2025年10月15日 (水曜日)

クリス・コナー, 傑作の1枚です

ベツレヘム・レーベル。カタログを見渡すと、ジャズ・ボーカルのアルバムが散見される、というか、資料によると、全カタログの4分の1がジャズ・ボーカルのアルバムとのこと。つまりは「ジャズ・ボーカルの宝庫」。女性ボーカルのラインナップも充実していて、クリス・コナーを擁しているところなどは、「ボーカルに強いベツレヘム」の面目躍如。今日はそんなクリス・コナーの好盤の1枚をご紹介。

Chris Connor『Chris - The Rich Sound Of Chris Connor』(写真)。1953年12月 (#2- 4), 1954年8月 (#1, 5- 8), 1955年4月 (#9- 12) の3セッションの寄せ集め。当時の未発表曲の寄せ集めである。が、内容は充実している。

ちなみにパーソネルは、 Sy Oliver And His Orchestra (#2- 4), The Ellis Larkins Trio (#1, 5, 6), そして、#9- 12が、J.J. Johnson (tb), Herbie Mann (fl), Joe Puma (g), Ralph Sharon (p: cond), Milt Hinton (b), Osie Johnson (ds)。

ベツレヘムのクリス・コナーの1枚。彼女の一番の特徴はそのクールな歌唱。それまでの「オールド・スタイル」の女性ボーカルでは無く、ストレートでスマートな、聴き心地の良いボーカルにある。そして、歌が上手い、巧みである。抜群の表現力とテクニック。

そういう歌手には、往々にして「歌心に欠ける」という欠点がついて回るのだが、クリスは歌心抜群。声の質も「軽いハスキー・ヴォイス」で、ベトつかず、適度にドライ。
 

Chris-the-rich-sound-of-chris-connor

 
そんなモダンな女性ボーカルが、このアルバムに詰まっている。初期ベツレヘム時代の傑作。ジャズ・スタンダード曲中心の好盤。冒頭の「All About Ronnie」から「Lush Life」「From This Moment On」「In Other Words (Fly Me to the Moon)」など、ナポリ民謡「Come Back To Sorrento」(帰れソレントへ)はユニークな選曲。クリスがクールに見事に唄い上げていく。「軽いハスキー・ヴォイス」がライトにしみじみ染みわたる。

特に、スタンダード曲の歌唱に、クリス・コナーの個性とテクニックが浮き彫りになる。まず、俗っぽくない。正統なジャズ・ボーカルの雰囲気を踏襲していて、洗練されていて典雅。そして、リズム&ビートへの「ノリ」が抜群。スインギーかつ、グルーヴィー。「軽いハスキー・ヴォイス」に、しっとり色気も漂わせた、ストレートでスマートな、聴き心地の良いボーカルが大活躍。

収録された12曲とも、他のアルバムに収録されたセッションの未発表曲を集めたものだが、もともと、収録されたそれぞれのセッションが、クリス・コナー初期の名セッションばかりなので、捨て曲は無し。

ちなみに、ベツレヘムからのリリース当初のタイトルは『Chris』で、クリス・コナーがアトランティックに移籍して、出したアルバムが、同じ『Chris』。ベツレヘムは混同を避ける為にタイトルを『The Rich Sound Of Chris Connor』に変更しているみたいです。なにはともあれ、この盤もクリス・コナーの傑作の1枚。良いボーカル盤です。
 
 

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2025年9月11日 (木曜日)

ロックのビッグバンド・カヴァー

生前、クインシー・ジョーンズが絶賛する。「彼女の力強く官能的なボーカルは魅惑的で、魂を癒してくれる。才能と美しさは並外れている。彼女が歌うものは何でも、彼女は自分のものにしていて、一音一音に意味がある。一度聴けばわかる…彼女は本物だ」。この彼女とは、ミシシッピ州生まれで、ビルボードチャートで2度首位を獲得したボーカリスト、デボラ・シルヴァー(Deborah Silver)である。

Deborah Silver & Count Basie Orchestra『Basie Rocks!』(写真左)。2025年の作品。ちなみにパーソネルは、Deborah Silver (vo : main), Count Basie Orchestra。

