2016年6月20日 (月曜日)

ポールのベスト盤の「ベスト」

先週の金曜日から帰省していて、ブログの更新が滞りました。先ほど、千葉県北西部地方に舞い戻ってきましたので、ブログも再開です。

さて、帰省の往復の電車のまとまった時間の中は、いつもCD複数枚組のアルバムを一気に聴き通す時間に充てていて、今回は、ポール・マッカートニーのベスト・アルバム『Pure McCartney』(写真左)、邦題『ピュア・マッカートニー〜オール・タイム・ベスト』を一気聴きです。

ポール・マッカートニーがソロ45周年の集大成となるベスト・アルバムになる。今回聴いたのは、CD4枚組のDelux Edition。この「デラックス・エディション」は全67曲、全米・全英トップ10シングル18作(いずれも、9曲が全米No.1獲得)が収録されている、とのこと。

ポールいわく「僕と僕のチームが選曲するにあたって考えたのは、ただただ楽しんで聴けるものにしよう、ということだけだった。例えば、長旅の車中、自宅でくつろぎたい晩、または友人とのパーティーなんかでね」というのが今回のベスト・アルバムのコンセプトとのこと。

続けて「だから僕たちは知恵を絞って、僕の長く曲がりくねったキャリアのさまざまな時期から、多種多様な選曲リストを出し合った。キャリアという言葉はちょっと相応しくないかな。なぜなら僕としては、“仕事"をしてきたというよりも、音楽の冒険を続けてきたという感じだから」。うむむ、ここまでくると、ポールの話は「胡散臭い」(笑)。

とにかく、確かにこのベスト盤の選曲はなかなか良く出来ている。聴いていて楽しい選曲というのはとても良く判る。ただ、ポールのキャリアの中で困るのは、聴いていて楽しい曲というのが、1980年以降、急速に少なくなっていったってこと。やっぱり、ポールの楽しい曲が沢山あった時期は1970年代ということになる。
 

Poul_mccartney

 
これは全くの私見なので聴き流して欲しいのだが、ポールがポールのメロディーメーカーとしての才能を最大限に発揮して、今回のベスト盤の特色である「楽しんで聴ける曲」が出来たのは、ジョンの存在があったからではないかと睨んでいる。

生前、ジョンが全くポールの相手をしていない時のポールの曲は確かに冴えない。皮肉タップリの曲でジョンがポールをいじりはじめると、いきなり「楽しんで聴ける曲」が出てきた。そして、ジョンとの仲が修復されたら、あの「ウィングス時代」の大ヒット曲のオンパレード。

しかし、ジョンが死んで、ポールの曲はポールの曲らしからぬ「シリアスな曲」が増えた。「シリアスな曲」とは「聴き応えのある曲」である。シリアスな曲はジョン、楽しんで聴ける曲はポール、そういう役割分担が「レノン=マッカートニー」ではなかったか。ジョンに触発されポールはその才能を発揮する。ポールにとってジョンは無くてはならない存在だったのだろう。

この今回のオール・タイム・ベストを聴いて、そんな「私見」をふと思い出してしましました。やはりジョンの「いない時代」のポールの曲には「聴いていて楽しい曲」が少ない。いわゆる「楽しんで聴ける曲」が少なくなった。そういう意味では、1970年代のポールの楽曲は「聴いていて楽しい曲」ばかりだ。

曲が年代順ではなくランダムに収録されているのもグッド。僕にとっては年代順だと、先の「私見」が頭にちらついて、どうもいけない。ランダムに収録されているからこそ、アルバム全体の「聴いていて楽しい曲」の密度が平準化されている。このベスト盤はそういう意味で、ポールのベスト盤として「ベスト」だろう。

 
 

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2015年4月28日 (火曜日)

真のポール・マニアの「踏み絵」

僕が「ジョンはええなあ」と呟くと、部室の彼方から「ポールもええよ」。僕が「いやいやジョンやろ」と呟くと「ポールはええよ」。僕が「ジョンがええんや」と呟くと「ポールがええよ」。それでいて「ビートルズのメンバーの中で誰のファンや」と問うと「リンゴのファンや」と言い切る、筋金入りの「ポール・マニア」の映研女子がいた。

どうして、そのとある映研女子が筋金入りの「ポール・マニア」なのか。それは、このアルバムが出た時の、彼女のこのアルバム評がそれを証明している。そのアルバムとは、Paul McCartney & Wings『Wings at Speed of Sound』(写真)。

