2026年1月22日 (木曜日)

”Night Train” 17年振りに記事化

レコード・コレクターズ2026年2月号の特集「この曲のピアノを聴け! ジャズ/フュージョン編」。日本の演奏家も含めて、ジャズ/フュージョンを代表するピアノの名演をまとめて紹介するというものだが、有名な名盤からちょっとマニアックな好盤から、ジャズ・ピアノの個性という切り口でチョイスし紹介している、好感の持てる企画記事である。

Oscar Peterson Trio『Night Train』(写真左)。1962年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Oscar Peterson (p) Ray Brown (b) Ed Thigpen (ds) という、1959年以来の不動のメンバー。いわゆる、オスカー・ピーターソンの黄金の「ザ・トリオ」である。当ブログでは、2009年10月28日にて「ピアノ・トリオの代表的名盤・2」としてご紹介済み。

ピーターソンのピアノの凄いところは、アート・テイタムやバド・パウエルに匹敵するテクニックの持ち主だが、不必要にテクニックを前面に押し出さないところ。必要な時は、テイタムばりに、バドばりに、ガンガン弾きまくるが、アルバム・コンセプトとして不要な場合は、絶対に弾き過ぎない。非常に分別がある、理知的な、コントロールされたピアノが特徴。
 

Night_train 
 

冒頭のタイトル曲「Night Train」を聴くだけでそれが判る。とても素敵なブルース曲だが、ミッドテンポのゆったり悠然とした、余裕タップリの弾きっぷり。排気量の大きなスポーツカーが、般道路をゆっくりと悠然と走っているような感じ。指捌きを聴けば、ピーターソンのピアノ・テクニックの高さが直ぐに判る。

そして、テイタムやバドにはちょっと希薄な「スイング感」が、ピーターソンのピアノには「てんこ盛り」。ジャジーでブルージーでちょっとファンキーなスイング&ドライブ感が素晴らしい。歴代のジャズ・ピアニストの中で、最高にスイング&ドライブするピアノ、だと断言したい。特に、この盤では、実に趣味良くクールにスイングしている。

これは、テイタムやバドには無い、ピーターソン独特の個性である。ハイテクニックでスインギーにドライブするピーターソンのピアノ。テイタムは「エンターテインメント」、バドは「ストイック」、そして、ピターソンは「スインギーなドライブ感」。ジャズ・ピアノの「ハイテクニック3人衆」。ピーターソンのピアノには「成熟」を感じる。
 
 

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2026年1月19日 (月曜日)

MJQとピーターソン・トリオ

J.A.T.P.のステージから、MJQとピーターソン・トリオの演奏を収録したオペラハウスでの1957年ライヴ録音。ヴァーヴ・レーベルからスプリット・アルバムとしてリリースされ、LP時代、A面が「Modern Jazz Quartet」、B面が「Oscar Peterson Trio」。僕がジャズを聴き始めた頃は、このスプリット・アルバムというところが胡散臭くて、手を出すことは無かった。

Modern Jazz Quartet and Oscar Peterson Trio『At The Opera House』(写真左)。1957年10月19日、シカゴのオペラハウスでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Milt Jackson (vib), John Lewis (p), Percy Heath (b), Connie Kay (ds)、以上【Modern Jazz Quartet (MJQ) 】、Oscar Peterson (p), Herb Ellis (g), Ray Brown (b)、以上【Oscar Peterson Trio】。

2018年、CDリイシューされた時に手にした。まず、MJQの演奏から始まる。冒頭の「D&E Blues」は録音状態が悪く、これは「スカ」盤を掴んだか、と思ったが、演奏が進むにつれ、録音状態は良くなっていく。1957年録音としては中程度。それでも、MJQの演奏の内容はしっかりと把握出来る。続く、ピーターソン・トリオの演奏については、録音状態はまずまず良好。ピーターソン・トリオの迫力ある演奏が記録されている。
 