そんなデボラ・シルヴァーが、ジャズ・ビッグバンドの老舗、カウント・ベイシー・オーケストラと組んで、ビートルズ、ローリング・ストーンズ、スティング、エルトン・ジョン、ポリスといったロック界の巨匠たちの演奏を、自然なセンスと正統派ビッグバンド・アレンジで再解釈した、魅力的な企画盤。ローリング・ストーンズの名ドラマー、スティーヴ・ジョーダンがこの盤をプロデュースしている。

以下がトラックリスト。エルトン・ジョンの1973年のヒット曲「Benny & The Jets」のピアノ・シンコペーションはコール&レスポンスの様に響き、ビル・フリゼールのギター・ソロが魅力的な、スティーヴ・ミラー・バンドの定番曲「Fly Like An Eagle」。

カート・エリングの歌唱が素晴らしい、ソフト・セルの「Tainted Love」。トロンボーン・ショーティをフィーチャーした、スリー・ドッグ・ナイトのヒット曲「Joy to the World」。ボブ・シーガーの「Old Time Rock and Roll」は不思議とビッグバンド・サウンドに合う。
 

Deborah-silver-count-basie-orchestrabasi
 

1.「Paint it back」 feat. Arturo Sandoval and Pedrito Martinez
2.「Benny & The Jets」
3.「Baby I love your Way」 feat. Peter Frampton
4.「Tainted Love」
feat. Kurt Elling (duet) w/ Steve Jordan (ds), John Clayton (b)
5.「Band On The Run」
6.「A Hard Days Night」 featuring: Monte Croft
7.「Joy To The World」 feat. Trombone Shorty (duet)
8.「Fly Like An Eagle」 feat. Bill Frisell
9.「Every Breath You Take」 feat. George Coleman
10.「Old Time Rock & Roll」
feat. Wycliffe Gordon and Herlin Riley (duet)
11.「Life’s Been Good」
feat. Scotty Barnhart of The Count Basie Orchestra

まず、デボラ・シルヴァーの歌唱が素晴らしい。現代の正統派ジャズ・ボーカル。ポップスでもロックでも無い。紛れも無い「ジャズ・ボーカル」といった雰囲気のシルヴァーの歌唱が全編に渡って、素晴らしい存在感を放っている。

そして、ビッグバンド・アレンジが素晴らしい。ロック&ポップス曲のジャズ・カヴァーは、曲の持つ印象的なフレーズを忠実に再現するあまり、ジャズのサウンドに乗ったイージー・リスニング・ミュージックになってしまう傾向が強いのだが、この盤は違う。

正統なビッグバンド・アレンジに乗った、あくまで、ジャズに力点を置いた、ロック&ポップス曲のカヴァーになっているところが素晴らしい。しかも、そんな演奏を担当するのが、ジャズ・ビッグバンドの老舗、カウント・ベイシー・オーケストラ。あくまで、ジャズ・アレンジされたロック&ポップス曲が、とにかく聴いていて楽しい。
 
 

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2025年9月 4日 (木曜日)

良い感じで脱力した独特の歌唱

ジャズ・ボーカルの宝庫と言われる「ベツレヘム・レーベル」。カタログ全体の4分の1がボ-カル盤というから恐れ入る。確かに、ベツレヘム・レーベルのカタログを見渡すと、キラ星の如く、これは名盤だ、とか、これ聴いてみたい、とか、触手が伸びるボーカリストとタイトルばかり。ジャズ・ボーカルを極めるには、ベツレヘムから入るのが良いのかもしれない。

Bob Dorough『Devil May Car』(写真左)。1956年10月の録音。ちなみにパーソネルは、Bob Dorough (p, vo), Warren Fitzgerald (tp), Jack Hitchcock (vib), Bill Takus (b), Jack Segal (ds)。才能豊かなソングライターであり、優れたピアニスト&ボーカリストでもあったボブ・ドローのデビュー盤。

