『Know What I Mean?』再び
この1〜2年間の間に、モダン・ジャズ期の名盤の数々が、再リマスターされたり、廉価盤になって再発されたりで、サブスク・サイトの今月のリリース欄などを賑わしているのに気がついた。
当ブログは、一度、評論文を掲載したアルバムは、例外はあるが、基本的に再掲しないルールにしている。が、当ブログは運営を始めて、はや18年。エバー・グリーンと呼ばれるジャズの名盤については、ブログ運営開始早々に評論をアップしているので、再び語る機会は無かった。が、最近のリイシューブームに乗って、そんなモダン・ジャズ期の名盤について、再度、今の耳で感じたことをアップしても良いか、と思った次第。
Cannonball Adderley & Bill Evans『Know What I Mean?』(写真左)。1961年の1月27日、2月21日、3月13日の3セッションからの収録。ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), Bill Evans (p), Percy Heath (b), Connie Kay (ds)。マイルス・バンドでの共演メンバーであった、キャノンボール・アダレイとビル・エヴァンスの共演盤である。
この盤の主役はキャノンボール。元々、この盤は、キャノンボールが、それまでのポップでソウルフルなプレイスタイルから脱却した、クールでヒップでストイックなアルバムを作りたい、という想いから作られた盤。そんな、なんとも可愛らしいキャノンボールの要望を、ビル・エヴァンスが秀逸なアレンジで応えた共演盤である。
もともと、アルト・サックスの音は人の肉声に近いので、音がよく通って、ボリュームが大きく聞こえる。そんなアルト・サックスを、ブリリアントに切れ味良くキャノンボールが吹くので、冒頭のビル・エヴァンスの耽美的な面に特化した名曲「Waltz for Debby」にちょっと面くらう。
が、よくよく聴いてみると、バックのビル・エヴァンスのピアノも、バップなタッチでバリバリ弾いている。元々、バップなミュージシャンな二人、まずエヴァンスが、バップなタッチでリリカルに伴奏を弾き進め、キャノンボールが、バップなアルト・サックスで旋律を吹き上げる。
ここでのキャノンボールのアルト・サックスは、ファンクネスを抑え、クールでヒップでストイックな吹奏で、「Waltz for Debby」の美しい旋律を唄う様に吹く。さしずめ、マイルス・デイヴィスのアコースティック・トランペットの様に、ファンクネスを排除し、静的でリリカルでクールでヒップな吹奏を、バップなアルト・サックスで表現している。
この静的でリリカルでクールでヒップな「バップなアルト・サックス」が、この盤の最大の聴きどころで、この「バップなアルト・サックス」を最大限に引き立て、全面に押し出すようなアレンジをビル・エヴァンスが提供している。
どの曲もそんなキャノンボールの、静的でリリカルでクールでヒップな「バップなアルト・サックス」が印象的だが、極め付けは、2曲目の「Goodbye」。この切々とした、抒情的なバラード名曲を、キャノンボールは、静的でリリカルでクールでヒップな「バップなアルト・サックス」で、抒情豊かに情感を込めて、優しく包むようにリリカルに吹き進めていく。
この盤は、キャノンボールの静的でリリカルでクールでヒップな「バップなアルト・サックス」と、そのアルト・サックスを最大限に引き立て、全面に押し出すような、エヴァンスの「アレンジとバップなピアノ」を愛でる名盤である。 名盤を聴いて毎度毎度思うのは、「やはり名盤はいつ聴いても名盤」である。
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