Modern-jazz-quartetandoscar-peterson-tri  

 
MJQの演奏はたった3曲だが、MJQのライヴ演奏の優れたところがしっかりと把握出来る。冒頭「D&E Blues」は、ホットな演奏。ハイテクニックでスインギーな、MJQらしいスピード感のある演奏。続く「Now's the Time」は、パーカー作のホットなビ・バップ曲なんだが、MJQはクールで静的なバップ曲にリアレンジして演奏してみせる。静的だがビートはビ・バップ。3曲目の「Round About Midnight」は、他にない独特なアレンジで聴かせに聴かせる。

ピーターソン・トリオの演奏は全5曲。この頃のトリオは、ドラムの代わりにハーブ・エリスが入った「クラシック・ピアノ・トリオ」。このピアノ=ギター=ベースのトリオ演奏が迫力満点。スイングしまくるピーターソンのピアノに、エリスのギターがガッチリ絡む。オーバー・スイング気味にスイングしまくるピーターソンとエリス。そして、その演奏のベースラインをガッチリ押さえるレイ・ブラウンのベース。このトリオのベストに近いパフォーマンスが楽しめる。

ジャズ者初心者の方々に是非とも、という盤では無いが、ジャズを聴き始めて、ジャズというものがなんとなく判った、ジャズ者中堅、ジャズを本格的に聴き始めて10年位、MJQの名盤、ピーターソンの名盤を複数枚聴いたあとで、このライヴ盤を聴くと、やっぱりジャズはライヴを聴かないと、そのジャズマンの真の実力は判らないな、ということを再認識すると思う。曲数は少ないが、MJQとピーターソン・トリオのライヴの実力の高さが良く判る好ライヴ盤である。
 
 

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2025年12月21日 (日曜日)

クリスマス・ジャズの定盤・4

クリスマス・イヴまで、あと3日。今年もあと10日。知らないうちに今年も「暮れ」である。一週間前から、我がバーチャル音楽喫茶『松和』における「クリスマス・ジャズの定盤」をご紹介している。ここ『松和』では、イージーリスニング志向の、ラウンジ・ジャズ志向のクリスマス曲集は避けて、基本、純ジャズ志向、クロスオーバー&フュージョン志向の優れた「クリスマス・ジャズの定盤」を選んでいるつもり。今日はその4枚目。

Oscar Peterson『An Oscar Peterson Christmas』(写真左)。1995年1, 5, 6, 7月の録音。ちなみにパーソネルは、Oscar Peterson (p), Dave Samuels (vib, trk: 3, 4, 7, 10, 12), Jack Schantz (flh, trk: 5, 6, 13), Lorne Lofsky (g), David Young (b), Jerry Fuller (ds), String orchestra conducted and arranged by Rick Wilkins。

ギター入りカルテットをメインに、要所要所、効果的にヴァイブとフリューゲルホーンが入る編成。そして、バックにストリングス・オーケストラが入るゴージャズな布陣。ただ、カルテットのメンバーはマイナーなメンバーばかり。リーダーのモダン・ジャズ・ピアノのレジェンド、ピーターソン以外は、あくまで、ピーターソンのピアノを前面に押し出し、映えさせる役割に徹している。
 

Oscar-petersonan-oscar-peterson-christma

 
端正で雄弁でスイング感抜群のピーターソンのピアノが、有名クリスマス・ソングをひとつひとつ、秀逸なアレンジの下、印象的に唄い上げていく。ここでのピーターソンは、弾き過ぎない、オーバースイングせず、適度な心地良いスイング感で、それぞれのクリスマス・ソングをカヴァーしていく。それでも、ピーターソン節は健在で、実に聴き応えのある、ピアノがメインのクリスマス・ジャズの名演である。

