『Con Alma』を傾聴する。
レイ・ブライアントの代表盤といえば、これまでのジャズ盤紹介本では、押し並べて『Ray Bryant Trio』(Prestige)』と『Ray Bryant Plays』(Signature) の2枚ばかりが上がる。ただ、この2枚でのブライアントは、彼のピアノの個性と特徴が抑制され、ラウンジ・ピアノっぽい弾き回し。トリオ演奏としては聴き味は良いが、ブライアントのピアノとしては、個性と特徴が抑えられていて「隔靴搔痒」の感が強い。
レイ・ブライアントの活動期間は、リーダー作ベースで見ても、1955年から1999年と、約半世紀に渡る。そんなレジェンド級のジャズ・ピアニストの代表盤が、1956年リリースの『Ray Bryant Trio』(Prestige)と、1959年リリースの『Ray Bryant Plays』(Signature) の2枚だけというのは、ちょっとなあ、と思う。レイ・ブライアントのリーダー作を全部聴けば、もっとブライアントらしい代表盤があるんだが....。
Ray Bryant『Con Alma』(写真)。1960年11月25日と1961年1月26日の録音。大手Columbiaレコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Ray Bryant (p), Arthur Harper (b, tracks 2 & 4), Bill Lee (b, tracks 1, 3, 5 & 7–9), Mickey Roker (ds, tracks 1–5 & 7–9)。基本はピアノ・トリオ編成。ブライアントの自作曲「Cubano Chant」1曲だけ、ピアノ・ソロ。
この盤は、全9曲中、スタンダード曲&ミュージシャンズ・チューンが7曲。ブライアントの自作曲も「Cubano Chant」はスタンダード志向のミュージシャンズ・チューンなので、この盤の全体の雰囲気は「ブライアントのスタンダード曲集」と解釈して良いだろう。スタンダード曲も選曲が良い。「Milestones」「Round Midnight」「Django」「Autumn Leaves」など、ブライアントが弾いたらどうなるか、と興味を強く引く選曲なので、聴いていて面白い。
ブライアントのピアノの個性である「アーシー、ファンキー、ゴスペル・フィーリング、強いタッチに強調されたオフ・ビート、良く歌う右手」で、スタンダード曲を弾き進めると、そのブライアントのピアノの個性がより濃厚に伝わってくる。アレンジに、もひと工夫もふた工夫もしていて、それぞれのスタンダード曲&ミュージシャンズ・チューンが、明確にブライアント仕様になっている。
ブライアントのピアノは基本的に「ファンキー・ジャズなピアノ」。そんなブライアントの個性と特徴が、この「ブライアントのスタンダード曲集」で明確に理解できる。僕が思うに、この『Con Alma』も、レイ・ブライアントの代表盤である。
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
★ AORの風に吹かれて
★ まだまだロックキッズ 【New】 2022.12.06 更新
・本館から、プログレのハイテク集団「イエス」関連の記事を全て移行。
★ 松和の「青春のかけら達」
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
東日本大震災から12年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
最近のコメント