異色の 高中正義 「オン・ギター」
この2〜3日、関東地方では気温がグッと下がって、昨日などは、11月中旬の陽気になって、ちょっと寒いくらい。慌てて、合物の服を出して、夏物のほとんどを衣替えである。これだけ涼しくなると、音楽を聴くのにも良い環境になって、夏には聴くのを憚られたハードなジャズやロックなども聴くことが出来る。
高中正義『オン・ギター』(写真左)。1978年の作品。ちなみにパーソネルは、高中正義 (g), 石川清澄 (key), 細野晴臣, 高橋ゲタ夫 (b), 高橋ユキヒロ, Robert Bril (ds), ペッカー. 浜口茂外也 (perc)。イエロー・マジック・オーケストラから、細野晴臣と高橋ユキヒロが参加しているのが目を引く。
「夏だ、海だ、高中だ」と言われるくらい、高中のインスト作品って「夏向き」だと思うんだが、その演奏が持つ「切れ味の良い爽快感」がゆえ、僕は秋の真っ只中に、高中作品を聴くことが多い。今年の秋も、涼しくなってきたなあ、と思った瞬間から、「高中が聴きたい」となって、このアルバムをチョイスした。
このアルバム、ちょっとその成り立ちが変わっていて、高中正義のオリジナル作品として発表されたわけではなく、教則本の付属レコードとして発表されたもの。ちなみに、この「オン・ギター」は高中正義、「オン・・ベース」が後藤次利、「オン・ドラムス」が つのだひろ、だった。実は、僕はこの教則本の付属レコード・シリーズをリアルタイムで体験している(笑)。
教則本を読みつつ、この付属アルバムの演奏テクニックを聴いて、自分でも演奏してみる、ということだが、この『オン・ギター』に収録されている高中のギター・テクニックは、その水準が抜群に高くて、その様に弾きたくても弾けない(笑)。この教則本って、ギター初心者ではなく、ギター上級者向けだったんやな、と改めて思った次第。
実は、この教則本の付属アルバム、単体のオリジナル作品としても、十分に楽しめる内容になっている。収録曲は以下全8曲。高中オリジナルは1曲のみ。あとは、ロック&ポップスの名曲のカヴァー。
1.「Breezin'」~ ジョージ・ベンソン
2.「Blue Curaçaõ」~ サディスティックス
3.「Just The Way You Are」~ ビリー・ジョエル
4.「Mambo Jambo」~ Pérez Prado
5.「Samba Pati」~ サンタナ
6.「Rainbow」~ オリジナル
7.「That's The Way Of The World」~ EW&F
8.「We're All Alone」~ ボズ・スギャッグス
冒頭「Breezin'」から、もう悶絶もの。高中のギターが素敵に爽快に響く。流麗でキャッチャーなフレーズ。3曲目の「Just The Way You Are(素顔のままで)」は原曲は印象的なバラード曲だが、ここでは、ファンキー・シャッフルなアレンジでカヴァる。原曲がテーマの旋律がしっかりしているので、ファンキーなアレンジにも耐えるのだから面白い。
エンディングの8曲目、ボズ・スキャッグスの名唱で誉高い「We're All Alone」。これは名演。高中の「泣きのギター」全開。思わすしみじみしてしまうくらいの「説得力」。この演奏こそ、秋の真っ只中で聴く「高中ギター」である。
ちょっと、その成り立ちが変わっているアルバムなので、ジャケ写とともに、ちょっと触手が伸びにくいのですが、内容は一級品。躊躇わず手にして良い秀作です。音楽のサブスクサイトにもアップされているみたいなので、今では意外と気軽に聴くことが出来る環境にあるみたいですね。
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