2025年6月 7日 (土曜日)

ブルーノートのヴォーカル盤・2

レココレ誌の執筆陣が選んだ、ブルーノート盤の「ベスト100」。まずは、このレココレ誌が選んだ「ベスト100」のアルバムの中で、当ブログで扱ったことが無いアルバムをピックアップして聴き直していくことにしている。

Dodo Greene『My Hour of Need』(写真左)。1962年4月2, 17日の録音。ブルーノートの9001番。ドド・グリーンのボーカル盤である。ブルーノート9000番台に録音された2枚のヴォーカル作品の中の1枚。ちなみにパーソネルは以下の通り。

1962年4月2日の録音は、Dodo Greene (vo), Ike Quebec (ts), Grant Green (g), Sir Charles Thompson (org, tracks 1-10), Milt Hinton (b, tracks 2, 7, 9 & 10), Herbie Lewis (b, tracks 1, 3-6 & 8), Al Harewood (ds, tracks 2, 7, 9 & 10), Billy Higgins (ds, tracks 1, 3-6 & 8)。

1962年4月17日の録音は、Dodo Greene (vo), Ike Quebec (ts), Grant Green (g), Eddie Chamblee (ts, tracks 11-14), Edwin Swanston (org, tracks 11-14), John Acea (p, tracks 15-16), Wendell Marshall (b, tracks 11-16), Jual Curtis (ds, tracks 11-16)。

このアルバム、初出のLPでは全10曲(1962年4月2日の録音)。1996年のCDリイシュー時のボーナス・トラックの追加が6曲(1962年4月17日の録音)。
 

Dodo-greenemy-hour-of-need

 
11曲目から16曲目までのボートラは、続編アルバムの為に録音された未発表曲。この辺がCDリイシュー時のボートラ追加の「いらぬお節介」なところ。ここでは、初出LPでの全10曲を中心に書かせていただく。

もともとは、1962年4月2日、アイク・ケベック・クインテットの伴奏で演奏したアルバム。ドド・グリーンのヴォーカルは、R&Bとソウルフルなブルースを融合させた小粋なジャズ・ヴォーカルが個性。ヴォーカリストとしての実力は折り紙付き。ポップでブルース寄りの歌唱は、ファンクネスを漂わせつつ、アーシーでゴスペルチックな感じで、僕は大好きだ。

軽快なR&B風のリズム&ッビートに乗り、アイク・ケベックのソウルフルなテナーが全編でドド・グリーンのヴォーカルを盛り上げる。ヴォーカリストが主役のアルバムなので、パッキパキ硬派で、こってこてファンキーなグラント・グリーンのギターはちょっと控えめ。それでも、そこはかとなくファンクネスを振り撒いて、アルバムのソウルフルな雰囲気をより濃いものにしている。

オルガンの音も効果的に響いて、このボーカル盤の雰囲気は「ポップでブルース寄りなソウル・ジャズ」。サウンド全体からブルーノート臭さがプンプン漂って、確かにこのヴォーカル盤は、ブルーノートにしか作れない、ブルーノート謹製の女性ボーカル盤である。
 
 

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2025年6月 6日 (金曜日)

ブルーノートのヴォーカル盤・1

レココレ誌の執筆陣が選んだ、ブルーノート盤の「ベスト100」。まずは、このレココレ誌が選んだ「ベスト100」のアルバムの中で、当ブログで扱ったことが無いアルバムをピックアップして聴き直していくことにしている。

Sheila Jordan『Portrait of Sheila』(写真左)。1962年9月19日、10月12日の録音。ブルーノートの9002番。ちなみにパーソネルは、Sheila Jordan (vo), Barry Galbraith (g), Steve Swallow (b), Denzil Best (ds)。ギター・トリオのリズム隊を従えた、シーラ・ジョーダンのボーカル盤である。ブルーノート9000番台に録音された2枚のヴォーカル作品の中の1枚。