とにかく、アレンジが優秀。バックの伴奏は、ピーターソンのピアノを引き立てる。ストリングスのアレンジも控えめで良し。原曲のイメージをしっかり残しつつ、アドリブ部はしっかりとジャジーなハードバップな展開をしていて、このクリスマス曲のカヴァーは、しっかり純ジャズの範疇でのパフォーマンスで、モダン・ジャズとしての聴き応え十分である。

ジャズ・スタンダード曲集、イージーリスニング志向のラウンジ・ジャズ盤を制作したり、聴き心地優先のアルバムを作ってきた割に、これが、ピーターソン唯一のクリスマス曲集というのは意外だが、安易なクリスマス曲集を作りたくは無かったんだろう。これも、ピーターソンの矜持の表れといえるか、と。その矜持ゆえ、この唯一のクリスマス曲集、好盤です。
 
 

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2025年10月 7日 (火曜日)

ジャズ喫茶で流したい・301

現エストニアのタリンでのライヴ録音。タイトルは「イン・ロシア」だが、これは正確ではない。正確を期すなら「イン・USSR」もしくは「イン・エストニア」だろう。録音時は1974年。まだまだ冷戦真っ只中。どういう経緯で、当時のソヴィエトでのライヴ公演になったのだろうか。

Oscar Peterson Trio『Oscar Peterson In Russia』(写真左)。1974年11月17日、当時のソヴィエト連邦、現エストニアのタリンでのライヴ録音。パブロ・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Oscar Peterson (p), Niels-Henning Ørsted Pedersen (b), Jake Hanna (ds)。

このライヴ盤を聴く限り、タリンの聴衆はモダン・ジャズをちゃんと理解して、有名スタンダード曲の時など、拍手が一層大きくなったり、ソロの展開の時もしっかりと聴き、ソロが終わると大きな拍手を送る。ソヴィエト占領下のタリンとはいえ、モダン・ジャズの理解は素晴らしいものがある。

ここでのピーターソンは、もともとのピーターソンの持つ実力を遺憾なく発揮している。この頃のピーターソンは、ベテランの域に達し、しかし米国のジャズは凋落の一途。ライヴによっては、独りよがりに、ハイ・テクニックの限りを尽くして、ピアノを勝手気ままに弾きまくって、顰蹙を買うこともしばしばだったが、ここでの、ソヴィエトでのピーターソンは違う。
 

Oscar-peterson-triooscar-peterson-in-rus

 
共産圏の聴衆に対して、アートとしてのモダン・ジャズを聴かせよう、と思ったのだろうか、このライヴ盤でのピーターソンは、実にアーティスティックで、実にジャジーで、弾き回しは、ダイナミズムはちょっと控えめに、適度に上品で端正、バリバリ勝手気ままに弾きまくること無く、「抑制の美」を身を持って示したような、上質でアーティステックなピーターソンのピアノがこのライヴ盤にてんこ盛り。

「抑制の美」を纏ったピーターソンは無敵である。気品漂う、小粋なフレーズを、ほど良く抑制、コントロールされたダイナミズムで、クラシックばりの途方もないテクニックで弾き回す。「これが、ジャズ・ピアノだ」と言わんばかりの上質でアーティスティックでジャジーな弾き回し。タリンの聴衆に対して、最高のジャズ・トリオのパフォーマンスのひとつを、誠実に格調高く弾き進めるピーターソン・トリオは立派だ。

選曲も共産圏の聴衆向けに、有名中の有名スタンダード曲や、ピアノ・トリオで映える小粋なスタンダード曲などが選曲されていて、聴いていて、とても楽しい。アレンジもいつになく優秀で、バックを司る、ペデルソンのぶんぶんアコベも良い音だして絶好調、ハナのドラミングもハードバップな堅実ドラミングで好調を維持。トリオ演奏として、水準以上を行く、1970年代のピーターソン・トリオの代表的演奏の一つがこのライヴ盤に記録されている。

