2026年1月19日 (月曜日)

MJQとピーターソン・トリオ

J.A.T.P.のステージから、MJQとピーターソン・トリオの演奏を収録したオペラハウスでの1957年ライヴ録音。ヴァーヴ・レーベルからスプリット・アルバムとしてリリースされ、LP時代、A面が「Modern Jazz Quartet」、B面が「Oscar Peterson Trio」。僕がジャズを聴き始めた頃は、このスプリット・アルバムというところが胡散臭くて、手を出すことは無かった。

Modern Jazz Quartet and Oscar Peterson Trio『At The Opera House』(写真左)。1957年10月19日、シカゴのオペラハウスでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Milt Jackson (vib), John Lewis (p), Percy Heath (b), Connie Kay (ds)、以上【Modern Jazz Quartet (MJQ) 】、Oscar Peterson (p), Herb Ellis (g), Ray Brown (b)、以上【Oscar Peterson Trio】。

2018年、CDリイシューされた時に手にした。まず、MJQの演奏から始まる。冒頭の「D&E Blues」は録音状態が悪く、これは「スカ」盤を掴んだか、と思ったが、演奏が進むにつれ、録音状態は良くなっていく。1957年録音としては中程度。それでも、MJQの演奏の内容はしっかりと把握出来る。続く、ピーターソン・トリオの演奏については、録音状態はまずまず良好。ピーターソン・トリオの迫力ある演奏が記録されている。
 

Modern-jazz-quartetandoscar-peterson-tri  

 
MJQの演奏はたった3曲だが、MJQのライヴ演奏の優れたところがしっかりと把握出来る。冒頭「D&E Blues」は、ホットな演奏。ハイテクニックでスインギーな、MJQらしいスピード感のある演奏。続く「Now's the Time」は、パーカー作のホットなビ・バップ曲なんだが、MJQはクールで静的なバップ曲にリアレンジして演奏してみせる。静的だがビートはビ・バップ。3曲目の「Round About Midnight」は、他にない独特なアレンジで聴かせに聴かせる。

ピーターソン・トリオの演奏は全5曲。この頃のトリオは、ドラムの代わりにハーブ・エリスが入った「クラシック・ピアノ・トリオ」。このピアノ=ギター=ベースのトリオ演奏が迫力満点。スイングしまくるピーターソンのピアノに、エリスのギターがガッチリ絡む。オーバー・スイング気味にスイングしまくるピーターソンとエリス。そして、その演奏のベースラインをガッチリ押さえるレイ・ブラウンのベース。このトリオのベストに近いパフォーマンスが楽しめる。

ジャズ者初心者の方々に是非とも、という盤では無いが、ジャズを聴き始めて、ジャズというものがなんとなく判った、ジャズ者中堅、ジャズを本格的に聴き始めて10年位、MJQの名盤、ピーターソンの名盤を複数枚聴いたあとで、このライヴ盤を聴くと、やっぱりジャズはライヴを聴かないと、そのジャズマンの真の実力は判らないな、ということを再認識すると思う。曲数は少ないが、MJQとピーターソン・トリオのライヴの実力の高さが良く判る好ライヴ盤である。
 
 

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2026年1月17日 (土曜日)

ビル・エヴァンズの異色盤・3

ビル・エヴァンスのリーダー作の記事のコンプリートを目指しているのだが、いよいよ、ビル・エヴァンスのディスコグラフィーの中で、異色盤と呼ばれるものの記事に手を染めている。今日は3作目。ビル・エヴァンスの異色盤では最後の一枚になる。今回は、ジャズ・オーケストラとのコラボ。しかも、エレピ入りのジャズ・ロック志向盤。

Bill Evans『Living Time』(写真左)。1972年5月12–14日、NYでの録音。コロンビア・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、以下の通り。