ボーカルについては、さえずるような高音の声で「良い感じで脱力した独特の歌唱」が特徴。スウィング・ジャズとユーモラスなスキャットがセンスの良くミックスされた、お洒落で粋なジャズ・ヴォーカル。彼の歌声には、彼独特のユーモアと遊び心が感じられ、ジャズのスタンダード曲に、新しい魅力を添加している。
 

Bob-doroughdevil-may-car

 
ホーギー・カーマイケルの美しい「 Baltimore Oriole」、ディジー・ガレスピーの「Ow!」、チャーリー・パーカーの「 Yardbird Suite」といったバップ曲で、ドロー自身の印象的な歌詞と共に、ドローの歌唱が際立つ。そして、彼のピアノは「軽妙」。この軽妙なピアノが、ドローの歌声にピッタリとマッチして、ドローの歌唱を引き立てている。

バックに控える、ウォーレン・フィッツジェラルドのトランペット、ジャック・ヒッチコックのヴァイブも素晴らしい演奏を披露。ざっとパーソネルを見渡すと、馴染みの無いジャズマンばかりが並んでいるが、このバックの演奏の充実が、この個性的なドローの歌声をさらに引き立てている。

ちなみに、本作でも際立っているが、タイトル曲「Devil May Care」は、ダイアナ・クラールやクレア・マーティンらによってカヴァーされている。マイルス・デイヴィスが曲としてカヴァーした事でも有名。また、ボブ・ドローは、マイルスをバックに唄を歌った(「Nothing Like You」)唯一のジャズ・シンガーでもある(『Sorcerer』に収録)。
 
 

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2025年8月29日 (金曜日)

夏はボサノバ・ジャズ・その43

しかし、酷暑が続く夏である。とうに立秋は過ぎて、もう8月も終わり。ここ千葉県北西部地方、もうちょっと涼しい風が吹いていても良いのだが、全くそんな気配は無い。明日、明後日などは、最高気温は35℃超えの予想。これだけ暑いと「熱いジャズ」は聴けない。とにかく、耳当たりの良いジャズに走ることになる。

Marcos Valle『Samba '68』(写真左)。1967年10-11月の録音。ちなみにパーソネルは、Marcos Valle (g, vo)., Anamaria Valle (vo), Claudio Slon (ds), Deodato (arr), Ray Gilbert (producer)。マルコス・ヴァーリの代表作だけでなく、1960年代のブラジリアン・ポップスを代表する一枚である。

ボサノヴァ・ブームの真っ只中、当時の米国滞在中に2枚の録音を残していが、この盤は、ボサノヴァ期の代表曲のほとんどを収めた総決算的なアルバム。夫婦でデュエットしているので息もピッタリ、ボーカルの質も高い。心地よくアレンジされたオーケストレーションをメインにした、ボサノヴァ・チックな伴奏に乗って、米国ナイズされたボサノヴァ・ジャズな要素が見え隠れするのが面白い。
 

Marcos-vallesamba-68

 
この盤では、全編英語で歌われている。明らかに米国マーケットをターゲットにしたプロデュースで、言語によるボサノヴァ色は薄まっている。が、ヴァーリのボーカルが巧みで、英語で歌いながら、ボサノヴァの雰囲気をしっかり残した歌いっぷりは素晴らしい限り。

そして、このアルバムを、1960年代のブラジリアン・ポップスを代表する一枚たらしめているのは、デオダートのアレンジ。ブラジリアン・ミュージックと米国ジャズとの融合を実現したデオダートのアレンジが秀逸。ボサノヴァの雰囲気を宿しつつ、米国人に馴染のあるジャジーな雰囲気とビートを供給する。米国ジャズにおける「ボサノヴァ・ジャズ」の指針となる様な、優れたアレンジには脱帽である。

ジャケットは「これはなんだ」という感じの、ちょっと怪しい感じですが、中身は一級品。甘くてコクのある歌声のマルコス・ヴァーリ、そして、透明感あるキュートな歌声の当時の妻のアナマリアとのデュエットは爽快感抜群で、この酷暑の毎日に癒やしを与えてくれる。
 
 

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2025年8月22日 (金曜日)