面白いのはジャケット写真の「ピーターソンの服装」。定番の黒スーツではなく、カントリー調のデニム・ジャケットを纏ったラフな服装。クラシックではない、ジャズのピアノ演奏なんだと、デニム・ジャケットでアピールしたかったのだろうか。でも、意外と似合っている、と思っているのは僕だけだろうか。とにかく、このライヴ盤は好盤。ピーターソン者の方々は必聴でしょう。
 
 

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2025年1月13日 (月曜日)

小粋な『Reunion Blues』です

何も、ジャズ盤紹介本やジャズ雑誌のアルバム紹介に上がってくる「名盤」と呼ばれるものだけ、聴いていれば良い、というものでは無い。

ジャズ盤の裾野は広い。色々漁っては聴いていると、これは、という盤に出会う。僕はこれを「小粋なジャズ盤」と名付けて、「小粋なジャズ盤」のボックスを作って、このボックスに盤に入れて、時々、引っ張り出して、繰り返し聴き直している。

Oscar Peterson Trio with Milt Jackson『Reunion Blues』(写真左)。1971年7月の録音。ちなみにパーソネルは、Oscar Peterson (p), Milt Jackson (vib), Ray Brown (b), Louis Hayes (ds)。 MPSレーベルからのリリース。MPSらしい人選。小粋な組み合わせのカルテット編成。

バカテクでドライブ感&スイング感が半端ない、バリバリ迫力満点なピアノを弾きまくるオスカー・ピーターソン。ジャズ・ヴァイブの神様、ブルージー&ファンキーなヴァイブが素晴らしいミルト・ジャクソン。この二人をフィーチャーした、圧倒的な弾き回しが凄まじいカルテット演奏である。

まず、予想通り、ピーターソンのピアノが疾走する。圧倒的迫力のドライブ感&スイング感が半端ないピアノ。そして、そんなピーターソンに対峙する、これまた圧倒的迫力のブルージー&ファンキーな雰囲気が半端ないヴァイブ。
 

Oscar-peterson-trio-with-milt-jacksonreu  

 
これは、そんな二人のバトルが繰り広げられるのか、と思いきや、2曲目以降、極上のハードバップが展開されるのだから面白い。

歌心満点のミルトのヴァイブを、ピーターソンのピアノが絶妙にサポートする。実はピーターソンは伴奏上手。あの「バカテクでドライブ感&スイング感が半端ない、バリバリ迫力満点なピアノ」がバックに回って、抑制の美を漂わせながら、実に小粋なバッキングを施す。これが実に良い、これが実に「粋」なのだ。

そして、そんなピーターソンとミルトのフロントに、レイ・ブラウンのブンブン・ベースと、ルイス・ヘイズの小粋なバップ・ドラムのリズム隊が、これまた絶妙なリズム&ビートをフロントに供給する。このリズム隊の小粋な妙技がこの盤の「隠れた聴きどころ」である。

この盤は、バックに回った時のピーターソンの抑制の美を伴った、凄みのあるバッキングと、そんなバッキングに乗った、ファンクネスを増幅したブルージーな弾き回しのミルト、そして、ミルト&ピーターソンのリズム&ビートを支える、ブラウンとヘイズの小粋なリズム隊、を聴いて楽しむ「小粋なジャズ盤」である。
 
 

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2025年1月 4日 (土曜日)

ムーディーなピーターソンも良し

ジャズ盤を鑑賞する。有名盤や人気の名盤を聴き漁るのも良いが、あまり知られていない、内容充実の「小粋な」ジャズ盤を探して見つけて聴くのも良いものだ。聴いていて、ジャズの「粋」を感じ、ジャズの「心憎い」ところを感じる。そんな「小粋な」ジャズ盤を聴くのも、ジャズ盤鑑賞の醍醐味の一つである。

