2024年10月10日 (木曜日)

異色の 高中正義 「オン・ギター」

この2〜3日、関東地方では気温がグッと下がって、昨日などは、11月中旬の陽気になって、ちょっと寒いくらい。慌てて、合物の服を出して、夏物のほとんどを衣替えである。これだけ涼しくなると、音楽を聴くのにも良い環境になって、夏には聴くのを憚られたハードなジャズやロックなども聴くことが出来る。

高中正義『オン・ギター』(写真左)。1978年の作品。ちなみにパーソネルは、高中正義 (g), 石川清澄 (key), 細野晴臣, 高橋ゲタ夫 (b), 高橋ユキヒロ, Robert Bril (ds), ペッカー. 浜口茂外也 (perc)。イエロー・マジック・オーケストラから、細野晴臣と高橋ユキヒロが参加しているのが目を引く。

「夏だ、海だ、高中だ」と言われるくらい、高中のインスト作品って「夏向き」だと思うんだが、その演奏が持つ「切れ味の良い爽快感」がゆえ、僕は秋の真っ只中に、高中作品を聴くことが多い。今年の秋も、涼しくなってきたなあ、と思った瞬間から、「高中が聴きたい」となって、このアルバムをチョイスした。

このアルバム、ちょっとその成り立ちが変わっていて、高中正義のオリジナル作品として発表されたわけではなく、教則本の付属レコードとして発表されたもの。ちなみに、この「オン・ギター」は高中正義、「オン・・ベース」が後藤次利、「オン・ドラムス」が つのだひろ、だった。実は、僕はこの教則本の付属レコード・シリーズをリアルタイムで体験している(笑)。

教則本を読みつつ、この付属アルバムの演奏テクニックを聴いて、自分でも演奏してみる、ということだが、この『オン・ギター』に収録されている高中のギター・テクニックは、その水準が抜群に高くて、その様に弾きたくても弾けない(笑)。この教則本って、ギター初心者ではなく、ギター上級者向けだったんやな、と改めて思った次第。
 

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実は、この教則本の付属アルバム、単体のオリジナル作品としても、十分に楽しめる内容になっている。収録曲は以下全8曲。高中オリジナルは1曲のみ。あとは、ロック&ポップスの名曲のカヴァー。

1.「Breezin'」~ ジョージ・ベンソン
2.「Blue Curaçaõ」~ サディスティックス
3.「Just The Way You Are」~ ビリー・ジョエル
4.「Mambo Jambo」~ Pérez Prado
5.「Samba Pati」~ サンタナ
6.「Rainbow」~ オリジナル
7.「That's The Way Of The World」~ EW&F
8.「We're All Alone」~ ボズ・スギャッグス

冒頭「Breezin'」から、もう悶絶もの。高中のギターが素敵に爽快に響く。流麗でキャッチャーなフレーズ。3曲目の「Just The Way You Are(素顔のままで)」は原曲は印象的なバラード曲だが、ここでは、ファンキー・シャッフルなアレンジでカヴァる。原曲がテーマの旋律がしっかりしているので、ファンキーなアレンジにも耐えるのだから面白い。

エンディングの8曲目、ボズ・スキャッグスの名唱で誉高い「We're All Alone」。これは名演。高中の「泣きのギター」全開。思わすしみじみしてしまうくらいの「説得力」。この演奏こそ、秋の真っ只中で聴く「高中ギター」である。

ちょっと、その成り立ちが変わっているアルバムなので、ジャケ写とともに、ちょっと触手が伸びにくいのですが、内容は一級品。躊躇わず手にして良い秀作です。音楽のサブスクサイトにもアップされているみたいなので、今では意外と気軽に聴くことが出来る環境にあるみたいですね。
 
 

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  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

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    ・イタリアン・プログレの雄「PFM」のアルバム紹介と
   エリック・クラプトンの一部のアルバム紹介を移行しました。

 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
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2022年1月26日 (水曜日)

SUPER TAKANAKA LIVE 再び

高中正義の1970年代〜1980年代前半のリーダー作が、サブスク解禁されたみたいで、今一度、全てのアルバムを聴き直している。で、リアルタイムで一番聴いた、1970年代〜1980年代前半のリーダー作って何だったっけ、と思い立った。恐らく、一番聴いたのは学生時代。下宿で、古墳調査の車の中で、行きつけの喫茶店で、聴きまくった盤である。

