MJQの活動前期の名ライヴ盤
まず、最初に断言するが、このライヴ盤は、MJQの名ライヴ盤『The Last Concert』と比肩する、MJQの前期のパフォーマンスを代表する、最高のライヴ盤である。MJQの良いところの全てが、このライヴ盤に凝縮されている。とにかく、見事なカルテット演奏。アカデミックな香りが濃厚、ジャズの芸術性の部分がグッと前面に出た、モダン・ジャズの良いところがこの盤に詰まっている。
The Modern Jazz Quartet『European Concert』(写真左)。1960年4月11–13日、スウェーデンのストックホルムとヨーテボリでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Milt Jackson (vib), John Lewis (p), Percy Heath (b), Connie Kay (ds)。MJQの「揺らぎの無い鉄壁のカルテット」。初出のLPでは2枚組でのリリースだった。
アレンジが素晴らしく、バグスのブルージーで、ファンクネス漂うヴァイブと、ルイスのクラシック風な、音を選んだ間を活かしたのピアノが、あまりに流麗で洒脱で小粋で気がつきにくいのだが、MJQのパフォーマンスは「バップ」が基本。クラシック志向のアレンジが先に印象として残るので忘れがちになるのだが、MJQの演奏は、とことん「ハードバップ」である。
欧州のクラシックの音志向&アレンジと、米国西海岸のバップ・ジャズとの融合音楽がMJQのサウンド、と僕は解釈している。バグスのヴァイブ、ルイスのピアノ、ヒースのベース、ケイのドラム。このカルテットの音は、どこから聴いても、どこから切っても、ハードバップしている。そして、演奏の底に漂うアーバンなファンクネスと、濃厚ジャジーな雰囲気が、MJQの演奏をどっぷりモダン・ジャズに仕立てている。
音の鮮度というか、音の響きが「切れ味良く」「ブリリアントで」「アクティヴ」。MJQの活動前期の総決算的位置付けのライヴ盤で、バグスのヴァイブ、ルイスのピアノ、ヒースのベース、ケイのドラム、それぞれの音が「若く」「活き活き」している。ライヴ演奏での「スピード感」も特筆に値する。
僕はルイス作の「Skating in Central Park」が大好きなのだが、このライヴ盤での演奏は絶品。以前、実際にNYのセントラルパークのスケート場を見に行ったことがあるのだが、その時の光景、スケートをする人達が、気持ち良く、笑顔で楽しく滑っている、そんなスケート場の情景が瞼に浮かぶようだ。この1曲だけでも、このライヴ盤、MJQの名盤である。
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