2026年2月10日 (火曜日)

1950年代ジャマルのトリオ演奏

レコード・コレクターズ2026年2月号の特集「この曲のピアノを聴け! ジャズ/フュージョン編」。日本の演奏家も含めて、ジャズ/フュージョンを代表するピアノの名演をまとめて紹介するというものだが、有名な名盤からちょっとマニアックな好盤から、ジャズ・ピアノの個性という切り口でチョイスし紹介している、好感の持てる企画記事である。

『Ahmad Jamal At The Pershing: But Not for Me』(写真左)。1958年1月16日、シカゴの「Pershing Hotel」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Ahmad Jamal (p), Israel Crosby (b), Vernel Fournier (ds)。シカゴ在住メンバーで固めた、ラウンジ風ハードバップ・ジャズなピアノ・トリオのライヴ・パフォーマンスの記録。

ジャス・ピアノの代表的名盤といえば、このアルバムは必ず出てくる。ハードバップ時代のトリオ演奏におけるピアノの代表的個性のひとつ。ジャマルは「年代によって異なる顔を持つ」ジャズ・ピアニスト。1950年代は、「間」を活かし、弾く音を限りなく厳選し、シンプルな右手のフレーズと合いの手の様に入る左手のブロックコードが特徴のジャマルのピアノ。
 

Ahmad-jamal-at-the-pershing-but-not-for-

 
そんな1950年代ジャマルの小粋なピアノが満載。ライヴ録音なので、適度な緊張感あって、ラウンジ風のピアノ・トリオではあるが(実際、ホテルのラウンジでの録音)、タッチに力強さもあり、音を厳選する中で、印象的なアドリブ・フレーズを小粋に弾き進めている。とても趣味の良い、聴き心地の良いピアノ。端正で崩れが無いので「面白く無い」という向きもあるが、テクニックのレベルも高く、これも、ジャズ・ピアノの代表的な個性のひとつだろう。

今の耳で、じっくり聴き進めてみると、ジャマルのトリオは、ビ・バップのピアノ・トリオのパフォーマンスを下敷きに、弾く音を限りなく厳選し、左手のブロックコードをシンプルな右手のフレーズと合いの手の様に入れている様に聴こえる。ベースとドラムがリズム・キープに徹しているところも「ビ・バップ」基調だし、少なくとも、このトリオには「インタープレイ」という概念は無い。

上質の、内容のある、ラウンジ風ハードバップ・ジャズなピアノ・トリオだろう。この1950年代ジャマルの、「間」を活かし、弾く音を限りなく厳選し、シンプルな右手のフレーズと合いの手の様に入る左手のブロックコードを、マイルスは評価した。ジャマルのピアノを伴奏に、トランペットを吹けば、トラペットのフレーズがとりわけ映えるだろう。ジャマルを勧誘したマイルスの気持ちが良く判る。
 
 

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2026年2月 7日 (土曜日)

”Deodato/Airto”の不思議

1970年代のクロスオーバー/フュージョン・ジャズの有名レーベル「CTI」。1967年、プロデューサーのクリード・テイラー(Creed Taylor)によって創設されたジャズ・レーベル。テイラーは、このCTIレーベルで、ジャズの再びの大衆化を試み、クロスオーバー/フュージョン・ジャズのブームを牽引した。A&Mレコード内に創設された時の正式名称は「Creed Taylor Issue」で、独立後は「Creed Taylor Incorporated」。いずれも、単語の頭文字をとって「CTI」。

『Deodato/Airto In Concert』(写真左)。 1973年4月20日、マジソン・スクエア・ガーデンの「Felt Forum」での録音。デオダートとアイアートのライヴ・パフォーマンスのカップリング盤。パーソネルは、以下の通り。デオダートのパートと、アイアートのパートで分かれる。

デオダートのパート「Do It Again」「Spirit of Summer」「Tropea」のパーソネルは、Eumir Deodato (key), John Tropea (g), Burt Collins, Joe Shepley (tp), Joe Temperley (bs), Garnett Brown (tb), John Giulino (b), Rick Marotta (ds), Rubens Bassini, Gilmore Degap (perc)。