総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオン率いる当時のブルーノートは「ボーカル盤制作には手を出さない」方針だったのだが、何故か1962年、突如、ブルーノート9000番台(Vocal 9000 series)なるボーカル盤シリーズをスタートする。

が、なんとこの9000番台、2枚で打ち止め。よほど、ライオンはボーカル盤制作に魅力を感じなかったとみえる。しかし、さすがはブルーノート。2枚しかないボーカル盤だが、どちらも内容はピカイチ。

さて、順番は逆になるが、今日は9002番のシーラ・ジョーダン盤。シーラ・ジョーダン(Sheila Jordan)は、1928年、ミシガン州デトロイト生まれの女性ジャズ・シンガー。
 

Sheila-jordanportrait-of-sheila

 
ピアノレス、バリー・ガルブレイス擁するギター・トリオのリズム隊を従え、シーラ・ジョーダンが唄いまくる。旧来のジャズ・ボーカルとは一線を画する、しっとりした、キュートでスイートな歌唱は魅力十分。

派手さは全くないが、バリー・ガルブレイスのジェントル&ウォームなギター,スティーブ・スワローのクールだが強靱で推進力のあるベース,デンジル・ベストの繊細なブラッシュ・ワーク、の堅実なバッキングが清々しく、シーラのプリティなヴォーカルを際立せる。

シーラは、声を楽器のように扱う独特な歌唱が個性を活かして、スタンダード「Falling In Love With Love」「Dat Dere」「Willow Weep For Me」など趣味の良いジャズ・ナンバーをクールに歌う。

そう、ブルーノートのボーカル盤の1枚、このシーラのボーカル盤は、シーラの声を、楽器のように扱う感じのプロデュースを施している様に感じる。まさか、ブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンは、ボーカルを楽器の様に扱うことで、取り扱い禁止だったボーカル盤を制作することを思いついたのだろうか。

確かに他のレーベルのジャズ・ボーカル盤とは一線を画する、ブルーノート独特の女性ボーカル盤。一聴の価値あり、である。
 
 

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2025年5月16日 (金曜日)

唄うケニー・バレルは素敵です

ジャズには「異色盤」と呼ばれる、こんなアルバムあったんや、なアルバムがある。本職の楽器以外に、玄人裸足の別の楽器があって、それをメインにしたリーダー作とか、純ジャズ志向の硬派なジャズマンが、いきなりフュージョン志向のリーダー作を出したり、とか、「異色盤」のバリエーションには事欠かない。 

Kenny Burrell『Weaver of Dreams』(写真左)。1960年10月18日 - 1961年6月28日の録音。ちなみにパーソネルは、Kenny Burrell (g, vo), Bobby Jaspar (ts), Tommy Flanagan (p), Joe Benjamin, Wendell Marshall (b), Bill English, Bobby Donaldson (ds)。ボーカル入りのクインテット編成。

ボーカル入りのクインテット編成(5人編成)って、ボーカル入りだとセクステット編成(6人編成)じゃないのか、と直感的に感じる方は、ジャズに精通した「ジャズ者ベテラン」。

確かに、このセッションの楽器編成は、バレルのギター、ジャスパーのテナー、トミフラのピアノ、ベンジャミン or マーシャルのベース、イングリッシュ or ドナルドソンのドラム、の5楽器。ここにボーカルが入るから「6人編成」が正解、では無いのである。

実は、この盤でのボーカルは、漆黒アーバン&ブルージーなギタリスト、ケニー・バレル本人。つまり、ケニー・バレルがギターとボーカルを兼任しているのだ。ケニー・バレルが唄えるなんて、僕はこのアルバムを聴くまで、全く知らなかった。
 

Kenny-burrellweaver-of-dreams

 
全く知らなかった、として、この盤を初めて聴いた時、いきなりボーカル入りの「I'll Buy You a Star」が出てきて、まず「ああ、このアルバムって、ケニー・バレルの伴奏上手をアピールするアルバムかな」と思い、このボーカル、なかなか味があって上手い。誰だろう、この男性ボーカル、と思いつつ、全く、思い当たる節が無い。