高中正義『SUPER TAKANAKA LIVE』(写真左)。1980年3月のリリース。1979年12月23日〜24日に日本武道館にて行われた井上陽水とのジョイント・ライヴの模様を収録した盤である。「ジョイント・ライヴ」とは懐かしい響き(笑)。

ちなみにパーソネルは、高中正義 (g), 石川清澄, 小林“MIMI-CHAN”泉美 (key), 上原ユカリ, 井上“SHI-CHAN”茂 (ds), 高橋ゲタ夫 (el-b), 椎名和夫 (el-g), 土岐英史 (sax), 中島御, 菅原“SUGA-CHIN”裕紀 (perc)。当時の「高中バンド」のベスト・メンバーである。

選曲が『JOLLY JIVE』から4曲、LP時代のA面を占める。そして、LP時代のB面を占めるのは『SEYCHELLES』『BRASILIAN SKIES』『TAKANAKA』からそれぞれ1曲ずつ、サディスティック・ミカ・バンドのアルバム『黒船』から1曲である。LP1枚の収録時間上限、45分程度を考えると、当時のほぼベスト盤的な選曲で、この選曲がこのライヴ盤の一番の魅力。
 

Super_takanaka_live 

 
ライヴ音源なので、当時の高中バンドのテクニックとパフォーマンスの凄さが良く判る。出だしの1曲目の「BLUE LAGOON」は、高中作の永遠のインスト名曲であるが、スタジオ録音より速いテンポで、疾走感溢れる弾きっぷりに思わず耳を奪われる。そして、2曲目「EXPLOSION」も高速フレーズが目玉の1曲で、爽快感溢れるノリで弾きまくり。

3曲目の「珊瑚礁の妖精」では、ワウワウなど、アナログなアタッチメントを駆使した、耽美的で幻想的なフレーズを披露する。これ、相当に高いテクニックで弾きまくってる。「TROPIC BIRD」「DISCO “B”」「READY TO FLY」は高中作のベストな楽曲で、聴いていてとにかく気持ちが良い。高中のギターが映えに映える。

そして、僕の個人的にこの盤の一番の目玉がラストの「黒船」。サディスティック・ミカ・バンドのアルバム『黒船』の6曲目(A面のラスト)の「黒船(嘉永六年六月四日)」で、3分弱の演奏だが、これが名曲中の名曲。聴いていて、気持ち良いこと、この上無し。

LP時代の音源で、トータルで45分弱しかないので、今の耳にはちょっと聴き足りない感じではある。が、内容的には充実した、当時の高中バンドのテクニックとパフォーマンスを手っ取り早く体感出来る、素晴らしいライヴ盤。今でも、気軽に聴くことが出来る、上質の「高中印のライヴ盤」である。
 
 
 
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2016年12月12日 (月曜日)

こんなアルバムあったんや・72

Char(チャー)。本名は、竹中 尚人(たけなか ひさと)。1976年、アルバム『Char』でデビュー。 1977年6月にリリースされた『気絶するほど悩ましい』は歌謡ロック路線のヒット作となり、アイドル系ギタリストとして人気を博す。僕は、この『気絶するほど悩ましい』でCharを知り、デビュー盤『Char』に行き着いた。

僕はこの人のギターが好きである。70年代のデビュー当時から好きである。テクニック高く、シャープで切れ味の良い、それでいて骨太で硬派なこの人のギターは、世界のロックに対抗できるレベルのギターである。とにかく聴いていて気持ちが良い。

そんなCharが、初の全曲インストルメンタルアルバムをリリースしている。Char『Sacred Hill 〜聖なる丘〜』(写真左)。2002年9月のリリース。音を聴いていると、少し湿っていてくすんでいる。これってブリティッシュな音やん、と思ってネットの情報を見ていたら、やっぱり英国録音。なかなか良い音で録れている。
 

Sacred_hill

 
全曲ギター・インストのアルバム。テイストは「フュージョン」。それもロック寄りのフュージョン。これだけ、バリバリにギターだけを弾きまくる盤、聴いていて、ジェフ・ベックの『Blow By Blow』 そして『Wired』を思い出す。しかも、このCharのギターはその「ジェフ・ベック」の神的ギターと比べて全く遜色が無い。