アイアートのパートParana」「Branches」のパーソネルは、Airto Moreira (perc, vo), David Amaro (g), Hugo Fattorusso (p), Flora Purim (vo)。

ここでは、まずはオリジナル・アルバム、いわゆるLP時代の収録曲に限って語りたいのだが、まず、なぜ、こういうカップリング盤を出したのか、理解に苦しむ。デオダートはデオダート、アイアートはアイアートで、フルアルバムでライブ盤を出しても良かったと思うんだが。
 

Deodatoairto-in-concert
 

ただ、デオダートのパートはパートで、アイアートのパートはパートで、それなりに充実した内容のライヴ・パフォーマンスを発揮している。それぞれの音作りの個性がシッカリ出ていて、どちらも、約20分程度の短いライヴ・パフォーマンスになるが、聴いて楽しめる内容にはなっている。

冒頭の「Do It Again」を聴けば、デオダートの特徴的なブラスの重ね方、心地よい個性的なファズのかかったエレキ・ギター。金太郎飴的なストリングス。どう聴いたって、これはデオダートという演奏で、これはこれで楽しい。2曲目の 「Spirit of Summer」もスローでセンチメンタルな演奏とはいえ、あちらこちらに、デオダート節が炸裂している。

3曲目「Parana」では、アイアートのバンド演奏に代わる。この「Parana」は、ワールド・ミュージック志向のクロスオーバー・ジャズで、アイアートの音の個性がハッキリと出ている。このワールド・ミュージック志向という音作りは、この頃はまだ目新しくてこなれていないが、後に、ジャズの定番の音作りの一つとして定着するもの。アイアートは、その先駆け的な音をここで表現している。

続く、LPのB面にあたる、CDでは4曲目の「Toropea」は、デオダートのバンド演奏に戻る。ジョン・トロペイのギターをフィーチャーしたファンクネス芳しい曲で、トロペイのギターが十分に堪能出来る。切れ味の良いブラス/セクションをバックに、トロペイはバリバリ弾きまくる。

ラストの「Branches」は、やはり、ワールド・ミュージック志向の演奏だが、ちょっと不思議な曲で、パーカッション・ソロから始まり、アイアートとフローラのデュオで終わるという、基本はアイアートのパーカッションの個性をメインに据えた演奏だが、ちょっと中途半端かな、と。だが、アイアートの音の個性ははっきり判る。

それぞれ白熱のライヴ・パフォーマンスなので、聴き応えはある。しかし、これだけ白熱したパフォーマンスである。デオダート、アイアートそれぞれ、最低、LP一枚レベルのフルアルバムにして欲しかった。デオダートのパートだけは後に『Deodato – Live At Felt Forum - The 2001 Concert』のタイトルで出ているみたいだが、「Toropea」が見当たらないのは何故だろう。しかも「Skycraper」だけ、アイアートとの共演。何から何まで、不思議な内容のアルバムではある。
 
 

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2026年2月 5日 (木曜日)

ブルックリン派のドラミング

お気に入り盤で、結構、昔から聴いているのに、なかなか、当ブログで記事化されなかった盤が結構あることに気がついた。あれ〜、という感じなんだが、このブログ、ホームページ時代から数えると、27年間、運営しているのに、全く迂闊なことであった。今年は、そういう「記事化お蔵入り」盤をしっかり記事化しているのを目標のひとつにしている。

Ralph Peterson Quintet『V』(写真左)。1988年4月19-20日の録音。ちなみにパーソネルは、Ralph Peterson (ds), Terence Blanchard (tp), Steve Wilson (as, ss), Geri Allen (p), Phil Bowler (b)。当時のブルックリン派の代表的ドラマー、ラルフ・ピーターソンの初リーダー作である。