「Weaver of Dreams」「The More I See You」「I'm Just a Lucky So-and-So」「A Fine Romance」「Until the Real Thing Comes Along」「That Old Feeling」「If I Had You」「Afternoon in Paris」「Like Someone in Love」など、渋い小粋なスタンダード曲を、丁寧にウォームにアーバンに唄い上げていく、上質なボーカル。

バレル本人が唄っていると知ったのは、このアルバムを聴き終えて、どうにもこのボーカルの主が判らなくて、降参とばかりにライナーノーツを見て、パーソネルを確認した時。いや〜、バレルがこんなに歌が上手いとは思わなかった。脱帽である。

バレルのボーカルを支えるバック・バンドの演奏も小粋。バレル本人の漆黒アーバン&ブルージーなギター、トミフラの伴奏上手のいぶし銀ピアノ、ジャスパーの寄り添う様な優しく力強いテナー、堅実なベース&ドラムに乗って、極上の、ボーカルを支え盛り立てる「伴奏上手な」バッキングが心地よく、思わず心がホンワカする。

これだけ、ボーカルが上手いのだから、もっとボーカルがメインのアルバムを出したら良いのに、と思うのだが、バレルはそうはしない。そこにバレルのギタリストしての強烈な矜持を感じる。でもまあ、それにしても、バレルのボーカルは上手い、良い。この盤、癒しの好盤として、今でも時々、CDプレイヤーのトレイに載ったりする。
 
 

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2025年5月 8日 (木曜日)

マントラの最高傑作 ”Vocalese”

The Manhattan Transfer(略して「マントラ」)は、男女各2人による4人編成。1978年マッセーに代わりシェリル・ベンティーンが正式加入して、最強のメンバー構成となる。ちなみに最強時代のメンバー構成は、ティム・ハウザー(グループの創設者でありリーダー)、アラン・ポール、ジャニス・シーゲル、シェリル・ベンティーン。グループ名は、ジョン・ドス・パソスの小説「マンハッタン乗換駅(Manhattan Transfer)」から取ったとのこと。

The Manhattan Transfer『Vocalese』(写真左)。1985年の作品。ちなみにパーソネルは、The Manhattan Transfer = Tim Hauser, Cheryl Bentyne, Alan Paul, Janis Siegel。バックの伴奏のパーソネルは、曲ごとに、純ジャズ畑、フュージョン畑の大物ミュージシャンが沢山参加しているので、ここでは個々のメンバーについては書かない。メインは、マントラのボーカル&コーラスである。

最初に言う。この『Vocalese』は、マントラの最高傑作である。冒頭の「That's Killer Joe」の、イントロのマントラのコーラスを聴くだけで、これは名盤、とピンとくる。以降は「推して知るべし」。マントラのボーカル&コーラスが、波の様に、嵐の様に、微風の様に、押し寄せてくる。マントラの持つ「実力とテクニック」の全てを出し切った、そんな迫力と矜持がみなぎるボーカル&コーラス。
 

The-manhattan-transfervocalese

 
その内容は「往年のジャズの名曲に歌詞をつけ、その旋律を楽器の如く歌いこなした」メインストリームなジャズ・ボーカル&コーラス。全曲、作詞はジョン・ヘンドリックス。ボーカル&コーラスのアレンジが特に優れている。この優れたアレンジに乗って、有名ジャズ・スタンダート曲を歌いまくるマントラ。爽快である。豪快である。すべてがゴージャスだが、決して耳にもたれない。耳に爽快感がしっかり残る。

超優秀なコンテンポラリーなジャズ・コーラスとは言え、難解なところ、小難しいところは微塵も無い。エンターテインメント性溢れ、冒頭「That's Killer Joe」から聴いていて楽しくなる。どの曲のアレンジもアーバンで小粋、NYの小洒落た雰囲気満載で、ほんと聴いていて楽しい。どの曲がどう、と言う類のアルバムでは無い。収録された全ての曲が、歌いっぷりが素敵であり、素晴らしい。