聴いていて嬉しくなる。日本人ギタリストの手によって、あの「ジェフ・ベック」と全く遜色の無い、目眩く神的なギター・インストが堪能出来るのだ。壮大な展開が心地良い「Sacred Hills」、今様の新しい響きが格好良い「Heavy Head Wind」、スティーヴィー・ワンダーのロマンティックなカバーがこれまた格好良い「You And I」。格好良いギター・インスト満載である。

明らかに自由度の高いアドリブ・ソロが眩しい。譜面に起こして作曲しつつ、理詰めでフレーズをイメージするという手法ではなく、インスピレーション勝負な直感フレーズが素晴らしい。官能的でスピリチュアルなところは、先の「ジェフ・ベック」を超えている。この盤、日本発のフュージョン盤として愛でることが出来る。好盤である。

 
 

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2016年10月 2日 (日曜日)

Panta & Halのロック盤

1970年代、日本のロックは、演奏力が弱い、ボーカルが弱い、日本語がロックビートに乗らない、などなど、評論家筋を中心にケチョンケチョンに言われた。しかし、1970年代半ばより、ニューミュージックの波に乗って、日本のロックはダイナミックに充実していった。

もはや1970年代終盤においては、前述の様な「日本ロック批判」を叫び続ける評論家筋はまだまだいるにはいたが、日本のロックのアルバムについては、日進月歩で充実している。僕の大学時代、1970年代終盤から1980年代初頭においては、後世に残る「日本ロックの好盤」が結構リリースされた。

この2枚のアルバムは、そんな中の2枚である。Panta & Hal『マラッカ』(写真左)と『1980X』(写真右)。『マラッカ』は1979年、『1980X』は1980年のリリース。

『マラッカ』は、1977年7月に始動させたバンド「Panta & Hal」名義で発表したファースト・アルバムになる。内容としては、単純なハード・ロックな展開は全く無く、ポリリズミックなレゲエ・ナンバーやマーク・ボランへの哀悼の念を込めたブギーなナンバーなど、音楽的にバリエーションに富んだロック・ナンバーが詰まっている。
 

Panta_hal

 
『1980X』は、PANTA & HAL名義でのセカンド・アルバム。このアルバムの特徴は、キーボードを排除した、シンプルな「ギター・サウンド」がメインであるということ。前作の音楽的にバリエーション豊かな内容とは打って変わって、ソリッドでシャープな「ギター・ロック」で占められている。

この2枚のアルバムの内容は、当時の日本ロックとしてはかなり衝撃的で、ついに日本のロックもここまで来たか、急速に英米のポップロック・シーンに肉薄した、という感を強くした。演奏テクニックは申し分無く、ボーカルも個性と味があり、日本語はロックビートにしっかり乗っている。

Panta(パンタ)は、1970年代に、伝説のロックバンド、頭脳警察を率いて有名を馳せたロック・ヴォーカリスト。頭脳警察時代の過激なパフォーマンスや現在に至る過激な政治的言動については賛同しかねる面が多々あるのだが、ことさら、ロック・ボーカリストとしての実力、ソング・ライティングの能力については全く申し分無い。どころか称賛に値するレベルである。

特に、この1970年代の終焉と1980年代の初頭にリリースされた『マラッカ』と『1980X』については、日本ロックの歴史の記憶に留めるべき好盤であると思う。確かに、僕達の学生時代、行きつけの喫茶店で、はたまた、徹夜麻雀のBGMに大活躍の「日本のロック盤」であった。

 
 

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2016年9月19日 (月曜日)

日本語がロックに乗った瞬間

1970年代、日本人の演奏するロック、和製ロックが台頭する中で、評論家を中心に「日本語はロックに乗らない」という変な風潮がトレンドとなった時期がある。1970年代半ばまでの和製ロックについては、無理して英語で歌うところが、とても痛々しかったのを覚えている。

まあ、英語で歌われるロックは何だか格好良く、日本語で歌われるロックは何だかダサイ、ということなんだが、当時、日本語の歌詞自体の言葉使いとか言い回しとかが稚拙だったこともあって、日本語で歌われる楽曲は何だかダサイ、というところが本当のところだろうと思っている。

