様々な曲想を自由に弾くタイナー
ダイナミックで迫力満点のモーダルな右手、そして、ビートを打ち付ける様なハンマー奏法な左手。迫力満点のモーダル・ピアノのレジェンド、マッコイ・タイナー(McCoy Tyner)。
コルトレーン・ジャズの精神性の継承者として、1970年代は、コルトレーン・ジャズを基にした、タイナー流のモード&スピリチュアル・ジャズを展開して、コルトレーン信者のジャズ者の方々を中心に絶大なる支持を得た。
しかし、コルトレーン・ジャズの精神性を踏襲し継承したモード&スピリチュアル・ジャズは1970年代まで。1980年代は、コルトレーン・ジャズの影響下から離脱、ピアノのスタイルと奏法はそのままに、タイナー・オリジナルの志向で、モード&スピリチュアル・ジャズを展開する。
McCoy Tyner『What's New?』(写真左)。1987年7月24 25日、米国フロリダ州フォートローダーデールでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、McCoy Tyner (p), Avery Sharpe (b), Louis Hayes (ds)。リーダーがピアノのタイナー、シャープのベース、ヘイズのドラム、この時期のレギュラー・トリオの快演の記録。
フュージョン全盛期にも、エレピにほとんど手を出さなかったタイナー。ここでも、アコースティック・ピアノ一本のトリオ演奏で、コルトレーン・ジャズの呪縛から解き放たれたかの如く、自由で爽快な、タイナー流のバップ・ピアノをガンガンに弾きまくっている。
レギュラー・ピアノ・トリオでのライヴ・パフォーマンスなので、和気藹々、適度にリラックスした雰囲気で、タイナー流のバップ・ピアノを、楽しそうに弾きまくっているタイナーは魅力満載。
冒頭の「Señor Carlos」は、ラテン・ジャズがベースだが、タイナー・オリジナルの志向のモード&スピリチュアルの典型的な演奏に早替わり。イントロ部のピアノはスピリチュアル・モード満載。そこに、ダイナミックで迫力満点のモーダルな右手、そして、ビートを打ち付ける様なハンマー奏法な左手でアドリブ展開。タイナー流バップ・ピアノが疾走する。
4曲目「Port Au Blues」はブルース演奏。それでも、タイナー・オリジナルの志向のモード&スピリチュアルの典型的な演奏でのブルースは、音の重ね方、響きがユニークで、フレーズはモード。実に尖ったタイナー流のブルース解釈。ベースの創造的なソロも聴き応えがある。
そして、5曲目の「Island Birdie」は、タイナーには珍しい、アーシーでゴスペルチックな演奏。途中、カリプソにも展開して、モード奏法全開。ビートを打ち付ける様なハンマー奏法な左手がアーシーな雰囲気を増幅する。こんなにアーシーなタイナーはあまり聴いたことがないが、すごく良い。ダイナミックで迫力満点のモーダルな右手は、アーシーなバップ・ピアノ全開。
「Lover man」「What's New?」といった、超有名スタンダード曲でも、タイナー・オリジナルの志向で、モード&スピリチュアル・ジャズ全開で、ダイナミックで迫力満点のモーダルな右手、そして、ビートを打ち付ける様なハンマー奏法な左手。迫力満点のモーダル・ピアノで、スピリチュアルに弾きまくる。スローなバラードチックな展開も、モーダルで流麗な手捌きで、印象的に弾き進める。
1980年代のタイナーについては、「1970年代の様に、コルトレーン・ジャズの精神性から決別し、スランプな状態に陥り、やや不遇な印象」といった評論も見えるが、それは聴き手側が「コルトレーン・ジャズの精神性の呪縛」から解放されていない、一方的な解釈だろう。
本当に楽しそうに、曲毎に、様々なイメージで弾きまくるタイナーは、ジャズ・ピアニストとして実に魅力的。1980年代には、コルトレーン・ジャズの呪縛から解き放たれたかの如く、自由で爽快な、タイナー流のバップ・ピアノをガンガンに弾きまくっている。
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