2013年6月 2日 (日曜日)

ジョージの考えるAOR・第1弾

『Extra Texture(Read All About It)』、邦題は、なんと『ジョージ・ハリソン帝国』(写真左)。凄い途方も無い邦題である。この途方も無い邦題のお陰で、当時、高校2年生だった僕は、このアルバムを「駄作」と決めつけ、このアルバムを聴いたのは、それから4年後、大学2回生になってからである。なんと罪作りな邦題であることか(笑)。

さて、この『ジョージ・ハリソン帝国』、米国では1975年9月22日にリリース。日本では10月20日に東芝EMIからリリースされた。当時は米国で発売されてから、1〜2ヶ月遅れて、日本でリリースされていた。日米同時リリースとなるのは、もっと後のこと。

このアルバムは、先の理由により、リリース当時、リアルタイムでは聴いていない。まあ、この邦題と、このよく見れば凝ってはいるが、ぱっと見、地味なデザインのジャケットからすると、触手が伸びないのは仕方の無いこと。僕が初めてこのアルバムを聴いたのは、1979年の秋である。

当時、米国ポップス界は「AORブーム」。日本では「アダルト・オリエンテッド・ロック」と解釈され、いわゆる「大人の粋でお洒落なロック」として、やはり大ブームとなっていた。そんな「AORブーム」の最中に、この『ジョージ・ハリソン帝国』である。これがまあ、違和感が無いというか、しっくり来るというか、初めて聴いた時の感想が、「このジョージのアルバムって、AORやん」。

しかし、この『ジョージ・ハリソン帝国』のリリースは1975年。AORの先取りしていたことになる。これは、前作『Dark Horse』に比べて、アレンジが格段に重厚になったことによる。特にシンセの導入が良い効果を醸し出しており、このシンセやキーボードを駆使していたのが、後に、AORの敏腕プロデューサーとなる、デヴィッド・フォスター。彼の参加が、このアルバムにとってはラッキーだった。
 

Extra_texture_2

 
しかし、AORフレイバーが好影響を与えているとは言え、冒頭の「You」以降、アルバム全体を覆う雰囲気は、かなり内省的。というか、ちょっと重苦しく暗い。バラード調の曲やミッドテンポでじっくりと歌い込む曲が殆どなので、このアルバム全体を覆う雰囲気は、実に惜しい。

とにかく、このアルバムに収録されたジョージの曲は全て出来が良い。しかも、AORな雰囲気にしっくりくる。セルフ・プロデュースでは無く、他の敏腕プロデューサーに託したら、もっと聴き応えのあるアルバムに仕上がっていたと確信できるだけに実に惜しい。名盤になり損ねた、実に惜しいアルバムである。

でも、アルバム全体の出来は、前作『Dark Horse』を遙かに凌ぐ出来で、聴き応えは十分にある。ジョージの考えるAOR盤として、僕は重宝している。

ちなみに、アルバムの原題「Extra Texture(Read All About It)」は、新聞の号外(extra)を配る際の決まり文句(Extra! Extra! Read All About It)のもじりとのこと。

加えて、ジョージが、EMI・アップルに残した最後の作品で、オリジナル盤のレーベルには、芯だけになったリンゴの絵が描かれていた(写真右)とのこと。う〜ん、ジョージってシニカルやなあ。

しかも、このアルバムの邦題『ジョージ・ハリソン帝国』は、相当に趣味が悪く、酷い邦題だと思うんですが、収録されたそれぞれの曲にも、相当に趣味が悪く、酷い邦題が付けられていて閉口します。まあ、一度、ネットで確認してみて下さい。

 
 

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2013年6月 1日 (土曜日)

1974年のジョージの佳作です。

懐かしい響きを宿したアルバムである。Geroge Harrson『Dark Horse』(写真)。1974年11月20日に発表されたジョージ・ハリスンのオリジナル・アルバム。日本では翌年2月5日にリリースされた。

1975年2月5日かあ。懐かしいなあ。このアルバムは、ビートルズのジョージ以外で、ジョージ・ハリソンの音世界に初めて触れた、記念すべきアルバムである。なんせ、ジョージの代表盤である『All Things Must Pass』はLP3枚組で、当時、高校1年生の財力で買えるはずも無く、『Living in the Material World』なんて、情報不足の時代、その存在すら知らなかった。