アルバム全体に散りばめられた、小粋なセンス、極上のコーラス、優れたアレンジ、聴かせ所を心得た歌い方。マントラは、このアルバム制作について、トータル2年の歳月を費やし、幾つかの曲は1ヶ月ほどクラブで試演して、内容をブラッシュアップ。さらに、本録音に先駆けて、8ヶ月以上、リハーサルを重ねたとのこと。なるほど、この盤の完成度の高さ、納得です。 
 
 

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2025年4月23日 (水曜日)

マントラの『Bop Doo-Wopp』

純ジャズやニュー・ジャズ、硬派でメインストリームなジャズを聴き続けたら、ふと「耳休め」をしたくなる。メインストリームなジャズの合間に聴く「耳休め」ジャズは、僕の場合、クロスオーバー&フュージョン・ジャズか、もしくは、ジャズ・ボーカル。

今回はジャズ・ボーカル。しかし、僕のジャズ・ボーカルの嗜好はちょっと変わっている。本格的なジャズ・ボーカルはちょっと苦手。ポップでクロスオーバーでフュージョンなジャズ・ボーカルがお気に入り。硬派なジャズ・ボーカル者の方々であれば「眉をひそめる」んだろうが、好きなものは仕方がない。で、今回は「マンハッタン・トランスファー(以降、マントラと略)」。

The Manhattan Transfer『Bop Doo-Wopp』(写真左)。ライヴ部は1983年11月、スタジオ部は1983年12月、1984年10月の録音。

ちなみにパーソネルは、Cheryl Bentyne, Tim Hauser, Alan Paul, Janis Siegel (vo) = The Manhattan Transfer。バックバンドは、Yaron Gershovsky (key, cond), Jon Mayer (ac-p), Tom Kellock (syn), Ira Newborn, Wayne Johnson (g), Alex Blake, Andy Muson (b), Jim Nelson, Art Rodriguez (ds), Don Roberts (woodwinds)。

マントラの9枚目のアルバム。1984年末にアトランティック・レコードからのリリース。収録曲10曲のうち6曲はライヴ演奏。

6曲のライヴ演奏のうち、「Route 66」「Jeannine」「How High the Moon」「Heart's Desire」「That's The Way It Goes」は、1983年11月に日本の中野サンプラザで行われたライヴ録音。チラッと日本語が飛び出したりもするところが面白い。そして、「The Duke of Dubuque」は、 PBSの「 Evening at Pops」シリーズのためのライヴ録音。
 

The-manhattan-transferbop-doowopp  

 
「My Cat Fell in the Well (Well! Well! Well!)」「Baby Come Back to Me (The Morse Code of Love)」「Safronia B」「Unchained Melody」の4曲はスタジオ録音。

ライヴ部は、成熟したマントラの歌唱がダイレクトに堪能できる。スインギーで疾走感のある素敵なボーカル。独特の響きで魅了するユニゾン&ハーモニー。ライヴだけに4人のコーラスに馬力がある。豪快に唄い、すっ飛ばすマントラ。ポップでバップでエネルギッシュでクール。ジャズ・コーラス・グループとして成熟の極み。

スタジオ部は、精緻に積み上げられた、完成度の高いマントラの歌唱が堪能できる。マントラのコーラスの特性がしっかりと映える、インテリジェンス溢れるアレンジ。「Baby Come Back to Me」や、テンポの速い「Unchained Melody」など、陽気なドゥーワップ的作風の楽曲が印象的。

ライヴ音源とスタジオ録音音源がミックスされた、摩訶不思議なアルバムだが、ライヴ部も、スタジオ部も、マントラの歌唱&コーラスをベースとして、統一感がある。

ライヴ音源とスタジオ音源とが混在しているが、混在してるが故の「散漫な」雰囲気は、僕には感じられない。ダイナミズム溢れる、精緻に積み上げられた、成熟したマントラの歌唱が映えに映える。それが、このライヴ&スタジオ録音の混在盤の良いところだろう。