個人的には「日本語はロックに乗らない」とは全く思っていなくて、評論家って変なこと言うなあ、と言うくらいにしか受け止めていなかった。そして、この「日本語はロックに乗らない」という風潮を打破し始めたのが、1970年代後半、ニューミュージックという音楽ブームに乗って、現れ出でた「歌謡ロック」である。

歌謡曲の哀愁感や情緒感をロックに取り入れた「日本語によるロック」で、その内容によっては「演歌ロック」とも呼ばれた。ニューミュージックのブームに乗って売れに売れたので、ロックの精神性を重んじる、お堅いロック・ファンには評価されづらい存在であった様に思う。しかし、この歌謡ロックの成立によって「日本語はロックに乗った」のである。

そんな歌謡ロック成立の立役者の一人が「世良公則」。ツイストというバンドを伴って、1977年10月、ポプコン本選会で「あんたのバラード」がグランプリを獲得。いきなり50万枚を超える大ヒットを記録して、ロックをメジャーに押し上げた最初のロックバンドとなる。

そして、1978年〜79年にかけて、世良公則&ツイストは「宿無し」「銃爪 (ひきがね)」「性」「燃えろいい女」とヒット曲を連発し、「ザ・ベストテン」などのTVの歌謡番組にも積極的に出演したところも、それまでのロックバンドにないマナーでした。独特のステージ・アクションで歌う世良公則の姿に度肝を抜かれたのを今でも覚えています。
 

Masanori_sera_twist

 
そんな世良公則&ツイストの音を捉えたアルバムが『Twist』(写真左)と『ツイストⅡ』(写真右)です。今の耳で聴いてみると、やはり世良公則のソング・ライティングとボーカルの才が突出しています。バックバンドの音はさほどお上手ではないんですが、それをかき消すほど、世良公則のボーカルが圧巻です。

それまで、和製ロックの弱点は「ボーカル」にあったと思っていて、とにかく和製ロックのボーカルは弱い、というか繊細過ぎる。加えて、苦手な英語で歌わされるものだから更に弱くなる。そんな繊細過ぎる和製ロックのボーカルの印象を一気に払拭したのが、世良公則のパワー溢れるボーカルでした。

世良公則の音楽性は、男臭くセクシュアルな面をちょっと前に押し出しつつ、どこかウェット感、情緒感のある歌謡ロック。世良公則&ツイストの出現は、明らかにロックをメジャーに押し上げた最初の出来事でした。リアルタイムでその瞬間を体験できたことは、今でも貴重な体験として自分の中に残っています。

「日本語によるロック」、今ではその言葉を聞いて「日本語はロックに乗らない」とか「日本語で歌うロックはロックでは無い」と言う人はいないと思います。日本語で歌ってもロックはロック。これはすっかり当たり前のことになりました。

お堅い日本のロック評論やロック・ファンから排斥されようと、俳優業の片手間のお遊びと揶揄されようが、世良公則の歌謡ロックをメジャーにした功績と「歌謡ロック・スピリット」は不変だと思います。

 
 

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2016年7月 2日 (土曜日)

空模様のかげんが悪くなる前に

週末の当ブログ「ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと」は、ジャズの合間の耳休め。70年代ロックや70年代Jポップのアルバムにまつわるお話しを特集しています。

さて、1970年代後半、僕達の学生時代は、いわゆる「Jポップ」の最初の黄金時代では無かったかと感じている。1970年代に入って、フォークから入った「Jポップ」ではあったが、程なく、英国・米国の音楽シーンの成果を取り込み、和製ロック、そして、ポップ・ロックがベースの「ニューミュージック」へ発展。1970年代後半は、今から振り返って、かなり充実した「Jポップ」の時代であった。

当然、洒落たアルバムや粋なアルバムがどんどん出てくる。音楽雑誌やFM情報誌の記事は欠かせない。そして、FMのエアチェックによるアルバムのリサーチは欠かせなかった。そんな、FMのエアチェックのリサーチに引っ掛かってきたアルバムがこのアルバムである。