この『Dark Horse』だって、友人から借り受けて、カセット・テープにダビングさせて貰って聴き込んだ。当時、高校1年生の財力で、そうそうLPなんて買えない(笑)。それでも、このアルバムは、僕に録って、ジョージ・ハリソンのソロ・アルバムの初体験である。懐かしいなあ。でも、高校生当時は、曲作りやアレンジがマニアックで個性的で、どうにもこうにも良く判らんかったなあ(笑)。

さて、今の耳で聴いてみるとどうか、ということであるが、このアルバム、ジョージのアルバム紹介で、ほとんどの評論家の方々が口を揃えて「イマイチ」「良く無い」と書き立てているが、そんなに内容の良くないアルバムなんだろうか。

確かに、ジョージのボーカルは状態が良くないことは確か。でも、ジョージの声は、もともと「しわがれ系」なので、そんなに声高に指摘するものでも無いでしょう。まあ、ちょっと「しわがれ」が過ぎるところはありますがね〜。LP時代、B面の初っぱなに出てくる「Ding Dong, Ding Dong」でのボーカルは、あまりに「しわがれ」ていて、そのポップな曲調と比して、ちょっと怖い感じですが(笑)。
 

Darkhoese

 
収録されている曲は、どれもがジョージらしい個性が出た良い曲が多い。このアルバムに来て、ジョージの代表盤である『All Things Must Pass』の「スワンプ熱」から冷めて、ジョージならではのロック・ポップな曲調は意外と心に沁みる。そう、このアルバムは、スワンプ熱から冷めた、ジョージならではのポップ・ロックな音が詰まったアルバムなんだ。

ジャケットを見ると、ジョージは宗教に走っている、インド音楽に染まっている、という先入観を持って、どうしてもこのアルバムを聴くことに抵抗を感じる向きもありますが、心配いりませんよ。歌詞をじっくりと眺めることが無ければ、このアルバムは、宗教臭さ、インド音楽臭さはほとんどありません。大丈夫です。まあ、ラストの「t Is "He" (Jai Sri Krishna) 」だけは、タイトルからして「ど真ん中」なんですが(笑)。

確かに、曲順含めて、アルバム全体の作りは荒いですね。これは、1974年の米国ツアーの開始時期に合わせてリリースするところが、なかなかまとまらず、米国ツアーの終わりにやっとリリースされた、という背景を考えると、アルバム全体をしっかりと取り纏める前に、時間切れでリリースしてしもうた、という感じで、仕方の無いことでしょう。

収録された曲はそれぞれ良い曲ばかりなので、このアルバムの全ての曲をアレンジし直して、調子の良いジョージのボーカルで、セルフ・カバーして欲しかったなあ。もうジョージは鬼籍には入ってしまったので、叶わない夢なのですが・・・。

とにかく、ジョージのアルバム紹介本や記事の評論家の方々の辛口の批評を気にせず、ジョージ者の方々であれば、是非とも聴いて欲しい佳作です。逆に、ジョージ者でなければ「よ〜判らん」で終わってしまうアルバムかも知れませんね。それだけ、ジョージの個性が強いアルバムだと言えると思います。

 
 

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2012年10月28日 (日曜日)

ジョージのソロ・ワークスの原点

『All Things Must Pass』より3年を経て、次なるスタジオ・アルバム『Living in the Material World』(写真左)をリリース(この間に1971年のライヴ・アルバム『Concert for Bangladesh』があったが・・・)。

昨日にご紹介した名盤『All Things Must Pass』の続編的なものを期待すると肩すかしを食います。ビートルズ時代のジョージの音作りとはかなり違っており、このアルバムが、ジョージ・ハリソンのソロ・ワークスの原点と言うべき、アルバムだと僕は思っています。

前作『All Things Must Pass』での中心的なセッション・メンバー(リンゴ・スター、ジム・ケルトナー、ニッキー・ホプキンス、クラウス・フォアマン)が継続して参加しているが、ジョージのこの頃の好みであったアコースティックな音作りがしっかりと施されています。

