キースの ”実験音楽サークル” です
キース・ジャレットを、単に「ジャズ・ピアニスト」とだけ捉えたら「怪我をする」。クラスック・ピアニストの顔もあるし、『Restoration Ruin』『Spirits』(ここをクリック)そして『No End』という「実験音楽サークル」(ジャズでもクラシックでもない)=「困ったちゃんなアルバム」に属する作品もある。
ジャズに限っても、ソロ・ピアノとグループ・サウンズ(ジャズロック、スタンダーズ・トリオ、アメリカン・カルテット、ヨーロピアン・カルテット)に限っても多岐に渡るパフォーマンスを繰り広げている。キースのリーダー作を手にする場合は、事前にそのアルバムの内容を把握しておくことをお勧めする。なんか良さそう、という直感だけで選ぶと、とんでもない内容(優れてはいるんだけど)のアルバムを手にしてしまう危険性がある(笑)。
Keith Jarrett『No End』(写真左)。1986年の録音。2013年11月、ECMレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Keith Jarrett (multi-instrument)。キースがエレクトリック・ギターやベースやドラムスを一人で器用にこなし、オーヴァーダビングによって自力でつくり上げた「実験音楽サークル」(ジャズでもクラシックでもない)に属する1枚である。
キースのジャズ・ピアノのアルバムと思って聴いたら、椅子から滑り落ちる(笑)。一般のジャズ者の方々からすると、なんじゃこりゃ、な内容。すべてのトラックは即興演奏で、エレキギター、フェンダー・ベースギター、タブラ、ドラム、各種パーカッションを使用。また、一部のボーカル(トラック「V」と「XVI」では無言の歌唱)と、主な楽器であるピアノ(ただしトラック「X」のみ)も収録。オーヴァーダビングによる「ソロ/バンド」名義のアルバム。
自由度が高い、サーキュレーションなファンク的カリプソ的なグルーヴがメイン。このグルーブを醸し出すメイン楽器がエレキ。ピアノは殆ど無い。キースの「ヘタウマ」なエレギ&エレベが、ダルでローファイなグルーヴを醸し出して、単調の様で単調じゃないグルーヴは癖になる。
ロックやアフリカの民族音楽の音世界がメイン、ゴスペル的でアーシーなノリもあり、カリプソ風のイメージもあり、演奏のコンセプトは、ダルでローファイなリズム&ビートによって、統一されている。
この盤は、キースがかって、ジャズに限らず、ロック、ブルース、ファンク、ゴスペル、カリプソ、アフリカ民俗音楽などに愛着を持ち、精通していたことを示唆する。1960年代後半、ジャズロックの範疇で、この音楽ジャンルの多角的取り込みを見出すことが出来たが、1970年代に入って、徐々にその表出度合いは減っていき、1980年代以降では、ジャズの範疇の中では「ときおりちょっと顔を出す」程度なレベルに留まっていた。
本作は、前述の『Spirits』のレコーディングと前後して録音された作品で、そんな「控えていた様々な音楽ジャンルの取り込み」が、これら、1980年代の『Spirits』そして、この『No End』で一気に噴き出た感がある。ピアニスト、キース・ジャレットのイメージとは全くかけ離れたところにある音世界ではあるが、キースを理解する上では避けて通れないアルバムであることは事実。
とにかく、ジャズ者の皆さん、気をつけて鑑賞して下さい。ちなみに僕は意外にこの音世界、好きです。
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