夏はボサノバ・ジャズ・その42

セルジオ・メンデス・ブラジル'65/66のオリジナル・ボーカリスト、ボサノヴァの妖精"と称されたブラジル人女性シンガー、ワンダ・ヂ・サーのソロ・アルバム。シナトラのプロデューサー、デヴィッド・キャヴァナーのプロデュース。ジャック・マーシャルのアレンジ。

Wanda De Sah『Softly』(写真左)。1965年の作品。キャピトル・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Wanda De Sah (vo), Sergio Mendes (p), Sebastiano Neto (b), Chico Batera (ds)。Rosinha de Valenca (g)等、といったBrasil'65のメンバーが務めている。バックが確実に「ブラジル」なので、ボサノヴァの雰囲気も「純正」かつ濃厚。

ワンダ・ヂ・サー(Wanda De Sah)は、1944年リオデジャネイロ、イパネマの生まれ。文字通り「イパネマの娘」である(笑)。実際に、当初は「本物のイパネマの娘」として宣伝されたワンダは、まさに、ボサノヴァ界に、センセーションを巻き起こした。ボサノヴァにおける「純正」女性ボーカリストの代表格である。
 

Wanda-de-sahsoftly

 
ボサノヴァらしく、美しく、リラックスした、健康的に少しエロティックで物憂げな、ワンダ・ヂ・サーの歌唱は実に魅力的。アントニオ・カルロス・ジョビン、バーデン・パウエル、ジョアン・ジルベルト、ルイス・ボンファなどの、当時最先端の若手ブラジル人作曲家たちの秀曲を集め、優れたバックの伴奏とワンダの美しい唄声が一体となって、極上のボサノバ・ミュージックが展開されている。

ストリングス・オーケストラをフィーチャーした「Aruanda」「So Danco Samba」、ギターの音色が素敵な「Tem Do」、米国の一般聴衆をターゲットとして意識した、ラウンジ・ミュージック志向な「Quiet Nights (Corcovado) 」等、リラックスしたボサノヴァ・ナンバーが、ワンダのウィスパー ヴォイスによって映えに映える。

ジャケ写真からして「ボサノヴァの妖精」と言うイメージがピッタリ。ブラジリアン・ウィスパリング・ヴォーカル NO.1の呼び声高く、可憐でちょっと素人っぽいイノセントな雰囲気が、ボサノヴァの音世界とピッタリ合って、とにかく聴いていて心地良い。「ヴァーヴ時代のアストラッドを大人っぽくしたような感じ」とは言い得て妙。
 
 

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2025年8月21日 (木曜日)

悲劇&幻の女性ボーカルの2nd.盤

ヘレン・カー(1922-1960)は、米国ユタ州ソルトレイク・シティ生まれ。1940年代後半、バディ・モロウ楽団やチャーリー・バーネット楽団などの専属シンガーを務め、1955年、ソロ・シンガーとしてベツレヘム・レコードと契約。2作のアルバムを残したものの、その後、1960年になんと38歳で、自動車事故により逝去した悲劇の歌姫である。

Helen Carr『Why Do I Love You?』(写真左)。1955年11月11日、ロスでの録音。ちなみにパーソネルは、Helen Carr (vc), Cappy Lewis (tp), Howard Roberts (g), Red Mitchell (b),。トランペット、ギター、ベースという変則トリオをバックにした、幻の女性ボーカリスト、ヘレン・カーのアルバム。

ベツレヘムに2枚のアルバムを残し、ジャズ・シーンから姿を消した、幻の女性ヴォーカリスト、ヘレン・カーのセカンド盤。ロスでの録音なので、パーソネルは、米国ウエストコースト・ジャズの強者が名前を連ねる。まず、このウエストコースト・ジャズの一流どころがバックを固めているので、まず、内容的に「悪い」はずがない。
 

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爽やかな健康的な色気が魅力的な、キュートな女性ヴォーカル。音程はシッカリしていて、テクニックも優秀、確かに「可愛らしい」自然なボーカルで、聴き心地が抜群に良い。本格的な女性ボーカルとは一線を画する、ポップで聴き心地の良い女性ボーカルで、とにかく個性的。これだけ、キュートでハートウォーミングな女性ボーカルは、なかなか他にはない。