冒頭の「Enemy Within」を聴くと、当時、リアルタイムでジャズを聴いていたアドバンテージが発揮されて、ああこの音はブルックリン派の音やな、と懐かしくなる。従来の4ビートやバップの枠組みに捉われず、ロック、ポップス、電子音楽、現代音楽を融合させた、冷徹かつエモーショナルなサウンドが特徴。ジャズの最大の特徴である「即興性と非類似性」を徹底的に追求したジャズの演奏トレンドである。
 

Ralph-peterson-quintetv
 

演奏力が素晴らしい。変則拍子、変則コードチェンジ、モード、ややフリーな展開で、徹底的に「即興性と非類似性」を追求する。ブルックリン派の正反対のアプローチをしたのが、ウィントン・マルサリスが主宰する「新伝承派」で、これは、60年代のモード・ジャズが一番最高のジャズと定義して、この60年代モード・ジャズを徹底的にシェイプアップして即興性と非類似性」を追求する集団だったが、その真逆を行くのが、ブルックリン派だった。

そんなブルックリン派の代表的な音作り、音の展開がこの盤に詰まっている。特に、トランペットのテレンス・ブランチャードと、ピアノのジェリ・アレンのパフォーマンスが図抜けている。そして、そんなフロントのパフォーマンスを支え、導き、鼓舞するラルフ・ピーターソンのドラミングが、全編に渡って映えに映えている。切れ味良く、硬軟自在、緩急自在、変幻自在のドラミングは聴いていてスカッとする。

ブルックリン派の音の特性を把握して、それに適合したドラミングをするのは、結構、テクニック的に高いものが要求されるのだが、ピーターソンは何事も無い様に、疾走感溢れる、切れ味の良い、迫力あるドラムを叩きまくる。この盤だけ取ってみれば、ブルックリン派ジャズの特性を抑えた、ブルックリン派の良いところを体感出来る好盤だと思う。
 
 

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2026年1月30日 (金曜日)

ブルフォード融合音楽のライヴ

1960年代〜70年代、ロックはライヴ盤が苦手だった様な印象がある。スタジオ録音は、スタジオ機材とスタジオワークの粋を尽くして、内容&テクニックの整ったアルバムを制作していたが、それをライヴで再現するのは、かなり難度が高かった様で、一部のバンドを除いて、基本的には、ライヴ盤の演奏は、スタジオ録音盤の演奏に比べて「ショぼい」印象が強かった。

しかし、1970年に差し掛かり、英国でプログレッシヴ・ロック(プログレ)の潮流が沸き起こり、キング・クリムゾン、イエス、ピンク・フロイドとライヴ演奏力の確かさを備えたバンドが出てきた。それでも、クロスオーバー・ジャズのハイテクニックと即興演奏力の凄まじさを、なかなか凌駕することは出来なかった様に思う。

Bruford『Rock Goes To College』(写真左)。1979年3月7日、Oxford Polytechnicでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Bill Bruford (ds, perc), Allan Holdsworth (g), Dave Stewart (key), Jeff Berlin (b), Annette Peacock (vo)。英国の BBC放送局による、番組向けのライヴ録音のアルバム化。

Rock Goes To College (RGTC) とは、英国BBCが、1978年9月22日から 1981年3月19日まで全45回放映されていたプログラムのタイトル名称。大学や工科大学の小さなホール(数千人程度を収容)にて行われた 40〜50分程度のライヴを収録・放映していたそうである。当ライヴ盤は、1979年3月7日英国オックスフォードのオックスフォード工科大学にて行われた「ブルーフォード」のライヴ・パフォーマンスを収録している。
 

Brufordrock-goes-to-college

 
しかし、このブルフォードのライヴ盤を聴いて、このバンドの演奏テクニックの凄さ、即興演奏力の高さには驚愕した。このブルフォードの演奏こそは、クロスオーバー・ジャズのハイテクニックと即興演奏力に比肩する、そう確信した。それもそのはず、このブルフォードの音は「インテリジェンス溢れる、クロスーバー・ジャズとプログレとの融合音楽」で、演奏のベースは、明らかに、クロスオーバー・ジャズ+エレ・ジャズ志向なのだ。