ライヴ音源とスタジオ音源の両面から、マントラの音楽性、マントラのパフォーマンスの特徴を体感できる、ユニークな内容のアルバムである。
 
 

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2025年4月20日 (日曜日)

これもチェットのボーカル名盤

チェット・ベイカーを一躍、ジャズ・ボーカリストのスターにした名盤『Chet Baker Sings』(2025年4月17日のブログ参照)から、およそ30年後の1985年に録音された「アゲイン」盤。名盤『Chet Baker Sings』にかけて『Chet Baker Sings Again』。

Chet Baker『Chet Baker Sings Again』(写真左)。1985年10月2, 8日、オランダでの録音。ちなみにパーソネルは、Chet Baker (tp, vo), Michel Graillier (p), Ricardo del Fra (b), John Engels (ds)。オランダのTimelessからリリースされた、孤高の無頼漢な男性ボーカリスト&トランペッター、チェット・ベイカーのボーカル盤である。

ジャズでもロックでも「アゲイン」盤は、本家本元盤に比べると内容が落ちる、のが定説だが、この「アゲイン」盤は違う。内容も「My funny Valentine」の再演も含め、名盤『Chet Baker Sings』の内容に比べて全く遜色ない、『Sings Again』のタイトルに恥じない名盤だと思う。

まず、元々本業のトランペットが溌剌としている。チェットは、1929年生まれなので、この「アゲイン」盤の録音当時は56歳。若い頃、麻薬をガンガンにやっていたので、かなり体にはガタがきていたと思われるが(実際、この盤の録音の2年半後、謎の転落死を遂げている)、溌剌と流麗に「安心・安定」のトランペットを吹いている。まず、これが良い。
 

Chet-bakerchet-baker-sings-again

 
そして、チェットの看板「唯一無二の中性的な男性ボーカル」が健在。アンニュイ感が漂うところが良いのだが、意外と溌剌として、気持ちが高揚している様な、意外と芯の入ったしっかりしたボーカルで、「ポジティヴなアンニュイ感」がユニーク。それでも、チェットのボーカルの個性はしっかり「ある」ので、これも良い。

収録された8曲は、どれもが、チェットのフェイバリット・ソングばかりで、それまでに幾度も他のアルバムで録音されている。が、「アゲイン」盤の本家本元『Chet Baker Sings』の収録曲とは2曲しかダブっていないのだが、この「アゲイン」盤にのみ収録された、本家本元盤とダブっていない曲についても、これはこれで聴き応えがある。

冒頭の「All of You」から、「Pacific Jazz」時代に戻ったような、それでいて味わい深い、溌剌としたトランペットと、溌剌アンニュイ中性ボーカルがグッと迫ってくる。2曲目「Body and Soul」は、ミディアムテンポで演奏される、ポジティヴなアンニュイ感が楽しめるボーカルがとても良い。

軽めのアニメっぽいイラストのジャケットが、どうにもジャズらしくなくて、リリース当時は敬遠していたが、21世紀に入って、ダウンロード音源で初聴きして、その内容の良さにビックリしたのを覚えている。この「アゲイン」盤、チェット・ベイカーの名盤として良いと思う。
 
 

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2025年4月17日 (木曜日)

チェットのボーカル名盤の一枚

米国西海岸ジャズの中で、人気ナンバーワンのトランペッターと言えば「チェット・ベイカー(Chet Baker)」。但し、ジャズ盤紹介本ではボーカリストとしてのチェットをクローズアップしているものが大多数。チェット・ベイカーと言えば「ボーカリスト」と認識しているジャズ者の方々も多いのではないだろうか。

『Chet Baker Sings』(写真)。1954年2月15日の録音。Pacific Jazzからのリリース。ちなみにパーソネルは、Chet Baker (vo, tp), Russ Freeman (p, celesta), Carson Smith, Joe Mondragon (b), Bob Neel (ds)。ラス・フリーマン率いるリズム・セクションをバックに、チェットがボーカルをメインに唄いまくる。チェット初のボーカル盤。