Bill Evans (p, Fender Rhodes), Snooky Young, Ernie Royal, Richard Williams (tp, flh), Stanton Davis (p), Howard Johnson –(flh, tuba, b-cl), John Clark (french horn), Dave Bargeron (tuba), Jimmy Giuffre (ts, fl), Joe Henderson (ts), Sam Rivers (ts, fl, oboe), Sam Brown (b-g, el-g), Ted Saunders (el-p, clavinet), Webster Lewis (org, el-p), Eddie Gómez (ac-b), Ron Carter (el-b on 5,7), Stanley Clarke (el-b on 1,2,3), Herb Bushler (el-b on 4,6,8), Tony Williams, Marty Morell (ds), Marc Belair (perc),George Russell (arr, cond),。

ビル・エヴァンスのアコピとフェンダー・ローズが、フロントのソリストとして、そして、パーソネルを見渡せば、そうそうたるメンバーが集結したジャズ・オーケストラがバックに控える。そして、よくよく見れば、エレクトリック楽器の導入が目に付く。エレギ、エレベ、ローズ、エレピなど。そして、このバックのジャズ・オーケストラの演奏志向は「ジャズ・ロック」。
 

Bill-evansliving-time

 
最初に断っておくが、このアルバムのリーダーは「ビル・エヴァンス」。しかし、この盤のパフォーマンスとしては、ジョージ・ラッセルがアレンジ&指揮の「ジャズ・ロック」なジャズ・オーケストラの演奏に、ビル・エヴァンスのアコピとローズがそれに合わせている、という感じのパフォーマンスで、ビル・エヴァンスのパフォーマンスとしては、彼の個性は封印して、ジャズ・ロックのフロント楽器として、判り易く聴き易い、シンプルな演奏に終始している。

逆に、ラッセルのアレンジ&指揮のジャズ・ロック志向のジャズ・オーケストラのパフォーマンスが目立ちに目立つ。ダイナミックで壮大な8ビートなジャズ・ロックが、大人数のジャズ・オーケストラで演奏される。しかも、メンバーそれぞれが、力量確かな一流どころが顔を揃えているのだ、とにかく、シャープでダイナミックで迫力あるジャズ・ロック名オーケストラ・サウンドが展開される。

この盤のピアノは、なにも、ビル・エヴァンスで無くても成立するレベル。プロデューサーのヘレン・キーンが問題なのだろう。ビル・エヴァンスのリーダー作にしては、このアルバムの狙い、コンセプトが明瞭で無い。この盤、ビル・エヴァンスが、ビル・エヴァンスらしく、ピアノを弾いていないところが問題なんだろう。

ビル・エヴァンスのピアノの個性を楽しむには、ちょっと不足。ジャズ・オーケストラのジャズ・ロック志向の演奏としては、及第点の出来。作曲に課題が残る(全曲、ジョージ・ラッセルが作曲)。印象に残る曲が無い。演奏はそこそこ優れているが、曲自体がキャッチーではないところが惜しい。どうにも「隔靴掻痒」感の残る異色盤である。
 
 

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2026年1月16日 (金曜日)

ビル・エヴァンズの異色盤・2

ビル・エヴァンスのディスコグラフィーを順に確認していくと、「なんだ、このアルバムは」という異色盤、というか、ゲテモノ盤らしき「パチモン盤」に出くわす。それでも、ビル・エヴァンスのディスコグラフィーをコンプリートしたいという「ビル・エヴァンス者」としては、避けては通れない。まずは、実際に自分の耳で聴いてみることが大事である。

『Bill Evans Plays the Theme from "The VIPs" and Other Great Songs』(写真左)。1963年5月6日の録音。ちなみにパーソネルは、Bill Evans (p), そして、名称不明のオーケストラとコーラス、クラウス・オガーマンのアレンジ&指揮。意図的に商業的な目的の為に制作された、当時の映画やテレビのテーマ曲や人気のスタンダード曲をエヴァンス自身の解釈で演奏した企画盤である。