ビル・ブルフォードのドラミングが、ライヴにおいて、更に凄まじさを増している。変拍子+ポリリズム、流麗な8ビートのクロスオーバーなフレーズに、最適なリズム&ビートを供給。存在感抜群。このライヴ盤の全編に渡って、この凄まじき「変拍子+ポリリズム」が、メロディアスで自由奔放に響き渡る。

そして、エレギのアラン・ホールズワースがこれまた凄まじい。クロスオーバー・ジャズギタリストの雄、ジョン・マクラフリンの比肩するテクニックの高さと歌心のある高速アドリブ・フレーズ。そして、ディヴ・スチュワートのキーボード・ワークのセンスの良さ。どう聴いても「ジャズ志向」。そしてそして、ベースのジェフ・ベルリンの重低音なプログレ志向ベースがユニーク。このバンドメンバーだからこその、演奏能力と演奏内容の高さ。

このブルフォードのライヴ・パフォーマンスを聴くにつけ、リーダーのビル・ブルフォードの音楽性の底には、確実に「ジャズ」があったんだなあ、と感じる。彼の「変拍子+ポリリズム+流麗な8ビートのクロスオーバーなグルーヴ」は、エレ・ジャズに最適だったと思われる。そして、かれは生涯、自らのドラミングが活きる「インテリジェンス溢れる、クロスーバー・ジャズとプログレとの融合音楽」を主宰し続けるのだ。
 
 

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2026年1月29日 (木曜日)

ブルフォード融合音楽の傑作

英国ではジャズとロック、あるいはフュージョンとプログレッシブ・ロックの境界線が実にあいまいで、クロスオーバー・ジャズの時代には、ロック・ミュージシャンがジャズをやり、ジャズ・ミュージシャンがロックをやるケースが多かった。このビル・ブルフォードも、そんなミュージシャンの一人。

Bruford『Gradually Going Tornado』(写真左)。ちなみにパーソネルは、Bill Bruford (ds), Dave Stewart (key, syn), John Clark (el-g), Jeff Berlin (b, vo)。ドラマーのビル・ブルフォードの3枚目のソロアルバム。クロスーバー・ジャズとプログレッシブ・ロック(プログレ)との融合音楽(フュージョン)である。

冒頭の「Age Of Information」から、2曲目「Gothic 17」を聴くと、まず「Age Of Information」のイントロ部は明らかにプログレ、シンセの使い方などもプログレ、しかし、即興部もある、インスト中心の演奏の流れは、エレクトリック・ジャズ、いわゆる、クロスオーバー・ジャズの響きが充満している。

このエレ・ジャズの雰囲気、どこかで聴いた様な、と思った瞬間、チック・コリアが主宰する「第2期リターン・トゥ・フォーエバー (RTF)」を想起した。テクニック的には、チック、ディメオラ、クラーク、ホワイトを擁する、第2期RTFの方が一枚上だが、プログレ度については、さすが英国出身、Brufordの方が一枚上。どちらも、基本的な音楽の志向はよく似ている。
 

Brufordgradually-going-tornado

 
Brufordについては、ドラマー&リーダーのブルフォードは有名だが、他の3人は馴染みがない。それでも、出てくる音は、ハイテクニックで流麗、力感溢れ、スピード感&重量感満載。こんなキーボーディストが、こんなベーシストは、こんなギタリストがいるんだ、と感心することしきり。第2期RTFと比肩する演奏力と構成力。我が国で、ほとんど無名だったのが不思議なくらい。

ブルフォードのドラミングが凄まじい。変拍子+ポリリズム、流麗な8ビートのクロスオーバーなフレーズに、最適なリズム&ビートを供給し、鼓舞し、フロント楽器のフレーズを映えさせる。この盤の全編に渡って、この凄まじき「変拍子+ポリリズム」が、メロディアスで自由奔放に響き渡る。

このブルフォードのドラミングを聴いていると、彼が、録音時、曲のパーツ毎にしか叩けない「Yes」から、即興演奏志向の「King Crimson」へ移籍したのも頷ける。そして、その「King Crimson」が休眠状態になったので、それでは、ということで、自分でバンドを立ち上げた、ということ、納得である。