この『Wings at Speed of Sound』、英国でのリリースが1976年3月。日本では1ヶ月遅れくらいのリリースだったかなあ。当時、僕は高校3年生。高校の部活は2年生の文化祭後に引退するはずなんだが、引退し損なって、まだ部室に出入りしていた。あろうことか、高校2年生の秋の「とある出来事」の反動で、親友とフォーク・デュオを組んで、音楽活動まっしぐら(笑)。部室の一角を借りて、練習に勤しんでいた。

そして、1976年5月中旬の事だったと思う。これがまた不思議なことに、もう引退して久しい、かの映研女子がやってきた。これまたポールのアルバムを抱えてである。なぜやってきたのか、これが全く判らない。が、こちらの存在に気が付くと、『Wings at Speed of Sound』を袋から出して、ドンと置く。

おお『Wings at Speed of Sound』やないか。いや〜実際に見ると、余計にダサイなあ、このジャケット・デザイン。こんなジャケットでリリースOKとしたポールの美的感覚を疑うなあ〜、なんてことをボ〜ッと考えていた。ら、「聴いてんの」と怒られた(笑)。

どんな熱弁を振るっていたのかは判らない。ただ、このPaul McCartney & Wings『Wings at Speed of Sound』は素晴らしい内容やということを熱く語っているらしい。もとより、僕はあまりポールには興味は無い。確かに『Venus And Mars』は素晴らしい内容だ。『Band on the Run』も良い感じ。でも、それはそれ、これはこれ。当時、僕はサザン・ロックと米国西海岸ロックに傾倒していた。

しかし、当方の反応とは関係無しに、この『Wings at Speed of Sound』を放ってよこしながら「これええなあと思わんかったら耳おかしい」。つまり「聴け」ということらしい。ということで、即、その夜、聴いた。カセットにダビングしながら、3回繰り返して聴いた。
 

Wings_speed_of_sound

 
で、その感想が「なんじゃ、このアルバムは」。ポール以外のメンバーにも全員それぞれボーカル曲が用意されており、収録曲の半数を占めている。つまり、ワンマンとか独善的とか揶揄されていたポールが、メンバー全員に平等にボーカルを取らせることによって、その悪しき印象を緩和させようと考えた、もしくは、バンド・メンバーの求心力を高めようとした、と思われる。

が、どう聴いても、アルバム全体を通して、トータル・アルバムとして良いとは思えない。俺が曲を用意したよ、みんな平等にボーカルを取って仲良くやろう、と言いながらも、ポール自身がボーカルを取る曲の出来が突出して良い。

特に「Let'em In(幸せのノック)」と「Silly Love Songs(心のラヴ・ソング)」の出来が突出して良い。というか、このアルバムの中で、この2曲しか、印象に残らないのは僕だけか。

みんな平等にボーカルをとったら、アルバム全体の印象はバラバラ。「Wino Junko」と「Time to Hide」はポールの作では無く、これがまたアルバム全体の雰囲気から思いっきり浮いている。なんだか、バンドとしての個性を強調しようとしたら、ポールの才能だけが突出してしまった、という、なんだか「トホホ」な結果になってしまっている、と感じるのは僕だけかなあ。

この『Wings at Speed of Sound』を聴いて、「これええなあと思わんかったら耳おかしい」と言い切るのが、真のポール・マニアなんだろう。僕にはどうしても「これええなあ」とは思えなかった。どころか、Paul McCartney & Wingsも終わりやな、早々に解散するんとちゃうか、とまで思った。これは、当時、かの映研女子には言えなかった。言ったら絶対に怒られる(笑)。

確かに、真のポール・マニアの間では、この『Wings at Speed of Sound』の評価は上々みたい。恐らく、このアルバムは、ポール・マニアにとって「踏み絵」の様なアルバムなのだろう。このアルバムを聴いて「これええなあ」と思えば、真のポール・マニア、「なんじゃこれ」と思ったら、真のポール・マニアでは無い。

でも、「Let'em In(幸せのノック)」と「Silly Love Songs(心のラヴ・ソング)」は今でも凄いなあ、と感心するポールの傑作だと思っています。こんな鉄板の2曲があるのに、なんでトータル・アルバムとして上手くまとまらないのか、これまた「ポールの不思議」である。

 
 

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2015年4月27日 (月曜日)

「ポールやで、当然やろ」の傑作

今を去ること40年ほど前、僕は高校2年生。とある映研女子から部室にて「とにかく聴け」と部長席に叩き付けられた、Paul McCartney & Wings『Band on the Run』(写真)。聴かずばなるまい。

まず、このアルバム、ジャケットがお洒落である。ポール、リンダ、デニーに加えて6名の有名人が囚人服を着て脱獄しようとしているところを刑務所のサーチライトで照らされたという設定。ふふっ、映画「大脱走」を彷彿とさせる。と眺めていると、おぉ、ジェームズ・コバーンがいるではないか(笑)。ポールのディスコグラフィーを眺めると、ジャケット・デザインの優れた盤に駄作は無い。特にこの『Band on the Run』は秀逸である。