一言で言うと「イージーリスニング音楽」。どう聴いてもジャズではない。旋律楽器として、ビル・エヴァンスのピアノがフロント楽器の位置付けだが、ジャズでよくある「ピアノ・トリオ+オーケストラ」という、ジャズのバンドとオーケストラのコラボでは無く、豪華なストリングス・セクションと軽いパーカッションによる、よりコマーシャルでイージーリスニング的な編成での演奏である。

ストリングス・アレンジについては、なんとかオーケストラ・ジャズに留めたいという意図は感じられなくも無いが、あまりに甘く、あまりにムーディーな側面が強調されており、ジャジーな雰囲気は微塵も感じられないアレンジになってしまっている。
 

Bill-evans-plays-the-theme-from-22the-vi

 
収録曲は全12曲。メインは、1960年代半ばの映画のサウンドトラックやテレビ音楽から選ばれており、タイトル通り、ミクローシュ・ローザが作曲した1963年の映画『ザ・VIPズ』のタイトル・トラックを始めとして、リン・マレーの『ミスター・ノヴァク』やエルマー・バーンスタインの『ザ・ケアテイカーズ』のテーマ曲などが含まれている。

ジャズ・スタンダード曲も幾曲か収録されていて、「Days of Wine and Roses」や「On Green Dolphin Street」「Laura」では、ビル・エヴァンスの新しい解釈を聴くことが出来る。もっとも、この新解釈は、イージーリスニング志向のもので、ビル・エヴァンス独特の和音の活用よりも、シングルトーンの聴き易さを最優先した解釈ではある。

ビル・エヴァンスのピアノはそれなりに、その個性と実力を発揮した内容にはなっているが、いかんせん、アルバム全体の音志向としては、ジャズとしての音作りより、ポップスな親しみやすさを優先したアレンジになっているので、ジャズのアルバムとしては評価し難い。

ただし、イージーリスニング志向のピアノの弾き回しについては優れたものがあり、エヴァンスのピアノの応用力、適応力の高さを感じ取る事は出来る。とにかく、この盤、ビル・エヴァンスのディスコグラフィー上、最大の異色盤であることは間違い無い。
 
 

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2026年1月15日 (木曜日)

ビル・エヴァンズの異色盤・1

ビル・エヴァンスのリーダー作の記事のコンプリートを目指しているのだが、いよいよ、ビル・エヴァンスのディスコグラフィーの中で、異色盤と呼ばれるものの記事に手を染める。今回は、ピアノが二台、ベース&ドラムの変則ピアノ・トリオ編成。当時、ニューホープのビル・エヴァンスと、もともとはヴァルブ・トロンボーンの名手、ボブ・ブルックマイヤーの双頭リーダー作になる。

Bob Brookmeyer & Bill Evans『The Ivory Hunters』(写真左)。1959年3月12日の録音。ちなみにパーソネルは、Bob Brookmeyer (p), Bill Evans (p), Percy Heath (b), Connie Kay (ds)。副題「Double Barrelled Piano」。ジャズ・ピアニストの ボブ・ブルックマイヤーとビル・エヴァンスによるアルバム。

ボブ・ブルックマイヤーは主にトロンボーン奏者として知られており、時折ピアノも担当していたが、このアルバムは彼がピアノのみで演奏した唯一のアルバムになる。まず、ブルックマイヤーのピアノの腕前に感服する。ジャズ・ピアニストとして一流の腕。ビル・エヴァンスのピアノと堂々渡り合っているから立派。
 

Bob-brookmeyer-bill-evansthe-ivory-hunte

 
ステレオの右チャンネルでリーダーを務めるエヴァンスと、左チャンネルで伴奏を務めるブルックマイヤー、一応、そういう聴き分けになるが、この聴き分けはあまり重要では無い。なぜなら、2人とも一流のピアニスト。特徴も良く似ている。そんな2人が、対位法と即興演奏を弾き分けていく。2人のパフォーマンスは、ポジティヴであり、楽しげでもある。

