『The Real McCoy』の聴き方
レコード・コレクターズ(レココレ)2026年2月号の特集「この曲のピアノを聴け! ジャズ/フュージョン編」を楽しんでいる。当ブログでは、「この曲一曲」を「これ一枚」に拡大して、レココレに紹介されているアルバムを聴き直している。今回は「この一曲」から始まって、結局は「これ一枚」に落ち着いた、マッコイ・タイナーの名盤を聴き直している。
McCoy Tyner『The Real McCoy』(写真左)。1967年4月の録音。ブルーノートの4264番。ちなみにパーソネルは、McCoy Tyner (p), Joe Henderson (ts), Ron Carter (b), Elvin Jones (ds)。時代はロック台頭の時代、そして、 1967年7月には、コルトレーンが急逝する激動の時代。タイナーはコルトレーンのバンド配下を辞してでの、ブルーノートでの初リーダー作である。
レココレでの「この1曲」は、アルバムのラスト、5曲目の「Blues on the Corner」を挙げている。ブルーノートのアルバムでは、リーダーが必ず1曲は持ってくるようにと、ブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンの要請に応じた、タイナー自作のブルース。まあ、この『The Real McCoy』に収録された曲は全て、タイナーの自作曲で占められてはいるが。
ダイナミックで迫力満点のモーダルな右手、そして、ビートを打ち付ける様なハンマー奏法な左手。迫力満点のモーダル・ピアノが、タイナーのピアノの個性と特徴なんだが、このラストの「Blues on the Corner」でそれが判るかどうか。このちょっと緩やかなテンポのブルースでは、ちょっと判り難いかもしれない。
やはり、冒頭1曲目の「Passion Dance」だろう。エルヴィンのドラムが、激しいリズムの嵐を叩き上げ、タイナーのビートを打ち付ける様なハンマー奏法な左手のビートに乗って、ダイナミックで迫力満点の右手のモーダルな「シーツ・オブ・サウンド」が炸裂する。左手のハンマー打法なビートは、強弱と間を効果的にあしらって、うねるようなモーダルなビートを叩き出す。右手は、タイナー流の「シーツ・オブ・サウンド」で、モーダルに疾走する。
このタイナーのブルーノート初のリーダー作『The Real McCoy』は、やはり、これ1曲というよりかは、この1枚、アルバムを全曲聴いて、速い曲、緩やかな曲、ブルース、バラード、それぞれ、異なった曲想、演奏内容の中で、タイナーの揺るぎない「ダイナミックで迫力満点のモーダルな右手、そして、ビートを打ち付ける様なハンマー奏法な左手」を確認し愛でるのが、タイナーのピアノを理解する一番の近道だと僕は思う。
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