Oscar Peterson『Pastel Moods』(写真左)。1952年1月26日と1954年4月27日の録音。ちなみにパーソネルは、Oscar Peterson (p), Irving Ashby (g), Herb Ellis (g), Ray Brown (b)ギターは2人のギタリストを使い分けていて、1952年1月26日の録音に Irving Ashby (g)、1954年4月27日の録音に Herb Ellis (g)。

超絶技巧、超スインギーなピアニスト、オスカー・ピーターソンのリーダー作。さぞかし、いつもの様にバリバリと超スインギーに弾きまくるんだろうなあ、と思いきや、タイトルとジャケを見ると、これって、ムーディーな雰囲気の内容なのかしらん、と訝しく思う。聴いてみると、あらら、ピーターソンがムーディーな、ラウンジ風のイージーリスニング志向のピアノを弾いているではないか。
 

Oscar-petersonpastel-moods

 
このラウンジ風のイージーリスニング志向のピーターソンのピアノが実に良い。もともと、とてつもなくテクニックに秀でたピアニストである。ムーディーにウォームに、しっかりとしたピアノを弾くのもお手のもの。この盤は、ピーターソンのピアニストとしての懐の深さ、引き出しの多さを強く感じる。

ドラムレス、代わりにギターが入る、ピアノ=ベース=ギターのオールド・スタイルのピアノ・トリオ。これが、この「ラウンジ風のイージーリスニング志向のピアノ」をさらに引き立てる。アシュリーもエリスも、これまたムーディーでウォームなギターで、ピーターソンのピアノに彩りを添える。硬質硬派なレイ・ブラウンのベースを、アクセントとアレンジに効果的に活かしている。

まるで、米国ウエストコースト・ジャズを聴く様な、と思いつつ、録音場所を見てみると、なるほど「ロサンゼルス」での録音である。ロスでの録音なので「ラウンジ風のイージーリスニング志向のピアノ」になったのではないだろうが、この盤では、ピーターソンのピアノは、「聴かせる、聴いて楽しむ」ウエストコースト・ジャズ志向のアレンジとプロデュースで、ムーディーでウォームなピアノに変身している。しかし、これもまた「乙なもの」である。
 
 

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2024年9月17日 (火曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・29

ジャズを聴き始めの「ジャズ者初心者」の方々向けに、様々な入門盤紹介本や、初心者向けのジャズ盤紹介本が刊行されている。どれもがほぼ同じアルバムを言葉を変えて紹介しているので、どの紹介本を買ってもあまり変わりがない。

これって、差し障りのない、全方向のオールマイティーな盤を選択している訳で、ジャズを聴いてみたい、聴いてみようという向きには「隔靴掻痒」の感は否めない。

Oscar Peterson『We Get Requests』(写真左)。1964年10月19日、11月20日の録音。ちなみにパーソネルは、Oscar Peterson (p), Ray Brown (b), Ed Thigpen (ds)。邦題『プリーズ・リクエスト』。ピーターソンの「黄金の“ザ・トリオ”」の名盤であり、長年所属したヴァーヴ・レコードでの最終作である。

あまりにテクニックが優秀で破綻がなく、テクニックをひけらかすことも無い。ドライブ感が相当に高く、スイング感が半端ない。歌心も趣味が良く、耽美的でリリカルなもの、バップばりばりの疾走感のあるもの、何でも弾きこなす才能の高さは唯一無二。

このジャズ・ピアニストとして「優等生」なピーターソンについて、20世紀の我が国のジャズ評論家筋では評判が良くない。どころか「スイングの権化」と揶揄する評論家が出てくる始末。この我が国での偏った評価が、ジャズ者の「聴くべきピアニスト」から除外されるケースを引き起こしているから厄介である。
 

Oscar-petersonwe-get-requests  

 
ただし、この『プリーズ・リクエスト』を聴けば、それが偏った評価であることに気が付く。この盤でのピーターソンの「黄金の“ザ・トリオ”」は、ピアノ・トリオの最高峰の一つであり、ピアノ・トリオの目標となる優れたユニットである。