一言で言うと「インテリジェンス溢れる、クロスーバー・ジャズとプログレとの融合音楽」。精巧に作られた楽曲構成、ダイナミックなエネルギーに満ち、テクニックは印象的。プログレとエレ・ジャズのいいところをしっかりとクロスオーバーさせた融合音楽。クロスオーバー志向のエレ・ジャズとして一級品。傑作である。
 
 

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2026年1月 5日 (月曜日)

”Jazz At Massey Hall”を再聴

初心者向けのジャズ盤紹介の中で、この盤がなぜ、初心者向けの、ジャズ入門者向けのアルバムとして紹介されているのか、理解に苦しむアルバムが何枚かある。どう考えたって、そのアルバムの演奏内容って、ジャズ者中級者レベルでも、ちょっと難しいものが、初心者向けのジャズ盤紹介に上がったりしている。その代表格がこの盤、かな。

『The Quintet: Jazz At Massey Hall』(写真左)。1953年5月15日、カナダ・トロントの「マッセイ・ホール」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Dizzy Gillespie (tp, vo), Charlie Parker (as), Bud Powell (p), Charles Mingus (b), Max Roach (ds)。 メンバーそれぞれが「ビ・バップ」の立役者、ビッグ・ネームばかり5人が集結したクインテット編成。

このライヴ録音では、ハプニング続きで、資料を見る限り、通常であれば、ライヴ・パフォーマンスをするような状態ではなかった。そもそも、このライヴが行われた時間帯に、ロッキー・マルシアーノとジャージー・ジョー・ウォルコットのボクシングの試合が同時開催されていたのが元凶で、コンサートを見に来る観客が激減。演奏メンバーへのギャラがまともに払え無い状態。

加えて、パーカーは、質屋に入れてしまった自分の楽器の代わりに、借りてきた白いプラステック製のアルト・サックスで演奏、加えて、契約の関係で、アルバムには「チャーリー・チャン」の変名でクレジットされている。ガレスピーは、ボクシングの試合が気になって、自分のソロが終わると、楽屋に引っ込んでテレビを見ていた。真面目実直なミンガスは、そんなガレスピーに切れて食ってかかったとか。とまあ、まともな演奏ができる状態では無い(笑)。
 

The-quintet-jazz-at-massey-hall
 

しかし、このライヴ音源を聴けば、それぞれが水準以上の演奏をくり広げているのだから、ジャズというのは「良く判らない」(笑)。ボクシングが見たくて、気もそぞろだったガレスピーは溌剌とトランペット・ソロをくり広げ、パーカーは、プラスチック製のアルト・サックスとは思えない、エモーショナルなバップ・フレーズを吹き上げる。問題児2人のフロントは、意外とまずまずのパフォーマンスをくり広げている。が、ベストに近いとは思えないけど。

パウエルのピアノは、彼として水準レベルの演奏に留まる。体調が優れなかったのだろう。覇気が不足している様に感じる。ドラムのマックス・ローチが一番安定していて、ビ・バップ時代で活躍していたと同じレベルのドラミングを披露していて立派。一番、実直真面目だったミンガスのベースは、実際の録音では、録音レベルが低すぎたので、後日、オーヴァーダビングしている。なので、ミンガスのベースのパフォーマンスは割り引いて聴くしかない。

2002年にジャズファクトリーレーベルからリリースされた『 Complete Jazz at Massey Hall』(写真右)には、オーヴァーダビングなしのコンサート全曲が収録されている。これは「ジャズの歴史の記録」としては有用だが、ミンガスのベースが聴き取り難く、ライヴ音源としては、明らかにレベルは落ちる。

メンバーそれぞれが「ビ・バップ」の立役者、ビッグ・ネームばかり5人が集結したライヴ音源なので、ジャズ初心者の方々が「ビ・バップ」時代のビッグネームの演奏を、まとめて手軽に聴けるお徳用盤、という評価もあるが、それは逆だろう。ビッグネームそれぞれのベスト・パフォーマンスを体験・理解してから、このユニークなライヴ盤を聴くべきで、ビ・バップを理解しているからこそ、エピソードも含めて楽しめる、ユニークなライヴ盤である、と僕は解釈している。
 