アルバム全体が一つの音色に貫かれていて、アルバム全体の完成度は高く、このころのジョージの哲学・思想もしっかりと色濃く反映されていて、「ポピュラーソング」という枠を超えた、実にアーティスティックなアルバムに仕上がっています。

加えて、ジョージの宗教好きは、このアルバムでピークに達し、アルバムのそれぞれの曲の歌詞には、宗教的な色合いの濃いものも結構ある。
 
 
Living_in_the_material_world
  
 
「精神主義」と「人間への嫌悪感」がごちゃ混ぜになった内容は難解な部分を含んでいるので、ちょっと取っつきにくいかも。精神主義については「Living in the Material World」や「Give Me Love」などに、また人間への嫌悪については「Sue Me, Sue You Blues」で、明確な形で歌われている。

また、どことなくフォークの感触を感じさせる本作には、今までにない、新たな発見を与えてくれるトラックがいくつかある。

内省的な「Be Here Now」、ポップな「Don't Let Me Wait Too Long」と「The Lord Loves the One」、ウォール・オブ・サウンドがわずかながら再現される「Try Some, Buy Some」などは、このアルバム独特の聴きどころと言える。期待が高すぎたせいで、批評家の反応も思わしくなく、ファンからは不満の声が上がった。なんだか損をしているアルバムではある。

僕は、ジョージのソロ・ワークスにどっぷりと浸りたい時は、先にご紹介した『All Things Must Pass』とこの『Living in the Material World』の2枚に絞って、じっくり耳を傾ける。極端に言えば、ジョージを愛でるのはこの2枚が最適なのである。

 
 

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2012年10月27日 (土曜日)

すべては移り変わってゆく・・・

今年は、ビートルズ生誕50周年である。とは言うものの、目立った企画がある訳では無い。オリジナルLPが再発されるくらいかなあ。そして、その2012年もあと残り2ヶ月である。しかし、ビートルズ生誕50周年である。今年の残りの土日は、ビートルズやビートルズのメンバーにまつわるアルバムを取り上げたい。

さて、ジョージ・ハリソンは、かの偉大なるザ・ビートルズのメンバーだった訳であるが、このビートルズにおいて、ジョージ・ハリスンの立場は非常に厳しいものであったことは想像に難くない。バンド内でコンポーザーとして主導権を握っていたのは、ジョン・レノン&ポール・マッカートニーの2人であり、ハリソンは優れたソングライターでもあったのだが、作品発表の場に恵まれなかった。

そして、1970年にビートルズは解散。同年、彼は当時としては異例中の異例の3枚組(!)アルバム『All Things Must Pass』(写真左)を発表する。思うに、ジョージ・ハリソンと言えば、やっぱり、まずはこの『All Things Must Pass』でしょう。まず、これを体験しないと、ジョージ・ハリソンを体験したとは言えない、それくらいの「大傑作名盤」です。

しかし3枚組ですよ、3枚組。中学〜高校時代、僅かばかりの小遣いの中から捻出できる金額ではなかったなあ。だから、フル・アルバムとして聴いたのは、大学に入ってから、しかも、友達から借りて、カセットテープにダビングして聴き込んだことを覚えている(笑)。

プロデューサーにフィル・スペクターを迎え、デラニー&ボニーとの友好関係からアメリカ南部のミュージシャンたちが大挙参加。では、ジョージの曲はと言えば、アルバム全体を通して、全ての曲が美しく、心地よく、とにかく「ジョージの音、ジョージの曲」という、個性がはっきりとした楽曲が並ぶ。後期ビートルズ色が濃い部分もあって、やはり、ビートルズ時代に書きためたオリジナルを一気にはき出した、という言葉がピッタリな感じだが、でもジョージからすると、溜飲が下がったんだろうな。

でも、何も3枚組で出さなくてもいいのに。1枚ずつ、小出しにリリースしていく、ということは考えなかったのかなあ。でも、これもジョージらしいといえば、ジョージらしいと言える。オリジナルジャムの方は、なぜ、こんなジャム・セッションをわざわざ収録しなければならなかったのかな、とは個人的には思いますが、それはそれとして、喜々として、メンバーと楽しみながら、アマチュアのように演奏しているジョージの姿が目に浮かぶ。ちょっと微笑ましく、かといって、ジョージの暴挙でなければ納得できない、複雑な気持ちのするジャム・セッションではある。
 