これはもう、アレンジの勝利だろう。対位法の活用、即興演奏の交換、加えて、エヴァンスとブルックマイヤー、2人のピアノの個性と特徴が似通っているので、とりわけ、対位法の活用がはまっている。収録された楽曲は全てスタンダード曲というのも良い。ダブル・ピアノでの弾き分けについてのアレンジの妙が良く判る。ダブル・ピアノでのフロント楽器の役割が実にユニークに響く。

この盤、まず「ジャケット」で引いて、なかなか手にすることが出来ない。タイトルが「アイボリ−・ハンター(象牙ハンター)」だからか、象の鼻が真っ直ぐ上に伸びた写真に、耳の部分、左がブルックマイヤー、右がエヴァンス。なんかちょっと不気味なジャケットで、このジャケットのせいもあって、この盤は「エヴァンスの異色盤」「エヴァンスのげてもの盤」と揶揄されるのだろう。しかし、内容は意外としっかりしていて、鑑賞に十分耐える。
 
 

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2026年1月14日 (水曜日)

フラナガンとミッチェルのデュオ

端正&典雅でブルージーでダンディズム溢れるバップ・ピアノが個性のフラナガンと、ウエストコースト・ジャズを代表する筋金入り硬派な職人ベーシストのミッチェルとのデュオ・セッションの記録。ピアノとベース、フロントとバックの役割分担がやり易いデュオの組みあわせで、この2人のデュオは、ナチュラルにアレンジに頼ること無く、フロント、バック、ほど良く分担した、絶妙のデュオ演奏が繰り広げられている。

Tommy Flanagan & Red Mitchel『You're Me』(写真左)。1980年2月24日の録音。ちなみにパーソネルは、Tommy Flanagan (p), Red Mitchell (b)。燻し銀な筋金入りバップ・ピアニストのトミー・フラナガンと、西海岸の硬派な職人ベーシストのレッド・ミッチェルによる「デュオ」アルバムである。

デュオ演奏なので、2人ともが主役。まず、フラナガンは遠慮無く、端正なタッチ、気品あるダイナミズムとダンディズムを併せ持ったバップ・ピアノをガンガンに弾きまくる。基本、ミッド・テンポからバラードの演奏がメインで、ガンガン弾きまくるとは言っても、うるさくはない。ベースのミッチェルのベースラインをよく聴いた、絶妙なアドリブ・フレーズがニクい。
 

Tommy-flanagan-red-mitchelyoure-me

 
ミッチェルのベースは、胴鳴りは少しライトだが、ピッチが合っていて、小気味の良い弾く様なビートは、聴いていて爽快。さすが、ウエストコースト・ジャズでの第一人者ベーシストである。その小気味良い爽やかベースは、フラナガンのバップ・フレーズに心地良く絡んで、演奏全体のぶるーじーさ、ジャジーさ、を増幅する。テクニックもかなりのレベル。ピアノのデュオで、ピアノのフレーズに負けていない。

演奏に必要なリズム&ビートは、フラナガンのピアノとミッチェルのベースで、しっかりと分担対応している。フロントとしてのフレーズも、フラナガンはピアノなんで当然として、ミッチェルのベースがしっかりとフロントのフレーズも担当している。ピッチの合ったベースだからこそ、なせる技。ミッチェルのはじき出すフロントのフレーズが意外とクリエイティヴでエモーショナルで聴き応えがある。

ミッチェルのベースがしっかりとジャジーなリズム&ビートを積極的に供給しているので、フラナガンのピアノの個性と、ミッチェルのベースの個性との相乗効果、化学反応を堪能するには、ドラムは不要。このデュオ盤は、ピアノとベースのデュオとしては秀逸な出来。実は、僕は5年前まで、このデュオ盤を聴いたことが無かった。そして、聴いてビックリ。こんなに優れて、聴いていて楽しいデュオ盤があったとは。それ以来の愛聴デュオ盤の一枚になっている。
 
 
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2026年1月 8日 (木曜日)