品の良いボーカルで、押し付けがましさは皆無。とにかく、聴き心地が良くて、ながら聴きに最適なボーカル。ベツレヘムのヴォーカル・アルバムには、独特なベツレヘム・カラーがあるのだが、この盤もその例に漏れない。トランペット、ギター、ベースの変則トリオのバッキングは、小粋なアレンジが施され、ウエストコースト・ジャズの雰囲気を色濃く宿している。

ベツレヘム・レーベルは「ジャズ・ボーカルの宝庫」。しかも、大手のレーベルでは無い、中堅ジャズ・レーベルのベツレヘム。商業主義に走らない、硬派な内容のジャズ・ボーカル盤を量産している。女性ボーカルのラインナップも充実していて、ヘレン・カーの様に、稀少で魅力的な女性ボーカルもしっかりと残している。ベツレヘム・レーベルは決して侮れない。
 
 

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2025年8月20日 (水曜日)

女性ボーカル名盤 ”This Is Chris”

ベツレヘム・レーベルは「ジャズ・ボーカルの宝庫」。しかも、大手のレーベルでは無い、中堅ジャズ・レーベルのベツレヘム。商業主義に走らない、硬派な内容のジャズ・ボーカル盤を量産している。女性ボーカルのラインナップも充実していて、クリス・コナーを擁しているところなどは、「ボーカルに強いベツレヘム」の面目躍如。今回はその「クリス・コナー」の名盤に迫る。

Chris Connor『This Is Chris』(写真左)。1956年4ー5月、NYでの録音。ベツレヘム・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Chris Connor (vo), Herbie Mann (fl), Ralph Sharon (p), Joe Puma (g), Milt Hinton (b), Osie Johnson (ds), J. J. Johnson, Kai Winding(tb : A3, B1,2,4)。クリス・コナー、29歳のアルバム。ベツレヘム3部作の2作品目。

彼女の一番の特徴はそのクールな歌唱。それまでの「オールド・スタイル」の女性ボーカルでは無く、ストレートでスマートな、聴き心地の良いボーカルにある。そして、歌が上手い、巧みである。抜群の表現力とテクニック。そういう歌手には、往々にして「歌心に欠ける」という欠点がついて回るのだが、クリスは歌心抜群。声の質も「軽いハスキー・ヴァイス」で、ベトつかず、適度にドライ。
 

Chris-connorthis-is-chris
 

聴き手として「聴き易くスッキリ」としてクリスのボーカルは、ジャズ者万人向け。コナーの落ち着いたトーン、繊細で感情豊かな表現、そして心に残る歌声。ジャズ者初心者の方々での「ジャズ女性ボーカルの入門盤」として、内容が判り易く充実した内容。スタンダード曲を中心にスローバラードからアップテンポまで、爽やかに唄い上げる、若き日のクリスのパフォーマンスの初々しさも魅力。

フルートとテナーの二刀流のハービー・マン、ピアニストのラルフ・シャロン、ギタリストのジョー・ピューマ、ベーシストのミルト・ヒントン、そしてドラマーのオジー・ジョンソンといった素晴らしいサイドマンがバックに控えて、若きクリスの歌唱を支え、鼓舞する。このどちらかと言えば、米国ウエストコースト・ジャズ志向の、優れたアレンジでの「聴かせるジャズ・ボーカル」といった面持ちが実に良い。

良い女性ジャズ・ボーカル盤。ジャズ・ボーカルに強いベツレヘム・レーベルの面目躍如。収録された全10曲全てが、聴き応えのある名唱・名演。クリス・コナーの歌唱のみならず、米国ウエストコースト・ジャズ志向の聴かせるバッキングも充実した、女性ジャズ・ボーカルの名盤。
 
 

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2025年8月19日 (火曜日)

トゥループの隠れた好ボーカル盤

とかくマニアックな内容のジャズ盤が魅力のベツレヘム・レーベル。カタログを眺めていると、他のジャズ・レーベルに比べて、ボーカルものが多い。なんと、カタログ全体の4分の1がボ-カル盤。つまりは、ベツレヘム・レーベルは「ジャズ・ボーカルの宝庫」。しかも、大手のレーベルでは無い、中堅ジャズ・レーベルのベツレヘム。商業主義に走らない、硬派な内容のジャズ・ボーカル盤を量産している。