All_things_must_pass

 
アルバム全体を支配する録音も実に特徴的で、1970年代を代表する録音プロデューサーの一人、フィル スペクター(アルバム『Let It Be』でお馴染のプロデューサーです)のサウンドの代表作ともいえる、いわゆる「音の壁」が炸裂。エコーをかけたボーカルに、何度も多重録音された楽器の音が何重にも重なり、独特のベールを被ったような「不思議なモコモコ」した音が実に特徴的。

フィル・スペクターの「音の壁」は、他のアルバムでも聴くことができますが、この『All Things Must Pass』では、実に分厚く「音の壁」がかかっており、「音の壁」ファンには堪えられない音世界になってます。ジョージはこのエコー過剰のオーバープロデュースを問題視し、リリース前に再ミックスを考えたほどだったらしい。デジタルのクリアな音を聴き慣れた耳には「録音状態最悪」に聴こえるかもしれない(笑)。

さて、この『All Things Must Pass』はこのままでは終わらない。2001年1月には名盤『All Things Must Pass』にボーナス・トラックを追加したアルバムをニュー・センチュリー・エディション(写真右)として発表。2000年に録音した「マイ・スウィート・ロード2000」や未発表だった曲なども収録。ジョージ・ハリソンがビートルズ解散後間もない1970年に発表した傑作が、30年の時を経て、新たにデジタル・リマスタリングされ、生まれ変わっている。

以前のCDと比べ音が格段に向上、加えて、未発表ヴァージョン曲や新録音の楽曲を収録、さらに曲の収録順番まで新たに見直された。プロデューサーのフィル・スペクターによる「音の壁」も、アナログ的なモコモコ感が払拭されて、かなりクリアな音になった。

そういう意味では、あれから30年たって、やっとジョージ好みの音にリミックスされた、とも言えるのですが、あの独特な「音の壁」が身をひそめ、LP時代の音とは全く別次元の「つぶのしっかりした芯の有る音」に劇的に変化したことが、良いことなのか悪いことなのか、なんだか、複雑な思いです。

ジョージが目指した(であろう)サウンドを聴くなら本盤を、1970年のあの懐かしい、LP時代のスペクターサウンド「音の壁」を聴きたければ旧CD(旧ミックスは、とてもわかりやすい典型的なスペクターサウンドです)を、というお勧めにもなりそう。

そして、ジョージ・マニアは両方必要ですね、これは・・・。なんだか悩ましいアルバムが出たものだなあ。でも、アルバム全体の音が格段に向上したことは大いに評価されるべき、リマスター盤です。  

 
 

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2012年7月15日 (日曜日)

ジョージの『Early Takes: Vol.1』

この2〜3日、かなり蒸し暑い日が続いて、ぐずぐず曇り空。時にドカッとにわか雨、という感じだったが、今日は久々の晴天。気温もグッと上がって、本格的な夏到来という雰囲気。かなり蒸し暑いのは変わらないが、今日は風が強くて、部屋の中ではこれがなかなか心地良い。風に吹かれながらグッスリ昼寝も出来ました。

さて、今日の様な、蒸し暑いけど部屋の中では風が心地良い日は、窓を全開に開け放って、ロックな音楽が聴きたくなります。ロックの中でも、こんな本格的な夏、って感じの日は「スワンプ・ロック〜サザン・ロック」の流れが一番。

「スワンプ」とは湿地帯という意味だそうで、ルイジアナ、テキサス東部などの海岸地帯を指します。1970年代の初頭の活躍した、デラニー&ボニーのような南部の泥臭いサウンドを指します。基本的にはサザン・ロックの範疇。カントリー、ブギウギ、ブルース、リズム&ブルースなど、アメリカン・ルーツ・ミュージックの中でも、アメリカ南部の「土(泥)臭いルーツ音楽」を前面に押し出した音作りが特徴です。