このアルバムが発売されるまで、チェットはほぼ楽器演奏のみを行っていた。母親は彼の歌声を気に入り、長年もっと歌ってほしいと頼んでいた (Wikipediaより)。ということで、チェットは、母親の要請を受けて、初のボーカル盤を録音している。なるほど、母親はチェットのボーカルの優秀性と個性を見抜いていた訳である。ただし、プロデューサーのディック・ボックは懐疑的だったそうだ(恐らく「中性的なボーカル」が好きではなかったのだろう...)。
 

Chet-baker-sings

 
チェットのボーカルは、男性ボーカルらしからぬもの。ヘタな女性ヴォーカルより、ずっと繊細で何処か退廃的な臭いが感じられる「中性的なボーカル」はチェットのボーカルの独特の個性。ジャズ・ヴォーカルにつきものの大胆なフェイクは使わず、メロディーをストレートに歌い上げるシンプルなスタイル。そして、まろやかな声で、耳元で囁くように、それでいて芯のあるボーカル。これが「癖になる」。

そんなチェットのボーカルが映えに映えるのが、チェットの代表的歌唱で有名な「My Funny Valentine」。この曲、チェットの歌唱ばかりが評価されるが、バックのラス・フリーマンのピアノ伴奏も見事。この見事なフリーマンの見事な歌伴に乗ってこそ、チェットの個性的なボーカルが映えに映える。チェットのボーカルとフリーマンの歌伴との「化学反応」が、チェットの「My Funny Valentine」の歌唱を最高のものにしている。

チェットの「中性的なボーカル」は、男性ボーカルではない、とする向きもあるが、それは「声色」についての好みの問題だろう。ただし、チェットのボーカルについては、テクニック・音程・歌心など、ボーカリストとして必要な資質・能力は高いものを保持していて、それを踏まえての「中性的なボーカル」なので、ボーカリストとしての力量は「一流」だと評価できる。まず、この盤では、チェットのボーカリストとしての優秀性をしっかりと確認したい。
 
 

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2025年3月25日 (火曜日)

ディーディーの声はお気に入り

ここ1〜2年、グッと少なくなった気がするのは僕だけだろうか。ジャズ・ボーカリストの新人のアルバムのリリースである。加えて、ジャズ・ボーカル盤の新譜も少なくなった気がする。新人として出てきたジャズ・ボーカリストが短い期間に続けて、リーダー作をリリースすることも稀になった。

ジャズを本格的に聴き始めてから暫くはジャズ・ボーカルが苦手だった。特に女性ボーカルが苦手。ジャズ盤紹介本やジャズ雑誌で紹介される、本格的な女性ボーカリストのアルバムが、どうにも「耳に合わない」。まだジャズを聴き始めた「ジャズ者初心者」だったから、自分の耳が悪いのかと悩んだ時期もあった(笑)。

そんな「女性ジャズ・ボーカル」アレルギーだった僕が、最初にお気に入りになったのが、ディー・ディー・ブリッジウォーター(Dee Dee Bridgewater、以降「ディーディー」と略す)。1950年生まれ、メンフィス出身の米国の女性ジャズ・ボーカリストである。

Dee Dee Bridgewater『Just Family』(写真左)。1978年の作品。ちなみにパーソネルは、Dee Dee Bridgewater (vo), Stanley Clarke (arr, b, producer), George Duke (key), Ronnie Foster (key, Moogs), Bobbye Lyle (p, key), Chick Corea (el-p), Ray Gomez (g), David T. Walker (g), Alphonso Johnson (b), Scarlet Rivera (vln), Harvey Mason, Leon "Ndugu" Chancler (ds), Airto Moreira (perc)。
 