収録された全10曲中、ピーターソンのオリジナルは10曲目の「Goodbye J.D.」だけ。残りの9曲はジャズ・スタンダード曲。このジャズ・スタンダード曲が聴きもので、アレンジが絶妙。そのアレンジも、そんじょそこらのものでは無く、このピーターソンの「黄金の“ザ・トリオ”」だけが完璧に演奏出来る、かなり高度なアレンジである。

ジャズ・ピアノ・トリオが、メンバーを厳選して相性が合えば、相当な表現力と訴求力を発揮することが出来ることを、このピーターソンの「黄金の“ザ・トリオ”」の演奏が証明している。

優れた演奏とは、一聴すると「シンプル、単純」に聴こえて、ジャズ者初心者ほど「誰でも演奏できるレベルで聴く価値なし」と思ってしまうのだが、それは間違い。テクニックが優秀な演奏ほど、優れたアレンジに出会うと、耳当たりの爽快な、スイング感&ドライブ感抜群の「聴きやすい」演奏に昇華する。

その耳当たりの爽快な、スイング感&ドライブ感抜群の「聴きやすい」演奏こそが、ジャズを聴き始めの「ジャズ者初心者」の方々にピッタリの入門盤なのだ。この『プリーズ・リクエスト』は、ジャズ者初心者向けのジャズ・ピアノ・トリオ入門盤の最初の一枚、と僕は評価している。
 
 

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2024年4月13日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・273

オスカー・ピーターソンは、ジャズを本格的に聴き始めた頃からの「お気に入りピアニスト」。「鍵盤の皇帝」と呼ばれるほどの超絶技巧とスイング感。高速フレーズをバリバリ弾きまくる。ドライブ感&グルーヴ感抜群。歌心溢れるバラード表現も秀逸。

『Con Alma: The Oscar Peterson Trio – Live in Lugano, 1964』(写真左)。1964年5月26日のライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Oscar Peterson (p), Ray Brown (b), Ed Thigpen (ds)。スイス南部にある都市ルガーノの「Teatro Apollo」で行ったコンサートの模様を収録した未発表音源。

「The Trio」=「黄金のトリオ」と表現された、ピーターソン=ブラウン=シグペンのピアノ・トリオ。この「黄金のトリオ」は、1959年から1965年まで行動を共にした訳ですが、この未発表のライヴ音源は、そのトリオの最終期、1964年のライヴ音源。トリオとして脂の乗り切った、円熟の極みにあったトリオの極上のパフォーマンスが記録されている。
 

Con-alma-the-oscar-peterson-trio-live-in

 
収録曲がなかなかで、冒頭の「Waltz for Debby」はビル・エヴァンスの十八番、4曲目の「Con Alma」はレイ・ブライアントの十八番なんだが、このライヴでは、ピーターソンならではのアレンジと弾き回しで、まるで弾き慣れたピーターソンの十八番の様に聴こえるから面白い。ベースのブラウンもドラムのシグペンも嬉々としてピーターソンのパフォーマンスをサポートする。

この頃のピーターソンの弾き回しは、ダイナミックでワイド・レンジで硬質タッチで超絶技巧な弾き回し。そんな弾き回しで、歌心溢れるバラードを展開し、小粋なスタンダード曲をキャッチーに、より魅力的に聴かせる。素晴らしいテクニック。恐らく、歴代のジャズ・ピアニストの中で、テクニックに関して、この時期のピーターソンがピカイチだろう。

上手すぎて面白くない、とか、バリバリ弾きまくる様を捉えて「侘び寂びがない」とか、スインギーなピアノを捉えて「スイングの権化」とか、なにかと「揶揄される」ピーターソンであるが、どうして、ピーターソンのピアノは、ジャズ・ピアノの歴史の中で、頂点に君臨する一人である。このライヴ音源を聴いて、改めてそう思う。
 