そんな「スワンプ・ロック」の代表的ミュージシャンの一人に「ジョージ・ハリソン(George Harrison)」がいます。ジョージと言えば、Fab4(The Beatles)のメンバーの一人。ビートルズ解散の頃から、エリック・クラプトンの影響から、スワンプ・ロックの代表的バンド「デラニー&ボニー」の英国ツアーに単独で参加したりして、1970年代初頭、ジョージ・ハリソンの「スワンプ・ロック」への傾倒には目を見張るものがありました。

そんなジョージの「スワンプ・ロック」への傾倒の最大の成果として、かの大作であり、ジョージの最高傑作の一枚『All Things Must Pass』があります。僕は、この大作を学生時代に初めて聴いた時には、Fab4時代のジョージの作風とは余りにかけ離れた音世界が故に、かなりの戸惑いを覚えたものです。まあ、今ではそんな事は全くありませんが・・・w。

そんなジョージの生涯を描いたドキュメンタリー映画『Living In The Material World』が公開されたのが昨年。2011年末に発売された本作のDVD/Blu-rayコレクターズ・エディションに付属されていた未発表音源集が単品で、この5月にリリースされました。そのアルバムの名は『Early Takes: Volume 1』(写真左)。

オフィシャルリリースされた公式デモ音源集ということで、マニアとしては非常に欲しいというか、是非聴きたいCD音源でしたが、コレクターズ・エディションに付属された特典ディスクで、しかも、このコレクターズ・エディションが高額の価格設定だった為、購入を見送りました。まあ、そのうち、単品として「切り売り」されるかもな、と待っていたんですが、ふふふっ、待った甲斐があったなあ。
 

George_harrison_early_takes_1

 
収録された曲は以下の通りになります。かの大作であり、ジョージの最高傑作の一枚『All Things Must Pass』に収録された曲やその頃のアウトテイクが中心の選曲で、全10曲中6曲が『All Things Must Pass』に収録されたもので、『33 1/3』と『Living in the Material World』に収録された曲がそれぞれ1曲ずつ、残りの2曲がカバー曲。

デモ演奏かつ、アレンジはギター中心のシンプルなもので余分な装飾が無いところが良い。どの曲も、スタジオでバンド・メンバーを配しての最終段階でのデモ録音の様で、音質的にも問題無いのが嬉しい。

また、デモ音源にありがちな、一人の部屋でちょっと録音してみました的なラフな印象も無く、スタジオテイクではなかなか聴き取れない、デモ録音段階ならではの「細かい曲のニュアンス」を感じ取る事が出来たりして、特に『All Things Must Pass』に収録された6曲については、スワンプ・ロック時代のジョージの音世界の「骨格」が良く理解出来ます。

01. My Sweet Lord (demo)
02. Run Of The Mill (demo)
03. I'd Have You Any Time (early take)
04. Mama You've Been On My Mind (demo)
05. Let It Be Me (demo)
06. Woman Don’t You Cry For Me (early take)
07. Awaiting On You All (early take)
08. Behind That Locked Door (demo)
09. All Things Must Pass (demo)
10. The Light That Has Lighted The World (demo)

ふむふむ、やっぱりスワンプ・ロックはシンプルなアレンジが良いですね。ウォール・オブ・サウンドにデコレーションされた『All Things Must Pass』のアレンジも魅力的ではあります。

が、「スワンプ・ロック」が、アメリカン・ルーツ・ミュージックの中でも、アメリカ南部の「土(泥)臭いルーツ音楽」を前面に押し出した音作りとするのであれば、ギター中心のシンプルなもので余分な装飾が無いというのも「あり」ですね。今回のこのジョージの『Early Takes: Volume 1』で再認識、「目から鱗が落ちる」とはこのことでした w。

ちなみに、この『Early Takes: Volume 1』はLPでもリリースされています。LPについては音質的に実に魅力的はありますが、僕は、今回、このアルバムの音源については、96kHz/24bitのハイレゾ音源で入手したので、今回はこのハイレゾ音源でジョージの演奏を堪能しています。

アコギの音やバック・バンドの音など瑞々しくて生々しく、デモ音源でありながら、かなりの迫力ある演奏に聴こえます。そして、なんと言ってもジョージのボーカルの生々しさが良い。マニアには堪えられませんな〜 w。

 
 

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