Just_family_2 

 
ディーディーの3枚目のアルバム。パーソネルを見渡すと、これは、クロスオーバー志向のエレ・純ジャズをバックにした、コンテンポラリーな女性ジャズ・ボーカル盤である。従来のスインギー&4ビートな本格的な女性ジャズ・ボーカルでは無い、AOR、ポップス、ソウルの要素を上手く取り入れた、コンテンポラリーな女性ボーカル。

これが良かった。クロスオーバー志向のエレ・純ジャズをバックに唄いまくるディーディーのボーカルは「ストレートでシンプルでソウルフル」。声に爽やかな力感が心地良く、爽やかなスイング感が心地良い。当時、新しい感覚の女性ジャズ・ボーカルで、クロスオーバー度が高く、ボーダーレスな音志向が耳に新しかった。

今の耳で聴いても、僕の耳には良いボーカルである。当時、大流行していたフュージョン志向かと思いきや、ソフト&メロウな要素は希薄で、ソウルフル&ファンクの要素の方が色濃く、そういう切り口から、このディーディーのボーカルは、クロスオーバー志向のエレ・純ジャズとして聴いた方が座りが良い。決して、フュージョンでは無い。

クロスオーバー志向のエレ・純ジャズをバックに、ディーディーのボーカルが合わせているのでは無く、ディーディーのボーカルに、クロスオーバー志向のエレ・純ジャズのバックが合わせて、サポートし、引き立てている。そんな雰囲気が見え隠れするところがこのアルバムの良いところ。女性ジャズ・ボーカルの好盤だと僕は思う。
 
 

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2025年3月 3日 (月曜日)

奇跡の名盤『Amtrak Blues』

いきなり雨になり、いきなり冬に逆戻りの気候になって、朝からずっと、冷たい雨、しかも時々強くなる、あいにくの一日。気温差は10℃を超える。これは、基本的に体に堪える。今日は、午後から、エアコンの暖房の効いた部屋の中で、コーヒーを飲みながらの、女性ジャズ・ボーカルの鑑賞継続である。

Alberta Hunter『Amtrak Blues』(写真左)。1980年のリリース。ちなみにパーソネルは、Alberta Hunter (vo), Doc Cheatham (tp), Gerald Cook (p), Vic Dickenson (tb), Norris Turney, Frank Wess (reeds)。1920年代初頭から1950年代後半にかけて活躍したアメリカのジャズおよびブルース歌手、ソングライターのアルバータ・ハンターのカムバック作の中の一枚。

ちょうど、本格的にジャズを聴き始めて三年目。このアルバムのリリースは、某有名ジャズ雑誌で読んで知っていた。85歳での復活劇、的なものだったと思う。ただ、当時、まだ本格的にジャズを聴き始めて三年目。特にジャズ・ボーカルは苦手だったので、当然、このアルバータ・ハンターのアルバムはスルーだった。

で、つい最近、この盤のジャケに遭遇。即ダウンロード、即リスニング、である。存在感抜群のボーカル。ブルースとジャズが融合した、独特の個性的なボーカル。ブルースの泥臭さをジャズが中和している感じ。唄いっぷりは堂々としていて迫力満点だが、耳に優しく心に心地よく響く。素晴らしいボーカル。
 

Alberta-hunteramtrak-blues

 
アルバータ・ハンターは、1895年4月1日、米国メンフィスにて誕生。1908年「ダゴ・フランクズ」 という店で歌手デビュー。1922年、パラマウントレーベルにてレコーディング。1920年代はシカゴが拠点。ドリームランドカフェ」で唄う。1923年、NYへ進出。しかし、1954年、彼女は引退。母が病死した日、歌をやめようと決めたのだった。

1957年から看護師。アルバータ62歳。20年間看護師として働き、1977年、82歳で引退。しかし、3ヶ月も経たないうちに、NYの 「クッケリー」からラブコール がかかり、出演決定。86歳までこの店で週5日唄う。そして、この『Amtrak Blues』を録音。アルバータ85歳のレコーディング。そして、このアルバムのリリースから4年後、1984年10月17日 NYにて死去。享年89歳。