そのアルバムとは『Char』(写真左)。1976年9月のリリースになる。さて、その「Char(チャー)」とは誰か。本名は「竹中 尚人」。日本のギタリストである。そのエレギのプレイは「天才ギタリスト」の呼称に相応しい。この時21歳、そのエレギのプレイと味のあるボーカルがぎっしりと詰まった、初々しくも爽快な、Charのデビュー盤である。
 

Char

 
大学時代、ちょうど、この梅雨の季節によく聴いていた。もともとこのアルバムの中の8曲目「空模様のかげんが悪くなる前に」が、皆の大のお気に入りの曲だったので、この梅雨の時期によく聴くようになった、と記憶している。

このアルバムを初めて聴いた時は、椅子から転げ落ちるくらいにビックリした。この弱冠21歳のギタリストのテクニック、感性、表現力にたまげた。そして、英国ロックや米国ロックのコピーに終始しない、日本人ならではの個性が見え隠れするところにとりわけ、感じ入った。収録されたほどんどの楽曲を「日本語」で唄い切る、その潔さにも感服した。

特に、エレギのトーン、紡ぎ出すフレーズのグルーブ感が独特だ。冒頭の「Shinin' You, Shinin' Day」の前奏のリフを聴くだけで、チャーと判る。それほど個性的なフレーズのグルーブ感が堪らない。チャーの代表曲、6曲目の「Smokey」のギターワークも白眉。思わず、アルバム全編、聴き惚れる。

1976年という日本のロック黎明期に、こんな粋で洒落たアルバムがリリースされていたなんて、今の耳にも「ビックリぽん」です(笑)。今でも8曲目「空模様のかげんが悪くなる前に」は大のお気に入り。この曲を聴くと、大学時代の行きつけの喫茶店「みちくさ」の昼下がりの風景が目に浮かびます。

 
 

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2015年12月 5日 (土曜日)

「赤い鳥」というバンドがあった

週末は「ジャズの合間の耳休め」。暫く、昔々、1970年代から1980年代前半にかけて聴き親しんだ「日本のソフトロック」や「ニューミュージック」を振り返ってみたい。簡単に言うと、僕が高校時代から大学時代に聴いた「お気に入り」盤を聴き直してみよう、ということ。

今日は「赤い鳥」。昔々、今から40年以上前である。僕がまだ中学一年生。あの頃は親の転勤で岡山にいた。親父のラジオを拝借して自室であれこれチューニングしていた。そこで知ったのがFM放送。そのFM放送では音楽を流していることも。その流れてくる音楽は当時、クラシック中心。しかし、そんなクラシック中心の音楽の中に、新しい雰囲気の日本の楽曲があった。

そんな新しい雰囲気の日本の楽曲が「フォーク」と呼ばれるジャンルの音楽だということは、「中一コース」という雑誌を読んで理解した。そして、そのフォーク・ソングの中で、かなりモダンな感じがする楽曲があった。その楽曲の主は「赤い鳥」というバンドだった。

「赤い鳥」。1969年に結成、1974年解散。1969年11月「第3回ヤマハ・ライト・ミュージック・コンテスト」、フォーク・ミュージック部門の第1位を獲得、他部門の優勝グループを抑え、グランプリを獲得。オリジナル・メンバーは、後藤悦治郎 (g), 平山泰代 (p), 山本俊彦 (g), 新居潤子 (vo,g), 大川茂 (b) の5名。

ボーカルの確かさ、ユニゾン&ハーモニーの美しさ、演奏の確かさ、アレンジの斬新さ、どれをとっても、当時、日本では突出したバンドだった。当時、流行していた他のフォーク・ソングとは一線を画していた。 

各地の子守唄・伝承されている歌などを美しいコーラスワークで聴かせる傍ら(これが彼らの考える「フォーク・ソング」だったようだ)、当時としては先進的な「ソフトロック」的な音楽性も兼ね備えていた。
 

Akaitori

 
そんな「赤い鳥」、僕は大のお気に入りになった。アルバムについては、資金力がついた高校時代に、この2枚を手に入れ、既に解散してしまった「赤い鳥」の高度で先進的な音楽性に感心しながら聴き入っていた。そのアルバムとはこの2枚。

1971年リリースの『竹田の子守唄』(写真左)と1973年リリースの『パーティー』(写真右)。数ある赤い鳥のアルバムの中で、この2枚が聴き易く、赤い鳥の音世界に入りやすい「入門盤」的な内容。赤い鳥のアルバムの中で、一番、大衆向けにプロデュースされたアルバムである。