かの映研女子に「ジャケットがええなあ」と言ったら「中身、シッカリ聴いたんか」と怒られた。どうも、ポールのファンは、ジャケット・デザインは二の次みたいだ。確かに、ポールのソロ盤のジャケット・デザインは平凡なものが多い。でも、この『Band on the Run』のジャケット・デザインは秀逸だと思うんだが。

さて、僕はそれまでポールのシングル盤はエアチェックでしっかりと押さえていた。特にこの盤のタイトル曲「Band on the Run」と2曲目の「Jet」は、シングル盤で大ヒットした曲なので、その優秀性は良く理解している。つまりは、この『Band on the Run』は、3曲目の以降の楽曲の出来がどうなのか、というところがポイントになる。

3曲目「Bluebird」はしっとりして良いのだが、4曲目の「Mrs Vandebilt」はどうもねえ。聴いたら判るのだが、これって何だろう。ポップスなのか、少なくともロックでは無い。この調子外れの楽曲がどうにもいけない。

かの映研女子に「この曲、なんか変とちゃうか」と言うと、「何を言うんや、これがええんや」と反論する。ポールのファンはこの楽曲が許せるどころか、ポールらしくて良いという。そうかなあ。この曲、絶対に変だと思うんだが。
 

Band_on_the_run

 
5曲目のロックンロールっぽい「Let Me Roll It」で持ち直すんだが、6曲目の「Mamunia」以降は、以前のポールの趣味性が前面に押し出されて、地味な展開になっていく。「Band on the Run」と「Jet」の大ヒットによって、自信を回復した様に見えたポールだが、まだまだ疑心暗鬼の気持ちが漂っているんだろう。

かの映研女子に、この『Band on the Run』はB面がイマイチやなあ、と言うと、チッと聞こえない位の軽い舌打ちをしながら「判ってへんなあ、このB面がええんやん」と言うんやが、そうなんかなあ。

それでも、『McCartney』から、Wingsの『Red Rose Speedway』までのソロ盤と比べて、この『Band on the Run』はトータル・アルバムとして、内容がよくまとまっていて、出来は一番。次作『Venus And Mars』には劣るものの、アルバムの出来は『Venus And Mars』に次いで良い。ということを、かの映研女子に報告したら「ポールやで、当然やろ」。

この「ポールやで、当然やろ」という評は意味深ではある。確かにポールの才能からすれば、この『Band on the Run』レベルのアルバムをバンバンとリリースしても不思議では無いのに、これがまあ、ポールはソロになって、トータル・アルバムとして、なかなか後世に残る傑作アルバムと言うものが出ない。僕はこの「ポールの不思議」を理解するのに20年かかった。

そうそう、この『Band on the Run』には、英国盤と米国盤がある。収録曲がちょっと違う。7曲目の「No Words」までは一緒なんだが、米国盤は全体で1曲多くて、8曲目の「愛しのヘレン」が挿入されて全10曲。

英国盤は「愛しのヘレン」が無くて、8曲目「Picasso's Last Words」そして、ラスト9曲目の「Nineteen Hundred and Eighty Five」で終わり。聴き通してみると、明らかに米国盤は「愛しのヘレン」が浮いている。僕は英国盤が良い。

 
 

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2015年4月26日 (日曜日)

「判ればええんや」の最高傑作

高校時代、僕は「アンチ・ビートルズ」だった。高校一年の夏、映研の合宿で、当時、最先端のプログレッシブ・ロックとハード・ロックの洗礼を浴びて以来、最早、過去のロック・グループを聴く事も無い、と確信を持ったこともある。

しかし、一番の理由は、ビートルズのアルバムは、ロック小僧が好きになった女の子と「お近づき」になる、一番手っ取り早いツールだったことにある。ロックが市民権を得て、高校生の間でもちょくちょく聴かれるようになった時代である。お気に入りの女の子が、ちょっとでもロックに興味があるとすると、持ち出すのが「ビートルズ」。

音楽が好きな女の子であれば、さすがに「ビートルズ」は知っている。ロック小僧が好きになる女の子は、基本的に音楽が好きな子である。よって、「お近づき」になるために、ロック小僧は決まって「ビートルズ」のアルバムをネタにアプローチすることになる。ロック小僧ばかりでは無い。普通の洒落た男子も「ビートルズ」なのだ。これにはどうにも腹が立つ。