イージーリスニング志向のケリー

さすがに、大手のレコード会社、ヴァーヴからのリリースである。メインのジャズ・バンドは、ケリー=ポルチェン=コブという、元マイルス・バンドの「名うて」のリズム・セクションに、アーバン、ジャジー、漆黒なギタリスト、ケニー・バレルが入るカルテット編成。しかし、そのバックに、こってりとストリングスが入り、砂糖菓子の様に甘いブラス・セクションが入る。明らかに、ジャズ・ファンを通り越して、一般向けのイージーリスニング志向である。

Wynton Kelly『Comin' In the Back Door』(写真左)。1963年5月&11月の録音。ヴァーヴ・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Wynton Kelly (p), Kenny Burrell (g :tracks 1, 3–6 & 8–11), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb (ds)。このメイン・バンドのバックに、ブラス・セクションとストリングスが付く。ストリングスのアレンジは、クラウス・オガーマン。

ただ、こってりストリングスと甘いブラス・セクションに我慢しながら、メインのカルテットの演奏だけに集中して耳を傾けると、意外と素性の良い、ハードバップな演奏が繰り広げられているのが判る。主役のウィントン・ケリーのピアノが端正で安定の弾き回しを見せる。そして、彼のピアノの個性である「そこはかとなく、マイナーな影を宿しつつ、表向きには、ご機嫌にハッピー・スウィングするピアノ」が、しっかりとメインにある。
 

Wynton-kellycomin-in-the-back-door

 
バレルのアーバン・ジャジーなギターも、ポルチェン=コブのリズム隊も、良い味出している。バレルのギターは、ハッピー・スイングするケリーのピアノに呼応するように、バレルのギターは何時になくスインギー。職人芸である。ポルチェンのベースはしっかり音の底をガッチリ確保し、コブはストリングスとブラスをものともせず、しっかりとジャジーなリズム&ビートを供給する。

確かに、ケリーのピアノは、イージーリスニング志向を意識して、甘めのフレーズ、判り易いシンプル過ぎる弾き回しになっているところはあるが、端正で安定の「そこはかとなく、マイナーな影を宿しつつ、表向きには、ご機嫌にハッピー・スウィングするピアノ」は健在。この破綻の無い、意外とジャジーな、メインのクインテットの演奏だけを取ってみれば、意外と良いハードバップな演奏になっている。

この盤、マルチ・トラックで保存されているのであれば、ストリングスとブラス・セクションの演奏を取り払って、カルテットだけの演奏だけで、リイシューして欲しいくらい。よって、この盤、ストリングスとブラス・セクションのお陰で、ながら聴きにはまずまずの内容の普通盤止まり。残念である。
 
 

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2026年1月 5日 (月曜日)

”Jazz At Massey Hall”を再聴

初心者向けのジャズ盤紹介の中で、この盤がなぜ、初心者向けの、ジャズ入門者向けのアルバムとして紹介されているのか、理解に苦しむアルバムが何枚かある。どう考えたって、そのアルバムの演奏内容って、ジャズ者中級者レベルでも、ちょっと難しいものが、初心者向けのジャズ盤紹介に上がったりしている。その代表格がこの盤、かな。

『The Quintet: Jazz At Massey Hall』(写真左)。1953年5月15日、カナダ・トロントの「マッセイ・ホール」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Dizzy Gillespie (tp, vo), Charlie Parker (as), Bud Powell (p), Charles Mingus (b), Max Roach (ds)。 メンバーそれぞれが「ビ・バップ」の立役者、ビッグ・ネームばかり5人が集結したクインテット編成。

このライヴ録音では、ハプニング続きで、資料を見る限り、通常であれば、ライヴ・パフォーマンスをするような状態ではなかった。そもそも、このライヴが行われた時間帯に、ロッキー・マルシアーノとジャージー・ジョー・ウォルコットのボクシングの試合が同時開催されていたのが元凶で、コンサートを見に来る観客が激減。演奏メンバーへのギャラがまともに払え無い状態。

