JM・トリビュート 『25 -Tribute To Art Blakey』
先週の木曜日、突如として眩暈が酷くなり、金曜日は強烈な頭痛、土曜日は胃炎から大腸炎を併発。木曜日から日曜日まで、基本的に伏せっていました。昨日の昼過ぎから、なんとか体調が上向きに。今日はなんとか本業に勤しんできました。が、大変に疲れた。
この4日間ほど、基本的に音楽を聴けない状態だったので(体調の悪化で音楽を聴きたいという欲求が芽生えない)、なんか殺伐とした日々を送って来たような感じです。やっぱり、音楽の無い生活って不毛ですよね。今朝からやっと音楽に耳を傾ける様になりましたが、やっぱり音楽って良いです。
さて、今日のお題は、Manhattan Jazz Quintet(略してMJQ)。MJQと略しても、Modern Jazz Quartetではありません。マンハッタン・ジャズ・クインテットです。このMJQも結成されてから、はや25年以上が経過しました。もはや、老舗中の老舗バンドです。2009年、そんなMJQが結成25周年の記念アルバムをリリースしました。そのタイトルが『25 -Tribute To Art Blakey』(写真左)。
あの正統派ジャズの老舗中の老舗バンドであった、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズのトリビュート盤です。2009年2月27、28日 ニューヨーク での録音。ちなみにパーソネルは、David Matthews (p,arr), Lew Soloff (tp), Andy Snitzer (sax), Charnett Moffett (b), Victor Lewis (ds)。やはり、マシューズのアレンジが楽しみです。
さて、その内容はというと・・・。一言で言うと「う〜ん」。アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズは、リーダーのアート・ブレイキーが、その時代時代で、メンバーの中から音楽監督(アレンジャーも兼ねる)を任命し、ジャズ・メッセンジャーズの音作りを全て、その「音楽監督」に任せて来ました。
そして、今回、このMJQのトリビュート盤を聴いて、ジャズ・メッセンジャーズって、音楽監督が替われど、ジャズのトレンドが変われど、ジャズ・メッセンジャーズ節とでも形容できる、ジャズ・メッセンジャーズならではの音作りが基本にあるということに気が付きました。
音楽監督が替わっても、その音作りの本質と響きの基本は変わない。そんなジャズ・メッセンジャーズの音作りの基本に触れた気がして、ちょっと感動しました。
ジャズ・メッセンジャーズの音作りの基本は、やはり「ゴルソン・ハーモニー」と、リーダーのブレイキーのドラミング。ベニー・ゴルソンが編み出した、ファンクネスの強い独特のユニゾン&ハーモニーの重ね方。この「ゴルソン・ハーモニー」の礎の部分は、どの音楽監督の時代にもしっかりと踏襲され、ブレイキーのドラミングの個性と相まって、ジャズ・メッセンジャーズの音の根幹を担っています。
さすがに、MJQの総帥デヴィッド・マシューズは、この「ゴルソン・ハーモニー」を踏襲することは避けています。まあ、踏襲してしまうとジャズ・メッセンジャーズの音そのものになってしまうので、それでは単なる「物真似」。それは、マシューズはどうしても避けたかった様です。
で、ジャズ・メッセンジャーズの有名曲を他のアレンジ、ここではマシューズのアレンジで焼き直しているんですが、この試みはあまり成功しているとは思えません。ユニゾン&ハーモニーの音自体が単純で薄くなってしまう。ジャズ・メッセンジャーズのゴルソン・ハーモニーのぶ厚くて複雑な音の重なりと溢れ出てくるファンクネスが、マシューズのアレンジでほとんど希薄になってしまっている。
これでは、色濃いファンクネスが売りのジャズ・メッセンジャーズの楽曲をトリビュートとしてアレンジし直した甲斐が無い。併せて、バンドの演奏も、ユニゾン&ハーモニーからアドリブに至るまで、何時になく荒い。どうも、アレンジがしっくりきていない様な雰囲気をありありと感じます。
このジャズ・メッセンジャーズのトリビュート盤を聴いて、逆に、ジャズ・メッセンジャーズの音の個性が、如何にワン・アンド・オンリーなものかが良く判りました。誰にも真似出来ない、ジャズ・メッセンジャーズ独特の個性。しかも、それを1950年代後半以降、1990年にブレイキーが鬼籍に入るまで、30年以上も保ってきたという事実。いや〜、アート・ブレイキー恐るべし、です。
マシューズの卓越したアレンジ、MJQのメンバーの凄腕を持ってしても難しい「Tribute To Art Blakey」。アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズの音の個性は、なかなか他のアレンジではしっくりいかない様です。
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