とにかく、ロックと言えば、普通の高校生は「ビートルズ」。ビートルズを知っていたら「いかした格好良い男子」的に見られていた訳だから、どうにも気に入らない。ピンク・フロイドやEL&P、キング・クリムゾン、レッド・ツェッペリンを聴いている男子は「ちょっと危ない子」としてマークされていた。

ちなみに、中学時代から深夜放送に親しんで来たこともあって、ロックのシングルの世界には結構通じていたし、テレコのお陰で、エアチェック中心に、ビートルズやアフター・ビートルスのアルバムにも、ある程度、精通していた。それでも、前述のような背景もあって、高校1年生の頃、ビートルズの諸作、アフター・ビートルズの諸々のソロ盤は一切聴かなかった。

そこで、1975年の初夏(6月後半だったと記憶している)、映研でのポール談義に遡る。当時の僕のポール評は「シングル盤レベルについては、希有のメロディー・メーカーではあるが、アルバム単位になると、曲単位でバラツキが出る」。しかし、ここで、とある映研女子が大反論。あれこれ議論した挙げ句、このアルバムを放ってよこされた。Paul McCartney & Wings『Venus And Mars』(写真左)である。
 

Venus_and_mars

 
つまり「このアルバムを聴いてから言え」ということである。で、即、その夜、聴いた。カセットにダビングしながら、3回繰り返して聴いた。う〜ん、このアルバムは実に良い。ポールのアルバムとしては、当時、最新作。1975年5月にリリースされたばかり。聴いたことが無かった訳である。

この『Venus And Mars』については、あらゆるメディアで様々な人々、様々な切り口で語られており、ここではアルバム評の詳細は割愛する。一言で言うと、収録された全ての曲について「出来が良い」。どの曲についても、ポールの才能が満ちあふれている。僕は、この『Venus And Mars』がポールのアルバムの中で、一番、アルバムとしてまとまっていて、優れた内容のトータルアルバムだと思っている。

いやいや、この新作アルバムは凄いな〜、と感じ入りながら、翌日、映研の部室で、とある映研女子にその感動を告げると、一言「判ればええんや」と言い放って、『Venus And Mars』を大事そうに抱えながら去って行った。「判ればええんや」って、何がええんやろう、と思いながら、その後ろ姿を見送ったことを昨日のことの様に覚えている。

それからである。僕の高校一年からの信念「ビートルズの諸作、アフター・ビートルズの諸々のソロ盤は一切聴かない」、を曲げなければならなくなったのは。『Venus And Mars』談義の翌週、今度は『Band on the Run』を持ってきて、「これは聴いたことがあるのか」と問われ、聴いたことが無いというと、「とにかく聴け」とアルバムを部長席に叩き付けて、これまた颯爽と部室を後にした。

僕の「アンチ・ビートルズ」の信念は、『Venus And Mars』のお陰で一瞬のうちに崩壊した。それほど、この『Venus And Mars』のトータル・アルバムとしての出来は良い。ポールの最高傑作であろう。ヒプノシスのジャケットもお洒落で最高である。

 
 

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2015年1月22日 (木曜日)

ポールの2007年のライブ音源

昨年の12月になるが、ポール・マッカートニーのライヴ・アルバム『BBC Electric Proms 2007: Paul McCartney (Live)』(写真左)がDL発売された。

このポールのライブ音源は、2007年10月にロンドンのラウンドハウスで行われたBBC主催のフェス<Electric Proms 2007>のライヴ音源。2007年というと、ポールは『追憶の彼方に〜メモリー・オールモスト・フル』(Memory Almost Full)』をリリースした年。今から7年ほど前の音源になる。

7年ほど前と言えば、ポールは65歳。65歳で、しかも『Memory Almost Full』をリリースした年ということを思いながら聴くのだが、このライブ音源でのポールの声は荒い。ちょっとガラガラという感じ。声の伸びもちょっとしんどいし、ふらつきもある。僕は、このライブ音源は、ほんの最近のものなのか、と思い違いをしたくらいだ。

バックの演奏も粗い。今までのポールの単独ライブ盤のバックの演奏を振り返ると、相当に粗い。音質もまずまずではあるが、優秀というレベルでは無い。それではあんまり良くないのか、と問われれば、う〜ん、まずまずではあるが、素晴らしいというレベルでは無い、という感じだろうか。

ライブ盤としての編集も粗くて、曲間はブツ切れになる。それでも、今まではブートで出回ってはいたものの、正式な音源としては今回が初めてのリリースで、ポールのファンにとっては嬉しいダウンロード配信ではある。
 