 

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2023年2月23日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・258 『On A Clear Day - Live in Zurich, 1971』

お待たせしました。やっとこさ、ブログを再開しました。よろしくお願いします。

さて、ジャズ・ライフ誌の「Disc Grand Prix 年間グランプリ」には、2022年度にリリースされた新盤の中に、過去の未発表音源が入っていたりするから、チェックは念入りに怠り無く、である。以前は「コルトレーンもの」や「マイルスもの」が多かったが、最近は、そのレジェンド級ジャズマンについてもバラエティーに富んできて、探索するのが楽しい。                                       

The Oscar Peterson Trio『On A Clear Day - Live in Zurich, 1971』(写真左)。1971年11月24日、スイスのチューリッヒ、Kongresshausでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Oscar Peterson (p), Niels-Henning Ørsted Pedersen (b), Louis Hayes (ds)。ラジオ・チューリッヒの放送用の未発表ライヴ音源の初アルバム化である。

ジャケットがいかにもブートらしくて、初めて、このジャケットを見た時は触手が伸びなかった。しかし、ネット情報でトリオのメンバー名を確認して、即ゲットを決意。史上最高のジャズピアノ・マイスターのピーターソン、そして、デンマークの至宝ベーシストのペデルセン、堅実実直なレジェンド級ドラム職人のヘイズ。このトリオ編成は素晴らしい。

というか、僕は「ピーターソン者」。ピーターソンがお気に入りピアニストの1人で、好きなランクの上位に位置する。しかし、このピーターソン、ペデルセン、ヘイズのトリオ編成って、聞いたことが無かった。で、ネットで調査してたら、この今回のライヴ音源が唯一だったらしい。でしょうね。でも、ピーターソンのピアノにペデルセンのベースって、絶対良いよな。そこに、ヘイズの堅実実直なドラムがビートの底を支えるのだ。絶対、内容は良いに決まっている。
 

The-oscar-peterson-trioon-a-clear-day-li

 
で、聴いてみると、やっぱり良いですね。ドライブ感抜群・スイング感抜群・歌心満載のピーターソンのピアノに対等に相対出来るベーシストはなかなか見当たらないのだが、テクニック最高・高速ライン弾き・唄う様なピッツィカートのペデルソンのベースがバッチリ合う。

どちらも高速フレーズを弾きこなすのだが、この2人は決して「うるさくならない」。相手の音を良く聴いて、音がぶつからない様に、相手をしっかりサポートする様に弾きこなしている。素晴らしい。

ヘイズのドラミングも実に良い。ピーターソンとペデルセンが高速フレーズを弾きまくるバックで、演奏全体のリズム&ビートをしっかりと支え、しっかりとリードしている。この堅実実直なヘイズのドラミングがあってこそ、ピーターソンもペデルセンもバリバリ弾きこなせるというもの。

全編、熱演につぐ熱演で、その熱気は聴衆の熱気と共に、様々な音でしっかりと伝わってくる。特に聴衆の盛り上がりは相当なもので、1971年とは言え、さすが欧州。流行に流されず、メインストーリム指向の純ジャズの優れた演奏に正しく反応する感性は素晴らしい。

良いライヴ音源です。こういう未発表音源が、しかも、オスカー・ピーターソンの一期一会トリオの音源が、ラジオの放送音源から作成されたことはとても素晴らしい出来事だったと思います。聴き応えのあるピアノ・トリオの演奏。実際のライヴで聴きたかったですね。

 
 
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2022年12月 9日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・256『At The Concertgebouw』

小粋なジャズ盤を探索していると、好きなジャズマンのリーダー作なのに、何故か疎遠になって、かなりの長期間、聴くことの無かったアルバムに、不意に出会うことがある。ジャケ写を見て「あっこれは知ってる、好きな盤」とは思うのだが、直ぐに「あれっ、この盤、前に聴いたのって何時だっけ」ということになる(笑)。