 

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2025年12月 4日 (木曜日)

1970年代西海岸ジャズの名演

ボサノヴァ・ギタリストの第一人者のアルメイダと、西海岸ジャズを代表するサックス奏者のシャンクが中心になって結成された「L.A.フォア」。バックのリズム&ビートを司るリズム隊に、ジャズ・ベースのレジェンド職人、レイ・ブラウン、西海岸ジャズを代表するドラマー、シェリー・マンが控える。テクニック優秀、歌心満載、極上のカルテット演奏を聴くことが出来る。

『The L.A. Four Scores!』(写真左)。1974年7月27日、カルフォルニアの「Concord Boulevard Park」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Bud Shank (sax, fl), Lurindo Almeida (g), Ray Brown (b), Shelly Manne (ds)。西海岸ジャズを代表するサックス奏者、バド・シャンクと、ボサノヴァ・ギタリストの第一人者、ローリンド・アルメイダが中心になって結成されたジャズ・グループ ”L.A.フォア”の、The Concord Summer Festival で行ったライヴ音源。

演奏の雰囲気は、ウエストコースト・ジャズ。アルメイダのギターが入っているので、ブラジリアン・ジャズへの展開もあるので、演奏のアレンジがふるっている。聴き手を十分に意識した「聴かせるジャズ」、いわゆる、ウエストコースト・ジャズの十八番。1970年代の純ジャズ演奏なので、ジャズ・ファンクの演奏もあって、これはこれで、また見事にアレンジされている。
 

The-la-four-scores

 
フロントのアルメイダとシャンクが見事なパフォーマンスを披露するなら、リズム隊のレイ・ブラウンのベースと、シェリー・マンのパフォーマンスもこれまた見事。特級のリズム隊。ベース音がブンブン響き、ドラムがタイトなビートを叩き出す。変幻自在、硬軟自在、緩急自在のリズム&ビートをフロントに供給し、フロントを支え、フロントを鼓舞する。フロントと対等の立場のリズム隊。これが、”L.A.フォア”の最大の魅力。

ドラム・ブレイクではじまるファンキーな冒頭の「Sundancers」、メロウなアルメイダのギターと、シャンクのフルートがクール。2曲目は、お洒落なサンバ・ジャズが小粋な「Carioca Hills」。5曲目は、ボッサ・ビートに見事に乗った、ソフト&メロウなシャンクのフルートが魅力の「Cielo」。そして、ラストは、究極のボサノヴァ・ジャズ「 Manha De Carnaval」(黒いオルフェ ”カーニヴァルの朝”)。

1950年代のウエストコースト・ジャズの良いところをそのままに、1970年代に実現している小粋なカルテット。ダイナミックで繊細、ファンキーでボサノヴァチック、クールで耽美的。ウエストコースト・ジャズの切れ味の良い、聴き応えのあるグルーヴをそのまま、1970年代に連れてきた、そんな ”L.A.フォア”の躍動感溢れるパフォーマンスが、余すところなく記録されているライヴ盤である。
 
 

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2025年11月21日 (金曜日)

ドイツ発, 現代の”ニュー・ジャズ”

ウォルフガング・ハフナーは、1965年、ドイツ生まれのドラマー。今年で60歳。メインは、純ジャズ、フュージョン・ジャズがメインだが、チャカ・カーンなどのサイドメンとして R&B、ロック、ポップスでも活躍する、マルチ・タレント的ドラマーである。

Wolfgang Haffner『Life Rhythm』(写真左)。2024年1月、ベルリンでの録音。ちなみにパーソネルは、以下の通り。現代のドイツ・ジャズを代表する、国際的にも活躍するベテラン・ドラマー、ウォルフガング・ハフナーの18枚目のリーダーである。