Paul_bbc_electric_proms

 
1 Magical Mystery Tour
2 Flaming Pie
3 Got to Get You into My Life
4 Dance Tonight
5 Only Mama Knows
6 Blackbird
7 Calico Skies
8 Eleanor Rigby
9 Band on the Run
10 Back in the USSR
11 Live and Let Die
12 Baby Face
13 Hey Jude
14 Let It Be
15 Lady Madonna
16 I Saw Her Standing There
17 Get Back

 
収録曲は、上記の通りになる。ビートルズ時代の曲がちょっと目立つ。ラストの5曲は思いっきり有名なビートルズ曲で占められ、皆で歌おうぜ、というのも解らないではないが、ちょっと俗っぽく過ぎるのでは無いか、と思う。ポールって、ビートルズ解散以降、ソロになってからも良い曲が多々あるのだから、もう少し、選曲に気を遣っても良いのではないかなあ、と思ってしまう。

ネットでは概ね評判・評価は上々なのが、ちょっと意外。ポールのファンの方々には、このDLライブ音源は一度は聴いておきたいものではあるが、一般の方々には、2000年代のポールのライブ音源なら、他のCDでリリースされたライブ音源の方が良いと思う。

 
 

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2013年12月15日 (日曜日)

ポールの「あるべきデビュー」盤

ビートルズの呪縛から逃れるために、もう一つは、天才ジョン・レノンという呪縛から逃れるため。ポールは過剰なまでに、この2つの呪縛を強く意識し過ぎて、自らの才能を封じ込めてしまった1970年代前半のポール。『Wild Life』までの音楽的成果は「ちょっとこれはなあ」という課題だらけのものだった。

しかし、ポールはこのままで終わらなかった。なんだか、開き直りの精神が芽生えたのか、ゴツゴツしたロックの精神を捨て、ポップで楽しいあっけらかんとした、メロディ・メーカーとしての道を歩み始めてから、ポールの世界は一変した。

前のアルバムの『Wild Life』で完全にこけたポールは、さすが、マズイと思ったのか、かなり、気合いを入れてアルバムを作り始めた。とにかく、『Wild Life』が、受けなかったので、なりふりかまわず、Paul McCartney & Wingsの個性を追求し始めた。

その最初の成果が「Live and Let Die(007死ぬのは奴らだ)」のテーマだろうし、シングル・ヒットした「Hi,Hi,Hi」だったろう。この2曲は、今までの『ビートルズの幻影とジョンの幻影を過剰なまでに感じている』ポールではなく、純粋に『希有なメロディー・メーカー』のポールのみが、そこにいる感じなのだ。とにかく、この2曲は今までの雑念が見え隠れしないのだ。
 

Red_rose_speedway

 
そして、満を持して世に出したアルバムが、この『Red Rose Speedway』(写真左)。しょっぱなから、なかなか練られた曲調で幕を開ける。2曲目の「My Love」は、甘すぎるバラードであまり感心しないが、3曲目以降は、今までのポールのソロの世界と全く異なった、「メロディー・メーカーのポール」の面目躍如とも言える佳曲が次々と続く。

特に、最後のメドレーは、それぞれが独立していても遜色ない佳曲が畳みかけるように耳に飛び込んでくる。このメドレーこそが、ビートルズの幻影とジョンの幻影を振り切って、本来のポールの個性が輝き始めた証ではないだろうか。確かに、このアルバムでポールは、ポール独自の個性と特性を正確に掴み、表現できるようになったといえる。

ただ、このアルバム、先に挙げた「Live and Let Die(007死ぬのは奴らだ)」や「Hi,Hi,Hi」という、出来の良かったシングル・ヒット曲は含まれておらず、少々地味なバラードタイプの曲が多く選曲されている為、ややメリハリに欠け、名盤と呼ばれるだけの風格に欠ける。これが実に惜しい。

しかしながら、次作を期待できるだけの「Something(何か)」が十分すぎるほど輝いている。そういう意味で、ポールはこのアルバムで、ようやくポールの個性に相応しい「あるべきデビュー」を飾ったと言える。 

 
 

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2013年12月14日 (土曜日)

ポールのライブ盤の最高傑作

今年の11月、ポール・マッカートニーが来日した。「PAUL McCARTNEY OUT THERE JAPAN TOUR」と銘打たれた今回の来日公演は、ポールがソロになって4回目の来日公演であった。

6月18日に71歳の誕生日を迎えたポールではあるが、各地でなかなか精力的なライブ公演を展開したようで、まだまだ意気盛ん、とりあえず、暫くは一安心なポールであったようだ。テレビやネットの動画を通じて、日本公演の一端に触れた印象では、さすがに声の調子は若い時のようにはいかないようだが、随所に渡るプロフェッショナルな演奏はさすがである。