Bobby Troup『The Songs of Bobby Troup』(写真左)。1955年の作品。ベツレヘム・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Bobby Troup (vo, p), Bob Enevoldsen (tb), Howard Roberts (g), Red Mitchell (b), Don Heath (ds)。ベツレヘム・レーベルの10インチのLPレコードの作品。

才能あるソングライター、そして、有能な歌手のボビー・トゥループ。魅力的な女性ボーカリスト、ジュリー・ロンドンの夫として、そして、ナット・キング・コールが歌って大ヒットした人気曲「(Get Your Kicks On) Route 66」の生みの親と知られる、知る人ぞ知る男性ボーカリストである。我が国ではマイナーもマイナー。知っているジャズ者の方は、かなり数少ないのではないか、と思う。
 

Bobby-troupthe-songs-of-bobby-troup

 
タイトルからすると、本人が書いた曲を集めた企画盤、と思ってしまうが、どうも、本人の愛唱歌集という面持ちで、本人が書いた曲は一曲も無いという珍品。当然「Route 66」は入っていない。それは「あしからず」である。しかし、内容は良好。しっとりと聴かせるヴォーカルが印象深い。トゥループのボーカルは、透明感のあるフレージングと丁寧に練り込まれたゆったりとした歌唱が特徴で、米国ウエストコースト・ジャズのクールさを反映しているようだ。

冒頭の「Cuckoo In The Clock」の明るい心地良さ、インスト・アレンジが印象的な、3曲目の「Laura」そして軽快な、6曲目の「Jeepers Creepers」。4曲目の「That Old Black Magic」はマーサーとハロルド・アーレンのコラボによる名曲。トゥループによるアレンジが秀逸な、5曲目の「One for My Baby」。ウエストコースト・ジャズ志向の「聴き手を意識した」穏やかに「聴かせるジャズ」がこの盤に詰まっている。

この『The Songs of Bobby Troup』のオリジナル盤は、10インチのLPレコードがベースになっているので、アルバムの収録容量の少なさから、アルバムに収録されている全8曲は、トータルで約25分しかないのが惜しい。もう少し曲が追加されていたならなあ、と思うくらい、この盤は穏やかで充実した内容になっている。隠れた「良好な」ボーカル盤として、良い内容だと思います。
 
 

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2025年8月18日 (月曜日)

夏はボサノバ・ジャズ・その41

サンバの新しいスタイルとしての「ボサノヴァ」をただ歌いたかったジョアン。「ボサノヴァ」での米国での成功を夢見て、英語で「ボサノヴァ」を歌い、米国ジャズマンのサポートを得て、米国で「ボサノヴァ」を広めていったカルロス・ジョビン。

2人の「ボサノヴァの神様」の「ボサノヴァ」をポピュラーなものにしていく為の方向性の違いが、明確にあった訳だが、この盤は、ただ「ボサノヴァ」を歌いたかったジョアンの米国ジャズに接近した、ボサノヴァ・ジャズの名盤。

Joao Gilberto『Amoroso』(写真左)。1977年の作品。ちなみにパーソネルは、主なメンバーとして、João Gilberto (g, vo), Ralph Grierson (key), Milcho Leviev (syn), Bud Shank (fl), Grady Tate (ds), Paulinho Da Costa (perc), Claus Ogerman (arr, cond), バックにオーケストラが付く。

この盤に詰まっている音世界、ボサノヴァの雰囲気が全面的に押し出されていて、一聴すると、これ、ボサノヴァ・ミュージックか、と思うんだが、リズム&ビートの付け方、アドリブ展開の存在、ジャズっぽいバックの弦オーケストラ。純粋なボサノヴァ・ミュージックでは無いと感じる。そして、パーソネルを見て、ボサノヴァと米国ジャズとの効果的な融合の成果だということを理解する。
 