加えて、パーカーは、質屋に入れてしまった自分の楽器の代わりに、借りてきた白いプラステック製のアルト・サックスで演奏、加えて、契約の関係で、アルバムには「チャーリー・チャン」の変名でクレジットされている。ガレスピーは、ボクシングの試合が気になって、自分のソロが終わると、楽屋に引っ込んでテレビを見ていた。真面目実直なミンガスは、そんなガレスピーに切れて食ってかかったとか。とまあ、まともな演奏ができる状態では無い(笑)。
 

The-quintet-jazz-at-massey-hall
 

しかし、このライヴ音源を聴けば、それぞれが水準以上の演奏をくり広げているのだから、ジャズというのは「良く判らない」(笑)。ボクシングが見たくて、気もそぞろだったガレスピーは溌剌とトランペット・ソロをくり広げ、パーカーは、プラスチック製のアルト・サックスとは思えない、エモーショナルなバップ・フレーズを吹き上げる。問題児2人のフロントは、意外とまずまずのパフォーマンスをくり広げている。が、ベストに近いとは思えないけど。

パウエルのピアノは、彼として水準レベルの演奏に留まる。体調が優れなかったのだろう。覇気が不足している様に感じる。ドラムのマックス・ローチが一番安定していて、ビ・バップ時代で活躍していたと同じレベルのドラミングを披露していて立派。一番、実直真面目だったミンガスのベースは、実際の録音では、録音レベルが低すぎたので、後日、オーヴァーダビングしている。なので、ミンガスのベースのパフォーマンスは割り引いて聴くしかない。

2002年にジャズファクトリーレーベルからリリースされた『 Complete Jazz at Massey Hall』(写真右)には、オーヴァーダビングなしのコンサート全曲が収録されている。これは「ジャズの歴史の記録」としては有用だが、ミンガスのベースが聴き取り難く、ライヴ音源としては、明らかにレベルは落ちる。

メンバーそれぞれが「ビ・バップ」の立役者、ビッグ・ネームばかり5人が集結したライヴ音源なので、ジャズ初心者の方々が「ビ・バップ」時代のビッグネームの演奏を、まとめて手軽に聴けるお徳用盤、という評価もあるが、それは逆だろう。ビッグネームそれぞれのベスト・パフォーマンスを体験・理解してから、このユニークなライヴ盤を聴くべきで、ビ・バップを理解しているからこそ、エピソードも含めて楽しめる、ユニークなライヴ盤である、と僕は解釈している。
 
 

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2025年12月30日 (火曜日)

インド音楽+ジャズロックの融合

シャクティ(Shakti)は1970年代後半に活動した伝説のバンド。ジャズ・ロックとインドの伝統音楽を融合しているとてもユニークなバンドで、クロスオーバー・ギターの第一人者、ジョン・マクラフリンとインドのヴァイオリニスト、L. シャンカールが結成したバンド。

Shakti『Shakti with John McLaughlin』(写真左)。1975年7月5日、ロングアイランドの「Southampton College」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、John McLaughlin (g), L. Shankar (vln), Ramnad Raghavan (mridangam), T. H. Vinayakram (ghatam, mridangam), Zakir Hussain (tabla)。

ジョン・マクラフリン率いるユニット「シャクティ(Shakti)」名義の1975年7月の、サウス・ハンプトン大学でのライヴ録音作品。インド音楽のリズム&ビートに乗せて演奏する、その独特の個性溢れるクロスオーバー・ジャズは、唯一無二である。これぞ「クロスオーバー」であり、インド音楽とエレ・ジャズ、ジャズ・ロックとの融合が怪しくも美しい。

ムリダンガム(Mridangam)は、南インドの古典音楽(カルナータカ音楽)で使われる、両面を叩く木製の太鼓。ガタム(Ghatam)は、主にインド南部のカルナータカ音楽で使われる打楽器。鉄分を含む赤土で作られた素焼きの壺を、素手で叩くことによって音を出す。タブラ(Tabla)は、インド亜大陸発祥の二つ一組で演奏される伝統的な打楽器。
 