ポールは今までにライブ盤を何種類か出している。どれもが大変出来の良いもので、収録したその時代、その時代のポールが楽しめる。廃盤になって手に入らない盤もあるみたいだが、これらは常に入手出来る様にしておいて欲しいものだ。

さて、ポールのライブ盤で、今までで一番印象に残っている盤と言えば、やはり、Paul McCartney & Wings『Wings Over America』(写真左)だろう。このライブ盤は、1976年12月にリリースされた、リリース当時、LP3枚組の途方も無いボリュームのライブ盤であった。

このライブ盤は、タイトルからも判る通り、1976年5月より『Wings Over America』と題された、大規模なアメリカ・ツアーを行った際のライブ演奏を収録したもの。このツアーは大成功を収めた歴史的なツアーで、26都市で31公演を行い、ツアー全体では約60万人を動員した。

このライブ盤は、このアメリカ公演のライブ音源の中から、ベスト・テイクをチョイス〜編集したもので、ビートルズ・ナンバー5曲を含めた全28曲が、LP3枚組のヴォリュームで収録された。レギュラーCDでは2枚組になったので、どうもしっくりこない(笑)。

日本でのみ限定発売された「紙ジャケCD」ではLP時代の3枚組が再現され、僕は、この紙ジャケCDをPCにリッピングして聴いていた。やはり、このライブ盤を聴くには、LP時代の3枚組構成の曲順、曲割りを踏襲したいのだ。
 

Wings_over_america

 
が、今年の5月に、このライブ盤がリマスター&リイシューされた。2枚組構成なのは残念だが、リマスターされた音は良好で、一般の方々にとっては買いだろう。このライブ盤を聴いたことが無い方々は、今回のこのリマスター&リイシュー盤を聴いて欲しい。

同時に、限定のボックス盤(写真右)も登場し、こちらは、LP時代の3枚組が再現されており、ボートラとして、サンフランシスコのCow Palaceでレコーディングされた8曲を収録。同梱のDVD『Wings Over The World』が実に良い、というか、面白い。当時のポールの勢いやノリが良く判る。

さらに、リンダが撮影した写真によるフォト・ジャーナルや小冊子など、マニア垂涎の「おまけグッズ」がてんこ盛り。加えて、ハイレゾ音源(24bit/96kHz)の無料ダウンロード券がついており、ちょっと高価ではあるが、マニアの方はとっては、このボックス盤は買いである。

このボックス盤を手に入れて、ハイレゾ音源をダウンロードして以来、この『Wings Over America』は、ハイレゾ音源でのPCオーディオ環境でのアルバム鑑賞に変わった。これがまあ、24bit/96kHzの素晴らしい音なのだ。

ポールのベースの音がクッキリ、そのラインまで良く聴きとることが出来て、1970年代のライブ音源でありながら、楽器毎の分離が良く、音の拡がりが良く出て、その会場でのライブ感を感じることが出来る。これはCDの環境では体感できにくかったことだ。ハイレゾ音源、恐るべしである(笑)。

この『Wings Over America』でのポールの声の若々しいこと。このライブ盤でのポールのボーカルは絶好調で、張りがあって、コクがあって、とにかく若い。これがポールのボーカルの凄さであり、素晴らしいところである。

ちなみに、この『Wings Over America』は、1976年リリース当時から、この2013年にリマスター&リイシュー盤が出るまで、邦題は『ウイングス U.S.A. ライヴ !!』であったが(僕達はこちらの方が親近感があるが)、今回、邦題も『ウイングス・オーヴァー・アメリカ』に変更、統一された。

 
 

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2012年11月11日 (日曜日)

ポールの「過渡期のアルバム」

久々にハイレゾ音源で再聴し、ちょっとだけ僕の中で評価が上がったポールのアルバムがある。Paul & Linda McCartney『RAM』(写真左)。1971年に発表されたポール・マッカートニーとリンダ・マッカートニーの共作アルバム。全英で2週1位、全米2位を記録した、ポールのソロ時代初期の名盤とされる。

が、僕はこのアルバムが若い頃から苦手。どうしても好きになれない。まず、ジャケットに驚いた。なにも、「羊と戯れるポール」でなくてもいいのに・・・、と当時は思ったものだ。アルバムの名義は、ポール個人ではなく、「ポール&リンダ・マッカートニー」となっている。今から37年前。高校2年の時、なんでリンダの名前があるんだと訝しく思った。

当時のポールは「リンダにメロメロ」状態だった。それを個人のレベルを超えて、アルバムのそこかしこに、「ちりばめられている」のにはマイッタ。ジャケットに使われている写真は、カメラマンであるリンダの写真のみで構成され、その写真もポールとリンダのプライベートっぽいものばかり。