Wolfgang Haffner (ds), Simon Oslender (p, key), Sebastian Studnitzky (tp), Arto Mäkelä (g), Thomas Stiege r(b, sitar guitar on #07), に、ゲスト・ミュージシャンとして、Nils Landgren (tb on #01),Thomas Konstantinou (oud on #05), Shantel (additional production, electronics & mix on #05), Dominic Miller (ac-g on #06), Bruno Müller (rhythm-g on #06), Nicolas Fiszman (b on #06), Bill Evans (ss on #08)。

ドラムから音楽を創るハフナーが、リズム&ビート、そして、グルーヴをメインとした、ジャズ・パフォーマンスを成立させている。ハフナーの変幻自在、硬軟自在、緩急自在なドラミングが、バンド全体のグルーヴをリードし、コントロールする。そして、リズムとメロディーとが相互反応し、創造的で先進的なパフォーマンスを生み出している。
 

Wolfgang-haffnerlife-rhythm  

 

「ドラムセットが単なるリズム楽器以上のものになり得る」というハフナーの探求が、このアルバムの音に反映されている。パーカッションループやライブ・エフェクトを試し、ステージを録音スタジオに仕立て、ハフナーのドラムが演奏全体をリードし、メロディー楽器が、そのリズム&ビートに反応して、印象的なフレーズを紡ぎ出し、ハフナーのバンド独特のグルーヴを生み出す。

タイトル曲「Life Rhythm」を聴けば、それが良く判る。ハフナーの、シンバルではなくドラムがパルスを刻む。ドライブ感のあるグルーヴを創り出す。これが実にユニーク。そして、続く「Balance」では、ハフナーの情感がこもった穏やかなブラシワークで我々を魅了する。「Joy of Life」ではシンバルのグルーヴを叩き出し、「Eternity」ではエレクトロニクスを駆使した、現代のニュー・ジャズの最先端を行くパフォーマンスを聴かせてくれる。

バンドのメンバーはじめ、ゲスト・ミュージシャンに至るまで、ハフナーの創造するドラミングが演奏全体のトーンとグルーヴに導かれて、印象的なフレーズを紡ぎ出し、ドラムから創り出すパフォーマンスを成立させている。

これぞ、現代の「ニュー・ジャズ」。1970年代、当時の「ニュー・ジャズ」は、やはりドイツのECMが発信を担った。そして、このハフナーはドイツ・ジャズの代表格。ドイツ・ジャズは、やはり隅に置けない。
 
 

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2025年11月 8日 (土曜日)

ベツレヘムの異色”ビッグバンド”

カタログを眺めていると、あれっ、と思うんだが、他のジャズ・レーベルに比べて、ボーカルものが多い。なんと、カタログ全体の4分の1がボ-カル盤。つまりは、ベツレヘム・レーベルは「ジャズ・ボーカルの宝庫」。しかし、ビッグバンド・サウンドにも手を出しているのにはビックリした。ベツレヘムのビッグサウンドとはどんなものなのか。興味津々である。

『Art Blakey Big Band』(写真左)。1957年12月、NYでの録音。ベツレヘム・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Ray Copeland, Bill Hardman, Idrees Sulieman, Donald Byrd (tp), Frank Rehak, Jimmy Cleveland, Melba Liston (tb), Bill Graham, Sahib Shihab (as), Al Cohn, John Coltrane (ts), Bill Slapin (bs), Walter Bishop, Jr. (p), Wendell Marshall (b)。

端正な、お手本の様なビッグバンド・サウンド。パーソネルを見渡すと、ビッグネームがズラリ。リーダーでドラムのアート・ブレイキー。そして、トランペットにドナルド・バード、トロンボーンのジミー・クリーブランド、アルト・サックスにサヒブ・シハブ、テナーには、アル・コーンとジョン・コルトレーン、ピアノに、ウォルター・ビショップ・ジュニア、ベースにウエンデル・マーシャル。
 