Shaktishakti-with-john-mclaughlin  
 
このムリダンガム、ガタム、タブラのインドの伝統的な打楽器群で、インド音楽の独特のリズム&ビートを叩きだしている。まず、これが癖になる。妖艶でかつアジアンな雰囲気が色濃いグルーヴが醸し出される。そのインド音楽独特のグルーヴの上を、マクラフリンのエレギと、L. シャンカールのヴァイオリンが、インド音楽独特の旋律をベースにインタープレイが繰り広げる。

このシャクティは、マハヴィシュヌ・オーケストラの初代解散後に結成され、1975年から1977年にかけて広範囲にツアーを行っている。僕はこのライブ盤を、大学近くの「秘密の喫茶店」で聴かせてもらった。

初めて聴いた時は衝撃だった。インド音楽がジャズ・ロックとが融合している。ジャズの懐ろの深さと広さを思い知った、最初の体験であった。この、インド=ジャズ・フュージョンのリズム&ビートは癖になる。そして、その上を飛翔するマクラフリンのギターと、L. シャンカールのヴァイオリン。今の耳で聴いても「衝撃」。そして、これも「ジャズ」である。

そして、マクラフリンのギター・テクニックの凄さに「驚愕」。インド音楽のリズム&ビートに乗って、唄うが如く、話が如く、流麗にエレギを弾きまくる。そのテクニックたるや、凄まじい限り。クラシックとの融合、ロックとの融合、そしてインド音楽との融合など、挑戦的ギタリストの最右翼、マクラフリンの面目躍如。ジャズの「融合の成果」の一つとして傾聴に値する好盤である。
 
 

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2025年12月 6日 (土曜日)

ウェブスター・ミーツ・西海岸

ベン・ウェブスターとウエストコースト・ジャズとの邂逅。ウエストコースト・ジャズの、ほど良くアレンジされた、聴き手に訴求する、小粋なアレンジに乗ったリズム・セクションをバックに、ベン・ウェブスターのオールド・スタイルの、野太くて大らかでダンディズム溢れるテナーが練り歩く。

Ben Webster『At The Renaissance』(写真左)。1960年10月14日、ハリウッド「The Renaissance」でのライヴ録音。コンテンポラリー・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Ben Webster (ts), Jim Hall (g), Jimmy Rowles (p), Red Mitchell (b), Frank Butler (ds)。ジャズ・テナーのオールド・スタイルのレジェンド、ベン・ウェブスターの、1960年のライヴ盤。

冒頭の「Gone with the Wind」は、最初は、ウェブスターのオールド・スタイルのテナーと、ウエスコトーストの洗練されたリズム・セクションが、どこかギクシャクしている様な、なんかアンマッチの様な雰囲気が漂うので、これはミスマッチなのか、と思うんだが、そこは、ジャズ・テナーのオールド・スタイルのレジェンド、ベン・ウェブスターである。

演奏が進むにつれて、ウェブスターのテナーが、ウエスコトーストの洗練されたリズム・セクションの特徴を掴んで、野太くて大らかでダンディズム溢れるテナーが、どこかジェントルに温和にクールになって、ウエスコトーストの洗練されたリズム・セクションに寄り添うように、小粋で小洒落たテナーになって練り歩く。
 

Ben-websterat-the-renaissance

 
そうなれば、もう、このメンバーでのセッションは無敵である。ウエストコースト・ジャズの特徴を色濃く反映したリズム・セクションをバックに、ウエストコースト・ジャズ仕様にマイナー・チェンジしたウェブスターが、オールド・スタイルのテナーを吹きまくる。そもそも、ウエストコースト・ジャズに、ウェブスターの様な、こってこてオールド・スタイルのテナーは存在しない。そういう点からも、このライヴ盤の内容は貴重だろう。

ジム・ホールのギターも、ウェブスターのオールド・スタイルのテナーとの相性は良い。ウエストコースト仕様の、洒落てアーバンで流麗な「聴かせるギター」のホールに対して、ウェブスターの野太くて大らかでダンディズム溢れるテナーが、どこかジェントルに温和にクールになって、ホールのギターと協調する様にフロントを仕切る。繊細で流麗なホール、野太くて大らかでダンディズム溢れるウェブスター。良い意味での「好対照」。これが良いフロント・パフォーマンスを実現している。

