再聴 ”サンフランシスコのモンク”
最近、音楽のサブスク・サイトでも、クラシック・ジャズ、特に、ハードバップの名盤・好盤のリマスターがどんどん出てきている。聴いてみると、ほとんどが音質、音の分離、音の輪郭などが改善されていて、アルバムによっては、全く違ったイメージに感じてしまうリマスターもあるくらい。なので、ハードバップの名盤・好盤のリマスター盤が出たら、積極的に聴くことにしている。
Thelonious Monk『Thelonious Alone in San Francisco』(写真左)。1959年10月の録音。リヴァーサイド・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Thelonious Monk (p) のみ。アルバム・タイトルどおり、ジャズ・ピアノの高僧、セロニアス・モンクのソロ・ピアノ集である。ジャケット・デザインもお洒落な「モンク名盤」の一枚。
同じリヴァーサイド・レコードから、先行してリリースされたソロ・アルバム『Thelonious Himself』があるのだが、凛とした雰囲気漂い、「寄らば切るぞ」というような、強いテンションを張った、清冽な雰囲気漂う孤高の世界だった。決して、初心者向けでは無い。しかし、このソロ盤が一番、モンクの個性と特徴を表していて、この盤を繰り返し聴くことが、モンクを理解する一番の近道だったように思う。
しかし、である。このソロ・アルバムのモンクは「聴きやすい」。モンクのユニークな音の飛び方、音の重ね方、フレーズの「間」などが、凄く判り易くなっている。クラシック・ピアノをやっている人が理解しやすい、というか、西洋音楽の対極にある様なモンクのピアノが、このソロ盤では、西洋音楽の基本にかなり近づいている。これは、恐らく、モンクの意向だと思われるのだが、どういった心境の変化なのか。
僕はこのモンクのソロ盤を聴いて、モンクは普通のピアノも弾けるんだ、と驚いた。つまり、モンクはピアニストとしての基本をしっかり身につけていた、ということになる。それを前提にして、あのモンクのユニークな音の飛び方、音の重ね方、フレーズの「間」などがあるのだと。
モンクは奇人・変人なピアニストでは無い。モンクは、スタンダードなピアニストであり、ピアノの基本がしっかりあって、その上で、ニークな音の飛び方、音の重ね方、フレーズの「間」などを実現する天才である。この盤は、モンクのピアニストとしての基本部分がしっかりしていることを教えてくれる、暖かくて、優しくて、ほのぼのとしていて、ジャズ者初心者に対しても、モンクのソロ・ピアノ入門盤として適している所以である。
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