Joao-gilbertoamoroso

 
ジョアンのボサノヴァ・ギターの素晴らしさは言うまでも無く、ジョアンのボサノヴァ・ボーカルは殊の外、素晴らしい。「Tin Tin Por Tin Tin」を聴けばそれが良く判る。ジャズ・スタンダード曲「'S Wonderful」魅力的な「ソフト&メロウなボッサ」に変貌させた秀逸なアレンジも良好。「Wave」「Caminha Cruzados」「Triste」「Zingaro」の、カルロス・ジョビン名曲カヴァー4連発が出色の出来。

録音年は1977年。フュージョン・ジャズの全盛期で、この盤では「ボサノヴァ」が持つソフト&メロウな雰囲気が、フュージョン・ジャズと上手く合致して、この盤は、ボサノヴァなフュージョン・ジャズとしても十分、評価出来る内容である。ちなみにストリングスのアレンジは「クラウス・オガーマン」。プロデューサーは、トミー・リピョーマとヘレン・キーン。

サンバの新しいスタイルとしての「ボサノヴァ」をただ歌いたかったジョアンの意向が如実に反映されたボサノヴァ・ジャズ。米国ジャズの雰囲気やリズム&ビートを取り入れてはいるが、「ボサノヴァ」の基本の雰囲気やリズム&ビートは決して崩さず、しっかり残した上で、米国ジャズの雰囲気を取り込む、そんな雰囲気のボサノヴァ・ジャズが展開されている。ボサノヴァ・ジャズの名盤の1枚です。
 
 

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2025年8月17日 (日曜日)

ボッサ名盤「愛と微笑みと花」

ボサノヴァ・ジャズというか、このアルバムは、純粋なボサノヴァ・ミュージックのアルバムである。オリジナル収録曲だけだと収録時間は約20分と短いが、この盤の様な、本場のボサノヴァ・ミュージックを体感してから、ボサノヴァ・ジャズを聴いて欲しいと思っている。

Joao Gilberto『O Amor, O Sorriso E a Flor』(写真左)。1961年の作品。ちなみにパーソネルは、Joao Gilberto (g, vo)、unknown Strings Orchestra。邦題「愛と微笑みと花」(直訳である)。ボサノヴァの神様、ジョアン・ジルベルトのセカンド・アルバム。この盤には、ボサノヴァ・ミュージックの真髄がてんこ盛り。

この盤とかで、真のボサノヴァ・ミュージックをしっかりと体感することにより、ジャズによるボサノヴァの取り込みの塩梅とか、アレンジの上手さとかが理解出来る様になるかと思う。この盤のリリース年は1961年。ボサノヴァがまさに誕生した当時の雰囲気と、その当時のジョアンのボサノヴァな雰囲気溢れるボーカル、既に完成の域に達しているギターの奏法などが確認出来る。
 

Joao-gilbertoo-amor-o-sorriso-e-a-flor

 
サンバのギターや歌い方から、サンバのエッセンスやボッサなフィーリングを抽出した、新しいサンバのスタイルを創出したのが「ボサノヴァ・ミュージック」なのだが、このアルバムに入っているボサノヴァ・ミュージックを聴けば、サンバ・ミュージックとの違いも判るし、ジャズとの融合、ボサノヴァのジャズ化の場合、どういう雰囲気を前面に出せば、ボサノヴァ・ジャズとなるかが良く判る。

ジョアンの代表曲「オパト」「ドラリセ」をはじめ、ジョビンの名曲「ワンノートサンバ」「メディテーション」「コルコヴァード」等名曲揃い。アコースティック・ギターの奏でる「自然音」の如き、風や波を感じるリズム&ビートと、「息継ぎ」をも歌唱に変えるジョアンのボサノヴァ・チックなボーカル・テクニックが見事。

ボサノヴァの演奏とボーカルの基本がこの盤に詰まっている。ソフト&メロウで聴き心地を第一としたボサノヴァ・ミュージック。ハードバップが、とかく演奏テクニックやコード・チェンジとの戦いがメインとなり、一般大衆への訴求が疎かになり始めた時代に、ボサノヴァとジャズの融合を試みることは、ジャズの「音楽」としての福音となったに違い無い。
 
 

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