ジャケットの右隅には「L.I.L.Y」の4文字(Linda I Love You の略と言われている)。普通じゃないですな。高校時代もこのアルバムを見るたびにこっぱずかしかったが、今でもなんだかこっぱずかしい。

まあ、こんな、アッパラパーな精神状態で制作されたアルバムだから、まだまだ、ポールの本調子にはほど遠い。しかしながら、さすがに、先のファーストアルバムは、ラフすぎて、しかも世間の反応も芳しくなく、やばいと思ったのか、このセカンドアルバムは、十分な時間をかけて作られている。
 

Paul_ram

 
ファーストと比べて時間をかけて、とりあえずしっかり作られている分、「メロディーメーカーのポール」が全面に出つつあることは実に好ましい。が、部分的には、ファーストアルバム当時の「勘違い」を引きずっている部分が見え隠れする。

1曲目の「Too Many People」や2曲目の「3 Legs」、4曲目の「Dear Boy」などLPではA面の6曲中4曲が、ジョンやヨーコや他の2人のビートルを揶揄するような曲で占められており、いい加減にしてほしいなあ、という気分になる。良きメロディーには、良き歌詞を、と思ってしまう。まあ、5曲目には、かの名曲である「アンクル・アルバート〜ハルセイ提督」があり、この曲に関しては言うこと無しだが・・・・。

やはり、このアルバムには、アルバムに先駆けてヒットしたシングル「アナザー・デイ」(全英2位・全米5位)を入れるべきだったのではないか。このアルバムに「アナザー・デイ」が入っておれば、適度に「しまった」良い感じのアルバムに仕上がっていたのではないかと感じるのは僕だけだろうか。

「シングルのおかげで売れた」という批判や、「LPはその構成とコンセプトが問題」などどいうしたり顔の評論家の攻撃を気にした感があるのだが、この変なところを気にするポールが、この悪しき「こだわり」を払拭するまでには、あと2枚のアルバムを経る必要があるのだった。

僕は、このアルバムについては、まだまだ、ポールのプライベート的な録音の色彩が濃く、メロディメーカーとしての、ソロアーチストとしてのポールの「過渡期のアルバム」として、あまり高く評価する気にはなれない。つまり、ポールの才能の素晴らしさって、こんなものじゃない、ってこと。このアルバムを名盤としたら、後の名盤はなんと評価されるのか。

アルバムを「売る側」は商売上「名盤」という表現を連発する。しかし、アルバムを聴く側は「名盤」を連発してはならないと思う。アルバムを作成したミュージシャンに対して失礼だし、聴く側の矜持を疑われる。このアルバム『RAM』を聴く度に思う。

 
 

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2012年6月16日 (土曜日)

酷いラフさの『Wild Life』

『RAM』の スーパー・デラックス・エディションが、この5月にリリースされたり、『ポール・マッカートニー』と『マッカートニー II』のデラックス・エディションが、昨年の6月にリリースされたりで、何かと賑やかなポールの周辺である。

僕もそのトレンドに乗った訳でもないんだが、『ポール・マッカートニー』と『マッカートニー II』、そして、『RAM』のハイレゾ音源に触れる機会があったりで、なにかと、ポールのアルバムを聴くことが多い今日この頃である。

そんな中、最近、Paul McCartney & Wingsの『Wild Life』(写真)を聴いた。このアルバムは、ポールがソロは淋しくて嫌だと感じ、もっと人との繋がりを求めて、そして、久し振りにバンドとしてライブ演奏をしたくなって、「Wings(ウイングス)」というバンドを結成して製作した、つまりは、ポール・マッカートニー&ウイングスのファーストアルバム、なんだけど・・・。

このウイングスのファーストアルバムである『Wild Life』。しかしながら、アルバムタイトルが「ワイルド・ライフ」だからといって、アルバムの作りまでラフにしなくていいのに・・・。

なんといっても、このアルバムの制作過程がひどい。3日間のレコーディングに2週間の編集。いかに優れたグループでも、ファーストアルバムで、この短期間で充実したアルバムを出すことは奇跡に近い。しかも、以前からバックバンドでやってきた、なんていうメンバーじゃないし、いかに、優れたメロディーメーカーのポールでも無理だよなあ。
 
Pc_wings_wild_life

 
1曲目からラストの曲まで、ラフラフな音、音、音。バンドのデモテープを聴いているような感じ。ソロのファーストアルバムであった「マッカートニー」とは、また違ったラフさ。