ジミー・ロウルズのピアノ、レッド。ミッチェルのベース、フランク・バトラーのドラム、いわゆる「ウエストコースト・ジャズ」仕様のリズム・セクション、これが、また好パフォーマンスで、ウェブスター&ホールのフロントをガッチリ支え、聴き応えのあるリズム&ビートを叩き出す。特に、ミッチェルのベースが、演奏全体の「底」をガッチリ掴んで、バンドのパフォーマンス全体の「底」をコントロールしている。

1960年というハードバップの成熟期に、ベン・ウェブスターとウエストコースト・ジャズとの邂逅。一期一会の邂逅セッション「東海岸ミーツ西海岸」の成果。ジャズに境界は無い。良き邂逅は良き「化学反応」を醸し出す。その好例の様な好盤です。
 
 

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2025年11月27日 (木曜日)

こんなアルバムあったんや・140

1980年のリリースの、Alberta Hunter『Amtrak Blues』を突然、思いだして、45年振りの再聴。ブルースとジャズが融合した、独特の個性的なボーカル。ブルースの泥臭さをジャズが中和している感じ。唄いっぷりは堂々としていて迫力満点だが、耳に優しく心に心地よく響く。素晴らしいボーカル。そして、このアルバータ・ハンターの他のアルバムを物色していて、この盤に行き当たった。

Alberta Hunter With Lovie Austin's Blues Serenaders『Chicago - The Living Legends』(写真左)。1961年9月1日の録音。ちなみにパーソネルは、Alberta Hunter (vo), Darnell Howard (cl), Jimmy Archey (tb), Lovie Austin (p), Pops Foster (b), Jasper Taylor (ds)。伝説の女性ブルース・シンガー、アルバータ・ハンターのピアニストのロヴィー・オースチンと共演した名作。

まずは、アルバータ・ハンターの歌声である。根っこはブルース。ブルースの泥臭さをディキシーランド&ニューオリンズ・ジャズに乗せて整える、そんな感じのハンターの歌唱はジャジーであり、説得力がある、そして、とにかく上手い。「St. Louis Blues」「Downhearted Blues」「You Better Change」といった曲で最高のパフォーマンスを聴かせてくれる。
 

Chicago-the-living-legends

 
そして、1961年の録音にも関わらず、演奏全体の雰囲気は、ディキシーランド&ニューオリンズ・ジャズ志向。このオースティンの「ブルース・セレナーダーズ」(トロンボーンのジミー・アーキー、クラリネットのダーネル・ハワード、ベースのポップス・フォスター、ドラマーのジャスパー・テイラーを含む五重奏団)の演奏、これが良い。やはり、このジャズの音が、ジャズの原風景なんだろうな、と改めて納得する。

このオースティンの「ブルース・セレナーダーズ」の演奏、ハンターのボーカル曲では、簡潔なソロ・パフォーマンスのスペースがあって、ここで瞬間芸的なアドリブ・パフォーマンスを披露する。これが見事。そして、「Sweet Georgia Brown」「C-Jam Blues」「Gallion Stomp」の3曲が、「ブルース・セレナーダーズ」単独のインスト・ナンバーであり、このインスト・パフォーマンスが、ディキシーランド&ニューオリンズ・ジャズ志向のハードバップという感じで、これも見事。

ピアニストのロビー・オースティンにとって、20年ぶりのレコーディングだった。彼女は当時74歳近くで、シカゴのダンススクールでピアニストとして働いていた。アルバータ・ハンターは、1954年に看護師になるために音楽界を引退し、その間、2週間前に一度しかレコーディングしていなかった。そんな二人が奇跡の邂逅を果たしてのこのライヴ録音、そして、この優れたパフォーマンス。ジャズって凄いなあ、と思う瞬間である。
 
 

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