The Oscar Peterson Trio『At The Concertgebouw』(写真左)。1957年9月29日の録音。ちなみにパーソネルは、Oscar Peterson (p), Ray Brown (b), Herb Ellis (g)。ジャズ・ピアノのレジェンド&ヴァーチュオーゾ、オスカー・ピーターソンの「オールド・トリオ」(「ピアノ+ベーズ+ギター」のトリオ)のライヴ録音である。

この盤、懐かしい。僕がジャズを聴き始めて2年位経った時に、LPの廉価盤で見つけたゲットした記憶がある。ジャズ・ピアノの達人、ピーターソンのトリオ盤なので、内容には間違いは無いだろうと軽い気持ちで購入した。というのも、ジャケットに引かれた。これはどう見ても「オランダの風車」。「コンセルトヘボウ」という変な場所の名前はオランダにあるものだと確信した。欧州での録音かぁ。子供の頃から欧州には限りない憧れがあって、そういう経緯もあって、迷わずゲットした訳でる。

しかし、この盤、曰く付きで、コンセルトヘボウは、オランダ・アムステルダムにあるコンサートホールなんだが、この盤、実は、シカゴの「シヴィック・オペラ・ハウス」でのライヴ録音、ということが後に判明している。どうして、こんなことになったのかは判らぬが、オスカー・ピーターソンのトリオのライヴ録音ということは間違い無い。

僕がジャズを聴き始めて2年目の頃、ピアノ・トリオは、ピアノ・トリオが出現した時からずっと「ピアノ+ベース+ドラム」の編成しか無い、と思っていた。が、それは違うのに気がついたのが、この盤を聴いてから。
 

At-the-concertgebouw

 
もともと、ピアノ・トリオって「ピアノ+ベーズ+ギター」の編成が発祥とのこと。ビ・バップ時代に、バド・パウエルが「ピアノ+ベース+ドラム」の編成を採用して以降、ピアノ+ベース+ドラム」がピアノ・トリオのスタンダードの編成になったことをこの盤で知った。

というのも、このピーターソン・トリオのライヴ盤、トリオの編成が「ピアノ+ベーズ+ギター」なのだ。初めて聴いた時、これにはビックリした。が、ギターってリズム楽器としてジャズに登場しているので、直ぐに納得した。ギターとドラムの違いは、ギターはリズム楽器と旋律楽器の両方に対応、ドラムはリズム楽器オンリー、なところ。

このライヴ盤では、このハーブ・エリスのギターが大活躍。ギターって繊細な音色という先入観があって、時に、ハーブ・エリスのギターは音の線が細くて繊細なリズム&ビート、という印象があったのだが、このライヴ盤でのエリスのギターは「スピーディー&雄弁」。アドリブ・ソロは弾きまくり、リズム&ビートのコード弾きの音が、何時になく「大きい」。こんなエリスのアグレッシヴでスピーディーで弾きまくりのギターって、あまり聴いたことが無い。

ハーブ・エリスのギターがアグレッシヴで弾きまくりな分、ピーターソンのピアノが安心してバリバリ弾きまくり、レイ・ブラウンの重低音ベースがブンブンブンブン、高らかに鳴り響く。このライヴ盤、当時のピーターソン・トリオのパフォーマンスの中で、一番、アグレッシヴでダイナミックでスピード感溢れたものになっている。オールド・スタイルのピアノ・トリオの代表的名演のひとつとしても良いだろう。

タイトルは「オランダのコンセルトヘボウ」のライヴ録音なのだが、実は「シカゴのシヴィック・オペラ・ハウス」でのライヴ録音だった、なんて変なライヴ盤ではあるのだが、演奏内容は一級品。聴き応え十分の、オスカー・ピーターソンの「オールド・トリオ」です。しかし、オランダの風車の油絵のジャケット、好きなんだけどなあ。
 
 

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