Wolfgang Dauner『Output』
今月発売の「レコード・コレクターズ 11月号」の特集に「ECMレコーズ」があった。これは「創設者マンフレート・アイヒャーのコンセプトと55年の歴史の概説」と「今聴きたいECMアルバム45選」の2本立ての特集。特に、後半の「今聴きたいECMアルバム45選」のアルバム・セレクトが実に気に入った。ということで、この45枚のアルバムについて、ブログ記事としてアップしようと思い立った。
Wolfgang Dauner『Output』(写真)。ECM 1006番。1970年9月15日, 10月1日, 「the Tonstudio」での録音。ちなみにパーソネルは、Wolfgang Dauner (p, Ringmodulator, Hohner Electra-Clavinet C), Fred Braceful (perc, vo), Eberhard Weber (b,cello, g)。
カタログ番号が「ECM 1006」なので、ECMレコードがアルバムをリリースし始めて、僅か6枚目の、ECMの初期も初期のアルバムである。実はこのジャケットにビビって、購入をずっと控えてきた「逸品」である(笑)。ジャケットの印象から、電子ノイズ満載の無調の現代音楽の垂れ流しではないのか、という間違った先入観が、さらに購入意欲を削いでいた。
実際に聴いてみると、意外とカッチリまとまった印象の即興演奏集で、電子楽器を積極活用した、しっかりとリズム&ビートに乗った即興演奏。ブレースフルのパーカションとウェーバーのベースが、演奏全体のリズム&ビートをしっかりとキープしているところがこのアルバムの「キモ」の部分。このパーカッションとベースの存在が、この盤の即興演奏を上質なものにしている。
演奏の旋律はダウナーのキーボード類が担っている訳だが、雰囲気としては、電子楽器を活用して、現代音楽風の響きとフレーズで即興演奏をかます、という感じで、フリーにアブストラクトに展開するが、リズム&ビートがしっかりしているので、散漫になったり冗長になったりするところは無い。電気楽器を活用しているが、電気楽器の偶然性を頼ること無く、電気楽器の音の特性をしっかりとコントロールしながらの前衛的演奏に、ダウナーの良質な「センス」を感じる。
いかにも欧州らしい、現代音楽志向の電子楽器を活用した、フリー&アバンギャルドがメインの即興演奏集、と形容できるかと思う。フリー&アバンギャルドがメインとは言いつつ、ジャズロック的な8ビートな旋律展開や、しっかりモーダルな旋律展開もあり、こういう即興演奏的な展開が、この盤を「ジャズ」のジャンルに留めているように思う。意外としっかりとした内容は、初期も初期の作品とはいえ、「さすがECM」である。
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