『竹田の子守唄』は代表盤として一番挙げられる盤で、民謡をベースにした「竹田の子守唄」、そして、日本ポップスの永遠の名曲「翼をください」が収録されていて、この2曲の為に買っても良い位の名盤。他に「忘れていた朝」「河」などもっとスタンダードになってもよい位、出来が突出している楽曲もあり、このアルバムの内容は、日本フォーク・ソングの名盤として聴き継がれるべき盤である。

『パーティー』は、新メンバーの大村憲司のギターと村上秀一のドラムがフィーチャーされ、日本の「ソフトロック」の源流を聴く様な、日本のソフトロックの初期の名盤として聴き継がれる盤である。赤い鳥の音楽性の二面性である、ポップス色とフォーク色のせめぎ合いが見事で、1973年という時代の中、かなり突出して先進的な内容にビックリする。

赤い鳥はメンバー全員がメインボーカルがとれ、同時に全員がソングライターであった。そんな中、そのメンバー個々に才能が存分に発揮されたアルバムがこの『パーティー』だと解釈している。小粋なアルバム・ジャケットと共に、赤い鳥のバンドの個性と実力が最大限に発揮されたアルバムでしょう。

もう今から40年以上前の出来事になってしまった。でも、日本ポップス史上、この「赤い鳥」の存在は、絶対に押さえておかなければならないものであり、その「赤い鳥」の個性と実力を手っ取り早く感じ取るには、この『竹田の子守唄』と『パーティー』を体感するのが早道でしょう。素晴らしいアルバムです。

 
 

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2015年11月29日 (日曜日)

日本ソフトロックの老舗バンド

日曜日は「ジャズの合間の耳休め」。暫く、昔々、1970年代から1980年代前半にかけて聴き親しんだ「日本のソフトロック」を振り返ってみたい。簡単に言うと、僕が高校時代から大学時代に聴いた「お気に入り」盤を聴き直してみよう、ということ。

高校時代はクラブの部室や自分の部屋で、大学時代は、いきつけの喫茶店やカーステ、下宿の部屋、はたまた徹夜麻雀のBGMで聴いた「日本のソフトロック」について語ってみたいと思います。

今日は「ゴダイゴ」のアルバムを振り返る。バンド名は「ゴダイゴ」。日本語の響きは「後醍醐天皇」を想起させる。英語で書くと「Godiego」。意味は「Go=生きて」「Die=死んで」で「生きて、死んで、また生きる」つまり不死鳥をイメージしている。

日本のプログレッシブ・ロックからソフト・ロックの草分け的存在である。主要メンバーは、ミッキー吉野 (key), タケカワユキヒデ (vo), 浅野孝已 (g), スティーヴ・フォックス (b), トミー・スナイダー (ds)。1986年〜1998年、2001年〜2005年の間は活動停止、2006年から活動を再開、現在も活動中。

さて、僕がゴダイゴの名前を知ったのは、このアルバム『CM SONG GRAFFITI』(写真左)。ゴダイゴは、CMに多数の曲を世に送り出している。そのCMソングを集めて一枚のアルバムにしたものがこれ。1978年1月15日発売とあるので、僕は発売から半年ほどして手にしたことになる。

ゴダイゴが、日本テレビ系ドラマ「西遊記」エンディングテーマ 「ガンダーラ」の大ヒットでメジャーな存在になる前のアルバムである。先入観の全く無いまま、このゴダイゴのアルバムを聴いてビックリ。これ凄いなあ、というのが最初の感想。演奏テクニックがずば抜けていた。しっかりロックしているが、曲調は全てポップ。こういうロックってええなあ、と心底、感心した。
 

Godiego_cm_monkey

 
まず「上手い」。相当なテクニックを持ったバンドである。そして、このアルバムに詰まっているポップでライトなロックは、それまでの日本のロックに無い「粋でお洒落な」ソフト・ロックだった。冒頭の「MIRAGE(ミラージュのテーマ)」を聴けば、それが良く判る。以降、目眩く「粋でお洒落な」ソフト・ロックの音世界。ラストは「赤いシャポーの味の素」でお洒落にエンディング。

