素敵なジョン・ルイス楽曲集です
伊ジャズの至宝、欧州ジャズ・ピアニストの第一人者、エンリコ・ピエラヌンツィ(Enrico Pieranunzi)がオーケストラと共演したアルバムがもう一つ。長年共演関係を続けてきた、ルカ・ブルガレッリ、マウロ・ベッジョとのトリオで、イタリアの室内管弦楽団、オルケストラ・フィラルモニカ・イタリアーナとのコラボレーションである。
Enrico Pieranunzi Trio & Orchestra『Blues & Bach - The Music of John Lewis』(写真)。2021年9月16, 17日、イタリアの「Cavalli Musica Auditorium In Castrezzato」での録音。改めて、パーソネルは、Enrico Pieranunzi (p), Luca Bulgarelli (b), Mauro Beggio (ds), Michele Corcella (arr, cond) and Orchestra Filarmonica Italiana。
ジャズとクラシックの融合を真摯に追求した、MJQのリーダーでもあった「ジョン・ルイス」のトリビュート盤。ジョン・ルイスの決定的アレンジと弾き回しで有名な、ヴァーノン・デュークの「Autumn in New York(ニューヨークの秋)」以外、残り7曲はジョン・ルイス作曲の優秀曲をチョイスしている。
冒頭のジョン・ルイスの名曲「Skating in Central Park」から始まる。聴いていて涙腺が緩むほどに僕はこの曲が大好きなんだが、まず、ピエラヌンツィ・トリオの演奏が秀逸。
ピエラヌンツィのリリカルで耽美的なバップ・ピアノによる、この曲の持つ美しい旋律の流れ。そこに印象的に絡むルカ・ブルガレッリのベース。リズム&ビートを効果的にサポートするマウロ・ベッジョのドラム。このトリオの演奏だけでも、十分に「聴かせる」。
そこに、曲の持つ旋律、トリオのアドリブ・ブレーズを効果的に「映え」させるオーケストラの調べ。最初は、これ、トリオ演奏だけで十分やん、と感じるのだが、オーケストラのサポートが入ると、ジャズとクラシックの融合を真摯に追求したジョン・ルイスの「クラシック」志向の部分がくっきり浮かび上がってくる。オーケストラのサポートの存在に納得する。
2曲目の「Spanish Steps」以降、ピエラヌンツィ・トリオの優れた演奏と、それを効果的にサポートするオーケストラのバッキングが素晴らしいパフォーマンスが続く。
特に、3曲目「Vendome」や6曲目「Concorde」でのトリオとオーケストラによる対位法のアレンジや、5曲目「Django」のクラシック志向のアレンジなどは圧巻である。しかも、このクラシック志向の楽曲のジャジーな部分を引き出して、トリオ演奏で表現するピエラヌンツィ・トリオの見事な展開は聴き応え十分。
そして、4曲目「Autumn in New York」における、ジョン・ルイスの決定的アレンジのオーケストラによる再現は見事。そこにピエラヌンツィのリリカルで耽美的なバップ・ピアノが、「ニューヨークの秋」の美しい旋律をシンプルにリリカルに唄い上げる。
僕はジョン・ルイスの、クラシック志向が見え隠れする、ジャジーでブルージーな自作曲が大好きなんだが、このピエラヌンツィ・トリオとオーケストラは、そんなジョン・ルイスの楽曲に素敵なアレンジを施し、ジョン・ルイスの楽曲の持つ、クラシック志向の部分、ジャジーでブルージーな部分をそれぞれ、効果的に浮き立たせ、演奏映えさせている。
ジョン・ルイスのトリビュート盤として、申し分ない内容。ピアノ・トリオ+オーケストラの傑作盤です。
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