50代までジャズ、ブルースの歌手。その後、学校に入り直し病院で仕事。80代に入ってから復活。凄い話だ。そんな波瀾万丈な人生経験をガッツリ反映した様な、アルバータ・ハンターの歌唱。リズムも音程も明確、背筋がスッと伸びた、正統派な印象が強烈。80歳を優に越えた年齢で、この歌唱。見事としか言いようがない。

ブルースだろうが、ジャズだろうが、アルバータの歌唱の前では関係ない。素晴らしい感動的な歌唱だけがここにある。アメリカン・ルーツを彷彿とさせるアルバータの歌唱。この盤、女性ジャズ・ボーカルの名盤である。
 
 

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2025年3月 2日 (日曜日)

好盤『The Nearness Of You』

今日の日中は暖かかった。聞けば四月中旬の暖かさだった、とか。先週は今年最大級の寒波がやってきた、と大騒ぎだったので、この気温の落差は大きい。

これだけ暖かいと、先週が寒かっただけに「疲れる」。こういった「疲れた時」は、激しいジャズや難しいジャズは避けたくなる。よって、今日も女性ジャズ・ボーカルの好盤の聴き直しが続く。

Helen Merrill『The Nearness Of You』(写真左)。1957年12月18日-19日と1958年2月21日の録音。ちなみにパーソネルは以下の通り。

1957年12月18日-19日の録音(Tracks01, 03, 04, 05, 06, 08, 11)。パーソネルは、Helen Merrill (vo), Mike Simpson (fl), Dick Marx (p), Fred Rundquist (g), Johnny Frigo (b), Jerry Slosberg (ds), David Carroll (arr, cond)1958年2月21日の録音。

1958年2月21日の録音(Tracks02, 07, 09, 10, 12)。パーソネルは、Helen Merrill (vo), Bobby Jaspar (fl), Bill Evans (p), Barry Galbraith (g), Oscar Pettiford (b), Jo Jones (ds), George Russell (arr, cond)。

「ニューヨークのため息」と形容される、ヘレン・メリルの好盤である。ヘレン・メリルが、十八番のハスキー・ヴォイスで、軽やかにスタンダート曲を唄う。
 

Helen-merrillthe-nearness-of-you

 
2つのセッションからの選曲になる。特に、1958年2月21日の録音は、ビル・ヴァンスのピアノ、ボビー・ジャズパーのフルート、オスカー・ペティフォードのベース、ジョー・ジョーンズのドラム、と当時のモダン・ジャズ界の中の一流どころが集結している。しかも、アレンジがジョージ・ラッセル。

しかし、面白いのは、バックの演奏のレベルが多少違っても、全くお構いなしの、バックの演奏に左右されない、ヘレン・メリルの歌唱が素晴らしい。ヘレン・メリルのボーカルは、一定の高い水準のレベルを保っていて、出来不出来の差がほとんどない。

これにはいつも感心するんだが、バックの演奏内容、レベルがいかなる場合でも、バックの演奏が普通の水準以上であれば、ヘレン・メリル自身は全く気にすることなく、一気に朗々と歌い上げる。

つまりバックの演奏のレベルが高ければ高いほど、そのアルバム全体の出来は良くなる、という寸法。ヘレン・メリルの歌唱に好不調の波は無い。水準以上の歌唱で固められていて、安定感抜群である。黒人女性ボーカリストの「コブシ」を回した、情感溢れまくり、感情移入過多気味の歌唱よりも、シンプルでクールでフラットなメリルの歌唱は、いつ聴いても「癒される」。

今回、改めて聴き直してみても、ヘレン・メリルの少しハスキーなヴォイスは、明らかに魅力的。音程もしっかりしているし、速い曲もゆったりしたバラード曲も難なくこなす高テクニック。この盤は、ヘレン・メリルのハスキー・ボイスと、ノリのいいスイング感と、様々なジャンルの歌唱を歌いこなす高テクニック、この3つを心ゆくまで堪能する好盤だろう。
 
 

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