そして、ゴダイゴはこのアルバムで名実共にメジャーな存在になった。1978年10月25日発売の『MAGIC MONKEY(西遊記)』(写真右)。オリジナル盤ではあるが、TVドラマ「西遊記」(主演:堺正章・夏目雅子等)のサウンドトラックとして使用され、爆発的にヒットした。

TVドラマのサウンドトラックとして使用されたので、軽くみられる傾向にあるが、このアルバムの内容は、超一流の「粋でお洒落な」ソフト・ロック。バンドの高度なテクニック、タケカワユキヒデのソングライティングの才能、ミッキー吉野のアレンジの才能が最大限に発揮されている秀逸な内容。

シンセやシーケンサーなど、当時の最新鋭の楽器の使い方、「ガンダーラ」のイントロなどに顕著な多重録音など、アルバム全体の音作りについて、当時の日本ロックの最先端をいくものだった。決して、このアルバムをTVドラマのサウンドトラックとして甘く見てはいけない。甘く見るとこのアルバムを体験することが出来なくて「損をします」(笑)。

この2枚のアルバムで、先ずは、ゴダイゴの魅力、個性をガッチリと掴むことが出来ます。今の耳で聴いても「良く出来たソフト・ロック」なアルバムで、確かに、それまでの日本のロックに無い「粋でお洒落な」ソフト・ロックな内容です。大学時代、いきつけの喫茶店やカーステ、下宿の部屋、はたまた徹夜麻雀のBGMと、要所要所で鳴り響いていました (^_^)v。

 
 

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2015年8月27日 (木曜日)

YMOの「大衆 (ポップ)」な部分

我がバーチャル音楽喫茶『松和』、今週は、毎年8月後半のこの時期、恒例の「1970年代ロック祭り」。8月の後半になると、決まって学生時代の夏休みの後半〜終わりの雰囲気を思い出す。今年もこの季節は70年代ロックの大特集。今日は「高橋幸宏」。

僕がYMO(Yellow Magic Orchestra)の音を愛して止まない大きな理由の一つに、高橋幸宏のドラミングがある。怒濤の様な、彼の等間隔平坦ビート(ちょっと判り難いですかね〜・笑)が大好きである。

彼のドラミングの個性は、既にサディスティック・ミカ・バンドの時代に既に完成されていた。要所要所に怒濤の様な、彼の等間隔平坦ビートが出てくる。そして、シンセ・ミュージック、コンピューター・ミュージックのYMOの音世界で、その等間隔平坦ビートをより強調して前面に押し出している。

これが僕にとっては「快感」なのだ。ダダダダダダと等間隔で強弱無く平坦に、いわゆるコンピューターのビットの様に、怒濤の様に叩き出されるビートは快感以外の何物でも無い。これが前面に押し出されているYMOミュージックは何者にも代えがたい、快感につぐ快感なのだ。

さて、そんな高橋幸宏のドラミングを堪能できるアルバムは、と思いを巡らせれば、まずはこのアルバムに行き当たる。高橋ユキヒロ『音楽殺人(Murdered by the Music)』(写真)。1980年6月21日にリリースされた高橋幸宏の2枚目のソロアルバム。
 

Murdered_by_the_music

 
1980年というYMOがデビューして大人気を博している時期なので、このセカンド盤の音の雰囲気は、しっかりとYMOの音世界を踏襲している。しかし、面白いのは、収録曲11曲中、高橋ユキヒロ作の曲が9曲。ほとんどが高橋ユキヒロの音世界。YMOの初期の時代の音は、この高橋ユキヒロの音世界を優先していたのかもしれない。

そして、このアルバムを聴いて判るのは、高橋幸宏の「音楽的な懐の深さ」。様々なジャンルの音楽を取り込み、それをシンセ・ミュージック、コンピューター・ミュージックの世界に上手く適合させて、お洒落に粋に聴かせてくれる。このアレンジ・センスは絶妙なものがある。

そして、高橋幸宏のシンセ・ミュージック、コンピューター・ミュージックは「ポップ」である。この「ポップ」さが堪らない。YMOのポップ名な面を、この高橋幸宏がしっかりと押さえていたのだ。テクノ・ロック的な感じで、ニューウェーブっぽいところも見え隠れして、教授の「アート」な面と相対した「ポップ」な音世界が独特の個性である。