ファースト・ソロアルバム「マッカートニー」の場合は、まだ、自家録音で、ポール一人で、マニアックに作った、よく言えば、まだ、「手作り」の良さがあった。このアルバムはそれがなく、リスナーを馬鹿にしてんのか、って言いたくなるようなラフさだ。とりわけ、2曲目の「Bip Bop」に至っては、いい加減にせい、と言いたいくらい。

故に、当時、チャートとしてもふるわず、全英11位、全米でベストテンに顔を出した程度。さすがのポールも青ざめたのではないか。しかしながら、じっくりと耳を傾けてみると、のちのウィングスの原型となる音づくりが、そこかしこに見え隠れするのが、せめてもの救い。

しかし、8曲目の「Tomorrow」や9曲目の「Dear Friend」では、まだ、ジョンを揶揄し、ジョンを過剰なまでに意識した曲になっており、まだまだ、ポールは、ビートルズの幻影とジョンの幻影を過剰なまでに感じているのだった。実に無意味なことだし、実に不毛な仕業である。

「希有なメロディーメーカーのポール」を阻害する幻影たちをなんとか払拭するには、あと1枚のアルバムを浪費する必要があったのである。この『Wild Life』は、その浪費する必要があった「あと1枚のアルバム」。

このアルバムの作り込みの酷さを通じて、ポールはその時点で自分の置かれている環境と世間の自分に対す評価を客観的に感じることが出来たのだろう。この『Wild Life』を境に、ポールは従来のメロディーメーカーの資質を取り戻していく。

 
 

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2012年6月 3日 (日曜日)

ポール2枚目ソロは未だ「過渡期」

このところ、ハイレゾ音源での Paul McCartneyの『Ram』(写真)を聴いている。音の分離、音の豊かさ、ボーカルの響きの自然さ、音の奥行きの、どれもが優れていて、やっとまともな『Ram』を聴いた気がする。今回、『Ram』というアルバムは高い音質を要求するアルバムだということが良く判った。

しかし、この『Ram』についても、前作のソロ・デビュー作と同様、僕は、このアルバムについては、まだまだ、ポールのプライベート的な録音の色彩が濃く、メロディメーカーとしての、ソロアーチストとしてのポールの「過渡期のアルバム」と認識していて、あまり高く評価する気にはなれない。

しかし、なんというジャケットだろう。なにも、「羊と戯れるポール」でなくてもいいのに・・・、と当時は思ったものだ。アルバムの名義は、ポール個人ではなく、「ポール&リンダ・マッカートニー」となっている。

当時のポールは「リンダにメロメロ」状態だった。それを個人のレベルを超えて、アルバムのそこかしこに「ちりばめられている」のには参った。

ジャケットに使われている写真は、当時カメラマンだったリンダの写真のみで構成され、その写真もポールとリンダのプライベートっぽいものばかり。ジャケットの右隅には「L.I.L.Y」の4文字(Linda I Love You の略と言われている)。普通やないですな。高校時代も、このアルバムを見るたび、こっぱずかしかったが、今でもなんだか、こっぱずかしい。

まあ、こんな、アッパラパーな精神状態で制作されたアルバムだから、まだまだ、ポールの本調子にはほど遠い。
 

Ram

 
しかしながら、さすがに、先のファーストアルバムは、ラフすぎて、しかも世間の反応も芳しくなく、やばいと思ったのか、このセカンドアルバムは、十分な時間をかけて作られている。

ファーストと比べて時間をかけて、とりあえずしっかり作られている分、「メロディーメーカーのポール」が全面に出つつあることは実に好ましい。が、部分的には、ファーストアルバム当時の「勘違い」を引きずっている部分が見え隠れする。

1曲目の「Too Many People」や2曲目の「3 Legs」、4曲目の「Dear Boy」などLPではA面の6曲中4曲が、ジョンやヨーコや他の2人のビートルを揶揄するような曲で占められており、いい加減にしてほしいなあ、という気分になる。

良きメロディーには、良き歌詞を、と思ってしまう。まあ、5曲目には、かの名曲である「Uncle Albert〜Admiral Halsey(アンクル・アルバート〜ハルセイ提督)」があり、この曲に関しては言うことなしだが・・・・。

やはり、このアルバムには、アルバムに先駆けてヒットしたシングル「Another Day」(全英2位・全米5位)を入れるべきだったのではないか。このアルバムに「Another Day」が入っておれば、適度に「締まった」良い感じのアルバムに仕上がっていたのではないかと感じるのは僕だけだろうか。

「シングルのおかげで売れた」という批判や、「LPはその構成とコンセプトが問題」などどいうしたり顔の評論家の攻撃を気にした感があるのだが、この変なところを気にするポールが、この悪しき「こだわり」を払拭するまでには、あと2枚のアルバムを経る必要があるのだった。

 
 

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