隅に置けないウエスの名盤の一枚
僕のジャズ・ギタリストの大のお気に入りの一人、必殺オクターブ奏法のギター・レジェンド、ウエス・モンゴメリー。ウエスの単独名義のリーダー作の聴き直しもあと3枚となった。昨日に続いて今日も、ヴァーヴ・レコードに移籍後の「イージーリスニング・ジャズ」の時代のウエスのリーダー作の名盤を聴き直す。
Wes Montgomery『Goin' Out of My Head』(写真左)。1965年11,12月の録音。ちなみにパーソネルは、Wes Montgomery (g) に、リズム・セクションとして、Herbie Hancock, Roger Kellaway (p), George Duvivier (b), Grady Tate (ds), Candido Camero (congas). そして、バックにサックス4本 (Phil Woodsなど), トランペット4本 (Donald Byrdなど), トロンボーン4本 のブラス・セクションが付く。アレンジは、Oliver Nelson(オリヴァー・ネルソン)。
演奏の編成は、ヴァーヴ・レコード移籍後から変わらない「イージーリスニング・ジャズ」仕様。今回はバックにブラス・セクションが付いていて、弦は付いていない。それもそのはずで、R&B/Soul・ボーカル・グループ、リトル・アンソニー・アンド・ザ・インペリアルズの、1964年のヒット曲である「Goin' Out of My Head」を冒頭に収録している。つまり、R&B/Soulのジャズ・カヴァーに弦はいらない、ということだろう。
この盤は、R&B/Soulから、ブルースから、ボサノバ、ムード音楽まで、様々なジャンルの曲をカヴァーしている。ごった煮の収集のつかないイージーリスニング盤ではないのか、という懸念が頭をよぎるが、聞いてみてよく判るが、前作で確立した「ウエスのオクターヴ奏法による、切れ味の良い、スリリングなテーマ提示と、バックのブラス・セクションをリズム&ビートの供給に特化させ、その上をウエスがバップなギターを弾きまくる」という、ウエスのジャズ・ギターを最大限に活かすアレンジが踏襲されている。
いわゆる、メインストリームで硬派なイージーリスニング・ジャズに仕立て上げられている。今回はブラス・セクションをリズム&ビートの供給に特化させているところが、バッチリはまっていて、演奏全体の雰囲気はジャジーでファンキー。ウエスのギターは「バップなギター」で弾きまくる、いわゆるイージーリスニング志向の純ジャズな演奏に昇華しているところが一番の聴きどころ。
この盤は大ヒットし、100万枚近い売り上げを記録したとのこと。ビルボード誌のR&Bチャートで最高位7位。第9回グラミー賞では 『Goin' Out of My Head』が最優秀ジャズ・インストゥルメンタル・アルバム(個人またはグループ)を受賞している。確かに、良質のモダン・ジャズの雰囲気をしっかり踏まえたイージーリスニング・ジャズで、今の耳で聴いても古さは感じない。逆に新しい発見があったりして、21世紀になっても隅に置けないウエスの名盤の一枚である。
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