このアルバムは、YMOのポップな面は、この高橋幸宏が供給していたことを知らしめる、テクノ・ポップの名盤の一枚でしょう。とにかく「格好良い」の一言。良いアルバムです。1980年のリリース当時、行きつけの喫茶店「みちくさ」で、思いっきりヘビロテだったのを思い出しました。

 
 

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2015年8月26日 (水曜日)

YMOの「芸術 (アート)」の部分

我がバーチャル音楽喫茶『松和』、今週は、毎年8月後半のこの時期、恒例の「1970年代ロック祭り」。8月の後半になると、決まって学生時代の夏休みの後半〜終わりの雰囲気を思い出す。今年もこの季節は70年代ロックの大特集。今日は「坂本龍一」。

1978年11月のことである。イエロー・マジック・オーケストラ(Yellow Magic Orchestra・以降YMOと略す)の登場には狂喜乱舞状態だった。とにかく、シンセサイザーが大好きな性分ゆえ、このシンセサイザー・ミュージックの登場は思いっきりワクワクした。ついにここまできたのか、と感慨深かった。

YMOのファースト・アルバム『YELLOW MAGIC ORCHESTRA』を早々に入手し(1978年12月には日本盤を入手完了していた)、これは凄い、と感動に次ぐ感動。そして、そのYMOのメンバーの一人、坂本龍一のソロ盤がほぼ同時期にリリースされていたのに気が付いた。

坂本龍一に注目した動機は単純である。「キーボード奏者だから」。そう僕はキーボード奏者が大好きである。坂本龍一はどういうキャリアを持ったキーボード奏者なのか、全く知らないまま、このアルバムを手にした。

そのアルバムとは、坂本龍一『千のナイフ(Thousand Knives)』(写真)である。このアルバムは凄い。初めて聴いた時、僕は思った。これはポップアルバムでは無い、これはキーボードを使った現代音楽である。そして、このアルバムの内容は完璧に「芸術(アート)」である、と感動した。

僕はこの『千のナイフ』を通じて、坂本龍一を理解した。以降、僕は「教授」にゾッコンである。とにかく、キーボード演奏のセンスが素晴らしい。そして、ソング・ライディングが素晴らしい。日本人にこんなキーボード奏者が居たなんて、全く知らなかった。
 

Thousand_knives

 
冒頭のタイトル曲が素晴らしい。出だしのボコーダーでの会話(というか「毛沢東の詩」らしい)、そして、前奏のシンセサイザー・ポリリズム。大正琴の様なシュミレート音。そして、いきなり出てくるシンセサイザーの目眩く漂う様な、流れる様な旋律。1981年発表のYMOのアルバム『BGM』にてセルフカバーしている。

この1曲目の「千のナイフ」の途中に出てくるエレギが暴力的で素晴らしい。ロック・ギタリストには弾けないアグレッシブでジャジーな旋律。坂本からの注文は「火がついたように弾きまくってくれればいいから」だったそう。このギタリスト、誰あろう、フュージョン・ジャズ・ギタリストの雄、渡辺香津美である。そりゃ〜凄いはず。

3曲目の「Grasshoppers」のピアノ・デュオは完全に現代音楽の響き。欧州ジャズに通じる現代音楽風のインプロビゼーション。もはやこれは「芸術(アート)」である。ポップスな音楽では無い。思わす佇まいを改めて、音に対峙してしまう。

ラストの「The End Of Asia」も名曲、名演の類。後にYMOでも定番の演奏曲になるが、この坂本バージョンが僕は一番、アートを感じる。ポップスな要素を排除し、現代音楽をはじめ、西洋音楽の影響をモロに浴びながら、アジアンテイストなシンセ・ミュージックを構築するという離れ業。脱帽である。

このアルバムでの「教授」の音楽は、凄まじいばかりの構築美とその構築美を脅かすデカダンスが拮抗する、いわゆる「アーティスティックなファシズム」。時代の最先端を行くシンセサイザー・ミュージックの中に潜む「激しさ」と「毒」。YMOの「芸術(アート)」の部分の核心。聴き進むにつれ、意識の中にテンションが積み上がっていく。

 
 

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