Art-blakey-big-band

 
ビッグバンド・サウンドとして、この盤の面白いところは、「Tippin」と「Pristine」では、アート・ブレイキー率いるクインテット( Art Blakey (ds), feature a quintet of Donald Byrd (tp),, John Coltrane (ts), Walter Bishop Jr.(p), Wendell Marshall (b)) のパフォーマンスがフィーチャーされるアレンジで演奏されていること。これ、聴いていて意外と面白い。

急造のビッグバンドなので、パーマネントなビッグバンドの様な、突出した個性や特色があるという訳では無いが、ビッグネームのソロ・パフォーマンスについては、それぞれの個性をしっかり出して吹きまくるので、それはそれで楽しめる。ブレイキーのドラミングだって、メッセンジャーズでの「ナイアガラ・ロール」よろしく、ブレイキー独特の個性で叩きまくる。これが、また良い。

これだけ、ビッグネームが集まってのビッグバンド演奏である。もちろん、パーマネントなビッグバンドでは無い。このレコーディングの為に集められた急造ビッグバンドである。まとまらなくて当たり前なのだが、これがまあ、端正で迫力満点、テクニック極上のビッグバンド・サウンドに仕上がっているのだから、大したものである。プロデューサーのリー・クラフトと、リーダーのアート・ブレイキーの大手柄だろう。
 
 

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2025年11月 6日 (木曜日)

ジャス喫茶で流したい・305

僕が本格的にジャズを聴き始めたのが1978年。そして、その翌年、このアルバムを聴いた時、その時点での、その時代での日本のジャズは、世界のジャズに比肩するレベルにあることを初めて確信した。我が国の音楽は、西洋、欧州や米国の後塵を拝してきたイメージがあったが、ジャズは違う。そう感じさせてくれたアルバムがこれだった。

富樫雅彦 & 鈴木勲『陽光』(写真左)。1979年2月1-3日、東京での録音。ちなみにパーソネルは、富樫雅彦 (ds, perc, synth, solina), 鈴木勲( b, piccolo-b, cello, p, solina)。我が国の純ジャズ系ドラマーの鬼才レジェンド、富樫雅彦と、我が国のジャズ・ベーシストのレジェンド、鈴木勲とのデュオ盤。

富樫雅彦は本職はドラム、鈴木勲は本職はベース。ドラムとベースのデュオか。ちょっと地味な感じがして、聴いていて飽きなければ良いが、と思いつつ、レコードの針を落としたら、ほど無くピアノの音が滑り込んできたので、あれ、ドラムとベースのデュオじゃなかったか、とパーソネルを見ると、富樫がシンセサイザーを、鈴木がピアノとシンセサイザーを弾いていて、の多重録音。
 

Photo_20251106222001   

 
演奏の基本は、フリー〜スピリチュアル・ジャズ。フリーの部分は、米国東海岸の様な、激情に身を預けて、心の赴くまま、無勝手流に弾き散らすのでは無く、現代音楽のエッセンスを融合した、広がりと間を活かした即興演奏をベースとした、独特のフリー・ジャズ。演奏全体の透明度と間の静謐度の濃い演奏は、欧州のECMレコードに通じる、レベルの高いものだった。

理路整然としたフリーな演奏、その透明度の高さ、間の静謐度の高さは、和ジャズ独特の「侘び寂び」を基本とした、スピリチュアル・ジャズを表現している。リズム&ビートは即興をベースとしていて、この辺りは、ECMレコードの「ニュー・ジャズ」を展開を踏襲している様に感じるが、音の暖かさとカラフルさは、和ジャズ独特の「ニュー・ジャズ」である。

冒頭の「A Day Of The Sun」。シンセとピアノのイントロからサンバ・ビートに展開するスピリチュアル・ナンバー。このタイトル曲に代表される様に、この盤には、我が国独特のフリー〜スピリチュアル・ジャズが詰まっている。1979年度・スイング・ジャーナル誌ジャズ・ディスク大賞受賞作品。この大賞受賞は納得。世界のジャズに比肩する、アーティスティックな、ニュー・ジャズ志向のフリー〜スピリチュアル・ジャズでした。和ジャズの名盤の1枚でしょう。
 
 

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