倒する。このフリー&アヴァンギャルドな展開も趣味が良く、耳触りでないので、意外とアーヴィンは、フリー&アヴァンギャルドなテナーマンとされることも多い。

Booker Ervin『The In Between』(写真左)。1968年1月12日の録音。ブルーノートの4283番。ちなみにパーソネルは、Booker Ervin (ts, fl), Richard Williams (tp), Bobby Few Jr. (p), Cevera Jeffries Jr. (b), Lenny McBrowne (ds)。1970年、39歳で急逝してしまう、幻の「ポスト・コルトレーン」最右翼のテナーマンの1人、ブッカー・アーヴィン生前のラスト作である。

ブッカー・アーヴィンは、フリー&アヴァンギャルド系のテナーマンという印象が強い。が、完全にフリー&アヴァンギャルドという訳では無く、伝統的なハードバップとモード・ジャズを基本にしつつ、アドリブ展開において、いきなりフリー&アヴァンギャルドに傾く、といった、モード・ジャズ時々フリー&アヴァンギャルドなジャズが真骨頂。ダンディズム溢れる豪快な吹きっぷりが爽快である。
 

Booker-ervinthe-in-between

 
アーヴィンのテナー・サックスは、テキサス・テナーをベースとした「コルトレーン・スタイル」。そんなスタイルで、モード・ジャズ時々フリー&アヴァンギャルドなジャズをやる。コルトレーンのフォロワーと思いきや、出てくる音は、すっと伸びたブロウはコルトレーンっぽいが、モーダルな吹き回し、アヴァンギャルドへの傾倒については、あまりコルトレーンっぽくは無い。

このブルーノート第一作で最終作となったアルバムでは、オーソドックスなブロウが魅力的。確かに、モーダルなブロウがメインで、限りなく自由度の高いブロウが得意ではあるが、ここでは、決して、フリー・ジャズの人では無い。意外と伝統の範囲内で、限りなく自由度を高めつつも、従来のジャズの枠の中に留まるブロウ。コルトレーンのそれよりもスッキリ見通しが良くて、整ったモーダルな吹奏は、当時、意外とアーヴィン以外、見当たらない。そういう音世界がこの盤の魅力である。

アーヴィンの個性とセンスが上手くまとまった、「ポスト・コルトレーン」的テナー、アーヴィン独特のモード・ジャズ時々フリー&アヴァンギャルドなジャズ。アーヴィンは、この盤の録音後、1970年8月末、腎臓病のため39歳で急逝する。この盤を聴く限り、アーヴィンの「ポスト・コルトレーン」なテナーは発展途上。まことに急逝が惜しまれるテナーマンであった。
 
 

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2025年10月 4日 (土曜日)

ブランフォードの『Belonging』

タイトルが『Belonging』。冒頭の曲が「Spiral Dance」。あれ、これって、キース・ジャレットの『Belonging』と同じじゃないか、と思って全曲見たら、キースの『Belonging』そのもの。そう、このアルバムは、キース・ジャレットの『Belonging』を再解釈した、ユニークな企画盤である。

Branford Marsalis Quartet『Belonging』(写真左)。2024年3月25–29日の録音。ちなみにパーソネルは、Branford Marsalis (sax), Joey Calderazzo (p), Eric Revis (b), Justin Faulkner (ds)。今年3月リリースのブランフォード・マルサリスの新作。ブランフォードのサックスがフロント1管の、いわゆる「ワンホーン・カルテット」編成。

ブランフォード・マルサリスのブルーノート・レコード移籍第一弾は、キース・ジャレットのヨーロピアン・カルテットの名作『Belonging』を丸ごと再解釈に取り組んだアルバムになる。収録曲、曲順も同じ、演奏スル編成も、サックスがフロント1管の「ワンホーン・カルテット」も同じ。キースの『Belonging』は、フロント1管のサックスが、ヤン・ガルバレクと、バリバリ欧州ジャズの透明度の高い、思い切り個性的なサックスだったので、その対比がどうなるか、興味津々である。
 

Branford-marsalis-quartetbelonging  

 
ブランフォードのサックスは、コルトレーン・スタイルとロリンズ・スタイルを足して2で割った様な、サックスの吹奏スタイルとしては、コルトレーン以前のオールド・スタイル寄りのサックス。この盤でも、ブランフォードのサックスを聴くと、途中のフレーズはテクニカルでコルトレーンの吹奏スタイルを踏襲しているが、吹き終える部分の音の伸びは、揺らぎのあるオールド・スタイル。つまり、ブラフォードのサックスの吹奏スタイルは「21世紀のネオ・オールド・スタイル」と言ってよい、モダンなもの。

