アーシーでソウルなブライアント
レイ・ブライアント(Ray Bryant)のピアノは、ハードバップの時代から、ファンクネスを湛えたブルージーなピアノが個性だったが、ハードバップ時代を越えて、1960年代の「ハードバップ多様化の時代」に入ると、ファンキー色に加えて、ソウル色の濃い、いわゆる「ソウル・ジャズ」志向の弾き回しがメインになっていった。そのきっかけが、アーゴ/カデット・レーベルへの移籍だろう。
Ray Bryant『Lonesome Traveler』(写真左)。1966年9月の録音。ちなみにパーソネルは、Ray Bryant (p), Snooky Young (tp), Clark Terry (tp, flh), Jimmy Rowser (b, tracks 2, 4, 5 & 8-9), Richard Davis (b, tracks 1, 3 & 6), Freddie Waits (ds)。アーゴ/カデット・レーベルからリリースしたブライアントのリーダー作、全7作中の2枚目。
このリーダー作も、前作『Gotta Travel On』同様、ブライアントのピアノの個性とアーゴ/カデット・レーベルの音志向とがバッチリ合った、「ファンキー&ソウルフル」な内容になっている。
とにかく、ファンキーでソウルフルでゴスペルチックなブライアントのピアノが映えに映える、そんなアレンジが心地良い。加えて、この盤の演奏は基本的に「アーシー」。このアーシーな雰囲気が、ソウルフルな音志向を増幅している。
有名スタンダード曲の、2曲目「Round Midnight」、4曲目「Willow Weep for Me」なども、アレンジは完璧に、ファンキー・ジャズを超えて、アーシーで「ソウル・ジャズ」志向のアレンジでバリバリ弾きまくっている。こんなに強烈オフビートでノリノリの「Round Midnight」や「Willow Weep for Me」は聴いたことが無い。この有名スタンダード曲の演奏で、腰が左右に揺れるとは思わなかった(笑)。
冒頭の「Lonesome Traveler」、8曲目のブライアントの有名自作曲「Cubano Chant」も、切れ味良く、小気味よい、ソウルフルな弾き回しが印象的だし、ラストの「Brother This 'N' Sister That」などは、どっぷりソウルフルで、もはや、これは、アーシーな「ゴスペル」なジャズである。
前作『Gotta Travel On』同様、ほとんどの曲のフロントにトランペット2本が加わるが、これは、曲の持つ主旋律をはっきり浮き立たせる為だけの役割で、特筆すべきものは無い。無くても良いよな、なんて思う。これは、明らかにオーバー・プロデュース。
このブライアント盤は、アーシーでソウルフルな弾き回しが特徴的な好盤。収録された曲自体もアーシー で ファンキー な佳曲ばかりで、ファンキー&ソウルフルなジャズがお気に入りのジャズ者の方々にはたまらない内容です。アーシーでソウルなブライアントのピアノ。僕は大好きです。
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
★ AORの風に吹かれて
★ まだまだロックキッズ 【New】 2024.08.24 更新
・イタリアン・プログレの雄「PFM」のアルバム紹介と
エリック・クラプトンの一部のアルバム紹介を移行しました。
・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』の
記事をアップ。
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
東日本大震災から13年11ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
最近のコメント