キースのヨーロピアン・カルテットの名作『Belonging』の音世界を、ブランフォード・カルテットの個性で再構築していく。物真似、カヴァーの部分は全く無い。『Belonging』に収録された曲をベースに、ブランフォード・カルテットなりに解釈して、オリジナルな演奏を展開する。これが見事。ブランフォードの「21世紀のネオ・オールド・スタイル」なサックスが実に効果的で、キースのヨーロピアン・カルテットの『Belonging』の音世界を想起することは無い。

実はかなり久し振りにブランフォードのサックスを聴いたのだが、やっぱり、ブランフォードのサックスは良いなあ、と彼のサックスの良さを再認識した。特にこの「21世紀のネオ・オールド・スタイル」なサックスが、唯一無二で個性的で実に良い。ちょっとブランフォードの最近の諸作を聴き直さなければ....。この『Belonging』、好盤です。
 
 

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2025年9月30日 (火曜日)

ジョシュアの歌伴サックス盤

ジャズ・サックス奏者の中堅の代表格、ジョシュア・レッドマンの16枚目のリーダー作。ブルーノート・レコードでの初リーダー作。そして、新進気鋭のガブリエル・カヴァッサがリード・ボーカルを務める、ボーカルをメインに起用した初めての作品である。

Joshua Redman『where are we』(写真左)。2023念9月15日の録音。ブルーノートからのリリース。ちなみにパーソネルは、Joshua Redman (sax), Nicholas Payton (tp),Peter Bernstein, Kurt Rosenwinkel (g), Joel Ross (vib), Aaron Parks (p), Joe Sanders (b), Brian Blade (ds), Gabrielle Cavassa (vo),

ボーカルをメインにして、サックスが伴奏に回るという作品は、ジャズ・レジェンド、ジャズ・ジャイアントの間によくあるパターン。例えば、Abbey Lincoln『That's Him!』。ソニー・ロリンズのテナーが素敵な歌伴を提供。そして、『John Coltrane & Johnny Hartman』。魅力的な男性ボーカリスト、ジョニー・ハートマンのバックで、ジョン・コルトレーンが素敵な歌伴を提供している。

で、今回は、ジョシュア・レッドマンが、魅力的な女性ボーカリスト、ガブリエル・カヴァッサのバックで、素敵な歌伴を提供している。これが、先のロリンズやコルトレーンの歌伴に勝るとも劣らない、素晴らしい歌伴サックスを吹きまくっているから、聴き応え満点。

収録曲を見渡すと「After Minneapolis (face toward mo[u]rning)」(Woody Guthrie), 「Streets of Philadelphia」(Bruce Springsteen), 「Chicago Blues」(Count Basie), 「By the Time I Get to Phoenix」(Jimmy Webb), 「Alabama」(John Coltrane)、括弧内は作曲者。この盤は、定番のジャズ・スタンダード曲もあれば、ロック曲もあったりするカヴァーものであることが判る。
 

Joshua-redmanwhere-are-we  

 
しかも、これは解説を読んで判ったんだが、全ての曲は米国の地名に由来するものが選ばれている。つまり、米国の地名にまつわる、様々な曲を並べた、組み合わせることで米国における何かを表現したコンセプト・アルバムとも解釈できるアルバムでもある。

ジョシュア・レッドマンがインタヴューに応えているが「様々な側面からアメリカを、アメリカの理想を体験するアルバムなんだ。(中略)アメリカだけについてではなくて、いろんな意味で時間を超越した人間のテーマである愛、喪失、希望、傷心、思い出、忘却、旅立ち、帰還と、アメリカに実際に存在する場所のあらゆるプリズムをフィルターに通しているんだ」。

簡単にまとめると「コンセプチュアルなスタンダード曲集であると同時に、アメリカが抱えるあらゆる側面へのトリビュート・アルバム」とも言える。ただ、答えのない抽象的なコンセプトなので、それはあまり気にしなくても良いのでは、とも思う。

ガブリエル・カヴァッサのボーカルは、あまりジャズっぽく無いのが良い。バックの演奏については、そもそも、バックのメンバーは「ブルーノート・オールスターズ」の様相を呈していて、悪かろう筈が無い。それぞれがその事典でのベストに近いパフォーマンスを発揮していると、僕は聴いた。

こういったコンセプチュアルな側面がジャズ盤に必要かどうかは別に議論するとして、このアルバムの演奏内容としては、上質の歌伴演奏を提供していて立派な内容だと思う。コンセプチュアルなアルバムという点では、このボーカル入りというフォーマットは、聴き手への訴求という点で成功していると思う。秀作です。
 
 

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